学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

ワークシートの弊害

2008-07-21 | 教育
最近は,ワークシートが大流行である。
なんでもかんでも,ワークシートが配られて
授業は,ワークシートに沿って進められる。

子どもたちは,自ら思考する機会を奪われ,
教師の考えた道筋どおり連れまわされることになる。
ノートをまとめる力も身につかない。

これらすべて,
ワークシートに対する考え方の間違いから
来ているように思える。

アメリカのワークシートなどをみると,
ワークシートは本来,思考の道筋を示すもので,
子どもたちが思考の枠組を身につけるために
使われているようである。

したがって,
日本でよく使われているワークシートのように,
単元ごとに問いの書かれている
その授業のためにつくられたワークシートが用いられるのでなく,
もっと汎用性の高い,
単元にしばられないワークシートが多く用いられている。

その授業で必要とされる思考様式や
身につけさせたい思考様式にあわせた
ワークシートが何度も使われるのである。

さらに,
ワークシートに記入して終わりということには
しないようである。

ワークシートに記入させた後,
必ずその内容を,自分で文章化させている。
ワークシートはあくまでも思考のツールとして
用いられているにすぎない。

したがって,学習が進めば,
ワークシートによって身につけた思考様式を,
ワークシートなしに用いて,
文章を書いたり,話したりすることができるようになるのである。

我が国で広く用いられているワークシートには,
そのような展望が見られないのである。
ワークシートも使いかたに気をつけないと,
かえって,
学習能力や思考力が低下させてしまうのではないかと
思われるのである。


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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mike)
2008-07-23 22:34:19
こんにちは。いつも興味深く読ませていただいています。

ワークシートのもう一つの問題は、そのせいで生徒が字を書くのが苦手になっていることです。プリント学習を取り入れている中学校が増えているようで、今の高校生はノートを取るスピードが以前に比べてとても遅いです。成績下位層の生徒は、ノートを取ることが心理的にも物理的にもつらいようです。

教員からしてみれば、パソコンや印刷機の発達で簡単にプリントが作れますし、プリントだと現代の注意力散漫な生徒の興味を引けますし、勉強が苦手な子もプリントの穴埋めをして、形としては勉強についてこれている状態にできるし、時間短縮にもなるので、ついついプリントを多用したくなるのは分かるのですが、それでは、「生きる力」はつかないのではないかと思います。

原始的で質素な授業であればあるほど、生徒の「生きる力」は向上するのではないかなと思います。つまり、昔のベーシックなエンターテイメントも何もない授業が一番、生徒の「生きる力」を育むのではないかと思います。
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Unknown (madographos)
2008-07-24 00:25:35
>mikeさま。コメントありがとうございます。高校生はノートを取るのが苦手になりましたね。いまは,大学生もノートを取るのが苦手です。おっしゃるように,これもワークシートの弊害のひとつでしょうね。ノートは,白紙のワークシートなわけですから,最も自由度の高いワークシートです。この自由度の高さを活用できる能力を身につけさせることが,おっしゃっておられる「生きる力」につながるのでしょうね。
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