学校教育を考える

混迷する教育現場で,
日々奮闘していらっしゃる
真面目な先生方への
応援の意味を込めて書いています。

大切なのは制度改革ではない

2007-01-14 | 教育
学校改革ということが言われだすと,
必ず,制度改革に着手しようとするものである。
例えば,三期制を二期制にしてみたり,
義務教育段階で学校選択制を導入したり,
土曜日に塾共催で補習授業を行ってみたり,
児童生徒による教員評価を導入してみたり,
成果連動の給与制度を検討してみたり,
などなど,目に見える改革を求めようとするものである。

これらの改革は,改革しているということが
外から見えやすいので,評価を受けやすい。

しかし,改革とは,ただ「変えた」ということに
過ぎないのであって,
その改革がよい結果をもたらすかどうかは
未知数なのである。
制度改革には必ずプラスとマイナスがある。

制度改革を行った当初は,
プラス面だけに目がいくので,
「なんとなくよくなるのではないか」という
イメージを生み出すことができる。

このイメージが,
学校の評判を高めることになるので
短期的には良好な状況を生み出す。

しかし,この制度改革の目新しさが去ったとき,
改革のマイナス面が作用し始める。
したがって,長期的に見れば,
本来その制度改革のもっていた
マイナス面の作用とともに,
「改革をしたのにダメだった」という
イメージが生まれ,
むしろ,改革前よりも悪い状態に陥ることが多い。

これを避けるためには,
改革のマイナス面が作用し始める前に,
絶えず制度改革を繰り返すしかない。

しかし,制度改革を絶えず行うことは,
学校教育の安定性を損ない,
教師や生徒の精神的疲労のもとになる。
つまり,学校が全体として疲弊していくのである。


教育にとって大切なのは,
イメージではなく,実質である。

実質的に改革を行おうとするならば,
制度をいじるのではなく,
教員と生徒の意識を変えることである。

大切なのは制度改革ではなく,
意識改革である。

ここで,望ましい意識改革を提案する。

学校の本質は,
人間と人間の関わりあいの場であるということにある。

そのことから考えると,
情理をわきまえた学校が
よい学校である。

そのためには,
学校に「人間味」を取り戻すことから
始めなければならない。

わが国で大切にされてきたものは,
義理と人情と道理である。

まずは,
職員室内を明るくなごやかな雰囲気にすることと
時間の流れをゆったりとしたものにすることから
始めなければならない。

そして,職員室内に相互扶助の関係を
成立させることである。
このことが,対生徒関係においても
良好に作用する。

とりあえず,
市場原理や成果主義から導きだされる改革とは,
すべて逆の改革をやるべきである。

この意識改革ができる学校が
実は,最終的には
もっとも成果をあげる学校となるのである。


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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (minami)
2007-01-14 15:45:24
まさしく、ですね。「上から与えられた」制度では、教職員の意識は変わるはずもなく、むしろ「やらされている」感が強くなり、疲労感が増える一方なのではないでしょうか?
学校をどうしていけばいいのか、自分に何ができるのか、ということを考えて、自らの将来を切り拓いている最中です。
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Unknown (madographos)
2007-01-14 18:58:03
>minamiさま。コメントありがとうございます。学校は,自分を見失いさえしなければ,「自分にできること」がたくさんあるところです。がんばってください。
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