[7月26日05:02.天候:晴 東京都墨田区菊川3丁目 斉藤絵恋のマンション]
斉藤絵恋:「リサさぁん……もえへへへ……」
絵恋が親元を離れ、1人で暮らすマンション。
しかしまだ高校生ということもあり、専属のメイドが1人付いている。
その為、マンションは賃貸で2LDKSの間取りがあった。
このマンションのオーナーが斉藤秀樹の旧友で、娘の為にこの部屋を紹介してくれたのだ。
愛原のマンションは5階建てだが、このマンションも菊川という立地上そんなに高いマンションではない。
絵恋は自室のベッドの中で、リサと【ぴー】や【ぴー】おまけに【ぴー】している夢を見ていた。
絵恋:「あッ、ダメ!いやンそ、そこは……あぁ……」
と、その時だった。
マンションの外から大きな銃声が聞こえて来たのだ。
絵恋:「な、なに!?」
いきなりのことで、絵恋は飛び起きてしまった。
絵恋:「な、何の音!?」
絵恋はパジャマのまま部屋の外に出た。
パール:「御嬢様!」
絵恋:「ぱ、パール!?」
メイドのパール(メイドネーム。本名は霧崎真珠)は険しい顔をして、絵恋を制した。
手には包丁ではなく、愛用のアーミーナイフを持っている。
まるでパールがたった今人を殺してきた、或いはこれから人を殺しに行くかのような目つきになっている。
パール:「御嬢様、外は危険です。至急、部屋にお戻りください。そして、けして窓をお開けにならぬよう……」
絵恋:「い、今のって、ピストルの音……だよね?これは、夢の続き……?」
パール:「さようでございます。直接見たわけではございませんが、その公算は大きいかと。そして、生憎ながらこれは現実でございます。この場に都合良く愛原リサ様がいらっしゃらないことが、何よりの証拠です」
パールはメイドらしく、律儀に令嬢の質問に答えた。
元はと言えば、彼女も他のメイドと同じく、女子少年院出身者である。
絵恋:「そ、そんなぁ……」
絵恋は絶望したかのように、その場に座り込んでしまった。
パール:「さすがは御嬢様です。今度は失禁されませんでしたね」
絵恋:「う、うるさいわね!メイドなんだから、もっと口を慎みなさい!」
パール:「大変申し訳ございません。ですが、ナプキンは御取り換えになられた方が良いかと存じます」
絵恋:「い、言われるまでもないわ!」
絵恋は憤慨した様子でトイレに向かった。
実は失禁とまでは行かないまでも、ナプキンを着けていたおかげでお漏らしを防げたというのはある。
パール:「いいですか?窓をお開けになってはいけませんよ?」
絵恋:「分かってるわよ!」
絵恋はトイレに向かった。
愛原のマンションと違い、こちらは明り取りや換気の為に窓が付いている。
但し、先述した2つが理由なのと転落事故防止の為、大きく開かないようになっている。
だが、このマンションを借りる時、秀樹は全ての窓を防弾ガラスに換えさせた。
賃貸なのにそんな勝手ができるのかと思うが、そもそもこのマンションのオーナーと秀樹は旧友。
退去時に元に戻すからという理由でOKとなった。
もっとも、オーナー的にはそのままにしてもらってもいいと思っていたりするようだ。
パールが『銃声がしたから窓を開けるな』と言ったのは、こういう理由である。
絵恋:「って、何よ!?窓開いてるじゃない!」
絵恋がトイレに入ると、窓が数cm開いていた。
恐らくパールが換気の為に少し開けておいたのだろう。
そんなことしなくても、トイレの中には小さな換気扇が付いている。
絵恋が窓の前に立って、それを閉めようとした時だった。
絵恋:「!!!」
突然、窓の外を何かが上から下へと通り過ぎて行った。
それは頭が半分無くなり、どす黒い血を垂れ流した者であり、上から真っ逆さまに落ちて行く所であった。
数秒の後、グシャッともドサッともゴキュッとも言える、少なくとも鈍い音が下から聞こえて来た。
絵恋が固まっていると、トイレのドアがノックされた。
パール:「御嬢様、申し訳ございません。あんなことを申しておきながら、トイレの窓を閉め忘れてしまいました。お手数でございますが、至急お閉めになって頂けないでしょうか?それと、銃声は上の階から聞こえたような気がします。……御嬢様?御嬢様?どうかなされましたか、御嬢様?」
パールがトイレの外から絵恋に声を掛けるが返事が無い。
