[7月25日18:01.天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→テルミナ]
〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車、両国、秋葉原方面と東京メトロ半蔵門線はお乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕
〔The next station is Kinshicho.JO22.The doors on the right side will open.Please change here for the Sobu line local service train for Ryogoku and Akihabara,and the Hanzomon subway line...〕
私達を乗せた総武快速線電車は、定刻通り錦糸町駅に到着しようとしていた。
およそ1時間半、硬い座席に座って行くのは少し腰に来る。
もう少し奮発して、グリーン車にしても良かったかもしれない。
ただ、それだと善場主任に連絡しないといけないからな……。
いや、経費の問題じゃなく、グリーン車が中間車にあるものだから、BSAAとのやり取りが面倒なんでね。
愛原:「ここまで来ると、やっと帰って来たなって感じだ」
高橋:「でも先生、帰省から戻って来たわけですから、そこんとこどうなんですか?」
愛原:「いや、ここでの生活が俺の居場所って所だよ」
高橋:「いいことですね」
電車がホームに入る。
愛原:「さて、そろそろ降りるか」
高橋:「はい」
高橋が席を立って、網棚の荷物を降ろしてくれる。
電車内はさすがに乗客が増えはしたが、休日ということもあってか、空席はまだまだある。
〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に止まります〕
私達は電車を降りた。
愛原:「それじゃ、飯食って帰ろうか」
高橋:「うス!」
階段を下りて、駅ビルの“テルミナ”がある南口へ向かう。
その改札口を出て駅の外へ向かおうとすると、ヨドバシカメラ錦糸町店の入口がある。
リサ:「焼肉~、焼肉~」
高橋:「くぉらっ!先生の御意向が第一だ!ですよね?先生」
愛原:「昼に牛タン食ったからなぁ……」
高橋:「そういうことだぞ、リサ」
リサ:「ちぇーっ」
ヨドバシカメラの前を通って、一旦駅の外に出ようとした時だった。
栗原蓮華:「あら、愛原先生?」
そこへ学校の制服を着た栗原蓮華さんとばったり会った。
妹の愛里さんも一緒だ。
愛原:「おっ、栗原さん。またもや奇遇ですな?」
蓮華:「そうですね」
蓮華さんは左足が義足である。
歩く度にカチャカチャと金属音がする。
これでも障がい者スポーツとしての剣道をやっていて、既に段持ちなのだから凄い。
蓮華:「いつ、仙台から戻って来られたんですか?」
愛原:「今だよ、今。成田経由で戻って来たところ」
蓮華:「えっ、成田!?」
蓮華さんは目を丸くした。
そりゃそうだろう。
普通、飛行機で仙台から帰京しようなんて思考は無いからだ。
千葉県に用事があるというのなら、まだ分かるだろうが……。
愛原:「ちょっと事情があってね……」
蓮華:「もしかして、愛原リサさんのことですか?」
愛原:「まあ、そんなところだ。よく分かったな」
蓮華:「ええ。何かあったんですか?」
愛原:「というと?」
蓮華:「実は今日、学校に部活で行ったんです」
愛原:「それで制服だったのか」
蓮華:「制服から剣道着に着替えて、また制服に着替えて、また帰ってから私服ってのも面倒なので、制服のまま買い物に来ちゃいました」
愛原:「あれ?剣道着のまま移動してなかった?」
蓮華:「剣道着って、案外暑いんですよ。ウソだと思うならトチロ~さんに聞いてみてください」
愛原:「分かった分かった。で、学校に行って何があったんだ?」
蓮華:「正門は夏休みで閉まっているので、通用門しか開いてないんですけど、そこに怪しい男がいて……」
愛原:「怪しい男?」
蓮華:「ネクタイはしてませんでしたけど、この暑いのに黒いスーツにサングラスを掛けていて、『この学校に通っている愛原リサを知らないか?』って、いちいち登校してくる生徒に聞いていたんですよ。私も聞かれました」
愛原:「何だって!?……それで、キミは何て答えたの?」
蓮華:「ヘタに嘘つくわけにも行かないですから、『確かにこの学校にはいて、私も名前だけは知っている』と答えておきました」
本当は顔も知っているのだが、ウソの中に少しの真実を混ぜておくというやり方か。
愛原:「そしたら?」
蓮華:「『そいつは今どこにいる?家は知っているのか?』って食い付いてきて……。私は、『校内新聞に出てたから知っているだけで、それ以外のことは知らない』と答えておきました」
その後も尚食い下がってこようしたらしいが、蓮華さんはさっさと校内に入ったらしい。
さすがの男も、校内には入れなかったようだ。
校内新聞に出てたのは本当だ。
学校の七不思議特集で、リサも語り部の1人だったから、それで出ていたのだ。
愛原:「帰る時はいた?」
蓮華:「さすがにいませんでした」
愛原:「悪いけど、その男の特徴を教えてくれる?」
蓮華:「はい」
恰好だけなら善場主任の関係者とも言えるが、リサが私と一緒にいることを知っていて、わざわざ学校に聞き込みに来るはずがないから、やっぱり別の組織の者だろう。
テロ組織の関係者かもしれない。
情報提供してくれたお礼に、夕食を御馳走しようかと誘ったが……。
蓮華:「ありがたいお誘いですけど、妹を入れたら5人になってしまいます。そしたら、また『んっ?』さんに怒られますよ?」
と、体よく断られてしまった。
しょうがないので、近くの自販機でジュースだけ買ってあげた。
ずっと駅前にたむろしているわけにはいかないので、私達は急いでテルミナの中に入った。
