[1月27日12:15.天候:雲 千葉県成田市 成田空港第2ターミナル]
イリーナ:「はーい、日本に到着ぅ~!」
マリア:「ちょっと師匠、待ってください」
イリーナ:「な~に~?」
マリア:「いや、おかしいでしょ?どういう流れで私達、ウラジオストクへ行ってたのか読者の人達知らない……」
イリーナ:「マリアもメタ発言やめようね。ただの休暇じゃない。ナディアとミスター悟朗が誘ってくれたわけだし」
マリア:「いや、そりゃそうですけど……」
稲生:「お待たせしました」
稲生、両手に荷物を抱えて出てくる。
マリア:「勇太、明らかにこのストーリーの流れ、おかしいよな?いつもなら、出発の前段階の話とかやるだろ?」
稲生:「それはカントクに言ってくださいよ。とにかく、無事に帰れて良かったですね」
イリーナ:「勇太君もメタ発言……」
稲生:「僕にとっては海外初体験だったので良かったですよ。シベリア鉄道の駅も見れたわけですし」
イリーナ:「“魔の者”を倒したら、シベリア鉄道のロシア号に乗せてあげるからね」
マリア:「それより何か食べて行きませんか?」
稲生:「日本ではお昼の時間ですね。ウラジオストクとの時差が1時間だけで良かったですよ」
1時間だけなら、まだ時差ボケも発生しない。
海外旅行初心者にも良い場所なのかもしれない。
稲生:「何か食べたいものはありますか?」
マリア:「肉」
イリーナ:「私は何でも。勇太君の好きなものでいいよ」
稲生:「僕は久しぶりの日本料理で……あっ」
[同日13:00.天候:曇 同場所サテライト3F BLUE SKY MISO KITCHEN]
稲生:「ここなら肉も食べれますし、トンカツなんかもあるので、日本料理です」
イリーナ:「さすがに揃ってるねぇ」
稲生:「悟朗さん達、幸せそうでしたね」
イリーナ:「勇太君達も参考になったかしら?」
イリーナはニッと笑った。
稲生悟郎は稲生勇太の従兄で、ダンテ一門のナディアと結婚し、今ではウラジオストク住まいである。
稲生:「や、やめてくださいよ、先生……」
マリア:「でも師匠、気のせいでしょうか?ナディアの魔力が落ちたような気がします」
イリーナ:「気のせいじゃないよ。あれは落ちてる」
マリア:「やっぱり!?どうしてですか?」
イリーナ:「そりゃあ、修行を怠けてちゃねぇ……」
マリア:「魔法じゃなくて、持ち前の魔力ですよ?」
イリーナ:「妊娠してるからでしょ。魔女の魔力は、子供を産んだら、その子供に受け継がれるからね」
稲生:「え?子供が生まれたら魔力が無くなっちゃうんですか?」
イリーナ:「日頃の鍛錬だって言ったでしょ。結構そういうのは大事だから」
マリア:(まさか、な……)
マリアはエレーナが言ってたことを思い出した。
エレーナ:「契約悪魔によって、持ち前の魔力は減っても供給は維持されるからな。だけど、元手が減るのは物凄く心配だろ。それでもいいってオトコに出会えたら、それはそれで幸せなことだと思うけどな」
マリア:「私は……」
イリーナ:「あ、言い忘れてた。ナディアの場合は結婚相手が普通の人間だからハンデがあったけど、魔道士同士はハンデ無いからね?」
マリア:「なーんだ!早く言ってくださいよ、師匠」
イリーナ:「先に言っちゃうと、またマリア、修行サボりそうだからね」
マリア:「すいません!」
かくいうイリーナも見習い時代は、むしろ脱走するほどの不真面目さだった。
[同日14:00.天候:曇 成田空港第2ターミナルバス乗り場→京成バス“ONライナー”号車内]
稲生:「直に東京駅に行って、そこから新幹線に乗るという手もあったんですよ?」
イリーナ:「いいのいいの。年末年始、帰省できなかったでしょ?急いで帰る必要は無いんだから、ちょっと勇太君の家に立ち寄ってもいいのよ」
マリア:(勇太のダディを占って、金の無心でもするつもりだな……)
そんなことを話しているとバスがやってきた。
