[6月29日11:00.天候:晴 長野県北部の山間部 マリアの屋敷]
稲生:(イリーナ先生の所に弟子入りしてから、どのくらい経っただろう?何か、あっという間な気がするなぁ……)
それでもまだ新人であることに変わりは無い。
その理由として、未だにイリーナやマリア宛ての郵便物のチェックを行う役目があるからだ。
まあ、未だに殆どがイリーナ宛のものばかりであるが。
英語で書かれていたり、ロシア語で書かれていたりと、世界各地から手紙が届いているのが分かる。
中には日本語で書かれているのもあった。
稲生:(相変わらず大企業からの手紙が多いな……)
その手紙を仕分けて届けに行くのが弟子の仕事。
ところが少し困ったことがあった。
稲生:「マリアさん、お手紙ですよ」
マリア:「ありがとう」
マリアは大抵、屋敷の西側1階奥のリビングルームにいることが多い。
そこで趣味の人形作りをしていたり、魔道書を読んでいたりする。
で、今回もちゃんとそこにいた。
長野にも夏が訪れていることもあり、緑色のブレザーは脱いで、白いブラウスが目に付くようになっている。
稲生:「先生宛ての手紙が多いんです」
マリア:「そうか。で、師匠がどこにいるか?か……」
稲生:「そうなんですよ」
この広い洋館の中に、一体どこにいるかだ。
マリア:「どうせお腹が空いたら、大食堂に行くだろうから、そこのテーブルの上に置いといたら?」
稲生:「うーん……。それだと弟子としての本分が……」
マリア:「うちの師匠はそんなこと気にしないよ」
稲生:「いや、まあ、捜してみます。マリアさんは心当たりは無いですか?」
マリア:「心当たりなんて、そんな不確かな勘を頼るより……」
マリアはテーブルの上の水晶球に手を置いた。
マリア:「これで捜した方が早い」
稲生:「なるほど」
ポウッと水晶玉に現れたのは、イリーナの寝顔。
稲生:「ん?」
マリアが怪訝な顔をして、もうちょっと退いた画像にした。
マリア:「ここは2階書庫の映像だな。……チッ、ものの見事に居眠りしてやがる」
稲生:「ハハハハ……」
ちょっとした図書室があり、閲覧する為の椅子とテーブルがあるのだが、イリーナは山積みにした本を枕に、机に突っ伏して寝ていた。
稲生:「場所が分かったんで行ってきます」
マリア:「3階吹き抜けの上から、その手紙バラ撒いてやったら?」
稲生:「いやいやいや……」
稲生はリビングルームを出ると、2階図書室に向かった。
途中に即死トラップなどがあるが、稲生達のような関係者には作動しない。
また、メイド人形達が廊下の掃除をしていたりする。
稲生達のような関係者には何もしてこないが、これが侵入者だったりすると、掃除用具を凶器に持ち替えて襲ってくる。
“バイオハザード”シリーズのように複数で襲撃するのか、それとも“クロックタワー”シリーズのように、1人ずつ追跡して追い詰めるのかは侵入者次第である。
稲生:「こんにちは、マーガレットさん」
マーガレット:「こんにちは」
2階への階段を掃除しているメイド人形のマーガレット。
もちろん侵入者に対しては、「ヒャッハー!ここは通さねぇぜ!」的な勢いで立ちはだかるのである。
関係者たる稲生にあっては即死トラップが作動しないし、いざとなったら警備兵となるメイド人形も襲って来ない。
それなら簡単じゃないかと思われるだろうが、そんな関係者でも困らせてしまうものがあった。
稲生:「失礼しま……」
ガチッ!(←図書室入口のドア、しっかり鍵が掛かっている)
稲生:orz
ミア:「どうかなさいましたか?」
図書室周辺を掃除している(兼侵入者に対しては、電ノコで襲い掛かって来る超危険な)メイド人形のミアが話し掛けて来た。
稲生:「ああ、ミアさん。この中にイリーナ先生がいらっしゃると思うんですけど、鍵が掛かってるんですよ」
ミア:「まあ」
稲生:「ミアさん、鍵持ってません?」
ミア:「あいにくですが、私は持ち合わせておりません」
稲生:「だよなぁ……」
ミア:「あ、でも、確かミカエラ様とクラリス様がマスターキーをお持ちですよ」
稲生:「あ、そうか!その手があった!」
メイド人形のリーダーたるミカエラとサブリーダーのクラリス。
彼女らはマスターキーを持っていたのだった。
クラリス:「何かありましたか?」
ミア:「副メイド長!お疲れさまです!」
稲生:「ああ、クラリスさん!ちょうどいい所に来てくれた!」
人形形態の時はハク人形と呼ばれ、同じくミク人形と呼ばれる人形形態のミカエラとはコンビでコミカルな動きをしてくれるわけだが、今の人間形態にあっては、凛としたメイドぶりを発揮してくれる。
稲生:「実は……」
稲生は現況をミカエラに話した。
稲生:「そしたら、あなたとミカエラさんがマスターキーをお持ちということで、是非ともここを開けてもらいたいんです」
