[7月25日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
昼は高橋が駅前のマクドナルドで、ハンバーガーを買って来た。
取りあえず、昼食はそれにする。
リサ:「サイトーと宿題やる」
愛原:「夏休みの宿題か。学生は大変だなぁ」
リサ:「給湯室のテーブル、使っていい?」
愛原:「いいよ」
リサ:「サイトー、こっちへ」
絵恋:「はーい」
愛原:「あ、午後は来客があるから、それからの方がいいかもな?」
リサ:「そうなの?いつ来る?」
愛原:「もうそろそろ来るよ」
リサ:「誰が?」
愛原:「キミのBOWの先輩さん」
リサ:「!?」
事務所の外から、エレベーターの到着する音が聞こえる。
善場:「お邪魔します。善場です」
リサ:「出たーっ!日本版リサ・トレヴァー『12番』!」
善場:「今は、『0番』です」
元『12番』。
12人いた日本版リサ・トレヴァーの中で、唯一人間に戻れた人。
……となっているが、後遺症は残っており、現在も経過観察の為に、便宜上の番号として『0番』を与えられている。
その為、日本版リサ・トレヴァーの左腋の下に彫られた入れ墨も、12から0へと変えられている。
もし仮に『2番』のリサが人間に戻れたら、『00番』の番号が与えられるという。
プロ野球選手の背番号か!
善場:「我那覇絵恋さん、沖縄からの長旅、お疲れさまです。ちょっとお話、よろしいでしょうか?」
リサ:「ガナハ……?」
絵恋:「わ、私の今の名字です。母は……父と離婚したので、母方の名字に変わりました」
そういうことか!
絵恋さんの母親は沖縄の人だから、名字もそれ系のものなんだ!
さすがに逃走中の容疑者に親権は無理だから、絵恋さんは母親が親権を取ったのだ。
リサ:「えっ?じゃあ、もうサイトーじゃないの?」
絵恋:「う、うん……そうなの……」
リサ:「えーと……」
絵恋:「下の名前で呼んでくれるといいかなぁ……なんて」
リサ:「うーん……分かった」
とはいえ、リサの混乱は続きそうだ。
まあ、1番混乱しているのは絵恋さん本人だろうがな。
善場:「後で所長ともお話をさせて頂きますが、まずは我那覇さんとお話しさせてください」
愛原:「は、はい。どうぞ」
私は応接室を案内した。
やっぱり、違和感あるなぁ……。
で、逆にキラキラネームであるはずの『絵恋』が、琉球苗字にしっくる来ると……。
それから30分後……。
善場:「お待たせしました。次は所長、お願いします」
愛原:「は、はい!」
絵恋さんが出て来て、今度は私が呼ばれた。
高橋:「お茶、お入れしますね」
愛原:「さっき、出してなかったんかい!」
善場:「どうぞ、お構いなく」
私は応接室に入り、善場主任と向かい合ってソファに座った。
高橋:「どうぞ。アップルティーでヤンス」
愛原:「凄いね!?凄いの入れて来たね!?アップルティー入れてきたの!?」
高橋:「うっス!どうぞ!」
私はマグカップを口に運んだ。
愛原:「ただのお茶じゃねーか、バカ!なにウソついてんだ!」
高橋:「サーセン」
善場:「ま、せっかくですので、頂きます」
高橋、退室する。
愛原:「さっきは絵恋さんに、何の話だったんですか?」
善場:「最近の生活状況と、やはり斉藤容疑者の動向を聞きました」
愛原:「斉藤元社長、連絡なんかしないんじゃないですか?」
善場:「もしかしたら、家族とは連絡を取っていると思ったのです。まあ、本人も一切連絡していないということでしたが」
愛原:「でしょうねぇ……」
まだロシア国内に潜伏しているのだろうか?
まさか、ウクライナに行くとは思えないが。
しかし、その思えない行動をしてこその完全犯罪とも言える。
ちょっと、完全犯罪の意味合いは違うが。
最終的な目的地は、ドバイかレバノンだろうか。
善場:「あのコ、1週間くらいは滞在するそうですね」
愛原:「それでも短いと言ってましたよ」
善場:「滞在中は、ずっと所長の御宅に?」
愛原:「そうですね。まあ、こっちの友達と、色々どこかに出かけたりするようですが」
善場:「明日はリサ達と、ディズニーリゾートに行くと言ってました」
愛原:「ちょっと待ってください!私、聞いてないんですけど!?」
善場:「ちょっとリサ、こっちに来なさい!」
リサと絵恋さんが呼ばれ、確認したところ、やっぱりディズニーリゾートに行く気、満々だという。
因みにチケットに関しては、既に絵恋さんが沖縄で人数分調達済みとのこと。
愛原:「引率はどうするんですか?」
善場:「通学に関しては我那覇さんに一任していましたので、今回も我那覇さんにお願いしましょうか」
愛原:「大丈夫ですかね?」
善場:「本来、BOWの県外への旅行は、指定引率者が同行しなければならない決まりになっています」
愛原:「やっぱり……」
東京ディズニーリゾートっつったって、実際の所在地は千葉県だからね、あそこ。
善場:「ただ、TDRに関しては特例が認められるかもしれません」
愛原:「そうなんですか。さすかば夢の国、何でもありですね」
善場:「それもあるかもしれませんけど、以前、しれっと日本版リサ・トレヴァー『1番』が人間のフリしてTDRに出入りしたことが明らかになって、関係各所で大騒ぎになりました」
愛原:「何ですか、それ?どうやって入ったんですか?」
善場:「聖クラリス女学院で行われた社会科見学に、付いて行ったようですね」
愛原:「で、何も無かったと?」
善場:「あの時は……」
愛原:「さすがは夢の国。超危険人間型BOWでさえも魅了する」
善場:「そういう問題ではありません。ただ、そんなことがあったこともあってか、夢の国に関しては特例で認めることになりましたので、多分『1番』よりは危険性の低い、『2番』のリサもそれで行けるかと……」
出た出た、“ベタな日本のお役所仕事の法則”。
前例が無いと正論でも認めず、前例ができたらトンデモ理論でも認める法則。
裁判所がいい例だろ?
