報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」 4

2023-10-25 20:32:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日18時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 

 予定通り、夕食はすき焼き鍋とした。

 

 私はすき焼きは溶き卵を付けて食べるのが習慣となっている。

 愛原「うん、美味い美味い」
 リサ「美味しい!」
 パール「お肉は沢山ありますので、どんどんお召し上がりください」
 愛原「ありがとう。安肉でも多めに買っといて良かったよ」
 リサ「でも、わたしが本当に食べたいのは、先生のおにk……」
 愛原「はーい!それ以上はBSAAが出動してくるからシャラップだぞ!」
 リサ「レイチェルが武装してやってくるね」
 愛原「そういうことだ」

 因みに今、リサは体操服にブルマという服装ではない。
 スーパーに行った時の服のままなので、完全に私服姿である。
 具体的にはパーカーを着て、下はデニムのショートパンツといった感じである。
 リサは家ではリラックスしている為、鬼形態となっている。
 残念ながら、今はこちらが正体であり、人間形態の方が『化けている』状態なのである。

 リサ「食べたら、デザートのビーフジャーキー」
 愛原「どこがデザートだw」
 リサ「“鬼ころし”も飲まないと、でしょ?」
 愛原「そうだけど、今、精神状態はどうなんだ?暴走しそうなら飲むべきだけど、そうでない場合は無理して飲む必要は無いと思うんだな。何せ、テスト勉強しないといけないだろ?酒が入ると勉強できなくなる」
 リサ「1パック飲むだけだから、大したこと無いと思うけどね……。分かった。やっぱり、デザートと食後の飲み物にする。で、お風呂に入って汗を流せばいいんだ。そしたら、酔いも覚めるでしょ?」
 愛原「そう上手く行くかな……」
 リサ「でも、わたしの暴走を防ぐ為には飲んどいた方がいいわけで……」
 愛原「まあ、そりゃそうだけどな……」
 リサ「それじゃ、急いで食べよう」
 愛原「何でそうなるw」

[同日19時00分 天候:曇 愛原家3階リビング]

 リサ「フンフーン♪テザート♪デザートぉ~♪」

 夕食後、リサはスーパーの福引でもらったビーフジャーキーと、“鬼ころし”を持って来た。
 まるで牛乳でも飲むような感覚だ。
 リサは酒に弱いというが、それは『鬼としては弱い』というだけで、やはり“鬼ころし”1パック飲めるだけの強さはあるということだ。

 高橋「先生。こいつ機嫌良さそうですから、酒は取り上げてもいいんじゃないスか?」
 愛原「ま、まあ、ここまで来たらしょうがないよ。パール、俺には食後のコーヒーを頼む」
 パール「かしこまりました」

 リサが袋からビーフジャーキーを取り出して、齧り始める。
 厚切りのハードタイプらしく、牙で肉を嚙み千切るようにして食べていた。

 愛原「俺にも一切れもらえないかな?」
 リサ「えー?……んー……ん、いいよ」

 リサは少し考えてから頷いた。
 そして袋から一切れ、ビーフジャーキーを取り出して咥えると……。

 リサ「口移し。んー」
 愛原「オイオイ……」

 ゴッ!(ゲンコツの音)

 リサ「いでっ!?」
 高橋「何やってんだ、間抜け!」

 それでもジャーキーは落とさない徹底ぶり。

 リサ「冗談なのに……」
 愛原「いやいや。リサの肉をもらおうとした俺が悪かった。コーヒーだけでいい」
 高橋「そもそもビーフジャーキーのお供がコーヒーってのも、どうかと思いますが……」
 愛原「まあな」
 リサ「そりゃそうだ」

 

 リサは“鬼ころし”を啜った。
 テレビのバラエティ番組を見ながら、鬼型BOWが“鬼ころし”を飲むのは、どこかシュールである。

 高橋「先生、書類の方は大丈夫だったんですか?」
 愛原「ああ。明日、クライアントの小野瀬さんが来られるだろ?その報告書類が分かりにくいって話が前にあったから、今回は書式を変えて……」

