報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「出発当日の夕方」

2021-09-20 20:55:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月28日17:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所→日の丸交通タクシー車内]

 出発の時間がやってきた。

 リサ:「先生、タクシー来たー」

 学校の夏制服に着替えたリサが、事務所にいる私を呼びに来る。
 取りあえず、今日は藤野の前に八王子まで。
 リサを狙うテロ組織の目を欺くと同時に、警視庁の捜査協力の為である。
 その為、明日藤野に向かうまで、経路や利用する交通機関が細かく指定されていた。
 タクシーチケットも何枚か入っていて、まずは東京駅に行くのにタクシーを利用するようになっていた。
 今回は都営バスではなく、タクシーである。

 愛原:「ああ、分かった」

 私は自分の荷物を手に取ると、事務所をあとにした。
 もちろん、機械警備を入れておくのを忘れない。

〔警備を開始します〕

 愛原:「これでよし」

 私はエレベーターに乗って1階に下りた。

 高橋:「先生、こっちです」

 タクシーは裏手の駐車場ではなく、表の新大橋通りに停車していた。
 場所は目立つが、人通りも車通りも多いので、防犯にはなる。
 ただ、テロを厭わないテロリストは、人が多かろうが少なかろうが関係無いのではないだろうか。
 どうも、わざと目立つ行動を取らせたいらしい。
 私は指定されたタクシー会社を予約したのだが、そのタクシー会社、一般タクシー車両は黄色に塗装されたものであった。
 もちろんこれ以外にも、黒塗りタクシーはある。
 だが、あえて黄色い塗装の車両を指定するようにとあった。
 黄色いタクシーは目立つ。
 ニューヨークのイエローキャブも、どうしてイエローなのかというと、遠くからでも目立つからだという。
 あえてリサに却って目立つ制服を着させ、そして目立つタクシーに乗せる。
 絶対これ、警察はテロリストを現行犯逮捕するつもりでいるだろう。
 少なくともタクシーに乗り込む際、周囲を見回してみたが、警察官らしき者の姿は無かった。
 絵恋さん達の荷物はトランクに乗せる。

 高橋:「東京駅までお願いしゃス」
 運転手:「かしこまりました。東京駅はどこに着けますか?」
 愛原:「丸の内北口の方で」
 運転手:「かしこまりました」

 車が出発する。
 車種は普通のセダンタイプであった。
 恐らく、警察は車でこのタクシーを追尾するのだろう。
 だが、元々車通りの多い通りなので、どれがその車なのかは分からなかった。
 都営バスの方がスピードを出さないので追いやすいと思うのだが、あえてタクシーに乗せるのは、バスだと目立たないからだろうか。
 それとも、テロリストがどのような手段に出るか分かっていて、バスよりもタクシーで移動させた方が良いと判断したのか……。
 少なくとも、銃は使うだろうな。
 もっとも、リサには銃は効かないことをテロリストは知ってるのだろうか。
 アメリカのオリジナルのリサ・トレヴァーの遺伝子を受け継ぐ子の1人だ。
 新興宗教団体・天長会からは『最も危険な12人の巫女たち』と呼ばれたほどである。

 高橋:「先生、後ろからサツが近づいて来ています」

 助手席に座る高橋がそう言った。
 高橋、チラチラとフェンダーミラーを見ていたが、どうやら後ろを気にしていたようである。

 愛原:「分かるのか!」

 さすがは元暴走族。
 えー、でも……。
 元暴走族程度に動きを悟られているようでは、テロリストにも気づかれるんじゃないのか。
 私もルームミラー越しに後ろを見てみたが、後ろにいるのは黒のミニバンであった。
 確かに、ミニバンタイプの覆面パトカーもあるにはあるが……。

 高橋:「昔、ヴォクシーの覆面パトに捕まったことがあるんで」
 愛原:「交通課にそんなのがあるのか」
 高橋:「いや、真っ先に別のグループのリーダーのことについて聞かれたんで、あれは少年課っスね」
 愛原:「俺達に捜査協力依頼して来ているのは、公安課辺りじゃないかと思うんだが?」

