報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「斉藤家の昼食会」

2021-09-15 19:59:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月27日10:56.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]

〔まもなく大宮、大宮。お出口は、左側です。新幹線、宇都宮線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです〕

 さいたま新都心駅を出ると、下車駅の大宮駅はもうすぐである。
 左手に見えるさいたまスーパーアリーナが、埼玉に来たことを教えてくれる。

〔まもなく、止まります。手すりにお掴まりください〕

 グリーン車の階段付近には、こんな放送が流れている。
 高崎線は素直に下り本線ホームに入るので(一部列車に例外あり)、ポイント通過による減速や揺れは無い。

 愛原:「高橋、荷物下ろしてやれ」
 高橋:「ハイ」

 高橋は長身を利用して、荷棚に上げた絵恋さんのキャリーバッグを下ろした。

 愛原:「じゃ、降りようか」

〔「ご乗車ありがとうございました。大宮ぁ、大宮です。車内にお忘れ物なさいませんよう、ご注意ください。8番線に到着の電車は、10時57分発、高崎線の普通列車、籠原行きです。途中駅での快速、及び特急列車の待ち合わせはございません」〕

 電車を降りると、私達は熱気に包まれた。
 エスカレーターで2階に向かう。

 リサ:「先生、このグリーン券はどうしたらいい?」
 愛原:「記念に持ってたらいいよ。絵恋さんと一緒に乗った記念にさ」
 リサ:「おー」

 グリーン券にはグリーンアテンダントが押印した改札印(民営化前は検札印)がある。
 JRでは駅改札印は赤いインクなのに対し、車内改札印は青いインクである。
 首都圏の普通列車のグリーン車は、改札口で回収されない。
 その為、それは出場してからも手元に残るのである。

 高橋:「それにしても暑いっスねぇ……」
 リサ:「うぅ……。何か、サイトーんちのプールに入りたくなってきた」
 絵恋:「リサさん……
 リサ:「でも水着持ってないからダメだ」
 絵恋:「そんなぁ……」
 愛原:「今度遊びに行く時、水着を持って行くといいよ」
 絵恋:「リサさん、どんな水着着るの!?」( ´Д`)=3
 リサ:「先生はスク水がお望み。だからそれ」
 絵恋:「学校のじゃなくて、ビキニとかぁ……」
 リサ:「先生は『水着交換』がお望み。だから、それをやろう」
 絵恋:「何それ?」
 リサ:「まず、プールの中で2人で泳ぐ」
 絵恋:「ふんふん」
 リサ:「その後、潜りながら2人で水着を脱いで裸になる」
 絵恋:「おお~!?」
 リサ:「そしてその水着を交換して、再び泳ぎながら着るというもの」
 絵恋:「何それリサさん!?マニアック~」

 ま、まさか!?

 リサ:「うん。先生のパソコン『秘蔵動画』の中に入ってた」
 愛原:「こらぁ!」
 絵恋:「へ、ヘンタイ!変態だわ!!」
 高橋:「先生。俺と先生でそのAV、再現しませんか?」( ー`дー´)キリッ
 愛原:「変態!変態だぞ!」
 リサ:「タイトル名『仲良しJKプール遊戯』」
 愛原:「だから、勝手に俺のPC観るのやめろって言っただろ!」
 絵恋:「で、でも、それをリサさんとできるのなら……」(´∀`*)ポッ
 リサ:「ん。もちろんそれ、先生に観てもらうんだよ?」
 絵恋:「げっ!いやだ!!」
 高橋:「失礼なこと言うんじゃねぇ!」

 きっと『例のプール』で撮影されたんだろうな。
 私達は駅の外に出ると、すぐにタクシー乗り場に移動し、そこからタクシーに乗った。

[同日11:15.天候:晴 さいたま市中央区 斉藤家]

 タクシーの中はクーラーが効いて涼しかったが、斉藤家の前で降りると、また暑さに襲われる。
 これを繰り返すと、体の具合が悪くなるわけだな。
 私は斉藤社長からもらったタクシーチケットを使い、それで料金を払った。
 そしてタクシーを降りて、斉藤家へとお邪魔する。
 予想通り、斉藤家に雇われたメイドさん達が出迎えた。
 ここのメイドさん達にはメイドネームが付けられており、本名ではなく、それで呼び合う。
 但し、メイドネームは宝石の名前であるが、結構本名に因んでいたりする(例、メイドネーム『パール』→霧崎真珠)。

 サファイヤ:「お帰りなさいませ、御嬢様。いらっしゃいませ、愛原様」
 愛原:「こんにちは。御嬢様を送らせて頂きましたよ」
 サファイヤ:「お暑い中、お疲れさまでした。冷茶を御用意させて頂いておりますので、どうぞお休みください」
 絵恋:「せめて!せめてもうすぐお昼時だから、せめてお昼だけでも食べて行って!」
 愛原:「しかし……」