 私が高橋と仕事の話をしていると、LINEの着信音が鳴った。
 どうやら、それはリサのスマホからだったようだ。
 リサはソファに座り、片手で“鬼ころし”やビーフジャーキーを齧りながら、もう片方の手でスマホを覗き込んでいる。
 どうも、BSAA本部では、スマホとかの使用も制限されるらしい。
 今のところはまだBSAA支部の監視下で、その窓口機関であるデイライトがしっかりリサを監視している為、そこまで厳しくはないからである。
 イーサン・ウィンターズ氏の場合は、本部が出動したのが運のツキだったと言えよう。

 リサ「先生。レイチェルね、明るい青のブルマの入手経路を見つけたみたいだよ」
 愛原「そうなのか?ネット以外で?」
 リサ「ネットみたいだけど、新品で手に入るんだって」
 愛原「そりゃ凄いな。だけど、場合によっては高額だぜ?大丈夫なのかな?」
 リサ「うん。必要経費はBSAAで出してくれるみたい。留学先での学校で必要な物ってことにするみたいだよ」
 愛原「マジかよ」

 ブルマに限らず、東京中央学園では学校指定の体操服は緑色である為、明るい青のブルマは対象外のはずだ。
 どうやって上手く申請したのだろうか?

 リサ「あとね、それで思い出したんだけど、購買部で買えるブルマ、紺色もあるんだよ」
 愛原「紺色?……あれかな?見せパン用かな???」
 リサ「もしかしたら、テニス部とか、ダンス部のアンスコ用かもしれないね。ブルマが1度廃止になっても、そういう部はしばらくアンスコ用として使ってたみたいだから」
 愛原「なるほどな」

 緑色というのは、案外他の服の色と合わせにくいという難点はある。
 だが、紺色なら合わせやすいというのは事実だろう。
 リサが最初、学校用の緑色のブルマと一緒に紺色のブルマを購入したのは、そこに理由がある。
 恐らく、リサのような買い方をするコを狙ったのかもしれない。

 リサ「それでね、学校の購買部で販売されるブルマがどんな物なのか気になるから、1着買ってみてもいいかな?」
 愛原「うーん……。まあ、紺色なら私服にも使えるからな」
 リサ「そう。ぶっちゃけ、またサイズが合わなくなりつつある……」
 高橋「太ったのか?w」
 リサ「体が少し成長したの!」

 “鬼ころし”を飲むようになってから、Gウィルスの活動が一時的に抑えられるのか、その間だけ体が成長するようである。

 愛原「まあ、本来は育ち盛りだし、サイズがキツくなったって言うなら、買い替えてもいいぞ」
 リサ「わぁい!」
 愛原「まだ高校生活、あと1年あるしな」
 リサ「そうそう!」

 まあ、私も学校公式で売られているブルマがどんなものが気にならないわけではなかった。
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“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」 3

2023-10-24 20:25:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日15時45分 天候:小雪 東京都墨田区菊川2丁目 某スーパー]

 行きつけのスーパーでは、福引大会が行われている。
 高橋は見事に玉砕したが、私とリサはどうだろうか。
 一応、高橋の為に言っておくと、ハズレのティッシュの中には、このスーパーで使えるクーポン券が入っており、ただのハズレというわけでもない。
 私は2回引ける。
 普通の福引券と補助券で。
 結果は……。

 店員「残念、ティッシュです!……中に、クーポン券入ってますからね」
 愛原「はあ……」

 もう1回!