 とにかく、どの警察組織がどんな覆面車両を持っているか分からんので、高橋の勘は正しいということにしておこう。

[同日17:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

 平日の夕方ラッシュの時間帯の為、幹線道路は渋滞が発生していた。
 その為、いつもより長く時間が掛かってしまった。

 運転手:「お待たせしました。こちらでよろしいですか?」
 愛原:「はい、お願いします」

 タクシーはレンガ造りの駅舎が目を引く、丸の内側に停車した。

 愛原:「それではタクシーチケットで払います」

 私がタクシーチケットに料金を記載している間、高橋が先に降りた。
 そして、トランクを開けてもらって、そこから荷物を降ろしたりしていた。
 ふと顔を上げると、タクシーの横を警視庁の普通のパトカーが通過していった。
 多分それは追尾車両ではなく、ただ偶然通り掛かったパトロール中のパトカーだろう。
 東京の治安はしっかり守られているようだ。
 タクシーを降りると、むあっとした熱気が襲って来る。
 日本の夏はジメジメして嫌だな。

 高橋:「先生、こっちです」
 愛原:「ああ、分かった」

 私達は夕方ラッシュで多くの通勤客が行き交う丸の内北口へと入った。
 ちょっとしたオペラハウスのような吹き抜けは、観光スポットにもなっている。

 愛原:「キップは1人ずつ持とう」
 高橋:「ありがとうございます。俺は先生の隣で」
 愛原:「あいよ」
 高橋:「特急“はちおうじ”1号っスか。だいぶ前にも1回乗りましたよね?」
 愛原:「そうだな。あの時は絵恋さんではなく、高野君が一緒だった」
 高橋:「あー、確かに。懐かしいっスね。……ん?これは……」

 高橋が券面を見て目を丸くした。

 愛原:「気づいたか。確かにこれから乗る列車は、あの時と同じものだ。しかし、乗車車両は違う」

 前回は先頭車両に乗ったが、今回は……。

 高橋:「グリーン車ですか!」
 愛原:「そうだ。どういう風の吹き回しだか知らんがな」

 別に、社長令嬢の絵恋さんがいるから気を使ったわけではあるまい。
 恐らく、別にちゃんとした理由があるのだろう。
 グリーン車には車掌長が乗務しているから用心になるとか、或いは普通車より空いているからテロの危険性が……とか、そういうことではないだろう。
 先ほどの理由と同じ、目立つからだろう。
 特急“はちおうじ”に使用されるE353系電車には、グリーン車が1両しか連結されていない。
 例えそれが中間車に連結されていようが、外観から見れば普通車との違いは一目瞭然だ。
 ましてや、こんな制服女子高生が普通は乗らないだろう。
 目立つこと、この上ない。
 わざとそうすることにより、テロリストを誘き寄せたいのだと私は推理した。
 つまり、本当に警察は勝負に出ようとしているわけだ。

 愛原:「はい、2人の分。隣り合わせになっているよ」
 絵恋:「ありがとうございます」
 愛原:「よし。じゃあ、行こうや」
 リサ:「駅弁買うー」
 愛原:「そうだな」

 私達は改札口からコンコースの中に入った。
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“私立探偵 愛原学” 「出発当日の午前中」

2021-09-19 19:47:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月28日10:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 斉藤絵恋:「こんにちはー」
 愛原:「早っ!?」

 午前中、早くも絵恋さんが埼玉からやってきた。
 既にキャリーバッグを持っており、いつでも出発OKといった感じであった。

 愛原:「早くない?出発、多分夕方だよ?まだ、善場主任からの連絡も無いのに……」
 絵恋:「リサさんと早く会いたくて来ちゃいました」
 高橋:「事務所は遊び場じゃねぇ」
 絵恋:「リサさんはどこにいますか?」
 愛原:「トイレだよ。もうすぐ戻って来る」
 絵恋:「そうですか。じゃあ、私もトイレに……」
 愛原:「ここで待ってたら?もうすぐ来るよ」
 絵恋:「はあ……」

