報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「帰国」

2020-01-27 14:22:34 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月27日12:15.天候:雲 千葉県成田市 成田空港第2ターミナル]

 イリーナ:「はーい、日本に到着ぅ~!」
 マリア:「ちょっと師匠、待ってください」
 イリーナ:「な~に~?」
 マリア:「いや、おかしいでしょ?どういう流れで私達、ウラジオストクへ行ってたのか読者の人達知らない……」
 イリーナ:「マリアもメタ発言やめようね。ただの休暇じゃない。ナディアとミスター悟朗が誘ってくれたわけだし」
 マリア:「いや、そりゃそうですけど……」
 稲生:「お待たせしました」

 稲生、両手に荷物を抱えて出てくる。

 マリア:「勇太、明らかにこのストーリーの流れ、おかしいよな?いつもなら、出発の前段階の話とかやるだろ?」
 稲生:「それはカントクに言ってくださいよ。とにかく、無事に帰れて良かったですね」
 イリーナ:「勇太君もメタ発言……」
 稲生:「僕にとっては海外初体験だったので良かったですよ。シベリア鉄道の駅も見れたわけですし」
 イリーナ:「“魔の者”を倒したら、シベリア鉄道のロシア号に乗せてあげるからね」
 マリア:「それより何か食べて行きませんか?」
 稲生:「日本ではお昼の時間ですね。ウラジオストクとの時差が1時間だけで良かったですよ」

 1時間だけなら、まだ時差ボケも発生しない。
 海外旅行初心者にも良い場所なのかもしれない。

 稲生:「何か食べたいものはありますか?」
 マリア:「肉」
 イリーナ:「私は何でも。勇太君の好きなものでいいよ」
 稲生:「僕は久しぶりの日本料理で……あっ」

[同日13:00.天候:曇 同場所サテライト3F BLUE SKY MISO KITCHEN]

 稲生:「ここなら肉も食べれますし、トンカツなんかもあるので、日本料理です」
 イリーナ:「さすがに揃ってるねぇ」
 稲生:「悟朗さん達、幸せそうでしたね」
 イリーナ:「勇太君達も参考になったかしら?」

 イリーナはニッと笑った。
 稲生悟郎は稲生勇太の従兄で、ダンテ一門のナディアと結婚し、今ではウラジオストク住まいである。

 稲生:「や、やめてくださいよ、先生……」
 マリア:「でも師匠、気のせいでしょうか?ナディアの魔力が落ちたような気がします」
 イリーナ:「気のせいじゃないよ。あれは落ちてる」
 マリア:「やっぱり!?どうしてですか?」
 イリーナ:「そりゃあ、修行を怠けてちゃねぇ……」
 マリア:「魔法じゃなくて、持ち前の魔力ですよ?」
 イリーナ:「妊娠してるからでしょ。魔女の魔力は、子供を産んだら、その子供に受け継がれるからね」
 稲生:「え?子供が生まれたら魔力が無くなっちゃうんですか?」
 イリーナ:「日頃の鍛錬だって言ったでしょ。結構そういうのは大事だから」
 マリア:(まさか、な……)

 マリアはエレーナが言ってたことを思い出した。

 エレーナ:「契約悪魔によって、持ち前の魔力は減っても供給は維持されるからな。だけど、元手が減るのは物凄く心配だろ。それでもいいってオトコに出会えたら、それはそれで幸せなことだと思うけどな」

 マリア:「私は……」
 イリーナ:「あ、言い忘れてた。ナディアの場合は結婚相手が普通の人間だからハンデがあったけど、魔道士同士はハンデ無いからね?」
 マリア:「なーんだ!早く言ってくださいよ、師匠」
 イリーナ:「先に言っちゃうと、またマリア、修行サボりそうだからね」
 マリア:「すいません!」

 かくいうイリーナも見習い時代は、むしろ脱走するほどの不真面目さだった。

[同日14:00.天候:曇 成田空港第2ターミナルバス乗り場→京成バス“ONライナー”号車内]