 店員「当たり~!特1等でーす!」
 愛原「特1等!?」

 泊まり掛けの航路フェリーでは、特等と1等の間の等級だ。
 しかしこのスーパーでは、どちらかというと、準1等という扱いであるようだ。
 よって商品は1等より良いものではなく……。

 店員「干物の詰め合わせです!」
 愛原「おー……!」

 真空パック詰めされた魚の干物の詰め合わせが、箱に入っている状態で渡された。
 その中身はアジの開きとか、ホッケの開きとか……。

 愛原「ちょうど魚が食べたかったんだ。明日の朝飯に食えるな」
 高橋「お任せください」

 アジの開きなら、朝食のおかずにも食べれるだろう。
 お次はリサであるが……。

 リサ「だぁーっ!」

 抽選機を勢い良く回すリサの目は、赤く光っていた。

 愛原「鬼化しとる」
 店員「残念!ティッシュです!」
 リサ「くっ……」
 高橋「先生のティッシュ、クーポン券が『缶ビール1個引換券』っスよ?」
 愛原「なにっ!?それは当たりだな!」
 リサ「に、2回目……!」
 店員「当たり~!3等賞!『洗剤の詰め合わせ』です!」
 リサ「た、食べ物じゃない……!」

 リサがもらったプレミアム抽選券は、それ1枚で3回も引けるというもの。
 しかし、リサが狙っている2等賞、国産牛の詰め合わせは……。

 高橋「リサのティッシュも、なかなかどうして当たりじゃないっスかね?」
 愛原「何かいいもの入ってた?」
 高橋「『ビーフジャーキー1個引換券』です」
 リサ「なにっ、肉!?」

 完全に鬼化したリサは、パーカーのフードを被って、辛うじて角とか長く尖った耳を隠していた。
 私と高橋のビーフジャーキーの言葉に反応して振り向いた時、左肘が抽選機に当たってしまい、それでレバーが勝手に動いてしまった。

 リサ「ああっ!?」

 それからコロンと出て来た玉は……。

 店員「残念!ティッシュです!」
 リサ「ウウウ……!」
 愛原「り、リサ!落ち着け!帰って、“鬼ころし”飲もうな!?」

 リサはマスクをしていたからいいが、そうでなかったら、鋭い鬼の牙が覗いていたところだろう。
 それより、リサが2つ目にもらったティッシュのクーポン券は……。

 高橋「今度は『ジャッキーカルパス引換券』っスよ。何だ?ティッシュのクーポン券、酒とつまみしか入れてねーの?」
 店員「い、いえ、そういうわけではありませんが……」
 愛原「このクーポン券、もう引き換えちゃっていいのかな?」
 店員「どうぞどうぞ」
 愛原「じゃあ、早いとこ引き換えに行こう。リサ、ビーフジャーキーとジャッキーカルパスだで?ある意味凄いよな?」
 高橋「狙って取れるもんじゃないっスね」

 辛い物や肉が大好きなリサではあるが、おやつはおやつで甘味が好きなリサである。
 その為、ビーフジャーキーなどは盲点であった。

 愛原「俺も缶ビール引き換えてこよう」
 高橋「それはいいっスね」

 結局、私達が引いたクジの中で、1番良いのを当てたのは私か……。

[同日16時15分 天候:曇 同地区内 愛原家3階ダイニング]

 愛原「ただいまァ」

 私達はエレベーターで3階に上がった。
 そのドアが開くと、パールが出迎えた。

 パール「お帰りなさい、先生。首尾は如何でしたか?」
 愛原「俺が引いたヤツが1番高級だったみたいだ。ほれ、『魚の干物の真空パック詰め合わせ』」
 パール「凄いですね!」
 愛原「アジの開きとか、ホッケの開きとかあるよ。明日の朝は、アジの開きで決まりだな」
 パール「平日はお米ですものね。かしこまりました」

 パールは私が引いたのが最高級だと知って、それ以上は突っ込んで来なかった。
 高橋といい、パールといい、10代は荒んだ生活をしていたのに、地頭はいいんだよな。
 まあ、それはリサも同じだが。
 リサの場合は上野医師が父親と思われ、医師の娘なのだから、そりゃ地頭は良いだろうと皆納得している。
 リサは国産牛肉をゲットできなかった悔しさで黙りこくっていたが、それでもゲットした商品のビーフジャーキーとジャッキーカルパスを大事そうに抱えていた。