 私が固辞しようとした時だった。

 リサ:「お昼は何!?」
 サファイヤ:「ローストビーフのサンドイッチに、お肉たっぷりのミートソースパスタでございます」
 リサ:「食べる!」
 愛原:「お、おいおい、リサ……」
 リサ:「食べる!」
 愛原:「ったくもう……」

 こうなるとテコでも動かないからなぁ……。

 絵恋:「リサさん、私の部屋にいらっしゃい!」
 リサ:「ん」
 サファイヤ:「それでは愛原様方は、応接間へどうぞ」
 愛原:「厚かましくて申し訳ないです」

 リサとしては、『友達の家でお昼を食べる』くらいの感覚だろうが、私にとっては『クライアントの家』だからなぁ……。

 愛原:「あ、あと、これで今回の仕事は終了しましたので、こちらにサインを……」
 サファイア:「はい。後で御嬢様に頂きますわ」
 高橋:「あのビアンガキにサインもらうのも、何だか複雑っスね」
 愛原:「そう言うなって」

 私達は応接間に通された後、冷茶を御馳走になった。
 その後で昼食にお呼ばれしたのだが……。

 愛原:「これ……なぁ……」
 高橋:「おい!」

 食堂に行くと、昨今のコロナ禍ということで、その対策がされてはいた。
 具体的にはソーシャルディスタンス。
 私と高橋との席の間は2メートル離されていたし、アクリル板で仕切られていた。
 それは向かいの席ともそうだったのだが、1つだけ大きな例外があった。

 高橋:「何でオメェらはくっついてるんだよっ!?」

 リサと絵恋さんだけ、ソーシャルディスタンスなんぞどこ吹く風でピッタリくっついていたのである。

 リサ:「私は……コロナなんて関係無いし」
 高橋:「『歩く接触感染』はどうでもいいんだ!じゃなくて、オメェだオメェ!」
 絵恋:「なに?何か文句あるの?」
 高橋:「ソーシャルディスタンスはどうしたぁ!?」
 絵恋:「リサさんとの間に、そんなものは無意味よ。だったらこの際、思いっ切りくっつこうじゃないの。ねぇ?」
 リサ:「暑苦しいから少し離れて」
 絵恋:「ええっ!?」(;゚Д゚)

 リサと一緒にいると、コロナ禍がウソみたいに思えるんだよなぁ……。
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“愛原リサの日常” 「高崎線833M列車の旅」

2021-09-15 16:01:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月27日10:30.天候:晴 東京都台東区上野 JR高崎線833M列車5号車内]

〔「お待たせ致しました。10時30分発、高崎線の普通列車、籠原行き、まもなく発車致します。発車後、電車が大きく揺れる恐れがありますのでご注意ください」〕

 発車の時刻になり、ホームに発車ベルが鳴り響く。
 低いホームは発車ベルやメロディが度々入れ替わっている。
 尚、特急ホームの16番線・17番線では“あゝ上野駅”が流れる。

〔「15番線から高崎線の普通列車、籠原行きが発車致します。ベルが鳴り終わりますと、ドアが閉まります。お近くのドアからご乗車ください」〕

 昔はドアを閉める前に笛を鳴らしていたのだろうが、今はそんなこともなく、客終合図があればすぐに閉扉する。
 殆どの区間並走する京浜東北線と同じE233系車両ながら、こちらは閉扉する際に『ガチャン』という賑やかな音がする。
 これは多分、ロック機構が違うのだろう。
 そして列車は定刻通りに発車した。
 低いホームから発車だと、直後に上り勾配になるのと、ポイント通過の為に列車がガクンと揺れる。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は高崎線、普通電車、籠原行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、尾久です〕

 リサ:「病室ではどうだった?」
 絵恋:「もう怖くて怖くてしょうがなかったのよ。夢から覚めたら、窓の外とか見られなくて……」
 リサ:「また死体が落ちて来るかもって?」
 絵恋:「そう」
 リサ:「ふーん……」
 絵恋:「あっ、リサさん、笑った!『そんなことあるわけない』って思ったでしょ!?」
 リサ:「いや、無い無い」(ヾノ・∀・`)ナイナイ

 リサは口元を歪めて手を振った。

 リサ:「もしあるようなら、善場さん達が駆け付けるだけだ」
 絵恋:「そんなの分かってるんだけど……」
 リサ:「フム。私はゾンビくらい簡単に素手で倒せるからアレだけど、サイトーにはそれが無理だから怖いのか」
 絵恋:「私はBOWじゃないからね」
 リサ:「他には?病室って個室だったんでしょ?普通の部屋と何が違うの?」
 絵恋:「そうねぇ……。専用のトイレとシャワーがあったことくらいかしら?」
 リサ:「おー、まるでホテルみたい」
 絵恋:「私の部屋でもビジネスホテルクラスでしょう。昔、御祖父様が入院していた時、その病室はシティホテルの部屋並みだったわ」
 リサ:「サイトーの御祖父さん……」
 絵恋:「会社を一から造った立役者でね。今の私が『御嬢様』であるのも、御祖父様のおかげなのよ」
 リサ:「そうなんだ。サイトーは幸せ者」
 絵恋:「萌えへへへ……。ま、まあね……」(´∀`*)ポッ
 リサ:「ん?」
 絵恋:「なに、どうしたの?」
 リサ:「いや、何でもない。(私と同じリサ・トレヴァーの中に、サイトーみたいなお金持ちの御嬢様がいたような気がしたけど、誰だったっけ???)」