 絵恋さんは学校の制服を着ていた。
 夏服なので、薄緑色の校章ワッペン付き半袖のブラウスに、埼京線のラインカラーのような濃いグリーンのプリーツスカートを穿いている。

 高橋:「何でオメェ、制服なんだ?」
 絵恋:「善場さんから『制服で来るように』って言われたんだけど?」
 愛原:「えっ!?」

 私は高橋と顔を見合わせた。

 高橋:「先生」
 愛原:「確かに制服なら着替えなくても済みそうなものだが、しかし却って目立つんじゃないかな?」

 学校にはリサを狙った不審者が出没していたというし……。

 高橋:「どうも、姉ちゃんの考えてることが分かりませんね……」

 と、そこへ事務所の電話が鳴った。

 愛原:「はい、愛原学探偵事務所です。……あ、善場主任、お疲れさまです」

 電話の主は善場主任だった。

 善場:「愛原所長、お疲れ様です。先ほどバイク便で資料等を送らせて頂きましたので、よろしく願いします」
 愛原:「了解しました。あの、リサも制服に着替えさせた方がいいですか?」
 善場:「そうですね。斉藤さんは埼玉から来るので、早めにそれだけ連絡しておきましたが……」

 そういうことか。
 さすがは善場主任。
 恐らく、絵恋さんが早めにこちらに来ることを見越していたのだろう。

 愛原:「お言葉ですが、制服姿の方が却って目立つような気がするのですが……」
 善場:「はい、仰る通りだと思います。しかし、これは警視庁からの依頼でして……」
 愛原:「はあ?警視庁が何の関係があるというんですか?」
 善場:「テロ組織の検挙ですよ。恐らく、捜査が進んだのでしょうね。リサを狙うテロリストを泳がせて、確保しようということなのかもしれません。あいにくと私共は警視庁と直接繋がっているわけではありませんので、詳しい捜査内容は教えてくれないのです」

 役人あるあるだな。
 管轄が違えば、仲間意識など全く無い。

 愛原:「でも、我々の行動は警視庁には伝わってる?」
 善場:「はい、そういうことです」
 愛原:「行き先は神奈川県相模原市ですが、そこまで警視庁が来るんですか?」
 善場:「恐らく八王子まででしょうね」
 愛原:「私達はどうすれば?」
 善場:「普通に向かってください。恐らく警視庁の人が一般人に成り済まして尾行するでしょうが、特に気になさらず。あくまで彼らの狙いは、リサを狙うテロリストです」
 愛原:「そ、そうですか」
 善場:「詳しいことは資料に入っておりますので、それを読んでください」
 愛原:「善場主任は行かれないのですか?」
 善場:「私は行くことはできません。申し訳ありませんが、愛原所長方でお願いします」
 愛原:「分かりました」

 藤野自体は何回か行っているので、別に初見ではない。
 路線バスもあるのだが、駅前からタクシーに乗れば楽に行けるだろう。
 電話を切ると、リサがトイレから戻って来た。

 絵恋:「リサさん、こんにちはーっ!」
 リサ:「サイトー、早っ!?」

 私と同じ反応をするリサだった。
 絵恋さんのハグを素直に受ける辺り、特に絵恋さんを嫌っている様子は無いもよう(レズではないので、その度合いによっては退くこともあるが)。

 リサ:「てか、どうして制服?」
 愛原:「今、善場主任から連絡があった。これから藤野に行く際は、制服で行けってさ」
 リサ:「そうなの?」

 リサは目を丸くした。
 もちろん、今のリサは私服である。

 愛原:「どうやらオマエを狙うテロリストを泳がせる為らしい。今は制服の方が目立つだろ?」
 リサ:「確かに。でも制服、家にある」
 愛原:「ああ。昼になったら一旦帰ろう。制服に着替えてくるんだ」
 リサ:「了解」