 リサ「これは食後のデザートにする。“鬼ころし”を飲みながら食べるんだ」

 リサは自分に言い聞かせるように言った。
 そうすることで、目当ての商品を当てられなかった悔しさがトリガーとなる暴走を自分で抑えようとしているのだろう。
 実に涙ぐましいことだ。

 パール「メインのすき焼きの材料は買ってきて頂けましたか?」
 愛原「ああ。さすがに予算内に抑えようとすると、国産牛は無理だな。豚肉とアメリカ産牛肉でカンベンしてくれ。その代わり、多目に買ってきたから」
 パール「かしこまりました」

 要は質より量だな。
 量を少なくすれば、予算内で国産牛を買うことはできた。
 しかし、それだとリサの腹の虫を鎮めることはできないだろう。
 リサもそれを知ってて、足りない肉を福引の商品で補おうとしていたわけだ。
 まあ、失敗に終わってしまったが。
 代わりに、おやつ代わりのビーフジャーキーとかは手に入ったわけだが。
 それで我慢してもらうしかない。

 リサ「部屋に戻る。御飯の時間は18時だね?」
 パール「そこは、いつも通りです」
 リサ「分かった」

 リサはまだ機嫌が直り切らない様子で、部屋に戻って行った。
 こういう時は、1人にしておいた方が良い。
 部屋で勉強するのか、それとも不貞寝するのか、それともオ○ニ○するのかは不明だが。

 愛原「俺は事務所に行って、明日の書類の準備をするよ。2人は夕飯の準備、よろしく」
 高橋「はいっ!」
 パール「かしこまりました」

 こうしてリサは4階、高橋とパールは3階、私は2階で過ごすことになった。
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“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」 2

2023-10-24 16:30:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日13時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋→3階ダイニング]

 愛原「ん?少し晴れてきたかな?」

 今日は曇ということだが、午後になって日が差してきた。
 スマホの天気予報で確認してみたのだが、相変わらず曇のマーク。
 どうやら気まぐれで、日が差しただけのようらしい。
 そういえば朝食後、家の前の雪掻きに行った高橋とリサは戻って来たのだろうか?
 と、そこへ室内の内線電話が鳴る。
 これは私が設置したものではなく、引っ越して来た当初からあったもの。
 ドアの横に付いている壁掛け式の内線電話だった。
 ポーッと、甲高いブザーが鳴るのだが、いきなり鳴るとびっくりするものだな。

 愛原「はい」

 私が受話器を取ると、相手はパールだった。

 パール「昼食の御用意ができました」
 愛原「ああ、ありがとう」

 私は電話を切ると、エレベーターではなく、階段で3階に向かった。
 外階段ではないのだが、部屋の外にあるということもあり、階段は寒い。

 愛原「ん?」

 するとそんな階段を、下から上がって来る者達がいた。
 高橋とリサだった。

 愛原「おっ、2人とも」
 高橋「あっ、先生。ミッション・コンプリートっス~!」
 愛原「えっ?!今までずっとやってたの!?」

 家の前は3cmほどしか積もっていない。
 玄関の前と、その横のガレージの前を除雪すればいいだけである。
 それを2人掛かりでやっているのだから、30分もあればできそうなものだが……。

 高橋「はあ……」
 愛原「そんなに積もってたかい?」
 高橋「いや、雪自体は大したことないんスよ。ただ、途中でクエストが発生しましてっスね……」
 愛原「クエストぉ?」
 リサ「除雪していたら、町内会のオジさんに、集会所の前もお願いされて、それをやってあげたら、今度はアパートの大家さんにアパートの前も頼まれて……」

 若者がいいように使われるのは、都会も同じか……。

 リサ「報酬はこれだけ」

 リサはホクホク顔だった。
 持っているビニール袋には、お菓子やらジュースが入っており、近所のスーパーで使える福引大会のチケットまで入っていたからだ。

 リサ「早速、福引してくる。狙うは2等」
 愛原「何で2等!?」
 リサ「特等は熱海1泊2日。熱海はもう行った。1等は本マグロの詰め合わせ。魚は要らない。2等は前沢牛、米沢牛のセット。3等は日用品の詰め合わせ。それ以下はティッシュ……」
 愛原「マグロのトロの方が高いからか……」