クラリス:「申し訳ありませんが、それはできません」
稲生:「せ、責任なら僕が取りますよ!?」
クラリス:「いえ、できません」
稲生:「また電車で旅行の時、車内販売のアイス買ってあげますから!」
クラリス:「ゴクリ……!あ、いえ、あなただからダメってことではなくて、ですね……。要は、鍵を持っていないのです」
稲生:「え?」
クラリス:「今日の私の担当は東側でありまして、東側のマスターキーしか持たされていないのですよ。こちらの西側は担当のミカエラが持っております」
稲生:「ええっ!?それじゃあ、ミカエラさんは……?」
クラリス:「裏庭の掃き掃除に行くと、出て行きましたが……」
稲生は裏庭に出る途中の道に設置されたガーゴイルが誤作動を起こし、関係者であるにも関わらず襲って来たというトラウマを思い出した。
それだけではない。
魔法の影響を受けて巨大化したオニグモが、しっかりとデカい蜘蛛の巣を張って進路妨害をしていたこともあった。
稲生:「ミカエラさん、カムバック!!」
と、その時、近くの廊下で内線電話が鳴った。
稲生:「ああ、いいよ。僕が取る」
黒電話でジリリと鳴るタイプなので結構響く。
稲生:「はい、もしもし」
マリア:「あー、私だ、私」
稲生:「マリアさん」
マリア:「もしかして、書庫の入口、鍵掛かってた?」
稲生:「そうなんです!」
マリア:「やはりか。何だったら、私がグランドマスター・キー持ってるから、取りに来て」
稲生:「……もっとその手があったかorz」
ここはマリアの屋敷である。
実質的なオーナーはイリーナではあっても。
強い管理者権限を持っていることに、変わりは無い。
稲生:(イリーナ先生の所に弟子入りしてから、どのくらい経っただろう?何か、あっという間な気がするなぁ……)
それでもまだ新人であることに変わりは無い。
その理由として、未だにイリーナやマリア宛ての郵便物のチェックを行う役目があるからだ。
まあ、未だに殆どがイリーナ宛のものばかりであるが。
英語で書かれていたり、ロシア語で書かれていたりと、世界各地から手紙が届いているのが分かる。
中には日本語で書かれているのもあった。
稲生:(相変わらず大企業からの手紙が多いな……)
その手紙を仕分けて届けに行くのが弟子の仕事。
ところが少し困ったことがあった。
稲生:「マリアさん、お手紙ですよ」
マリア:「ありがとう」
マリアは大抵、屋敷の西側1階奥のリビングルームにいることが多い。
そこで趣味の人形作りをしていたり、魔道書を読んでいたりする。
で、今回もちゃんとそこにいた。
長野にも夏が訪れていることもあり、緑色のブレザーは脱いで、白いブラウスが目に付くようになっている。
稲生:「先生宛ての手紙が多いんです」
マリア:「そうか。で、師匠がどこにいるか?か……」
稲生:「そうなんですよ」
この広い洋館の中に、一体どこにいるかだ。
マリア:「どうせお腹が空いたら、大食堂に行くだろうから、そこのテーブルの上に置いといたら?」
稲生:「うーん……。それだと弟子としての本分が……」
マリア:「うちの師匠はそんなこと気にしないよ」
稲生:「いや、まあ、捜してみます。マリアさんは心当たりは無いですか?」
マリア:「心当たりなんて、そんな不確かな勘を頼るより……」
マリアはテーブルの上の水晶球に手を置いた。
マリア:「これで捜した方が早い」
稲生:「なるほど」
ポウッと水晶玉に現れたのは、イリーナの寝顔。
稲生:「ん?」
マリアが怪訝な顔をして、もうちょっと退いた画像にした。
マリア:「ここは2階書庫の映像だな。……チッ、ものの見事に居眠りしてやがる」
稲生:「ハハハハ……」
ちょっとした図書室があり、閲覧する為の椅子とテーブルがあるのだが、イリーナは山積みにした本を枕に、机に突っ伏して寝ていた。
稲生:「場所が分かったんで行ってきます」
マリア:「3階吹き抜けの上から、その手紙バラ撒いてやったら?」
稲生:「いやいやいや……」
稲生はリビングルームを出ると、2階図書室に向かった。
途中に即死トラップなどがあるが、稲生達のような関係者には作動しない。
また、メイド人形達が廊下の掃除をしていたりする。
稲生達のような関係者には何もしてこないが、これが侵入者だったりすると、掃除用具を凶器に持ち替えて襲ってくる。
“バイオハザード”シリーズのように複数で襲撃するのか、それとも“クロックタワー”シリーズのように、1人ずつ追跡して追い詰めるのかは侵入者次第である。
稲生:「こんにちは、マーガレットさん」
マーガレット:「こんにちは」
2階への階段を掃除しているメイド人形のマーガレット。
もちろん侵入者に対しては、「ヒャッハー!ここは通さねぇぜ!」的な勢いで立ちはだかるのである。
関係者たる稲生にあっては即死トラップが作動しないし、いざとなったら警備兵となるメイド人形も襲って来ない。