通常の高速バス仕様で、最後部にトイレの付いているタイプだ。
既に乗客がチラホラ乗っているのが見えるのは、第3ターミナルからやってきたからだろう。
バスはここで稲生達を乗せた後、第1ターミナルに寄ってから大宮方面へ出発する。
マリア:「今回はバスなんだ?」
稲生:「この方が乗り換えが少ないですし、“成田エクスプレス”はこの前乗りましたし」
マリア:「なるほど」
イリーナ:「さーて、着いたら起こしてもらおうかね」
イリーナはマリアの席の前に座ると、さっさとリクライニングして寝入る準備に入った。
マリア:「師匠はエコノミークラスでも、爆睡できますねぇ……」
イリーナ:「大昔は貨物船や貨物列車に便乗して旅したものさ」
稲生:「今からすれば、とても信じられませんねぇ……」
バスは乗客数を定員の3分の2に増やして出発した。
稲生:「日本も寒いですね。しばらく暖かい日が続いてたのに、やっと寒くなった」
マリア:「雪も降るようになったからね。これで普通でしょ」
稲生:「……だと思います。でも、交通機関が乱れるのは勘弁だなぁ……」
マリア:「師匠はこれを見越して、勇太の家に滞在しようと言ったのかもね」
稲生:「あ、なるほど」
マリア:「師匠が暢気に寝入ろうとしているということは、このバスは無事に到着できるということ」
稲生:「そういえば、さっきの飛行機もそうでしたね。ダイヤ通りには着けるでしょうか?」
マリア:「私の占いでは、『異常』か『正常』かくらいしか出ないからなぁ……」
稲生:「で、どっちですか?」
マリア:「『正常』」
稲生:「ちなみに時刻表だと、大宮駅西口到着が15時55分です」
マリア:「無事に到着できて、そんなに大きな遅延も無いということでいいんじゃない?」
稲生:「なるほど」
最後に第1ターミナルに停車したバスは、乗車率を90%くらいにした。
イリーナの隣には誰も座らず、そのままバスは成田空港を出発し、高速道路に入った。
相変わらず、空はどんよりと曇っている。
イリーナ:「はーい、日本に到着ぅ~!」
マリア:「ちょっと師匠、待ってください」
イリーナ:「な~に~?」
マリア:「いや、おかしいでしょ?どういう流れで私達、ウラジオストクへ行ってたのか読者の人達知らない……」
イリーナ:「マリアもメタ発言やめようね。ただの休暇じゃない。ナディアとミスター悟朗が誘ってくれたわけだし」
マリア:「いや、そりゃそうですけど……」
稲生:「お待たせしました」
稲生、両手に荷物を抱えて出てくる。
マリア:「勇太、明らかにこのストーリーの流れ、おかしいよな?いつもなら、出発の前段階の話とかやるだろ?」
稲生:「それはカントクに言ってくださいよ。とにかく、無事に帰れて良かったですね」
イリーナ:「勇太君もメタ発言……」
稲生:「僕にとっては海外初体験だったので良かったですよ。シベリア鉄道の駅も見れたわけですし」
イリーナ:「“魔の者”を倒したら、シベリア鉄道のロシア号に乗せてあげるからね」
マリア:「それより何か食べて行きませんか?」
稲生:「日本ではお昼の時間ですね。ウラジオストクとの時差が1時間だけで良かったですよ」
1時間だけなら、まだ時差ボケも発生しない。
海外旅行初心者にも良い場所なのかもしれない。
稲生:「何か食べたいものはありますか?」
マリア:「肉」
イリーナ:「私は何でも。勇太君の好きなものでいいよ」
稲生:「僕は久しぶりの日本料理で……あっ」
[同日13:00.天候:曇 同場所サテライト3F BLUE SKY MISO KITCHEN]
稲生:「ここなら肉も食べれますし、トンカツなんかもあるので、日本料理です」
イリーナ:「さすがに揃ってるねぇ」
稲生:「悟朗さん達、幸せそうでしたね」
イリーナ:「勇太君達も参考になったかしら?」
イリーナはニッと笑った。
稲生悟郎は稲生勇太の従兄で、ダンテ一門のナディアと結婚し、今ではウラジオストク住まいである。