 ぶっちゃけ、私にはマグロの方がいいのだが……。

 愛原「ま、まあ、高橋達と買い物に行った時にでも引いてこいよ」
 高橋「見事、温泉を掘り当ててみせます!」
 愛原「掘って当ててどうするんだよ!」

 ダイニングに行くと、うどんの用意ができた。
 私は大きな油揚げの入ったきつねうどん。
 リサは肉うどんだった。
 尚、高橋とパールは山かけうどんだった。

 高橋「寒かったからな、こういう熱いうどんは美味いですよ」
 愛原「そうだな」
 リサ「いただきまーす!」
 愛原「リサ、食べ終わったらテスト勉強するんだろう?」
 リサ「そうだよ」
 愛原「高橋、夕食の買い出しに行く時はリサも連れて行ってやれ。福引やるから」
 高橋「分かりました。見事に温泉を掘り当ててみせます!」
 愛原「いや、だから掘るんじゃないんだってば!」

 都内でも、掘れば温泉が出ることは出るらしいのだがな。

[同日15時00分 天候:曇 同地区内 某スーパー]

 夕食の買い出しは、高橋とパールが行くはずだ。
 そして今日は、それにリサがついていく。
 で、わたしはその間に留守番。
 その予定のはずだった。
 しかし何故か今回は、パールが留守番で私が同行することになってしまった。

 愛原「“鬼ころし”は買っといた。これでリサの暴走を防ぐ」
 リサ「美味しいんだか、美味しくないんだか分かんないんだよねぇ……」

 スーパーのパック入りで、100円くらいで買える安酒でもいいし、多少奮発して、もう少し高い“鬼ころし”であってもリサには効く。
 だが、持続性に関するとなると、やはり高ければ高いほど、それは長いようである。
 今回はパックにストローの安い物にしておいたが。

 高橋「今夜はすき焼きっスね。任せてください。俺が美味く作ってみせますよ」
 愛原「鍋料理に関しては、パールより高橋の方が得意って感じだな」
 高橋「はい!」
 愛原「じゃあ早速、福引をやるか……」

 買い物した時にももらったので、これは私が引かせてもらうことにした。
 これでマグロでも当たればなぁ……と。
 尚、リサが持っているチケットには特等、1等、2等、3等までしか書かれていなかったが、実際の福引会場に行ってみると、特1等とか、特2等とかあって、まるで長距離フェリーの等級のようである。
 それにしても気になったのは、リサがもらったというチケットである。
 普通に買い物してもらったチケットや、補助券と比べても、明らかに意匠が違う。
 もしかして、偽物だったりして?

 愛原「福引、お願いします」
 店員「はい、いらっしゃいませー!」
 愛原「これ、使えるんですか?」

 私は心配になって、リサが持っている券を見せた。
 すると……。

 店員「おおっ!?これは株主の方だけに配られるプレミアム福引券ですね!この券に限り、3回引けます」
 リサ「おー!」

 この券、株主用だったんかい!
 つまりリサに除雪を依頼したアパートの大家さんというのは、このスーパーの株主でもあったということだ。

 高橋「誰から引きますか?」
 愛原「じゃあ高橋、お前から引いてくれ。熱海の温泉、当てるんだろ?」
 高橋「うっス!お任せください!」

 勇んで抽選器をガラガラ回した高橋だったが、結果は玉砕だったということを先に伝えておく。

 高橋「スポポポーン!」
 愛原「意味不明の『ムンクの叫び』上げるなや」
 リサ「パチンコはよく当てるのにねぇ」
 愛原「なー?」
 店員「ありがとうございます。ティッシュです。……ただのティッシュじゃなくて、当店で使える割引クーポンなども入ってますので」
 愛原「ああ、それは助かる。ほら高橋、クーポン当たったぞ。orzの体勢してないで、早く立て」
 高橋「うっス……」
 店員「お次は、どなたが?」
 愛原「ああ、じゃあ、私やります」
 店員「どうぞ」
 リサ「先生、頑張ってー!」
 高橋「先生の為に、長ラン着てきます!リサはチア衣装な!?」
 リサ「うっス!」
 愛原「せんでいい!」