 あまり他のリサ・トレヴァーと関わりを持たなかった『2番』のリサ。
 しかしそれで良かったと、今は思っている。
 もし仲良くつるんでいたら、自分も人食いをして倒されていただろう。

 絵恋:「今日は泊まって行ってくれるの?」(*´Д`)
 リサ:「いや、お泊りセット持って来てないから」
 絵恋:「リサさんの為に用意してあげる!」
 リサ:「いや、別に今日はいいから」
 絵恋:「えーっ!プールもあるよ!?」
 リサ:「だから、水着持って来てないって」
 絵恋:「そんなぁ……」( ;∀;)
 リサ:「急に言われても困るから、また今度ね」
 絵恋:「うぅ……」orz

 尾久駅は宇都宮線・高崎線の中でも静かな駅だ。
 駅前広場とは反対側には、尾久車両基地が広がっている。
 今では殆ど使用されていない“カシオペア”のE26系がよく留置されている。
 上野駅“高いホーム”を出発すると、尾久駅の手前でポイント通過があるが、“低いホーム”からだとそれが無い。
 つまり、上野~尾久間はそれぞれ別の線路を走っていることになる。
 尚、駅名は『おく』であるが、地名は『おぐ』である。
 都営バスや都電荒川線の停留所では地名に準じて、『おぐ○丁目』とか呼んでいる。
 こういうことは、都内では他にもある。
 練馬区には江古田という地区があるが、西武池袋線だと『えこだ』であるが、都営地下鉄大江戸線だと『新江古田(しんえごた)』である。
 尾久駅を過ぎると、地平区間を走行する為か、踏切が多くなる。
 京浜東北線の王子駅に接近すると、また上り勾配。
 列車線にはホームが無いので、普通列車でも通過となる。
 王子駅界隈には学校も多く、駅構内の広告看板にも、地元の学校法人の看板とかがある。
 かつてはここに分校(キャンパス)を設ける計画が東京中央学園にはあったようだが、頓挫している。
 今では王子駅にもホームドアがあるので、見えにくくなかったが……。

 リサ:「あのコ、ここからだとパンツ見えそう」
 絵恋:「スカートが短い。校則違反だわ」
 リサ:「東京中央学園ではアウトでも、あの学校ではOKなのかも」
 絵恋:「そうかしら。何だか、風が出て来たね。またゲリラ豪雨でも降る?」
 リサ:「降ると思う」
 絵恋:「降ったら、やまないと思うから是非泊まって……」
 リサ:「降る前に帰るから大丈夫」
 絵恋:「ええ~っ!」Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

 赤羽駅を出ると、次の浦和駅まではしばらく止まらない。

 リサ:「ちょっとトイレ」
 絵恋:「私も行く!」
 リサ:「やっぱやめた」
 絵恋:「何で!?」
 愛原:「仲いいな」

 リサ達が乗車している位置は4号車側の平屋席である。
 そこだとトイレと洗面所がすぐ近くにある。

 リサ:「トイレが1つしか無い」
 絵恋:「だったら一緒に……」(*´Д`)
 リサ:「いや、先に入っていいよ」
 絵恋:「私の老廃物いらない?」
 リサ:「今は『お腹』空いてない」
 絵恋:「お先に失礼します……」
 リサ:「全く……」

 リサはトイレとは通路を挟んで向かいにある洗面所に入った。

 リサ:「……!?」

 一瞬、鏡に10歳くらいの少女の姿が映ったような気がして振り向いた。
 それは新型BOWエブリンに似ていた。
 しかし、そこには誰もいなかった。

 リサ:(前にもこういうことがあったな……)

 リサは首を傾げた。
 エブリンの映像を善場に見せてもらったが、正直自分より強いのかどうかは分からなかった。
 戦い方によっては負けるかもしれないし、勝てるかもしれない。
 ただ、何だか『気持ち悪い』とは思った。
 それは吐き気を催すという意味での気持ち悪いではなく、『なるべくなら関わりたくない』という意味に近かった。

 絵恋:「リサさん、お待たせ」

 しばらくして、トイレから絵恋が出て来た。

 リサ:「ああ」
 絵恋:「老廃物、出しちゃったよ?」
 リサ:「いいよ。『お腹空いた』ら、その時もらうだけだ」

 リサは手から触手を出す仕草をして言った。
 もちろん本当に出したわけではない。
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