 稲生:「直に東京駅に行って、そこから新幹線に乗るという手もあったんですよ?」
 イリーナ:「いいのいいの。年末年始、帰省できなかったでしょ?急いで帰る必要は無いんだから、ちょっと勇太君の家に立ち寄ってもいいのよ」
 マリア:(勇太のダディを占って、金の無心でもするつもりだな……)

 そんなことを話しているとバスがやってきた。
 通常の高速バス仕様で、最後部にトイレの付いているタイプだ。
 既に乗客がチラホラ乗っているのが見えるのは、第3ターミナルからやってきたからだろう。
 バスはここで稲生達を乗せた後、第1ターミナルに寄ってから大宮方面へ出発する。

 マリア:「今回はバスなんだ?」
 稲生:「この方が乗り換えが少ないですし、“成田エクスプレス”はこの前乗りましたし」
 マリア:「なるほど」
 イリーナ:「さーて、着いたら起こしてもらおうかね」

 イリーナはマリアの席の前に座ると、さっさとリクライニングして寝入る準備に入った。

 マリア:「師匠はエコノミークラスでも、爆睡できますねぇ……」
 イリーナ:「大昔は貨物船や貨物列車に便乗して旅したものさ」
 稲生:「今からすれば、とても信じられませんねぇ……」

 バスは乗客数を定員の3分の2に増やして出発した。

 稲生:「日本も寒いですね。しばらく暖かい日が続いてたのに、やっと寒くなった」
 マリア:「雪も降るようになったからね。これで普通でしょ」
 稲生:「……だと思います。でも、交通機関が乱れるのは勘弁だなぁ……」
 マリア:「師匠はこれを見越して、勇太の家に滞在しようと言ったのかもね」
 稲生:「あ、なるほど」
 マリア:「師匠が暢気に寝入ろうとしているということは、このバスは無事に到着できるということ」
 稲生:「そういえば、さっきの飛行機もそうでしたね。ダイヤ通りには着けるでしょうか?」
 マリア:「私の占いでは、『異常』か『正常』かくらいしか出ないからなぁ……」
 稲生:「で、どっちですか?」
 マリア:「『正常』」
 稲生:「ちなみに時刻表だと、大宮駅西口到着が15時55分です」
 マリア:「無事に到着できて、そんなに大きな遅延も無いということでいいんじゃない?」
 稲生:「なるほど」

 最後に第1ターミナルに停車したバスは、乗車率を90%くらいにした。
 イリーナの隣には誰も座らず、そのままバスは成田空港を出発し、高速道路に入った。
 相変わらず、空はどんよりと曇っている。
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“私立探偵 愛原学”  登場人物紹介 2

2020-01-27 11:05:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 ボス:

 世界探偵協会日本支部の幹部職員らしい。それ以外の正体は不明。愛原の事務所によく仕事を斡旋してくる。
 電話で名乗る時は、「私だ」としか言わない為、高野からは「私田さんですか?」とか、高橋からは、「『私だ』のオッサン」と呼ばれている。
 ここ最近、出番が無い。

 斉藤秀樹(さいとう・ひでき):

 日本で1、2を争う巨大製薬企業、大日本製薬の代表取締役社長。会社は『ダイニチ』の愛称で知られている。
 かつては他の製薬企業と同様、日本アンブレラに出資していたが、バイオハザードの不祥事を受けて、直ちに手を引く。
 それ以来はバイオテロと戦う方針を打ち出し、国連組織BSAAへの出資に転換する。
 同じく旧アンブレラの贖罪の為と称して設立された“青いアンブレラ”に対しては支援しているのかどうか不明。
 愛原学探偵事務所の大口顧客。
 娘の通う学校法人東京中央学園の出身者。
 その高等部に通っていた時、日本アンブレラから送り込まれた科学教師が怪しげな実験を学校で行っていたと聞いたが、結局その秘密を暴くことなく卒業。
 娘が中等部に通うようになって、やっと愛原にその調査を依頼することができた。
 結果、高等部の科学準備室奥の秘密倉庫が旧・日本アンブレラの営業所に繋がっていたことを突き止め、更にその科学教師が秘密の実験データをアンブレラに流していたことを突き止める(1990年代半ばに高等部の生徒が何人か行方不明になる事件が頻発し、その犯人が日本アンブレラであることを突き止めた。アメリカのアンブレラが初のバイオハザード事件を起こすのもその頃)。
 そのようなことがあってから、愛原を益々信用し、仕事で旅行に連れて行けない自分の代わりに愛原に旅行に連れて行かせるほど。
 高橋や高野は彼の持つ裏の顔に薄々気づいているようだが、愛原は、「巨大企業の経営者なんだ。そりゃ、裏の顔くらい持っているだろうよ」と意にも介さない。