愛原:「ま、デイライトさんがOKなら大丈夫ですね。リサも、友人達と一緒なら暴走もしにくいでしょう」
善場:「それを期待しています。それと所長に関しても、質問があるのですが……」
愛原:「何でしょう?」
善場:「愛原公一氏との接触は、いつ行いますか?」
愛原:「一応、今週末を考えています。今は離婚した伯母の実家が経営する旅館に転がり込んでおりまして、そこで世話になっているようです」
善場:「そうですか。所長は所長で、何か考えがあるのですね?」
愛原:「考えがあるというか……。私にとっても親戚宅なので、いきなりお邪魔するのもどうかと思っているだけです。一応、客として宿泊するくらいの誠意は見せておこうかと」
善場:「リサの監視と、愛原公一氏からの情報提供はこちらからの依頼です。経費はお支払いしますし、とても良い情報であった場合、それ相応の謝礼もさせて頂きます」
愛原:「ありがとうございます」
善場主任にとって、今回の私に対する用件は、仕事の依頼であったようだ。
恐らく公一伯父さんは、起訴猶予後も、デイライトさんや他の公的機関からの事情聴取を受けていたのだろう。
だが、断ったり、のらりくらりと交わしていた。
そこへ、甥っ子である私にだけ話すということで、こうして仕事の依頼が来たということだ。
昼は高橋が駅前のマクドナルドで、ハンバーガーを買って来た。
取りあえず、昼食はそれにする。
リサ:「サイトーと宿題やる」
愛原:「夏休みの宿題か。学生は大変だなぁ」
リサ:「給湯室のテーブル、使っていい?」
愛原:「いいよ」
リサ:「サイトー、こっちへ」
絵恋:「はーい」
愛原:「あ、午後は来客があるから、それからの方がいいかもな?」
リサ:「そうなの?いつ来る?」
愛原:「もうそろそろ来るよ」
リサ:「誰が?」
愛原:「キミのBOWの先輩さん」
リサ:「!?」
事務所の外から、エレベーターの到着する音が聞こえる。
善場:「お邪魔します。善場です」
リサ:「出たーっ!日本版リサ・トレヴァー『12番』!」
善場:「今は、『0番』です」
元『12番』。
12人いた日本版リサ・トレヴァーの中で、唯一人間に戻れた人。
……となっているが、後遺症は残っており、現在も経過観察の為に、便宜上の番号として『0番』を与えられている。
その為、日本版リサ・トレヴァーの左腋の下に彫られた入れ墨も、12から0へと変えられている。
もし仮に『2番』のリサが人間に戻れたら、『00番』の番号が与えられるという。
プロ野球選手の背番号か!
善場:「我那覇絵恋さん、沖縄からの長旅、お疲れさまです。ちょっとお話、よろしいでしょうか?」
リサ:「ガナハ……?」
絵恋:「わ、私の今の名字です。母は……父と離婚したので、母方の名字に変わりました」
そういうことか!
絵恋さんの母親は沖縄の人だから、名字もそれ系のものなんだ!