そして、飲食店に向かう前に一応、善場主任にメールを入れておいた。
〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武線各駅停車、両国、秋葉原方面と東京メトロ半蔵門線はお乗り換えです。錦糸町から先は、各駅に止まります〕
〔The next station is Kinshicho.JO22.The doors on the right side will open.Please change here for the Sobu line local service train for Ryogoku and Akihabara,and the Hanzomon subway line...〕
私達を乗せた総武快速線電車は、定刻通り錦糸町駅に到着しようとしていた。
およそ1時間半、硬い座席に座って行くのは少し腰に来る。
もう少し奮発して、グリーン車にしても良かったかもしれない。
ただ、それだと善場主任に連絡しないといけないからな……。
いや、経費の問題じゃなく、グリーン車が中間車にあるものだから、BSAAとのやり取りが面倒なんでね。
愛原:「ここまで来ると、やっと帰って来たなって感じだ」
高橋:「でも先生、帰省から戻って来たわけですから、そこんとこどうなんですか?」
愛原:「いや、ここでの生活が俺の居場所って所だよ」
高橋:「いいことですね」
電車がホームに入る。
愛原:「さて、そろそろ降りるか」
高橋:「はい」
高橋が席を立って、網棚の荷物を降ろしてくれる。
電車内はさすがに乗客が増えはしたが、休日ということもあってか、空席はまだまだある。
〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、馬喰町に止まります〕
私達は電車を降りた。
愛原:「それじゃ、飯食って帰ろうか」
高橋:「うス!」
階段を下りて、駅ビルの“テルミナ”がある南口へ向かう。
その改札口を出て駅の外へ向かおうとすると、ヨドバシカメラ錦糸町店の入口がある。
リサ:「焼肉~、焼肉~」
高橋:「くぉらっ!先生の御意向が第一だ!ですよね?先生」
愛原:「昼に牛タン食ったからなぁ……」
高橋:「そういうことだぞ、リサ」
リサ:「ちぇーっ」
ヨドバシカメラの前を通って、一旦駅の外に出ようとした時だった。
栗原蓮華:「あら、愛原先生?」
そこへ学校の制服を着た栗原蓮華さんとばったり会った。
妹の愛里さんも一緒だ。
愛原:「おっ、栗原さん。またもや奇遇ですな?」
蓮華:「そうですね」
蓮華さんは左足が義足である。
歩く度にカチャカチャと金属音がする。
これでも障がい者スポーツとしての剣道をやっていて、既に段持ちなのだから凄い。
蓮華:「いつ、仙台から戻って来られたんですか?」
愛原:「今だよ、今。成田経由で戻って来たところ」
蓮華:「えっ、成田!?」
蓮華さんは目を丸くした。
そりゃそうだろう。
普通、飛行機で仙台から帰京しようなんて思考は無いからだ。
千葉県に用事があるというのなら、まだ分かるだろうが……。
愛原:「ちょっと事情があってね……」
蓮華:「もしかして、愛原リサさんのことですか?」
愛原:「まあ、そんなところだ。よく分かったな」
蓮華:「ええ。何かあったんですか?」
愛原:「というと?」
蓮華:「実は今日、学校に部活で行ったんです」
愛原:「それで制服だったのか」
蓮華:「制服から剣道着に着替えて、また制服に着替えて、また帰ってから私服ってのも面倒なので、制服のまま買い物に来ちゃいました」
愛原:「あれ?剣道着のまま移動してなかった?」
蓮華:「剣道着って、案外暑いんですよ。ウソだと思うならトチロ~さんに聞いてみてください」
愛原:「分かった分かった。で、学校に行って何があったんだ?」
蓮華:「正門は夏休みで閉まっているので、通用門しか開いてないんですけど、そこに怪しい男がいて……」
愛原:「怪しい男?」
蓮華:「ネクタイはしてませんでしたけど、この暑いのに黒いスーツにサングラスを掛けていて、『この学校に通っている愛原リサを知らないか?』って、いちいち登校してくる生徒に聞いていたんですよ。私も聞かれました」
愛原:「何だって!?……それで、キミは何て答えたの?」
蓮華:「ヘタに嘘つくわけにも行かないですから、『確かにこの学校にはいて、私も名前だけは知っている』と答えておきました」
本当は顔も知っているのだが、ウソの中に少しの真実を混ぜておくというやり方か。
愛原:「そしたら?」
蓮華:「『そいつは今どこにいる?家は知っているのか?』って食い付いてきて……。私は、『校内新聞に出てたから知っているだけで、それ以外のことは知らない』と答えておきました」
その後も尚食い下がってこようしたらしいが、蓮華さんはさっさと校内に入ったらしい。
さすがの男も、校内には入れなかったようだ。
校内新聞に出てたのは本当だ。
学校の七不思議特集で、リサも語り部の1人だったから、それで出ていたのだ。
愛原:「帰る時はいた?」
蓮華:「さすがにいませんでした」
愛原:「悪いけど、その男の特徴を教えてくれる?」
蓮華:「はい」
恰好だけなら善場主任の関係者とも言えるが、リサが私と一緒にいることを知っていて、わざわざ学校に聞き込みに来るはずがないから、やっぱり別の組織の者だろう。
テロ組織の関係者かもしれない。
情報提供してくれたお礼に、夕食を御馳走しようかと誘ったが……。
蓮華:「ありがたいお誘いですけど、妹を入れたら5人になってしまいます。そしたら、また『んっ?』さんに怒られますよ?」
と、体よく断られてしまった。
しょうがないので、近くの自販機でジュースだけ買ってあげた。
ずっと駅前にたむろしているわけにはいかないので、私達は急いでテルミナの中に入った。
そして、飲食店に向かう前に一応、善場主任にメールを入れておいた。