 果たして、私やリサの結果は……?
 次回に続く!
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“私立探偵 愛原学” 「雪の週末」

2023-10-21 21:10:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月22日09時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋]

 今日は日曜日。
 調査などで土日が潰れることもあるこの仕事、久しぶりの完全オフの日である。
 なので私は、ゆっくり寝ていた。
 外は朝になっても薄暗いので、まだ雪が降っているか、それとも曇っているかのどちらかなのだろう。

 リサ「せんせぇ……」
 愛原「う……」

 部屋の外で、リサの声がした。
 何だか、寂しそうな声である。

 リサ「せんせぇ、起きて……」

 この場合、リサは捕食行動1歩手前である。
 素直にドアを開けようものなら、捕まって食い殺されてしまう。
 前に住んでいたマンションなど、それで私の部屋のドアは鍵を3つも付けていたくらいだ。
 こりゃ、ここの新居もそうしないとダメか……。

 リサ「お腹空いたぁ……」

 やっぱり!
 食人衝動に駆られてしまっているのだ!
 ついにリサ、長く鋭い爪でカリカリとドアを引っ掻いている。
 高橋達は何をしているのだ!?
 まさか、リサにやられてしまったのだろうか!?
 そんな簡単にやられる2人ではないはずだが……。

 リサ「せんせぇ……起きてくれないとォ……」

 ゴッ!(頭をゲンコツする音)

 リサ「いでっ!?」
 高橋「何やってんだ、このどアホ!普通に先生起こせや!」
 愛原「あっ!?」

 何だ何だ?
 私は急いで飛び起きた。
 そして、ドアを開けた。

 愛原「何なんだ、一体!?」
 高橋「先生。さすがに起きてもらいませんと、朝飯片付かないんで……」
 愛原「い、いや、俺に気にせず、さっさと食ってくれていいんだよ!?」
 リサ「先生のお許しが出たんで。いただきまーす」

 カプッ!(リサ、愛原の左腕に噛み付く)

 愛原&高橋「食うな!」

 ゴッ!ゴッ!(愛原と高橋のゲンコツがリサにヒット)

 リサ「いでっ!」

 私と高橋から同時にゲンコツを食らったリサは、私の腕から離れたのだった。

 愛原「リサ、本当に暴走してないんだな?」

 リサは私に甘噛みした感じであった。
 それでも、噛み付かれた所には歯形が残っている。

 リサ「うん。でも、早くご飯食べないと暴走しちゃうかも……」
 愛原「分かった分かった。今起きるから、先に食ってていいぞ」
 高橋「先生がそう仰るのなら……」
 リサ「わぁい。やっと御飯食べれるぅ」

 2人は階段で3階に下りて行った。
 私は4階のトイレで用を足すと、その横にある洗面台で顔を洗った。
 リサが使っている時は、3階の洗面台を使うこともある。
 もしかして高橋のヤツ、私より先に飯を食うなとでもリサに言ったのだろうか?
 だとしたら、愚行であるが……。

[同日10時00分 天候:曇 愛原家3階ダイニング]

 朝の身支度が終わり、3階のダイニングに向かうと、香ばしい匂いが漂っていた。
 どうやら今、オーブンで何かを焼いているらしい。
 週末は基本的に朝はパン食にしている私達だが、今朝は何を作ってくれたのやら。
 ホットサンド辺りかな?