 斉藤絵恋(さいとう・えれん):

 斉藤秀樹の一人娘。性格は大富豪の一人娘にありがちな、ステレオタイプの高飛車ワガママ御嬢様。
 それでも大金持ちということで取り巻きくらいはいそうなものだが、元々富裕層の子弟が通うことが多い東京中央学園では、逆に性格の悪さが目立って取り巻きすら現れないほどだった(というか政治家の子弟や、高級官僚の子弟、大日本製薬よりももっと大きな企業家の子弟もゴロゴロいるので尚更である)。
 幼少の頃から空手を習っており、その実力は黒帯である。
 東北旅行でバイオハザードに巻き込まれた際、餓鬼(のようなクリーチャー)に襲われた時、咄嗟に空手技を駆使し、見事に餓鬼をピヨらせた。
 自分のワガママさを意にも介さず接してきたリサに対し急接近し、今では親友関係である(が、たまにその一線を越えようとすることもしばしば)。
 リサの正体について知った最新の人間である(リサとしては一線を越えようとしてくる絵恋に警告を与える為に正体を曝け出したが、逆に『リサさんになら食べ殺されてもいい!』と、言われる始末であった)。
 ドSな性格で学校内では通っているが、リサの前ではドМに早変わり。
 LGBTのLであることが発覚したが、自称Gの高橋からはキモがられている(のと同時に、絵恋も高橋のGぶりをキモく思っている。LGBT同士、仲が良いとは限らない)。
 リサと一緒にいる為なら秀樹の専属黒服SPを倒すほどの力を発揮し、車も破壊するほど。

 善場優菜(としば・ゆうな):

 年齢は高野と同じくらい。日本政府特務機関に所属する女性エージェント。役職は主任。
 日本アンブレラの悪事の調査と、BSAAと日本政府との連絡役を担っている。
 日本のリサ・トレヴァー達の中で1人だけが完全体であることを早くから突き止め、将来のエージェント候補に指定している。
 それが愛原家で面倒看られているリサ。
 愛原学探偵事務所における最大の顧客。
 日本では非核三原則や、世界的に核軍縮の動きがある為、今さら核武装はできない。
 そこで、この生物兵器ということのようである(無論、リサ・トレヴァーにあっては非人道的且つ違法な手段で製造されたので、これ以上の製造はできない)。
 仕事のせいか勘が鋭く、高野を世界的な諜報組織のエージェントではないかと疑う。
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“私立探偵 愛原学” 登場人物紹介

2020-01-26 19:41:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 愛原学(あいはら・まなぶ):

 主人公。アラフォー。基本的に物語は彼の一人称で進む。
 出だしの自己紹介の通り、東京都内で小さな探偵事務所を経営している。
 当初は東京都北区王子に事務所兼住居を構えていたが、愛原が長期入院中に謎のテロ組織により爆破され、墨田区菊川に引っ越す。
 何故に探偵業を始めたのかは謎。
 当初は1人でやっていたが、とある殺人事件現場で殺人犯の濡れ衣を着せられそうになっていた高橋正義を助け出し、真犯人を暴いたことで、それに感銘した高橋に弟子入りを強く希望されてしまう。
 最初は断っていた愛原だが、高橋より部屋代(キャッシュで1千万円)を渡され、承諾してしまう。
 それ以来、高橋を弟子兼助手として仕事に付き合わせることとなる。
 某県霧生市にて大規模なバイオハザードに遭遇。
 郊外山中にある寺院、大山寺にて高野芽衣子と出会う。
 ゾンビやクリーチャーの攻撃を交わして進む中、バイオハザードの首謀者であるアンブレラコーポレーション・ジャパン(通称、日本アンブレラ製薬)の開発センターにてリサ・トレヴァーと遭遇。
 結果的に高橋、高野、リサと4人で町を脱出する。
 その後、高橋や高野と3人で事務所を切り盛りしていたが、世界探偵協会が主催した豪華クルーズ客船のツアーに参加した際に、再びバイオハザードに遭遇。
 その際、頭を強く打ったことで記憶障害に陥る。
 長期入院している間、夢遊病者のようになり、病院を抜け出して行方不明となる。
 江東区豊洲の寿司屋で腐っていた所、高橋に見つけてもらい、新事務所に連れ戻される。
 その後、リサと再会し、今では高橋やリサと同居している。
 未だに豪華客船内でのバイオハザード事件に関する記憶は戻っていない。
 高橋からは師匠の枠を超えて、とても慕われている。
 また、リサからも親代わりの枠を超えて、とても慕われている。
 何度もバイオハザードを潜り抜けているせいか、銃の扱いには慣れてしまった。