 それから1時間くらいして、バイク便がやってきた。
 それはA3サイズの茶封筒であった。
 開ける前に、リサに嗅がせてみた。
 もしも今のがバイク便に扮したテロリストだとしたら、中身は怪しいものだろう。
 BOWとして鼻の利くリサに嗅がせ、変な薬品や火薬の臭いがしなければOKである。
 で、実際には紙とインクの臭いしかしないという。
 どうやら本物のバイク便だったようなので開けてみた。
 中には資料の他に電車のキップ、そして前泊の時に宿泊するホテルの宿泊券が入っていた。

 愛原:「やっぱり夕方出発のようだな」

 私は電車のキップを見て言った。

 高橋:「先生、警視庁が付いてくるってどういうことっスか」
 愛原:「テロ組織に対する捜査が進んだんじゃないかって主任が言ってた。別にオマエは関係無いと思うぞ」
 高橋:「あいつら、必要とあらばベッケンバウワータイーホとかしてきますからねぇ……」
 愛原:「必要ならそれも止む無しだろう。だから、オマエは関係無いだろうって」
 高橋:「まあ、そうなんスけど、何だか落ち着かないっスね」
 愛原:「制服警官じゃなく、一般人に成り済ました私服警官だそうだから、俺達は気にせず普通に向かっていいってことらしいぞ」
 高橋:「そうですか……」
 リサ:「先生、今から私、着替えて来ようか?」
 愛原:「いや、いいよ。昼休みになったら、俺も準備するからその時で。でも昼まで絵恋さん達、ヒマになるけどな」
 リサ:「大丈夫。夏休みの宿題進める」
 絵恋:「私もです!」
 愛原:「ははは……。まあ、給湯室のテーブルでも使って」
 絵恋:「分っかりました!」

 絵恋さんはリサと一緒にいられることが、とても嬉しいようである。
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“大魔道師の弟子” 「稲生の憂鬱」

2021-09-19 11:29:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月12日15:00.天候:雨 長野県北部山中 マリアの屋敷]

 稲生:「……だ、だからね、緊急事態宣言も延長が決まったことだし、それが解除されるまでは控えた方がいいって。……いや、僕は大丈夫だから。それじゃ僕、仕事に戻らないと。それじゃ」

 稲生は屋敷東側2階にある自分の部屋にいた。
 そこで自分のスマホで電話していたのである。
 と、今度は机の上の古めかしい西洋アンティーク風の固定電話が鳴った。
 日本の黒電話を西洋アンティークにしたものと言えば分かるかな。
 なので、けたたましいジリジリベルが鳴る。

 稲生:「おっと!」

 いきなりジリジリ鳴られるとビックリする。
 だから電話機の中には、チリンと1回鳴ってからジリジリ鳴る機種もあったらしい。
 この電話機は内線専用である。
 なので掛かって来る相手は、イリーナかマリアと相場が決まっている。

 稲生:「はい、もしもし?」
 イリーナ:「勇太君、実家からの電話は終わったかい?」
 稲生:「あ、はい。先ほど……」
 イリーナ:「マリア達がそろそろプールから上がって来るから、お茶の準備でもしてあげな」
 稲生:「わ、分かりました。先生の分はどうされますか?」
 イリーナ:「アタシゃ、まだまだお昼寝の時間中。そいじゃ」