ドスッとトイレの床に何か落ちる音が聞こえた。
そして、ドアの隙間からチョロチョロと液体が滴り落ちて来た。
それはアンモニアの臭いをしていた。
絵恋:「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
[同日07:00.天候:晴 同区内菊川1丁目 愛原のマンション]
リサ:「ん……」
枕元のスマホのアラームが鳴って、リサは目を覚ました。
すぐに手を伸ばしてアラームを止める。
リサ:「ううん……」
リサは大きく伸びをしてベッドから起き上がった。
こちらは白いTシャツに黒い短パンというラフな夜着である。
成長段階の胸の乳首が気になるからと、Tシャツの下にはスポブラを着けていた。
リサは欠伸をしながら部屋の外に出る。
高橋:「おう、リサ、起きたか」
ダイニングでは既に高橋が起きていて、朝食を作っていた。
リサの利く鼻から判断して、ベーコンエッグを作っているようだ。
それから炊飯器からは、米の炊ける匂いがした。
和洋折衷の朝食らしい。
リサ:「うん。おはよう」
リサは第0形態を保っていた。
しかしそれだと、どうしてもおかっぱ頭の寝癖がヒドくなることが多い。
第1形態の鬼娘の姿だと、そんなこともないのだが。
恐らく、それぞれで髪質が違うのだろう。
いっそのこと、パールみたいにベリーショートにすれば寝癖の悩みも無くなるだろうかとリサは考えたことがある。
リサ:「先生、起きた?」
高橋:「いや、まだだ。まあ、夜中は大変な騒ぎだったからな。それに、まだ姉ちゃんから電話が無ェ。このまま、のこのこ事務所に行けるかどうか分かんねーから、もう少しゆっくりしててもいいんじゃねーか?」
リサ:「うん。そうだね。お兄ちゃんは?」
高橋:「俺は決められた時間に飯を作るまでだ。先生の愛弟子だからな」
リサ:「うん、分かった。私は顔洗って来る」
高橋:「おう。……リサが戻って来てから、先生は起こせばいいか」
この時、まだ愛原家では絵恋の身に起こった重大事を知らずにいた。
高橋:「おっ、そうだ。テレビを点ければ、それで先生が起きてくれるかもしれない」
高橋はリビングにあるテレビを点けに行った。
斉藤絵恋:「リサさぁん……もえへへへ……」
絵恋が親元を離れ、1人で暮らすマンション。
しかしまだ高校生ということもあり、専属のメイドが1人付いている。
その為、マンションは賃貸で2LDKSの間取りがあった。
このマンションのオーナーが斉藤秀樹の旧友で、娘の為にこの部屋を紹介してくれたのだ。
愛原のマンションは5階建てだが、このマンションも菊川という立地上そんなに高いマンションではない。
絵恋は自室のベッドの中で、リサと【ぴー】や【ぴー】おまけに【ぴー】している夢を見ていた。
絵恋:「あッ、ダメ!いやンそ、そこは……あぁ……」
と、その時だった。
マンションの外から大きな銃声が聞こえて来たのだ。
絵恋:「な、なに!?」
いきなりのことで、絵恋は飛び起きてしまった。
絵恋:「な、何の音!?」
絵恋はパジャマのまま部屋の外に出た。
パール:「御嬢様!」
絵恋:「ぱ、パール!?」
メイドのパール(メイドネーム。本名は霧崎真珠)は険しい顔をして、絵恋を制した。
手には包丁ではなく、愛用のアーミーナイフを持っている。
まるでパールがたった今人を殺してきた、或いはこれから人を殺しに行くかのような目つきになっている。
パール:「御嬢様、外は危険です。至急、部屋にお戻りください。そして、けして窓をお開けにならぬよう……」
絵恋:「い、今のって、ピストルの音……だよね?これは、夢の続き……?」
パール:「さようでございます。直接見たわけではございませんが、その公算は大きいかと。そして、生憎ながらこれは現実でございます。この場に都合良く愛原リサ様がいらっしゃらないことが、何よりの証拠です」
パールはメイドらしく、律儀に令嬢の質問に答えた。
元はと言えば、彼女も他のメイドと同じく、女子少年院出身者である。
絵恋:「そ、そんなぁ……」
絵恋は絶望したかのように、その場に座り込んでしまった。
パール:「さすがは御嬢様です。今度は失禁されませんでしたね」
絵恋:「う、うるさいわね!メイドなんだから、もっと口を慎みなさい!」