 高橋正義(たかはし・まさよし):

 年齢は20代前半。愛原より長身で且つイケメン。但し、自称ゲイで愛原のことを探偵の師匠としてだけでなく、性的な意味で慕っていると自認している。
 10代の頃は荒れた生活をしており、少年鑑別所は元より、少年院や少年刑務所での服役歴がある。
 ただカリスマ性はあるのか、今でも半グレ達に一目置かれている。
 その為、ケンカはとても強く、ゲーム画面では武器選択画面に『拳』があるほど。
 家族構成は不明で、実家がどこにあるのかも不明。
 但し、本籍地が新潟県であることだけは分かった(越後湯沢に愛原と向かった際、作中には出てこないがバレている)。
 ただ、金には困っていないばかりか、むしろ余っているようで、愛原に住み込み弟子を申し出た際、部屋代と称して1000万円を現金で渡している。
 愛原が常にスーツで行動しているのに対し、高橋はラフな格好をしている。
 これは探偵協会事務所や、クライアントの所へ向かう際にも変わらない。
 試しに一度スーツを着てみたが、まるでホストクラブのホストのようになってしまった。
 髪は短く切っているが金色に染め、両耳にピアスをしている。
 イメージ的には“バイオハザード6”のジェイク・ミューラー(ウェスカー)のようである。
 銃を使う時はハンドガンを両手に構えて打つ、いわゆる二丁撃ちを得意とする。
 愛原を「先生」と慕い、高野芽衣子を「アネゴ」と呼ぶ。
 愛原達が車で行動する際、運転役を務めるが、よく免停を食らう。
 リサからは「お兄ちゃん」と呼ばれている。
 ギャンブルは愛原より得意で、パチンコは愛原よりも勝つ。

 高野芽衣子(たかの・めいこ):

 年齢20代後半の女性。黒髪を肩の所で切っている。
 霧生市にあった地元新聞社で記者をしていたが、バイオハザードに巻き込まれ、その真相を突き止めようとして大山寺に単独取材を行ったところ、ゾンビ達に追われ、大恩坊の女子トイレに追い詰められたところで愛原と高橋に助け出される。
 それ以来、共に行動し、共に町を脱出している。
 それだけに終わらず、愛原の事務所に入所し、事務員を務めている。
 事務員なので、基本的には事務所の外に出て探偵の仕事はしない。
 銃はライフルなどの狙撃銃が得意。
 政府エージェントの善場からは、国際諜報組織のスパイと疑われている(“バイオハザード”シリーズに登場するエイダ・ウォンがこの組織に所属し、高野は彼女によく似ているらしい)。
 荒くれ者の高橋を軽くいなし、彼からは「アネゴ」と呼ばれている。
 リサからは「お姉ちゃん」と呼ばれ、慕われている。
 実際、『女の子の体の悩み』については彼女がほぼ専門的に受けている。
 愛原の事務所では事務員の為か電話が掛かってくると、彼女が真っ先に受ける。
 いい加減、ボスの「私だ」には辟易しているようで、よくボケた受け答えをしている。

 リサ・トレヴァー:

