報恩坊の怪しい偽作家!

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“アンドロイドマスター”「バレンタンインデー、ショートストーリー」

2014-01-22 13:46:21 | 日記
[2月14日 13:00.財団仙台支部事務所 敷島孝夫]

「どーれ、昼飯も食ったし。午後も頑張るか」
 事務室に戻ってきた敷島は、自分の机に座り、スリープ状態にしていたPCを復帰させた。
「参事。メールセンターから、参事宛ての荷物が届いてますが……」
 課員の20代の男性部下が、いくつかの宅配便を持ってきた。
「全部、ボーカロイドからですね」
「ちゃんとしっかりバレンタインデーにチョコレート送ってくるんだ、あいつら」
「へえ。いいっすね!」
「ちっとも良くないんだ、これが」
「えっ?」
「まだお菓子作りを趣味にしていたミクからならいいんだけど、他の奴らからだと大変だ」
「と、言いますと?」
「例えば、これはMEIKOからなんだけども……」
 敷島は箱を開けた。
「フツーにハート型っすね」
「と、思うだろ?」
 敷島はそのチョコレートを2つに割った。すると、
「何か、液体が出てきましたよ?」
「日本酒だよ」
「はあ?」
「ったく。いくら酒造メーカーのマスコットガールやってるからって、そのまんま入れんなよってな」
「は、はあ……」
「あと、これはルカから」
「何スか?」
「タコの形で送ってきた」
「中身と味がしっかりしてりゃ、別に……。じゃあ、そこにあるリンちゃんのは……」
「10分の1スケールのロードローラーだよ。リモコン付きで、駆動可能」
「チョコレートっスよね!?」
「だーかーら、ミク以外のは安心して食えないんだ、これが。もっとも、あいつも売れる前はネギ入れてやがったから、あんまり人のことは言えないんだけど……。毎年のことだよ」
「面白いっすねー!ホワイトデーとかはどうしてるんスか?」
「男が男に送ってどうするんだよ?」
「あ、そうか」
「まあ、赤月……じゃなかった。平賀奈津子先生の話だと、KAITOはアイスクリーム送ってきたらしい」
「ベタですね」
「別の研究所なんだけど、“がくっぽいど”の神威がくぽはナス送ってきたらしい」
「ベタ過ぎますね」
「レンはやっぱりロードローラー型のケーキだったって。リモコン付きで駆動可能」
「いや、だから、どうやって作ってんスか、それ!?……まあ、どうでもいいっス。で、参事は、ホワイトデーに何を返してるんスか?」
「まあ、欲しいものがあったら、バレンタインの時に書いてくれって言ってあるから。えーと、今年のリンの場合はPS4か」
「ゲーム好きのボーカロイドも珍しいっスね」
「何年か前はPS3を欲しがったんだ」
「おおっ」
「でも俺、あんまゲームのことはよく知らなくて……」
「別に、家電量販店とかでもフツーに売ってますよ?」
「ネットで購入して、そのまま送ったんだよ。今はギフトで送れるからね」
「はいはい」
「したら後で、リンとレンが文句言ってきてさぁ……」
「せっかくプレゼントもらったのに、何て態度だ」
「いや、どうやら俺が間違えたらしい。リンはプレイステーション3というゲームのハード機が欲しかったんだってさ」
「いや、フツー、PS3っつったら、それですけど?」
「だから俺、あんま詳しくないって言ったろ。間違えて、別なもん送っちゃったんだよ。それで……」
「何を間違えるんスか?」
「間違えて、ゲームソフト送っちゃってさ。新品で」
「“PS3”っていうソフトありましたっけ?」
「うん。ペルソナ3
「ちょっと待ったぁ!だいぶ……いや、かなり昔のゲームっスよ!?新品で売ってたんスか!?」
「俺のネットワークをナメんなよ。最終的にはイラン人から買った」
「うわ……!」
「何か、リン達の話じゃ、アラビア語で『神は偉大なり』という文字が羅列された画面が出て来たと思ったら、いきなり爆発したらしいんだ」
「何を買ったんスか!てか、あん時のヒビヤ総研(今現在、リンとレンが所属している研究所)の爆発事故、あんたのせいだったんかい!」

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