大企業は、追加採用すべき

2011-02-10 20:58:13 | 今日の活動

宮本岳志衆院議員が、4日の衆院予算委員会で、学生の就職難の深刻な実態を告発し、政府に追加採用をすべしと要求しました。さすが、宮本さんらしい力強い質問でした。
とにかく、エコカー補助金で6千億円もの支援を受け、リーマンショック前まで業績を回復したトヨタが、この5年間に新卒採用を3014人から960人に減らし、パナソニックも750人から290人に新卒採用を減らしているのです。
大企業の内部留保244兆円の0.2%を取り崩すだけでも学生12万人の給与がまかなえると追及しました。
答弁に立った枝野官房長官は、「体力のある企業にはできるだけ追加採用をお願いしている」と発言しましたが、野党時代とは打って変わり、まさに経営者を代弁するような発言でした。

宮城県でも、トヨタの100%子会社のセントラル自動車は、この1年間に252人の採用をしていますが、正規採用はわずか17人。ほとんどは、期間工と派遣社員です。宮城県は、企業誘致で1万人の雇用創出といっていますが、県当局は、誘致企業がどれだけの正社員を採用しているかすら、まったく把握をしていないのです。500億円も企業誘致につぎ込んで、正社員が17人とは…。それだけのお金があるのなら、もっと地元企業への支援をすべきです。

昨日、仙南地域で高校の先生のお話を聞きました。
ある職業高校では、内定が3割。求人数が激減しているそうです。仙南地域は、製造業、誘致企業が多い。学生や高校生の3割、4割が就職できない、これが数年続くと日本はどうなるか、たいへん心配しておられました。

政府の姿勢も問題ですが、宮城県の姿勢も問題です。大学院を出ても、高校の正規採用にならない。高校の先生の3割が講師という学校もあるそうです。保育士さんの4割以上が非正規です。まず、こうした職場で、行政の力で正規採用をすべきです。

これほど、人間の尊厳が傷つけられ、労働力が買いたたかれている国は、先進国といわれている国ではほかにないでしょう。

1月26日の「朝日」新聞で、哲学者の佐々木中氏が発言してます。

「『現実」という言葉がいまとても抑圧的に作用している。皆、『現実をわかっていないお前は甘い』といわれたくなくて、現状追認に走っているだけですよ。しかし『現実がこうである以上、こうするしかない」という言説は、結局、人を苦しめ、搾取や暴力を生みだすだけです」

「人間は、『なぜ』と問う生物です。『どうやって』だけでは人間ではない。二大政党制がいいーなぜ?沖縄には米軍基地が必要だーなぜ?この『なぜ』という真摯な問いが今何よりも欠けています。政治の核心は『論証』です。『なぜ』にこたえて、理由や根拠を示すことです。それを見失えば政治は死ぬ。しかし、いまの政治家はこれを忘れ果てて、我々も『なぜ』ということがやましいことであるかのように思い込まされています」


「国際競争力のためには、財政が大変だから、正規雇用を減らして非正規雇用を増やすのが当然だ」
こういわれると多くの国民が声をあげられなくなってしまいます。でも、この言い分が真実なのか、「なぜ」の問いをもって、きちんと検証することが必要です。

私たちが自分たちの要求の正当性に自信をもって主張すること、同じ悩みをもつ者たちがともにつながりあうこと、そこから社会を変える力が湧いてくると思います。