報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「士が 大勢来る 不治の山 後にその名を 富士山と呼ぶ」

2021-03-28 11:38:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月20日09:31.天候:晴 静岡県富士宮市 JR富士宮駅]

〔まもなく富士宮、富士宮です。富士宮では、全部のドアから降りられます。……〕

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 ようやく私達は富士山の麓の町までやってくることができた。

 愛原:「キミ達はここで降りないの?」
 栗原蓮華:「ええ。私達は次の西富士宮で降ります」
 愛原:「そうか。じゃあ、気をつけて」
 蓮華:「先生方も」

 電車がホームに到着するが、すぐにドアは開かない。
 島式ホームの駅なので、運転士は左ハンドルの運転席から立って右側に移動し、それから車掌スイッチを操作して開扉するのである。

〔富士宮、富士宮です。……〕

 

 栗原姉妹を電車に残し、私達は電車を降りた。
 ローカル線ながら、線内では特急も停車する主要駅の1つということもあり、乗降客はそれなりに多い。

 リサ:「ここからどうするの?」

 富士宮駅は富士駅と同様の橋上駅舎である。
 ホームは地平にあるが、駅舎は2階にあるタイプ。
 なので、改札口へは階段を登る必要がある。
 その階段を昇りながら、リサが言った。

 愛原:「駅前のレンタカー屋に移動して、そこでレンタカーを借りる。それから色々と回ろうと思う。高橋、運転よろしくな?」
 高橋:「あ、はい。お任せください」

 駅舎からはイオンモールが見える。
 富士宮駅を発車した電車は、高架線を登って行くが、これはイオンモール前の踏切を解消する為に行われた立体交差化によるものだ。
 それまでは、踏切のせいでよく渋滞していたらしい。
 ローカル線ながら、西富士宮駅以南は比較的本数が多いので、踏切渋滞が多発していたのだという。
 用地は広大な操車場跡を利用したらしい。
 その操車場跡とは、かつて創価学会専用列車を留置していた所。
 専用列車が無くなり、ペンペン草が生えていた所、立体交差化の用地に使われたという。
 その為、今ではその操車場跡を見ることはできなくなっている。
 唯一、学会専用列車があった頃の名残があるのは、富士宮駅の1番線ホームか。
 今でも団体専用ホームとして指定されているが、全く使われておらず、埃被っている。
 ホームの外は車寄せになっており、1番線に学会員を満載した専用列車が到着すると、すぐに学会員達は車寄せに横付けされたバスに乗り込み、そのまま大石寺に向かったという。
 今では面影を僅かに残しているだけである。
 当時は165系が主に使用され、今なら373系といったところか。

[同日11:00.天候:晴 同市内 まかいの牧場]

 愛原:「うーむ……」

 ここは有名な観光スポットの1つである。
 ここには、リサ以外の者が来るべきだった。
 いや、すっかり忘れていた。
 リサを動物関係の施設に連れて行ってはいけなかったことを。

 馬:「ヒヒーン!」
 羊:「メェー!メェー!」
 牛:「モー!モー!」

 高橋が慌てて私の所に走って来る。

 高橋:「せ、先生!大変です!リサの行く先々で、動物達が怯えて脱走しようとしています!」
 愛原:「しまった……!そうだった」

 私は右手を頭にやって、あちゃーと思った。

 リサ:「どうしたの?別に取って食べようとか、思ってないのに……」
 斉藤:「リサさん、涎!」

 リサは第0形態になっていて、上手く人間に化けているはずなのだが、動物達には誤魔化せなかったようである。
 で、ここでゆっくり過ごせたのは、レストラン関係であった。

[同日12:00.同市内 道の駅“朝霧高原”]

 まかいの牧場をあとにした私達は、更に国道139号線を北上し、今度は道の駅に向かった。
 これは高橋の希望である。
 街道レーサーでもあった高橋は、こういうスポットには目が無いようだ。
 環境省が公開した『富士山がある風景100選』に認定されているだけあって、天気が良いとここからよく富士山が見える。
 今はまた雲が出て来てしまった為、頂上部分を見ることはできない。

 愛原:「道の駅だから、お土産も売ってるんだよな」
 高橋:「そうです」
 愛原:「ここからボスにでも送るか。ボスには酒の方がいいだろう」

 尚、ここでもリサはレストランで何か食べようとしていた。

 愛原:「太るからやめなさい」
 リサ:「えー?私、こんなに体が小さいのに?」

 変化やBOWとしての怪力にエネルギーを大量消費する為、太るほどカロリーを貯めこまないのだという。

 斉藤:「ぽっちゃり系のリサさんも好きです!」
 リサ:「むー……。先生はロリ系の方が好きだからやめておく」
 斉藤:「ええーっ!」
 愛原:「読者が誤解するからやめなさい!」
 リサ:「『1番』とよろしくヤってたくせに……」
 愛原:「だから、あれは襲われたんだってば!」
 リサ:「私が『1番』の記憶を上書きしてあげようってのに……」
 愛原:「だからそれは違うって……」

[同日13:10.天候:晴 同市内上条 大日蓮華山大石寺 奉安堂]
(ここだけ三人称です)

 任務者のオバちゃん:「ちょっと、そこのあなた!長物の持ち込みは禁止です!」
 栗原蓮華:「ええーっ!?」
 栗原愛里:「だから言ったのに……」
 蓮華:「ここに置いていきます……」
 愛里:「休憩坊の報恩坊様に置いてくれば良かったのに……」

 泣く泣く長物(鬼斬りの刀)を置いて、堂内に入る蓮華だった。

 愛里:「今頃先生達、どこにいるカナ?」
 蓮華:「観光スポットを回ると言ってたから、あちこちじゃない?白糸の滝にでも行ってるかもね」
 愛里:「愛原先生、温泉が好きなんでしょう?華の湯とか?」
 蓮華:「あるかもね」

〔「御開扉に先立ちまして、注意事項を申し上げます。……」〕

 蓮華:「愛原先生達をお連れできたら……」
 愛里:「鬼はヤダ。絶対ヤダ」
 蓮華:「御本尊様に『鬼子母神』の名前が入っているから、鬼でも連れて来ていいんだろうけどね」

 尚この時、リサはくしゃみを何回かした上、『誰か私の悪口を言っている』と、地獄耳を立てていたという。

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1 コメント

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あとがき (雲羽百三)
2021-03-28 13:29:25
 尚、3月20日の休憩坊は報恩坊ではありません。
 あくまで、フィクションです。
 あしからず。
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