報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの異変!」

2023-02-27 15:55:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月21日15時00分 天候:晴 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 善場「特異菌に特化した検査キットが今日届きました。明日、リサを例の診療所までお願いします」
 愛原「分かりました。午前中に伺いますよ」
 善場「よろしくお願いします」
 愛原「クリニックは9時からですかね?」
 善場「そうですね」
 愛原「分かりました」

 リサが虫を食べて体内に寄生虫を有するようになったのは、偏に特異菌に感染したから。
 しかし、通常の人間と違い、体内に有していたGウィルスやTウィルスにより、それを子飼いにすることができた。
 特異菌の感染場所は、恐らく東京中央学園の旧校舎。
 今は教育資料館として使われているが、とある事件により半壊し、現在はリニューアル工事中である。

 愛原「それでは明日、よろしくお願いします」
 善場「こちらこそ」

 私はデイライトの事務所をあとにした。
 因みに、高橋は連れてきていない。
 事務所で留守番させている。
 私はリサにLINEを送った。
 再々検査のことは既に伝えてあるので、学校が休みの土曜日であれば大丈夫だろう。
 予想通り、リサからは了承の旨の返信が来た。
 デイライトの事務所から菊川まで乗り換え無しで戻れるのは、都営バスである。
 本数も多く、都内の道の割には渋滞にハマることもないので、よく利用している。
 いつもの通り、例のバス停に行こうとした時、ふとリサのことが気になった。
 ので、もう1度LINEしてみることにした。

 愛原「もし良かったら、学校まで迎えに行こうか?」

 と。
 いつものリサなら、『おー!一緒に帰ろう!』と、喜びの返信をしてくるのだが……。

 リサ「別にいいよ。先生も忙しいんでしょ?わたし、別に1人で帰れるよ」

 とのことだった。
 これは……リサもそろそろ反抗期かな?いや……。
 すぐに返信できるわけだから、恐らく体調は大丈夫だ。
 しかし……。

 愛原「今、デイライトの事務所にいるんだ。上野までだったら、電車1本で行けるからさ」

 と、返してみた。
 それでも……。

 リサ「だから、大丈夫だって。気を使ってくれなくてもいいよ」

 ということだった。
 これは……。
 心配になった私は、栗原蓮華にLINEを送ってみた。
 学年は違うが、同じく文化祭関係などでまだ学校にいるだろう。

 蓮華「蓮華です。今しがた、リサのクラスを覗いてみましたが、リサは下校してました。『魔王軍』のメンバーに聞いてみますと、他にも『四天王』と一緒らしいです」

 とのことだった。
 『四天王』とは同じクラスの淀橋さんと小島さん、そして1年生の上野凛と桜谷さんだ。
 学年が違うから、『四天王』と一緒に帰ったというのは、淀橋さんや小島さんのことだろう。
 不良グループと違うのは、別にケンカの強弱でヒエラルキーを決めているわけではなく(それでもリサが最強であることは事実だが)、最強のリサに気に入られた順というわけだ。

 愛原「分かった。ありがとう」

 しょうがないので、私はバス停へと向かった。

[同日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 愛原「ただいま」

 私は事務所を閉めて帰宅した。
 キッチンからは、香ばしいカレーの匂いがしている。

 高橋「お帰りなさい」
 愛原「今日はカレーか」
 高橋「リサのリクエストで、ビーフたっぷりのカレーですよ」
 愛原「藤野で出されたのはポークカレーだったもんな。……そのリサは?」
 高橋「部屋にいます」
 愛原「そう、か……」

 リサの部屋に近づくと、室内からは何も聞こえなかった。

 愛原「なあ、高橋」
 高橋「何ですか?」
 愛原「リサが帰ってきた時、何か様子がおかしかったとかは無いか?」
 高橋「いや……特にそんなことは無かったと思いますけどねぇ……」
 愛原「そうか……」

 まあ、夕食時になれば、嫌でも出てくるだろう。
 私も自室に行って、私服に着替えることにした。
 そして……。

 高橋「できましたよ」
 愛原「おーう」

 夕食の時間になった。
 すると、待ち構えたかのように、リサが部屋から出てきた。
 体操服に紺色ブルマを穿いている。
 見た目は普通だった。

 リサ「いただきまーす」
 愛原「あ、ああ、食べようか」

 見た目は普通だった。

 愛原「なあ、リサ。もしかして、俺のLINEは余計だったか?」

 と、聞くと……。

 リサ「結果的にはね。わたしも生理が来てるし」
 愛原「そ、そうだったのか。重くないのか?」
 リサ「今のところはね」

 と、素っ気ない返事。
 なるほど。
 生理が来たので、少し機嫌が悪かったのか。
 いや、しかしなぁ……。
 いつも、こんなんだったっけ?

 リサ「ご馳走様でした」

 リサは真っ先にカレーやおかずなど、一通り平らげると、それで夕食を終了にした。

 愛原「もういいのか?」
 リサ「うん」
 愛原「いつもカレー、おかわりしてるだろ?」
 リサ「今日はいいや。また今度ね。それじゃ」

 リサは自分の食器をシンクに持って行くと、再び自室へと引っ込んで行った。

 愛原「……おい、高橋」
 高橋「うーん……確かに、ちょっと変っスねぇ……。このままだと、カレーや米が余って、勿体無いっスよ」
 愛原「カレーは取りあえず、小分けにして冷凍庫に入れておけ。常温だと、細菌が繁殖するから」
 高橋「う、うス」

 一応、代わりに一杯、小盛りでおかわりはしておいた。
 それにしても、だ。

 愛原「明日、再々検査がある。一応、リサの様子は、俺からお医者さんに伝えておこう」
 高橋「その方がいいっスね」

 だが……。

[同日21時00分 天候:雨 愛原のマンション]

 愛原「急に雨が降って来たな……」

 私は先に風呂に入った。

 高橋「そうっスね」
 愛原「次は、リサに入ってもらった方がいいかな?あいつ、俺の残り湯に入りたいとか言ってるだろう?」
 高橋「それは俺も同じ……あー……いや、分かりました。ここは1つ、リサに譲ります」
 愛原「すまんね」

 するとリサが部屋から飛び出してきた。

 愛原「リサ、俺の次に風呂……って!?」

 しかし、リサは風呂ではなく、トイレに飛び込んだ。

 愛原「!?」

 そこでリサは、嘔吐していた。
 生理の症状の1つか?
 いや、しかし……。

 愛原「大丈夫か、リサ?」
 リサ「うぐ……っ!げェ……!!」
 愛原「リサ!?」

 リサはただ単に嘔吐しただけではなかった。
 最初は夕食に食べた物を全部吐き出したといった感じだったが、今度は胃液と一緒に寄生虫も吐き出した。
 リサの体の外から排出された寄生虫達は、殆どが死んでいたり、死にかけているものばかりであったが……。

 リサ「…………」
 愛原「お、おい!」

 何度も穿いた後、リサは意識を失った。

 愛原「大変だ!善場主任に連絡しろ!こいつはヤバいかもしれん!」
 高橋「は、はい!」

 リサは第0形態から、第1形態へと戻っていた。

 高橋は自分のスマホを手に取ると、善場主任に連絡した。

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