 それで電話が切れた。

 稲生:「相変わらずな先生だ」

 稲生はそう呟いて受話器を置いた。
 置く時にまたベルがチリンと鳴る。
 稲生は部屋を出た。
 外の天気が悪いせいか、窓から差し込む光も薄暗い。
 まだ15時だというのに、もう夕暮れかと思うほどの暗さだ。
 照明は点いているが、これとてそんなに明るくなるものでもない。
 ホラーゲームや映画に出て来る洋館のような雰囲気であるが、いい加減稲生は慣れてしまった。
 即死トラップも仕掛けられてはいるが、すっかり関係者の稲生には作動しないし、警備を司る人形達も稲生には何もしてこない。
 吹き抜けのエントランスホールに出る。
 “バイオハザードシリーズ”では、こういったホールは敵が出て来ない安全地帯として設定されることが多かったが、最近のシリーズではそれは最初だけで、ストーリーが進むとそうでもないことが多くなっている。
 赤絨毯の敷かれている階段を下りて、1階西側の大食堂に入る。
 既にメイド人形達がお茶の用意をして待っていた。

 エレーナ:「日本の夏は9月になっても暑いからな、マリアンナのところでプールに入るのは気持ちいいぜ」
 リリアンヌ:「フヒヒヒ……。マリアンナ先輩、ありがとうございます……」
 アンナ:「サバトの代わりにもなるしねぇ」
 エレーナ:「おっ、稲生氏。今度はオマエも一緒に入ろうな!」
 稲生:「えぇっ!?」
 リリアンヌ:「フヒッ!?せ、センパイ、サバトですよ!?」
 エレーナ:「それがどうした?」
 アンナ:「た、確かにサバトは本来、男女別に別れる必要は無いんだけど……」
 マリア:「お前ら!勝手に勇太を誘うな!」

 最後にマリアが戻って来た。

 稲生:「サバトの代わりって言うから、また裸で泳いだの?」
 マリア:「エレーナがうるさいんだ」
 エレーナ:「おっ、オマエもノリノリだっただろうが。稲生氏、マリアンナはブラとショーツ、どっちから脱いだと思う?」
 稲生:「ええっ!?」
 マリア:「くぉらっ!」
 稲生:「まあまあ。お茶にしよう。僕はまだインターン(見習い)だから、サバトへの参加資格はどうせ無いし……」
 エレーナ:「そんなの解釈の仕方によるぜ」
 稲生:「どういうこと?」
 エレーナ:「『参加』の資格が無いだけだろ?でも、『見学』ならOKなんじゃね?」
 アンナ:「確かに、私も見習いの時は『見学』させられたね」
 マリア:「それはアナスタシア組の方針だろ?イリーナ組では、『見学』もNG」
 エレーナ:「固ェこと言うなよ。あの先生のことだから、面と向かって頼めば、きっとOKしてくれるぜ」
 マリア:「勇太に私以外の女の裸、見せられるか。特にアンナ!」
 アンナ:「な、なに?」
 マリア:「日本人は基本的に体にタトゥーは入れない。オマエの背中のタトゥはアウトだ!」
 エレーナ:「魔力の関係で入れてる奴もいるんだからよ、固ェこと言うなよ」
 リリアンヌ:「せ、先輩はお尻に入れてますね?」
 エレーナ:「おう。ちょうどショーツの中に隠れるぜ。私はTバック穿けねーぜ」
 アンナ:「別にいいんじゃないの?」
 エレーナ:「いや。稲生氏の好みのパンティーはフルバックが尻に食い込むパターンだぜ?最初から食い込むTバックはNGだぜ。なぁ、稲生氏?」
 稲生:「何で知ってるんだ!?」
 マリア:「あー、もういいから!お茶飲んだらさっさと帰れ!」