稲生:「や、やめてくださいよ、先生……」
マリア:「でも師匠、気のせいでしょうか?ナディアの魔力が落ちたような気がします」
イリーナ:「気のせいじゃないよ。あれは落ちてる」
マリア:「やっぱり!?どうしてですか?」
イリーナ:「そりゃあ、修行を怠けてちゃねぇ……」
マリア:「魔法じゃなくて、持ち前の魔力ですよ?」
イリーナ:「妊娠してるからでしょ。魔女の魔力は、子供を産んだら、その子供に受け継がれるからね」
稲生:「え?子供が生まれたら魔力が無くなっちゃうんですか?」
イリーナ:「日頃の鍛錬だって言ったでしょ。結構そういうのは大事だから」
マリア:(まさか、な……)
マリアはエレーナが言ってたことを思い出した。
エレーナ:「契約悪魔によって、持ち前の魔力は減っても供給は維持されるからな。だけど、元手が減るのは物凄く心配だろ。それでもいいってオトコに出会えたら、それはそれで幸せなことだと思うけどな」
マリア:「私は……」
イリーナ:「あ、言い忘れてた。ナディアの場合は結婚相手が普通の人間だからハンデがあったけど、魔道士同士はハンデ無いからね?」
マリア:「なーんだ!早く言ってくださいよ、師匠」
イリーナ:「先に言っちゃうと、またマリア、修行サボりそうだからね」
マリア:「すいません!」
かくいうイリーナも見習い時代は、むしろ脱走するほどの不真面目さだった。
[同日14:00.天候:曇 成田空港第2ターミナルバス乗り場→京成バス“ONライナー”号車内]
稲生:「直に東京駅に行って、そこから新幹線に乗るという手もあったんですよ?」
イリーナ:「いいのいいの。年末年始、帰省できなかったでしょ?急いで帰る必要は無いんだから、ちょっと勇太君の家に立ち寄ってもいいのよ」
マリア:(勇太のダディを占って、金の無心でもするつもりだな……)
そんなことを話しているとバスがやってきた。
通常の高速バス仕様で、最後部にトイレの付いているタイプだ。
既に乗客がチラホラ乗っているのが見えるのは、第3ターミナルからやってきたからだろう。
バスはここで稲生達を乗せた後、第1ターミナルに寄ってから大宮方面へ出発する。
マリア:「今回はバスなんだ?」
稲生:「この方が乗り換えが少ないですし、“成田エクスプレス”はこの前乗りましたし」
マリア:「なるほど」
イリーナ:「さーて、着いたら起こしてもらおうかね」
イリーナはマリアの席の前に座ると、さっさとリクライニングして寝入る準備に入った。
マリア:「師匠はエコノミークラスでも、爆睡できますねぇ……」
イリーナ:「大昔は貨物船や貨物列車に便乗して旅したものさ」
稲生:「今からすれば、とても信じられませんねぇ……」
バスは乗客数を定員の3分の2に増やして出発した。
稲生:「日本も寒いですね。しばらく暖かい日が続いてたのに、やっと寒くなった」
マリア:「雪も降るようになったからね。これで普通でしょ」
稲生:「……だと思います。でも、交通機関が乱れるのは勘弁だなぁ……」
マリア:「師匠はこれを見越して、勇太の家に滞在しようと言ったのかもね」
稲生:「あ、なるほど」
マリア:「師匠が暢気に寝入ろうとしているということは、このバスは無事に到着できるということ」
稲生:「そういえば、さっきの飛行機もそうでしたね。ダイヤ通りには着けるでしょうか?」
マリア:「私の占いでは、『異常』か『正常』かくらいしか出ないからなぁ……」
稲生:「で、どっちですか?」
マリア:「『正常』」
稲生:「ちなみに時刻表だと、大宮駅西口到着が15時55分です」
マリア:「無事に到着できて、そんなに大きな遅延も無いということでいいんじゃない?」
稲生:「なるほど」
最後に第1ターミナルに停車したバスは、乗車率を90%くらいにした。
イリーナの隣には誰も座らず、そのままバスは成田空港を出発し、高速道路に入った。
相変わらず、空はどんよりと曇っている。