 アメリカのオリジナル版についてはウィキペディアを、そんな彼女の風体についてはピクシブ百科事典辺りを参照して頂きたい。
 日本アンブレラがアメリカのオリジナル版を元に再開発したBOW。
 BOWとは『Bio Organic Weapon』の略で、要は生物兵器のことである。
 アメリカのオリジナル版と同様、人間の少女に様々なウィルスを投与して造り上げたBOW。
 もちろん非人道的且つ違法である。
 日本では何人もの少女が浚われ(その殆どを北朝鮮のせいにしている。日本政府がいつまでも解決しないのを良いことに)、愛原家で面倒看られているリサもその1人。
 アメリカではやっと2017年に実用化されたコンセプト、『少女ならテロ対象地域に送り込んでも、誰も疑わない』というものを日本では早くから着目していたことによる。
 日本にいたリサ達は殆どが暴走クリーチャー化したり、死亡したりしたが、愛原家で面倒看られている個体はアメリカの特異菌兵器エブリンよりも完璧なものであった。
 その為、日本政府特務機関は将来のエージェント候補に指定し、成人するまで愛原家に成育を委託している。
 霧生市の開発センターにいたが、愛原達と共に脱出。
 その後、政府機関にて保護されていたが、紆余曲折を経て愛原家に住むことになった。
 最初愛原達の前に現れた時はセーラー服を着て、白い仮面を着けていた。
 年齢は13歳~14歳。
 愛原を父親のように慕っていたが、何故か途中から『抱かれてもいい』という気持ちになり、裸で愛原のベッドに侵入したり、風呂に一緒に入ろうとしたりする。
 外に出る時は第0形態という人間そっくりな姿に化けており、本来はこの姿であった。
 ところがウィルスの影響からか、正体が鬼娘のような姿になる。
 赤銅色の肌になり、額には一本の角が生え、両耳は長く尖り、両手の爪は鋭く尖る。
 口には牙が生える。
 無論、力も強くなる。
 これが第1形態とされ、家の中ではこの姿でいることが多い。
 第2形態は背中から何本もの触手が生え、両手も長く伸びて触手のようになる。
 第3形態以降はまだ披露していないが、更なる化け物の姿になると思われる。
 ただ、これらを全て自分の意志でできる為、完全体と言えるのである。
 現在は東京中央学園墨田中学校に通う(無論、学校にいる時は第0形態を維持)。
 “愛原リサの日常”というスピンオフでは、主人公を務める。
 当初は彼女の一人称だったが、後に三人称での進行に変更。
 カメラワークは彼女の後ろをカメラが追う方式である。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤親子」

2020-01-26 09:02:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月4日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日から仕事始めだが、まずはお預かりしている斉藤絵恋さんを斉藤社長にお返ししなくてはならなかった。

 斉藤秀樹:「明けまして、おめでとうございます」
 愛原:「社長、明けましておめでとうございます。今年も変わらず、よろしくお願い致します」

 斉藤社長が直接迎えに来た。

 秀樹:「テレビで観ましたよ。大変でしたなぁ」
 愛原:「娘さんを巻き込んでしまって、申し訳ありませんでした」
 秀樹:「愛原さんが悪いわけではありません。それに、こうして娘を無事に守ってくれたんですから、やはりさすがというべきです」
 愛原:「娘さんを直接守ったのは、このリサですよ。リサが迫りくるハンター達から守ってくれたんですから」
 秀樹:「そうですか。いやいや、さすがは日本アンブレラが自慢したがった完全体BOWだ。本当に、ありがとう」

