上橋菜穂子はやはりすごい。この本を読んだあと、友人にメールをしたところ「上橋菜穂子は別格。『ユリイカ』で特集してたくらいだから」という返信があり、「ユリイカ」読まなくてはと思っています。
こういう作品、作者のことを描写力があるというのですよ。異世界を描いていて、読んだものがそこに入ってしまう。ケンカのシーンなど、逃げたくなる。でも逃げられない。「守人」シリーズの外伝なわけですが、本当はこちらのほうが先に書いていて、これを書いたことで「守人」シリーズの壮大な世界が浮かんでしまい、この『炎路を行く者』の主人公であるヒューゴがどういう男なのかがわかると、「守人」を読むときの妨げになると判断、お蔵入りになったというのですから、すごい。そして「守人」が完結したあと、中編に書き直しての出版となったとのこと。
さて、ここで。どうしてもわからないことがあり、もしこのブログを読んでわかる方がいたら、教えていただきたいのです。
上橋菜穂子さん、あとがきで、「バルサがこういう形で、少年時代のヒューゴを救っていたとは」という書き方をしてらっしゃいます。『炎路を行く者』は、ヒューゴの少年時代の中編と、バルサの少女時代の短編でできているのですが、二人はどっちの作品でも、接触はありません。バルサのほうの物語に、「15のときには」という詞が出てくるのですが、これがキーなのかなと思い、あちこち探すのですが、それでもない。二人とも生きるために下働きをするのですが、その店が同じというわけでもないような……。バルサはどういう形で、ヒューゴを救ったのか?
まったくもって、読み込みが足らず。
でも「守人」シリーズ、実は最後のほうは読んでおらず、全部読むのは大変だなあと思いつつ、読みたくなっています。冒頭のチャグム皇子をバルサが救うシーンは圧巻でした。
*あ、もしも、もしも、このブログを読んで、シリーズを読んでみたいと思った方がいらっしゃったら、『炎路を行く者』は、せめて「守人」シリーズの最初の巻を読んでからにしてくださいね。
「スターウォーズ」の映画が、小説の4、5、6 ときて、その後1、2、3 という順番になったのと、ちょっと似てるかな。(ちがう?)←わたしは、これ、いたく感心しているのですよ。