 それから小一時間後……。

 イリーナ:「本当に賑やかなコ達だねぇ。おかげで目が覚めちまったよ」

 大食堂にやってきて、お茶を啜るイリーナ。
 この時点で3人の魔女達は引き上げていた。

 稲生:「も、申し訳ありません」
 マリア:「勇太が謝ることないよ。デリカシーの無い奴らばっかりなんだ」
 イリーナ:「まあ、魔女にデリカシーもヘッタクレも無いんだけどね」
 稲生:「サバトとか、スカイクラッドとか一体何なんですか?」
 イリーナ:「そうねぇ……。よし、それは明日レクチャーしてあげる。ラテン語の授業も、いい加減眠くなるでしょ?」
 マリア:「教えられる方はそうですが、教える方も寝ないでください」
 イリーナ:「ゴメンゴメン。それより、さっきの電話は何だったの?」
 稲生:「あー、実家からです。両親がマリアさんの屋敷に興味を持って、是非訪れたいって言うんですよ」
 マリア:「ええっ!?」
 イリーナ:「まあ……」
 稲生:「ここに来るだけでも大変なのに、来たら来たで映画並みのホラーですからね。正直、あまりここに来て欲しくないんですが……」
 イリーナ:「まあ、確かに部外者は歓迎できないけど……」
 稲生:「ですよね!?ですよね!?やっぱり断っておきます」
 マリア:「そもそも勇太の御両親は普通の人間です。普通の人間が、新型ウィルスが蔓延している中、長距離移動するのは危険かと」
 稲生:「幸い緊急事態宣言も延長されましたし、それを口実に断っておきますよ」
 イリーナ:「まあ、待ちなさい待ちなさい」
 稲生:「えっ?」
 イリーナ:「確かに緊急事態宣言中は論外だと思う。だから、その期間中は断っておきなさい。だけど、それが明けたら『前向きに善処する』と言っておきなさい」
 稲生:「い、いいんですか?」
 マリア:「いいんじゃない?日本の国会議員にとって、そのセリフは何もやらないことへの言い訳なんでしょ?」
 イリーナ:「マリア。私は国会議員じゃないのよ?」
 マリア:「しかし……」
 稲生:「先生の御真意は?」
 イリーナ:「勇太君という逸材を提供してくれた恩はある。だから、むげに断るのもどうかとは思う。少し考えさせてくれない?シンキングタイムは、緊急事態宣言中で」
 稲生:「わ、分かりました。失礼します」

 勇太は大食堂を出て行った。

 マリア:「師匠。勇太の両親は、この屋敷を訪問したいそうです。他の理由なら、長野や松本のホテルで合流して終わりにすることはできますが……」
 イリーナ:「分かってる。さて、どうしましょうかね……」

 イリーナはスッと立ち上がった。
 マリアもつられて立ち上がる。

 イリーナ:「寝ながら考えることにするわw」

 次の瞬間、マリアは大きくズッコケた。
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物語の途中ですが、ここでパチンコ談義をしたいと思います。

2021-09-19 00:41:50 | 日記
 https://www.youtube.com/watch?v=gNnJa1n6Mz0&list=RDgNnJa1n6Mz0&start_radio=1

 “海物語シリーズ”ではお馴染みのテーマ曲“あっぱれジャパン”。
 ただ、ここ最近、真っ先に流れることは無くなったような気がする。
 因みにこの画像に映っているマリンちゃんがオリジナルの絵柄。

 https://www.youtube.com/watch?v=Xrn2cD9wFr8&list=RDXrn2cD9wFr8&start_radio=1

 ワリンのテーマ曲、“ふたりの海物語”。
 但し、歌い手はワリンの声優さんではない……と思う。
 ラウンド曲(当たった時に流れる曲)なのだが、普通に魚群を回している最中にも流れるシリーズがあって、なかなか当たりが出ないなと思っていたら、どうやらワリンが小節を利かせている時にリーチになると、手元のボタンを連打しないといけないらしい。
 全体的に海物語シリーズは他のCR機に比べて分かり易く、初心者向きであるのだが、最近は慣れている者でも首を傾げる操作をさせられることがある。
 恐らく、ゲーム性を向上させたかったのだろう。
 因みにこの動画の最後に流れるポップな曲はラウンドが終了した時に流れるもので、打っている側からすれば、「もう終わり!?」と名残を惜しむものである。
 それにしても、最後のマリンちゃんの絵が最新の絵柄。
 だいぶ萌え度が増したが、むしろ隣にいる大工の源さんがやたらイケメンになっているのが驚きだ!