 秀樹はリサの両手をしっかり握った。

 リサ:(〃´∪`〃)ゞ

 リサが照れていると、私は早速本題に入った。

 愛原:「ですが社長、私達は不本意ながらバイオテロに慣れてしまったわけですが、お嬢さんは違います。いくらリサが守ってあげたとはいえ、精神的ショックは大きいです」
 秀樹:「分かっています。今日こうして迎えに参ったのも、それが目的です。冬休みが終わるまで、娘は集中治療させます」
 愛原:「その方がよろしいかと」
 斉藤絵恋:「お父さん……それって……リサさんに会えなくなるってこと?」
 秀樹:「毎日はそりゃ無理だろう。冬休みが終われば学校で会えるじゃないか」
 絵恋:「嫌だ、そんなの!リサさんがいないと私……怖くて……怖いの!」
 秀樹:「それはバイオテロに巻き込まれたからだ。病院で治療すれば、またいつものお前に戻れる。それまでの辛抱だ」
 絵恋:「嫌だ!嫌だ!」
 秀樹:「さあ、来るんだ。治療開始は早い方がいい」
 絵恋:「リサさん、助けてぇぇぇぇっ!!」
 秀樹:「連れて行け!」
 黒服SP1:「はっ!」
 黒服SP2:「かしこまりました」

 さしもの空手有段者の絵恋さんであっても、そこは女子中学生。
 更に屈強な大の大人のSP2人には抵抗できなかった。

 秀樹:「これ以上、そちらに御迷惑はお掛けできませんのでね。あとはこちらで何とかします」
 愛原:「お嬢さんは入院ですか?」
 秀樹:「知り合いの医師に診せる予定ですが、彼の診察次第ですね」
 愛原:「冬休みが終わるまで、まだ10日ほどあります。お見舞いくらいは行ってあげた方がいいかもと思いますが」
 秀樹:「それも主治医次第ですな。彼がどのような判断を下すかによります。……報酬の方ですが、お約束通りの額をお支払い致します。その他の経費につきましては、別途請求して頂ければお支払いしますので」
 愛原:「ありがとうございます」
 秀樹:「あと、これはお年玉だよー」

 何と斉藤社長、リサにお年玉をあげた。

 リサ:「オトシダマ……?」

 しまった!このシステムについて、まだ話していなかった!

 愛原:「お正月に家族やら親戚やら、周りの人が子供にくれる特別なお小遣いのこと!」

 私は急いでリサに耳打ちした。

 リサ:「おー、お小遣い!ありがとうございます」
 愛原:「今、開けちゃいかん!」
 リサ:「そうなの」
 秀樹:「絵恋を助けてくれた御礼だよ。これからも仲良くしてあげてね」
 リサ:「はーい」

 バァン!(事務所入口のドアが乱暴に開けられた音)

 絵恋:「リサざぁぁぁん!絶対ヤダ!私、離れだぐないぃぃぃぃぃ!!」

 絵恋さんが飛び込んで来て、リサの胸に飛び込んだ。
 顔中クシャクシャだ。

 リサ:「サイトー!?どうして!?」

 と、そこへ斉藤社長のケータイが鳴った。

 秀樹:「ああ、私だ。……なに!?」
 黒服SP1:「も、申し訳ありません……!御嬢様……想定外の……強さ……です……ガクッ」Ω\ζ°)チーン
 秀樹:「キミ達が弱いだけだ!だったら、車だけでも回して来たまえ!」
 黒服SP2:「そ、それが、お車の方も御嬢様が暴れられた際にエンジンやら電装やら何か色々壊れまして……」
 秀樹:「こ、この脳筋どもが!だったら、さっさと代わりのタクシーでも拾って来たまえ!」
 リサ:「サイトー、分かった分かった。必ずお見舞いに行ってあげるから、お父さんの言う事聞いてあげて」
 絵恋:「リサさぁん……ううう……」
 リサ:「サイトー、心配無い。私は必ず約束を守る。だから……」

 リサが絵恋さんの背中に手を回した時だった。
 パチッと火花が飛んだ。

 リサ:「熱っ!」
 愛原:「大丈夫か?空気が乾燥してるからな、静電気が起きやすいんだ。ましてや絵恋さん、セーター着てるし」
 リサ:「静電気……?」
 秀樹:「加湿器は置いてないんですか?」
 愛原:「いやあ、他に色々と物入りで買う暇が無くてですねぇ……」
 秀樹:「加湿機能付き空気清浄機なら、いい値段で買えますよ?」
 愛原:「いや、まあねぇ……」
 秀樹:「もし何でしたら、うちの総務で保管してる新古品があるはずなんで、それを融通しますよ?」
 愛原:「いやホント、何から何まで社長には……」
 リサ:(今の静電気?それにしては、随分強い電気だったような……?)