パール:「大変申し訳ございません。ですが、ナプキンは御取り換えになられた方が良いかと存じます」
絵恋:「い、言われるまでもないわ!」
絵恋は憤慨した様子でトイレに向かった。
実は失禁とまでは行かないまでも、ナプキンを着けていたおかげでお漏らしを防げたというのはある。
パール:「いいですか?窓をお開けになってはいけませんよ?」
絵恋:「分かってるわよ!」
絵恋はトイレに向かった。
愛原のマンションと違い、こちらは明り取りや換気の為に窓が付いている。
但し、先述した2つが理由なのと転落事故防止の為、大きく開かないようになっている。
だが、このマンションを借りる時、秀樹は全ての窓を防弾ガラスに換えさせた。
賃貸なのにそんな勝手ができるのかと思うが、そもそもこのマンションのオーナーと秀樹は旧友。
退去時に元に戻すからという理由でOKとなった。
もっとも、オーナー的にはそのままにしてもらってもいいと思っていたりするようだ。
パールが『銃声がしたから窓を開けるな』と言ったのは、こういう理由である。
絵恋:「って、何よ!?窓開いてるじゃない!」
絵恋がトイレに入ると、窓が数cm開いていた。
恐らくパールが換気の為に少し開けておいたのだろう。
そんなことしなくても、トイレの中には小さな換気扇が付いている。
絵恋が窓の前に立って、それを閉めようとした時だった。
絵恋:「!!!」
突然、窓の外を何かが上から下へと通り過ぎて行った。
それは頭が半分無くなり、どす黒い血を垂れ流した者であり、上から真っ逆さまに落ちて行く所であった。
数秒の後、グシャッともドサッともゴキュッとも言える、少なくとも鈍い音が下から聞こえて来た。
絵恋が固まっていると、トイレのドアがノックされた。
パール:「御嬢様、申し訳ございません。あんなことを申しておきながら、トイレの窓を閉め忘れてしまいました。お手数でございますが、至急お閉めになって頂けないでしょうか?それと、銃声は上の階から聞こえたような気がします。……御嬢様?御嬢様?どうかなされましたか、御嬢様?」
パールがトイレの外から絵恋に声を掛けるが返事が無い。
ドスッとトイレの床に何か落ちる音が聞こえた。
そして、ドアの隙間からチョロチョロと液体が滴り落ちて来た。
それはアンモニアの臭いをしていた。
絵恋:「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
[同日07:00.天候:晴 同区内菊川1丁目 愛原のマンション]
リサ:「ん……」
枕元のスマホのアラームが鳴って、リサは目を覚ました。
すぐに手を伸ばしてアラームを止める。
リサ:「ううん……」
リサは大きく伸びをしてベッドから起き上がった。
こちらは白いTシャツに黒い短パンというラフな夜着である。
成長段階の胸の乳首が気になるからと、Tシャツの下にはスポブラを着けていた。
リサは欠伸をしながら部屋の外に出る。
高橋:「おう、リサ、起きたか」
ダイニングでは既に高橋が起きていて、朝食を作っていた。
リサの利く鼻から判断して、ベーコンエッグを作っているようだ。
それから炊飯器からは、米の炊ける匂いがした。
和洋折衷の朝食らしい。
リサ:「うん。おはよう」
リサは第0形態を保っていた。
しかしそれだと、どうしてもおかっぱ頭の寝癖がヒドくなることが多い。
第1形態の鬼娘の姿だと、そんなこともないのだが。
恐らく、それぞれで髪質が違うのだろう。
いっそのこと、パールみたいにベリーショートにすれば寝癖の悩みも無くなるだろうかとリサは考えたことがある。
リサ:「先生、起きた?」
高橋:「いや、まだだ。まあ、夜中は大変な騒ぎだったからな。それに、まだ姉ちゃんから電話が無ェ。このまま、のこのこ事務所に行けるかどうか分かんねーから、もう少しゆっくりしててもいいんじゃねーか?」
リサ:「うん。そうだね。お兄ちゃんは?」
高橋:「俺は決められた時間に飯を作るまでだ。先生の愛弟子だからな」
リサ:「うん、分かった。私は顔洗って来る」
高橋:「おう。……リサが戻って来てから、先生は起こせばいいか」
この時、まだ愛原家では絵恋の身に起こった重大事を知らずにいた。
高橋:「おっ、そうだ。テレビを点ければ、それで先生が起きてくれるかもしれない」
高橋はリビングにあるテレビを点けに行った。