毎年お雛様をかざっている。
伯母の作ってくれた木目込み人形だ。
しまい方が雑だったせいか、烏帽子の先がまがっていたり、女雛の髪に癖がついたりしてしまった。
それでも部屋の中は、一応雰囲気は盛り上がる。
白酒はないけれど、今日はちらしずしを買ってくるつもり。
毎年、そうやっていたから今年も例年通りに、一人でもひな祭りを楽しむ。
でも、どうして３月３日が過ぎたら、お雛様をしまわなくてはならないのだろう。
普通の人形を飾るように、一年中飾っておいてはダメなのだろうか。
こんなに可愛いのに、一年のうち一週間くらいしかお目見えしない。
もう婚期などどうでもいいから、ずっと飾っておきたいと思う。
でもやはりお雛様は特別だから、ちゃんと大事にしまっておかなくてはならないのかもしれない。
初節句の時、母方の祖母からお雛様を買うお金を送ってきたそうだが、どうやら母は使い込んでしまったようで、私にはしばらくお雛様がなかった。
本当は友達のように５段飾りのとかが欲しかったのだ。
自分で買えるようになったら買おうと思っていた。
そうしたら、伯母が送ってくれたので、私もひな祭りをすることができるようになったのだ。
今思えば、５段飾りでなくてよかった。
子どものときはうれしいかもしれないけれど、出したり、しまったりは大変だ。
このお内裏様だけで十分ひな祭りが味わえる。