 リサはもう1度絵恋さんの背中に手を回してみたが、今度は何も起きない。

 リサ:(気のせい……?)

 と、そこへ絵恋さんにズタボロにされた黒服SPが入って来た。

 黒服SP2:「社長、やっとタクシーを拾いました!今、外で待たせてますので……」
 秀樹:「ああ、分かった。ほら、絵恋、行くぞ」
 リサ:「サイトー、言う事聞いてあげて」
 絵恋:「うん……。必ずお見舞いに来てね」
 リサ:「分かってる。必ず行くから」

 私とリサは事務所の外まで見送った。
 同じくズタボロにされた黒服SP1が何とか車を修理しようとしている。

 秀樹:「本当に派手に壊してくれたなぁ……。キミ、それはもういいから、修理業者を手配して持って行かせるんだ」
 黒服SP1:「は、はっ!」

 1000万円以上はするベンツが【お察しください】。
 その半額以下のタクシーに乗り込む斉藤親子。
 今度は順調に出発した。

 愛原:「『火事場の馬鹿力』とはいうが、絵恋さんもリサ愛の為にそこまでするかねぇ……」
 高橋:「人間の下半身というのは、往々にして無敵です」( ー`дー´)キリッ
 愛原:「それは男の事だろう?……何だか眠くなってきた。さっさと戻って、一寝入りでもするか」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「……せんでいい」
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“私立探偵 愛原学” 「探偵の仕事始め」

2020-01-25 21:09:01 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月4日08:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 旅行先でのバイオテロ遭遇から翌日、私達は仕事始めをすることになった。

 愛原:「昨日あんなことがあったし、新規の仕事も来ないと思うから、そんなに事務所にいる必要も無いと思うんだ。要は形だけの仕事始めってことになるのかな」
 高橋:「なるほど」

 私は高橋が作ってくれた朝食を口にしながらそう言った。
 テレビでは昨日あったバイオテロのことがニュースで大きく報道されている。

 愛原:「さすがにリサのことは映ってないな」
 高橋:「誰かが撮影してても良さそうなものなんですけどね」
 愛原:「撮影してテレビ局に持ち込むまではいいが、政府機関から待ったが掛かるだろうよ」
 高橋:「なるほど。癒着ですね」
 愛原:「それは正しい表現なのか?」
 高橋:「ネットに書いてありました」
 愛原:「オマエも毒されるんだなぁ……」

 リサが体を張って斉藤絵恋さんを守ったことは事実だ。
 私的には是非とも表彰状でもくれたらと思うのだが。

 高橋:「あいつら、やっぱまだ寝てるんですか?」
 愛原:「ああ。だけど、寝かせといてあげよう。昨日あんなことがあったばかりだし。ぶっちゃけ俺もまだ眠いんだ」
 高橋:「事務所で寝てていいレベルっスか?」
 愛原:「こらこら。何ちゅーことを……」

 しかし私は本気で高橋を窘めず、むしろ苦笑した。
 それは私も思っていたところであるからだ。
 強いてやることと言えば、斉藤社長に絵恋さんを引き渡すことくらいだろうか。
 恐らくそれが当事務所の今年初の仕事になりそうである。
 あとは善場主任からの事情聴取とかもありそうだが、まだまだ彼女らの現地調査は続きそうだから、今日は無いかもしれない。

 愛原:「リサ達の分は用意してあげてるな?」
 高橋:「先生の御命令ですから」

 それは冷蔵庫の中に入っている。
 味噌汁を除いて、全てレンチンすれば食べれるようになっている。
 あとはその旨のメモをテーブルの上に置いておけばいいだろう。

 高橋:「それにしてもマジな話ですかね?」
 愛原:「何が?」
 高橋:「アネゴが何だか秘密組織のスパイだってヤツ」
 愛原:「本人は否定してるし、確たる証拠も無い。それで事務所の仲間を疑ってはいけないよ」
 高橋:「まあ、そうっスね……」

