最近は、文学のおもしろさにハマり始めています。
いま、読んでいる本が池井戸潤さんの『オレたち花のバブル組』。3月から4冊読んできた重松清さんからはちょっと離れて、経済小説の世界に浸っています。考えてみれば、重松清さんも池井戸潤さんも、そして私も、生まれが1963年(昭和38年)。同じ時代を生きてきた親近感があるのかもしれません。
『オレたち…』は、巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹が、会社内の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、同僚の出向先での執拗ないじめ…、こうした障害を乗り越えられるのか、どんどん引き込まれる経済小説です。経済を勉強しようと思ったら、いろいろなデーターや論文だけでなく、大企業で働くサラリーマンの働く実態等を知ることが必要だと思いますが、池井戸さんはさすが元銀行マンだけあって、実にリアルに銀行の内部を描いています。すぐれた経済小説は、小説としてもおもしろいが、経済の生きた勉強にも役に立ちます。以前、山崎豊子の『大地の子』を読んでいたら、自分が最新鋭の製鉄所の中にいるかのような感覚に陥るほど事細かく描写していて、山崎豊子さんという作家の凄さにびっくりしたことを思い出します。
もう一つ、昨日から仕事の合間に読んでいる雑誌が『民主文学』6月号。小林多喜二没後80周年ということで、多喜二の文学を語る集いがあり、そこでの「青年トーク」が興味深かったので、思わず買って一気に読んでいます。発言した3人の青年がいずれも民青同盟の県委員長経験者や現役の都委員長さんということもあり、その瑞々しい感性の豊かさに感心しました。多喜二の文学そのものにも新しい発見があったのですが、それ以上に若い3人の方が、小学校時代から実にたくさん本を読んでいたことに驚きました。世間では、「最近の若者や子どもたちは本を読まない」と言われますが、今の時代でも、熱心に本を読んでいる子どもたちは少なくないのです。私の息子は、小学校時代はゲームばかりに熱中する生活でした。「これではまずい」と思い、中学に進学したこの機会に何とかしようと、5月の連休に仙台で最も在庫の多い本屋さんに連れて行き、「どれでも好きな本を買いなさい」と言ったところ、探偵ものの本を3冊、世界遺産の本やロシアの旅行誌、ブラックホールの本を買ってきて、連休中は、ゲームを脇に置いて、一生懸命に読みふけっていました。まあ、探偵ものといっても、私も小中学校の頃は「怪盗ルパンシリーズ」ばかり読みふけり、児童文学などあまり見向きもしなかったので、その点ではあまり褒められる少年時代ではなかったと思いますが…。とにかく、自分が興味をもてるところから、どんどん読みすすめて欲しいと思っています。ちなみに、私が読んだ重松清さんの『青い鳥』も薦めてみたら、「さっと読んだよ」と言っていました。どれだけ理解できたかはわかりませんが…。子どもは、本来、本が大好きなのでしょう。
ちょっと脇へそれましたが、『民主文学』6月号には、民主文学新人賞の受賞作品が掲載されています。若い労働者、非正規労働者のたたかいを描いた力作です。興味がある方は、ぜひ一読を!
とにかく、参議院選挙にむけてネットが解禁になったということで、私の周囲もSNSが毎日話題になる今日この頃ですが、世間の流れに乗ることに抵抗を感じる私は、SNSとは一定付き合いつつも、「いまこそ紙文化で読書」「いまこそ文学」「政治も経済も貪欲に」ということで、ひたすら読書にハマる毎日です。