 https://www.youtube.com/watch?v=AVdZiUGK-lo

 これも割と海物語では知られている曲である。
 因みに、私はこの絵柄のアニメが一番好き。
 ここで赤い髪が特徴のウリンが登場しているが、パチンコしかやっていないファンの人達はポッと出のキャラクターに、「このコ、誰?」となったことだろう。
 それもそのはず。
 このウリンは、実はアニメからの逆輸入キャラだからだ。
 そうです。
 実は海物語、アニメ化されていました。
 で、私はそのアニメからの参入というレア勢です。
 ただ、アニメ版はかなりオリジナル設定で、あのイメージで台の前に座ると、実際のイメージと異なるのに驚かされた。
 打ち方については、仙台の友人から教わった。
 仙台の友人はアニメのことを知らないので、私が説明すると、それでやっとウリンの登場の経緯について納得できたようである。

 https://www.youtube.com/watch?v=VaLxf7Ychh4

>ルーレット中の画面右下に出てくるウリンチャンスに今更むかついてきた。

 同じこと考えていた人がいて草。
 まあ、ムカつきはしなかったけど、イヤミやな~とは思ってた。

>ワリンなら分かるけど、マリンにウリンはなんだろう、違和感がある

 多分、マリンとウリンはポップな曲を歌うイメージがあるからだろうね。
 因みにこの3人が揃ってステージに立つと、リーチのフラグが立つ。

 こんなところかな。
 あ、そうそう。
 駅前で顕正新聞配ってたオバちゃんがいたけど、こっちはマリンちゃん達に会うのに忙しかったからスルーしといたよw

 てか、投稿しようとしたら、『タグ名:パチンコは、受け付けられません』って弾かれたぞ!?
 何でやねん!!
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“私立探偵 愛原学” 「事務所に帰る」

2021-09-18 20:21:23 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月27日16:03.天候:晴 東京都新宿区 都営地下鉄新宿駅→都営新宿線1638T電車先頭車内]

 善場主任との打ち合わせが終わり、私達は都営地下鉄新宿駅に向かった。
 一応はリサの検査結果が全て出てから再検査を行うことになった。
 それが出るのは明日。
 明後日から早速、再検査をしたいという。
 善場主任達が急ぐのは、来月から東京都だけでなく、首都圏全域に緊急事態宣言が発出されることになるからだ。
 藤野も神奈川県で、当然ながらそこも対象となる。
 その前に済ませておきたいということだった。
 明日にはもう動くことになる。

 愛原:「再び藤野かぁ……」
 高橋:「車用意しなくていいんスかね?」
 愛原:「いいんじゃない?主任、何も言ってなかったし」

 私達は都営地下鉄新宿線のホームに到着した。
 正確に言えば、ここは都営地下鉄が管理しているホームではない。
 ホーム番線が4番線と5番線となっている。
 1番線から3番線は京王線のホームであり、ここは京王新線のホームである。
 その為、ホーム番線が連番となっているのだ。
 実際、ホームや駅名看板の意匠が東京都交通局ではなく、京王電鉄のものとなっている。

〔「5番線、ご注意ください。16時3分発、各駅停車、本八幡行きが到着致します。短い8両編成での到着です。ホームドアから離れてお待ちください」〕

 一本前の急行電車をやり過ごし、次の各駅停車を待つ。
 急行は菊川駅に止まらないからだ。
 また、この各駅停車は当駅始発である。
 先頭車に乗り込むと、座席に腰かけた。
 新しい後期タイプは比較的座面が柔らかいが、前期タイプは硬い。
 これは後者だった。
 8両編成だと概してこれである。

〔この電車は、各駅停車、本八幡行きです〕
〔「16時3分発、各駅停車、本八幡行きです。途中駅での急行電車の待ち合わせはございません。まもなく発車致します」〕

 すぐに発車の時刻になる。
 ホームには甲高い発車ベルが流れた。
 それからドアが閉まる。
 JR東日本の通勤電車みたいなドアチャイムが流れた。
 心なしか、ドアの閉まり方もそれに似ている。
 運転室から発車合図のブザーの音が微かに聞こえると、ハンドル操作のガチャッという音がした。
 床下からエアーが抜ける音がすると、スーッと電車が走り出した。
 その間、リサはずっとスマホを弄っている。
 どうやら、絵恋さんとLINEでもしているようだ。

