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fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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2013年下半期読んだ本から

2013年12月20日 | 本の紹介

 今年もあと10日ばかり。半年早いですね。おもしろかったと思った5作、発表です。

・『何者』(朝井リョウ)    就活の若者たちをリアルに描いた作品。朝井リョウの『桐島部活やまるってよ』は、私には? な作品でした。でも『何者』で直木賞を受賞し、そのときに「生きているすべてが書くためにある。この会見も小説に書くかも」的な発言がとても印象的で、現在企業に就職しながら、作家として書いている彼にとって、就活も現在の仕事もすべて小説のためなのだろうという、潔さに拍手したい気持ちでした。『何者』は、その結果のひとつ。ツイッターでのつぶやきが、本音のようでそうではない。そのあたりが現代であり、でも今はもうツイッターよりラインやフェイスブックなのだろうと思うと、そのあたりを小説のアイテムとして出すあやうさもあるんだなあという一冊(それでも『何者』は、ツイッターだけでちゃんと引き込んでくれるという点でもさすがでした)

・『名前探しの放課後』(辻村深月)ー講談社 『ぼくのメジャースプーン』が大好きで、その主人公が脇役で出てくる(こういうことを書くと、いわゆるネタバレになってしまってよくないのかな)。最初は大好きなタイムスリップものかと思って読み始めて、そのうち恋愛まじりのミステリーかと思い、最後は(そうかー! 彼らが!)と、なってじわじわ嬉しい一冊でした。『ぼくのメジャースプーン』も再読してフムフム。辻村さんの『光待つ場所へ』にも、この2編に出ていた脇役が出ている。この作りのファンは多いみたいです。どうやら関連あるらしい未読の『子どもたちは夜と遊ぶ』、今読んでる最中です。これからどうなるのか、っていう引っ張りがうまい。(これには『メジャースプーン』の秋山先生が出てくる。)おもしろい。『スロウハイツの神様』も、読まなくては。こう並べると、タイトルのつけかたうまいなあ。小学生で、あんな辛い体験をしたあの子たちが、中学生になり高校生になりと、その姿が嬉しい近所のおばさん的な感覚でもありました。

・『ローズの小さな図書館』 キンバリー・ウィリス・ホルト(徳間書店)   ローズから4世代にわたる短編連作。1編は短く、ローズはそのたび、少女、母、祖母、曾祖母となっていきます。そして……。短編連作の作り方として、なるほどと思わせていただきました。私はローズのところでは、小さな男の子としてちらっと出てきて、次のところでは、結婚した相手の息子の連れ子、そして主人公(ローズの息子)から見たら異母兄という存在の(名前忘れた)人が印象的。最後まで主人公にならないどころか、各作品でもそんなに重要な位置にもいません。それでもきっと作者は書いていない設定をきちんとしているから、その人間がゆるぎないんだろうなと思ったわけです。

・『想像ラジオ』(いとうせいこう)  読み進めてすぐに、(ああー)という思いになりました。震災後3年近く、そろそろ創作としてあの震災をあつかったものが出ていい時期と思っていたら、やはり出ていました。割とすぐに出た『小説・震災後』も、どうなるんだろうと、やはり生々しすぎたものがあり、そしてそれのラストがあまり好きではなかったので(悪いわけではないのですが)、この「想像ラジオ」は、どうなるだろうという気持ちで読みました。途中、DJが歌を紹介するわけですが、ここでちゃんと歌が聞こえる。このクッションがよかった。でも、やはり悲しい物語ではあります。(楽しい物語は、無理ですね)

・『8つの物語』(フィリッパ・ピアス) これも短編集です。ところが、今覚えているのがこの中の1編だけ……。いや、でも読んだときは、「いいなあー」と思ったんですよ。こういう短編書けたらいいなあと……。そういえば、ノーベル文学賞の作品、未だ読んでない。あの方の短編集、薦めていただいているんですが、図書館にリクエストはしています。年内にくれば、年末年始に読めるんだけどなあ。

・『ブループリント』  近未来の物語。でも、未来という感じはしません。天才ピアニスト、イーリスは、病に冒され、自分の才能をそっくりひきついだクローンを作ることを決意。やがて生まれた子どもはシーリィ。あなたはわたし、わたしはあなた。母と子であり、姉妹であるいびつな時が始まります。近未来の物語として書かれたものですが、クローンとしての人間が成長している現在がありそうって思ってしまいました。

 あ、6冊だ。そのうち、3冊が児童書でしたね。(なるべく児童書以外で選びたいと思っているのですが、読んでいる割合が圧倒的に児童書が多いので、ご容赦ください)

 忘れないようにおもしろかった本はメモっておくようになったのですが、そのメモにあった『片蔭』(吉住侑子)、これ、今全く内容を覚えていません。(半年以内のことなのに、なんてこと!)

 『ぼくとジョージ』(E.Lカニクズバーグ)岩波書店、『スピりットベアにふれた島』(ベン・マイケルセン)すずき出版 が次点です。今回、翻訳もののYAをめずらしく読んだのでした。作者名忘れそう。世界的大御所作家のあの一冊や、A賞を授賞したあれとかは、選外(個人的嗜好なのでね)

 出版社などが落ちているものもありますが、申し訳ありません。そして、長々と。

  太平山 再び(千秋公園より)