それなら簡単じゃないかと思われるだろうが、そんな関係者でも困らせてしまうものがあった。
稲生:「失礼しま……」
ガチッ!(←図書室入口のドア、しっかり鍵が掛かっている)
稲生:orz
ミア:「どうかなさいましたか?」
図書室周辺を掃除している(兼侵入者に対しては、電ノコで襲い掛かって来る超危険な)メイド人形のミアが話し掛けて来た。
稲生:「ああ、ミアさん。この中にイリーナ先生がいらっしゃると思うんですけど、鍵が掛かってるんですよ」
ミア:「まあ」
稲生:「ミアさん、鍵持ってません?」
ミア:「あいにくですが、私は持ち合わせておりません」
稲生:「だよなぁ……」
ミア:「あ、でも、確かミカエラ様とクラリス様がマスターキーをお持ちですよ」
稲生:「あ、そうか!その手があった!」
メイド人形のリーダーたるミカエラとサブリーダーのクラリス。
彼女らはマスターキーを持っていたのだった。
クラリス:「何かありましたか?」
ミア:「副メイド長!お疲れさまです!」
稲生:「ああ、クラリスさん!ちょうどいい所に来てくれた!」
人形形態の時はハク人形と呼ばれ、同じくミク人形と呼ばれる人形形態のミカエラとはコンビでコミカルな動きをしてくれるわけだが、今の人間形態にあっては、凛としたメイドぶりを発揮してくれる。
稲生:「実は……」
稲生は現況をミカエラに話した。
稲生:「そしたら、あなたとミカエラさんがマスターキーをお持ちということで、是非ともここを開けてもらいたいんです」
クラリス:「申し訳ありませんが、それはできません」
稲生:「せ、責任なら僕が取りますよ!?」
クラリス:「いえ、できません」
稲生:「また電車で旅行の時、車内販売のアイス買ってあげますから!」
クラリス:「ゴクリ……!あ、いえ、あなただからダメってことではなくて、ですね……。要は、鍵を持っていないのです」
稲生:「え?」
クラリス:「今日の私の担当は東側でありまして、東側のマスターキーしか持たされていないのですよ。こちらの西側は担当のミカエラが持っております」
稲生:「ええっ!?それじゃあ、ミカエラさんは……?」
クラリス:「裏庭の掃き掃除に行くと、出て行きましたが……」
稲生は裏庭に出る途中の道に設置されたガーゴイルが誤作動を起こし、関係者であるにも関わらず襲って来たというトラウマを思い出した。
それだけではない。
魔法の影響を受けて巨大化したオニグモが、しっかりとデカい蜘蛛の巣を張って進路妨害をしていたこともあった。
稲生:「ミカエラさん、カムバック!!」
と、その時、近くの廊下で内線電話が鳴った。
稲生:「ああ、いいよ。僕が取る」
黒電話でジリリと鳴るタイプなので結構響く。
稲生:「はい、もしもし」
マリア:「あー、私だ、私」
稲生:「マリアさん」
マリア:「もしかして、書庫の入口、鍵掛かってた?」
稲生:「そうなんです!」
マリア:「やはりか。何だったら、私がグランドマスター・キー持ってるから、取りに来て」
稲生:「……もっとその手があったかorz」
ここはマリアの屋敷である。
実質的なオーナーはイリーナではあっても。
強い管理者権限を持っていることに、変わりは無い。
ゾンビやハンターが徘徊するホラーな洋館だが、元々はちゃんと人が住んでいたわけである。
当作品ではそれを模した魔女の屋敷であるが、そこの住民達はちゃんと済んで都にしているわけである。
婦人部の“今日も元気で”は、そのまま顕正会の婦人部員達が歌っていても何の違和感も無い。
それより、しなの合唱団のコンサートの模様を視聴できる所が面白い。
その完成度は高く、多分この辺は顕正会と法華講は負けるのではないかと思った。
コンサート前までに厳しい練習を積んできた成果が見られた。
“森ヶ崎海岸”ではメンバーの一部が1人ずつソロで歌うシーンがあるが、やっぱりなと思った。
あの歌は合唱曲というより、歌謡曲風なので、ソロで歌う方が違和感が無い。
カラオケでダークダックスの歌として歌えるので、昔歌ってみたことがある。
学会員炙り出しのつもりだったが、誰も炙り出てこなかったので、私の知り合いに学会員はいないことになる(因みにその時、報恩坊さんを辞めて、法道院さんにお世話になる前の無宗教期間だったので、謗法的には何の問題も無い)。
……うん、やっぱり“森ヶ崎海岸”は歌謡曲だった。
恐らく反学会の法華講女子や顕正女子は、
「キモメン学会員達のキモい学会歌(笑)」
とでも思うだろう。
坂井久美子さんやパラパラ茜のオバハンは、まず間違い無くそう書くと思われる。
確かにメンバーの中にイケメンと思しき者はいない。
だが、オタメンでもあれだけできればカッコいいという評価を出してくれる法華講女子や顕正女子と……私は出会うことはなかった。