報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

スマホにおける緊急地震速報の動作確認ができた

2013-08-09 02:36:40 | 日記
 “ボカロマスター”より。また続き。

[19:05 九段下駅→新宿 南里志郎]

 地下鉄の駅は大混乱のようじゃった。わしは帰宅ラッシュで混雑する駅構内を進み、ようやっと敷島君と合流できたのだ。
 よくよく見たら、シンポジウム会場とそう遠くない場所ではないか。
「所長、とにかく財団本部に避難しましょう」
「うむ」
「先生にお怪我が無くて良かったです」
 わしは車に乗り込み、九段下駅から本部のある新宿に向かっている。敷島君や平賀君は安堵の顔を見せてくれた。エミリーも久方ぶりに、目に涙を浮かべた顔を見せてくれた。
「じゃが、こうしている間にも、シンディが追ってくるかもしれん。急いでくれ」
「大丈夫です。私達が全力でお守りします。ね?エミリー」
「イエス……」
 七海がニコリと笑って言った。後輩の言葉に、エミリーは小さく頷いた。
「…………」
 カーラジオからは東西線の電車がテロに遭い、多数の怪我人が出ているニュースが大きく報じられておる。しかし、だ。落ち着いて考えてみると、今回の件、いくつかの謎がある。
 そもそも、わしが遠く遥々仙台から足を運んできたのは、財団主催のシンポジウムにパネリストとして招かれたからだ。これ事態は怪しくも何ともない。シンポは年に数回、本部や各支部で行われているからだ。しかし一般の聴衆を招くこともあって、開催告知は財団公式サイトなどで大きく紹介しておる。従って、今回の件はウィリーにも知れ渡っていることだろう。そんなのとっくに想定し、わしはエミリーだけではなく、平賀君からも護衛に七海を借りて警戒強化に当たらせていた。

 それなのに、今回のような事態に至ったのは何故か?

 わしはシンポ終了後、懇親会に行く前に小用でトイレに立ち寄った。無論、いかにロボットとはいえ、女性の姿をしているこの2人を入れるわけにはいくまい。確かにトイレの場所は、集合場所からは死角になっておる。だがシンディは、車の用意や関係者への連絡などでその場にいなかった敷島君や平賀君はもちろんのこと、常にレーダーやGPSで捕捉しているはずのエミリーらをも出し抜いて、わしを拉致したのだ。
 果たして、そんなことが可能なのだろうか。
「七海よ」
「はい?」
「お前はわしが小用に立っている間、ずっとエントランスにおったのか?」
「そ、それは……」
 すると平賀が、申し訳なさそうに言った。
「すいません、先生。実はこいつ、その場を離れて自分の所に来たんです」
「それは何故じゃ?」
「太一様が、大きなお荷物を持ったまま地下駐車場まで行かれるのは大変だろうと……」
「……それは、誰の指示かね?」
「エミリーです」
「大きな荷物と言っても台車で運んでますし、スタッフも手伝ってくれましたから、必要無かったんですけどね」
「お前の指示か」
「イエス。ドクター南里」
 七海も先輩からの指示では、断ることもできまい。すると……。
「お前は……シンディの接近に気づかんかったか?」
「申し訳・ありません」
「……レーダーが上手く機能せんかったのかな?後で点検しよう」
「……イエス」
 わしはエミリーが身震いしたように見えた。わしの……思い違いであることを願いたい。

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1 コメント

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つぶやき (ユタ)
2013-08-09 10:13:53
さいたま新都心なう。
しかし、ホントよく拉致られる研究所だ。あくまでもボツネタでやんす。
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