〔都営新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は各駅停車、本八幡行きです。次は新宿三丁目、新宿三丁目。丸ノ内線、副都心線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔Thank you for using the Toei Shinjuku line.This is a local train bound for Motoyawata.The next station is Shinjuku-sanchome.S02.Please change here for the Marunouchi line and the Fukutoshin line.〕

 愛原:「リサ、絵恋さんとLINEしてるのか?」
 リサ:「ん。サイトー、寂しがりや」
 愛原:「元々寂しがりやさんだったところ、オマエがウィルスに感染させて余計そうしたんだからしょうがないさ。そこはちゃんと責任持たないと」
 リサ:「責任持って……食べる?」
 愛原:「取りあえず、LINEの相手でもしていればいいから。それで、どうなんだ?もしかしたら、一緒に藤野まで行くことになるかもしれないって話、したのか?」
 リサ:「した。そしたら、『絶対私も行く!』って豪語していた」
 愛原:「まだ誘っていないのにか?」
 リサ:「ん。サイトー、私に依存し過ぎ」
 愛原:「そういう風にしたのはオマエだからな。ちゃんと相手してやれ」
 リサ:「分かった」
 愛原:「本当に分かってんのか?先生の仰ることは絶対だぞ?」
 リサ:「分かってるって」
 高橋:「それで先生、この後、どうされますか?」
 愛原:「一旦、事務所に戻るさ。各駅停車の鈍行で帰っても、20分くらいで着くだろう?」
 高橋:「俺、夕食の買い出しに行っていいですか?」
 愛原:「ああ、いいよ。リサにも手伝わせるか?」
 高橋:「いや、俺1人でいいっス。場合によっちゃ、俺の知り合いに手伝わせますんで」
 愛原:「都合のいい時に、ヤンキー軍団呼べるオマエも凄いよ」
 高橋:「でへへへ……」
 愛原:「照れんな!」

[同日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 事務所に帰った私は所内で事務作業をしていた。
 斉藤社長からのメールはこちらのPCに届いており、本日の業務が無事に終了したことを確認したので、後ほど報酬を振り込んでくれるという。
 一応、娘さんの件を伝えておいた方が良いと思い、ここからメールを送った。
 送信が完了すると、今度は私のスマホにメールが着信した。
 それは善場主任からで、明日から向かってもらうという。
 その文章を読んだ時、私は藤野の研修センターに前泊するものだと思っていた。
 あれにはあまり良い思い出が無い。
 前泊だと食事が出ない為、自前で用意しなければならないのだ。
 自販機コーナーにはカップ麺やスナック類の自販機があるにはあるが、夕食とするには侘しい。
 ところが、どうやら違うようである。
 かといって、当日入りというわけでもない。
 要は、前泊はするが、直接研修センターではなく、八王子市内のホテルでとのことだ。
 テロ関係者などの目を欺く為だという。
 資料などは翌日に宅配便で事務所に届けるとのこと。
 ということは、翌日の午後以降に動くことになりそうである。

 愛原:「リサ、絵恋さんに明日の午後以降に移動するかもしれないと伝えておいてくれ」
 リサ:「分かった。何泊くらいする?」
 愛原:「そうだな……。さすがの公務員さん達も週末は休みだろう。まあ、2泊3日……長くて3泊4日だと思えばいいんじゃないか。まあ、仮に延長になっても、ホテルや研修所ならコインランドリーもあるから」
 リサ:「分かった」

 リサは自分のスマホを出し、絵恋さんにLINEを送り始めた。
 それにしても、いつもと全く変わらないリサだが、本当に寄生虫がいるのだろうか。
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