 パール「あ、おはようございます、先生。まもなく先生の分、できますので」
 愛原「ああ、ありがとう」

 私は言われた通り、先に食べているリサと高橋を見た。
 2人が食べているのは、ホットドッグのようだった。
 なるほど。
 ホットサンドてはなく、ホットドッグだったか。

 パール「先に、コーヒーをどうぞ」
 愛原「ああ。ありがとう」

 パールはドリップコーヒーを入れてくれた。

 愛原「外の様子はどうだ?」
 高橋「積もってます」
 愛原「マジか?」

 私は隣のリビングの窓から、外を覗いた。
 すると、先週ほどではないが、確かに少し雪が積もっていた。
 先週のこともあったせいか、それよりは大したことの無い積雪に見えてしまう。
 すると私が思った通り、今日の東京の積雪は3cmとのこと。
 先週と違って、霙からのボタ雪ではなく、最初から粉雪がサーッと降るような降り方だったので、案外積もらなかったようである。
 これは先週と違って、空気が乾燥しているからというのもあるだろう。

 高橋「食い終わったら、俺とリサで雪かきしてきますんで」
 愛原「ああ、ありがとう。でも、リサはテスト勉強しないと……」
 リサ「どうせ家の前をやるだけだから、すぐに終わるよ」
 愛原「そ、そうか?休みなのに悪いな。でも、除雪の道具は……」
 高橋「昨日、買っておきましたよ。今度は準備万端です」
 愛原「そうか。それなら……」

 チーン!(オーブンのチンベル)

 パール「お待たせしました。お熱いので、お気をつけください」
 愛原「ありがとう」

 喫茶店で出されるような、本格的なホットドッグだった。
 それも、コッペパンにただウィンナーを挟んだだけではなく、炒めたキャベツも挟まれている。
 シンクを見ると、使い終わったフライパンが置かれていた。
 高橋の得意料理の1つだが、わざわざキャベツの千切りとウィンナーを炒めて、それをコッペパンに挟んでオーブンで焼いていたのか。

 愛原「いただきまーす」

 私が食べ終わると同時に……。

 リサ「ご馳走様でした」
 高橋「ゴチ!」

 2人が食べ終わった。

 高橋「じゃあ、食後の運動だ。さっさと雪掻きするぞ!」
 リサ「おーっ!」
 愛原「外は寒いだろうから、防寒対策ちゃんとやれよ」
 高橋「もちろんです!」

 高橋は革ジャンを着込んだ。
 リサは体操服とブルマを穿いていたが、この上から長袖・長ズボンのジャージを着込んだ。
 これがリサの防寒対策らしい。
 雪は止んでいるようだが、太陽は雲に隠れたままだ。
 天気予報によると、今日1日ずっと曇っているということもあり、気温はあまり上がらず、雪もあまり融けないだろうとのこと。

 リサ「ゴメン。思ったより寒かった。もう1枚、着て行く」

 外に出たリサが、また戻って来た。
 さすがの鬼も、今日は少し寒いか。
 リサは私服のパーカーを羽織り、もう1度出て行った。

 パール「先生。朝食の最中で申し訳ないのですが……」
 愛原「何だ?」
 パール「御昼食は何になさいましょう?」
 愛原「そうだな……。朝食が遅かったからな、昼は軽くでいいよ。うどんとかそばとか……」
 パール「かしこまりました」

 寒い中、雪掻きしてくれている2人の為に、昼食はもっと温かいのを食べさせてやろう。

 愛原「俺はきつねうどんでいい」
 パール「きつねうどんでございますね」
 愛原「リサは……肉うどんだろうなぁ……」
 パール「かしこまりました。お任せください」
 愛原「頼むよ」

 私はそう言うと、ホットドッグを頬張り、ホットコーヒーを啜ったのだった。
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今度は天理教の勧誘……orz

2023-10-21 20:39:20 | その他
 

 

 

 こら、天理教!
 土曜日出勤で疲れて帰ってきた日蓮正宗信徒の家に、こんな物入れるんじゃない!
 紫色の法被着て、拍子木叩きながら歌って歩くのは勘弁だぞw
 もしかして、ここも勧誘ノルマが厳しいのか?
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