 確かに高野君の場合は謎が多い。
 一応、事務所に入るに当たって履歴書や職務経歴書は受け取った。
 その中には一点の疑問点も無い。
 それは高橋とて同じ。
 10代の大半を少年院や少年刑務所で過ごしたという経歴の為、職務経歴書は無い。
 しかしその割に定時制とはいえ、高校は出ているのだ。
 その為、中卒や高校中退者が殆どを占める少年刑務所ではインテリ扱いをされたらしい。

 高橋:「確かにアネゴ、プライベートは何をしているか分かりませんし……」
 愛原:「履歴書の趣味の欄に『一人旅』って書いてあったからね。それじゃないの?ほら、連休の時とか、よくお土産持って来てくれたりするだろ?」
 高橋:「まあ、確かに……」
 愛原:「そんなに気になるなら聞いてみれば?」
 高橋:「いや、いいっス。何か、後が怖そうなんで」
 愛原:「またどこか旅行行って来た時のお土産くれた時なら、雰囲気的に聞きやすいだろうからね。その時に聞けばいいさ」
 高橋:「そうっスね」

[同日09:00.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]

 愛原:「よぉ、高野君。昨日はお疲れさん」
 高野:「おはようございます。昨日はお疲れさまでした」

 事務所には高野君が先に来ていた。

 高野:「リサちゃん達はまだ?」
 愛原:「ああ、寝ているよ。別に寝かしといてあげてもいいだろ」
 高野:「それはそうなんですが、遅くとも昼までには事務所に来てもらいたいものですね」
 愛原:「どうしてだ?」
 高野:「斉藤社長からメールが来ています。お昼頃に迎えに来るそうです」
 愛原:「そうなのか。一応、メモには朝食を食べ終わったら事務所に来るように書き残してあるが……」

 いざとなったら電話してみよう。
 私が自分の机に座り、斉藤社長へメール返信している時だった。
 高野君がコーヒーを入れてくれた。
 昔はカネが無くてインスタントコーヒーばかりであったが、今ではネスカフェバリスタを導入できるまでになった。

 愛原:「ありがとう」
 高野:「いいえ。ところでテレビ、ご覧になりましたか?昨日のこと、大騒ぎですよ」
 愛原:「だろうな。『霧生市の再来』なんてな」
 高橋:「ハンターが5~6匹暴れただけで、ウィルスがばら撒かれたわけじゃないんですから大げさっスよね」
 高野:「ハンターが1匹暴れるだけでも凄いことなのに、それが5~6匹で尚且つそこから感染してゾンビになった人もいるんだから、やっぱり大きな事よ」
 愛原:「そういうことだな。BSAAが出動したくらいだから、そりゃもうデカい騒ぎさ」

 とはいうものの、高橋の言う事も決して間違ってはおらず、富士宮市で封鎖されたのは件の国道上から数キロ圏内だけだそうだ。
 それも、今日になってその封鎖範囲は縮小されるという。
 ハンターはそんなに国道から離れた場所まで行って暴れたわけではないし、そこから感染してゾンビになった人達も、ゾンビの動きは酔っ払いの千鳥足並みだ。
 やはり、そんなに遠くまでは行っていないということで、封鎖区画は縮小されるということだ。
 初期のパンデミックみたいに、空気感染したわけではないことが不幸中の幸いということか。
 と、そこへ事務所の電話が鳴った。

 高野:「おはようございます。愛原学探偵事務所でございます。……ああ、リサちゃん。昨日はお疲れさんね。……うん、分かった。先生ね。ちょっと待ってて」
 愛原:「リサからか?」
 高野:「そうです」

 私は自分の机の電話機を取った。

 愛原:「おーう、リサか。やっと起きたか」
 リサ:「先生、おはよう」
 愛原:「おはよう。具合はどうだ?」
 リサ:「私は大丈夫。でも、サイトーがやっぱりうなされてた」
 愛原:「そうか。まあ、今日は絵恋さんのお父さんが迎えに来る。今日は土曜日だけど、まあ、土曜日でも診察している所はあるから、そこへ連れて行くつもりだろう。朝ごはんを食べ終わったら、事務所に来るんだ。いいね?」
 リサ:「分かった」

 リサは素直に頷いた。
 私も電話を切ると、早速斉藤社長に迎えの時間の希望を送信した。
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