さすがに逃走中の容疑者に親権は無理だから、絵恋さんは母親が親権を取ったのだ。
リサ:「えっ?じゃあ、もうサイトーじゃないの?」
絵恋:「う、うん……そうなの……」
リサ:「えーと……」
絵恋:「下の名前で呼んでくれるといいかなぁ……なんて」
リサ:「うーん……分かった」
とはいえ、リサの混乱は続きそうだ。
まあ、1番混乱しているのは絵恋さん本人だろうがな。
善場:「後で所長ともお話をさせて頂きますが、まずは我那覇さんとお話しさせてください」
愛原:「は、はい。どうぞ」
私は応接室を案内した。
やっぱり、違和感あるなぁ……。
で、逆にキラキラネームであるはずの『絵恋』が、琉球苗字にしっくる来ると……。
それから30分後……。
善場:「お待たせしました。次は所長、お願いします」
愛原:「は、はい!」
絵恋さんが出て来て、今度は私が呼ばれた。
高橋:「お茶、お入れしますね」
愛原:「さっき、出してなかったんかい!」
善場:「どうぞ、お構いなく」
私は応接室に入り、善場主任と向かい合ってソファに座った。
高橋:「どうぞ。アップルティーでヤンス」
愛原:「凄いね!?凄いの入れて来たね!?アップルティー入れてきたの!?」
高橋:「うっス!どうぞ!」
私はマグカップを口に運んだ。
愛原:「ただのお茶じゃねーか、バカ!なにウソついてんだ!」
高橋:「サーセン」
善場:「ま、せっかくですので、頂きます」
高橋、退室する。
愛原:「さっきは絵恋さんに、何の話だったんですか?」
善場:「最近の生活状況と、やはり斉藤容疑者の動向を聞きました」
愛原:「斉藤元社長、連絡なんかしないんじゃないですか?」
善場:「もしかしたら、家族とは連絡を取っていると思ったのです。まあ、本人も一切連絡していないということでしたが」
愛原:「でしょうねぇ……」
まだロシア国内に潜伏しているのだろうか?
まさか、ウクライナに行くとは思えないが。
しかし、その思えない行動をしてこその完全犯罪とも言える。
ちょっと、完全犯罪の意味合いは違うが。
最終的な目的地は、ドバイかレバノンだろうか。
善場:「あのコ、1週間くらいは滞在するそうですね」
愛原:「それでも短いと言ってましたよ」
善場:「滞在中は、ずっと所長の御宅に?」
愛原:「そうですね。まあ、こっちの友達と、色々どこかに出かけたりするようですが」
善場:「明日はリサ達と、ディズニーリゾートに行くと言ってました」
愛原:「ちょっと待ってください!私、聞いてないんですけど!?」
善場:「ちょっとリサ、こっちに来なさい!」
リサと絵恋さんが呼ばれ、確認したところ、やっぱりディズニーリゾートに行く気、満々だという。
因みにチケットに関しては、既に絵恋さんが沖縄で人数分調達済みとのこと。
愛原:「引率はどうするんですか?」
善場:「通学に関しては我那覇さんに一任していましたので、今回も我那覇さんにお願いしましょうか」
愛原:「大丈夫ですかね?」
善場:「本来、BOWの県外への旅行は、指定引率者が同行しなければならない決まりになっています」
愛原:「やっぱり……」
東京ディズニーリゾートっつったって、実際の所在地は千葉県だからね、あそこ。
善場:「ただ、TDRに関しては特例が認められるかもしれません」
愛原:「そうなんですか。さすかば夢の国、何でもありですね」
善場:「それもあるかもしれませんけど、以前、しれっと日本版リサ・トレヴァー『1番』が人間のフリしてTDRに出入りしたことが明らかになって、関係各所で大騒ぎになりました」
愛原:「何ですか、それ?どうやって入ったんですか?」
善場:「聖クラリス女学院で行われた社会科見学に、付いて行ったようですね」
愛原:「で、何も無かったと?」
善場:「あの時は……」
愛原:「さすがは夢の国。超危険人間型BOWでさえも魅了する」
善場:「そういう問題ではありません。ただ、そんなことがあったこともあってか、夢の国に関しては特例で認めることになりましたので、多分『1番』よりは危険性の低い、『2番』のリサもそれで行けるかと……」
出た出た、“ベタな日本のお役所仕事の法則”。
前例が無いと正論でも認めず、前例ができたらトンデモ理論でも認める法則。
裁判所がいい例だろ?
愛原:「ま、デイライトさんがOKなら大丈夫ですね。リサも、友人達と一緒なら暴走もしにくいでしょう」
善場:「それを期待しています。それと所長に関しても、質問があるのですが……」
愛原:「何でしょう?」
善場:「愛原公一氏との接触は、いつ行いますか?」
愛原:「一応、今週末を考えています。今は離婚した伯母の実家が経営する旅館に転がり込んでおりまして、そこで世話になっているようです」
善場:「そうですか。所長は所長で、何か考えがあるのですね?」
愛原:「考えがあるというか……。私にとっても親戚宅なので、いきなりお邪魔するのもどうかと思っているだけです。一応、客として宿泊するくらいの誠意は見せておこうかと」
善場:「リサの監視と、愛原公一氏からの情報提供はこちらからの依頼です。経費はお支払いしますし、とても良い情報であった場合、それ相応の謝礼もさせて頂きます」
愛原:「ありがとうございます」
善場主任にとって、今回の私に対する用件は、仕事の依頼であったようだ。
恐らく公一伯父さんは、起訴猶予後も、デイライトさんや他の公的機関からの事情聴取を受けていたのだろう。
だが、断ったり、のらりくらりと交わしていた。
そこへ、甥っ子である私にだけ話すということで、こうして仕事の依頼が来たということだ。
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