報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「真夜中の戦い」

2023-12-05 16:22:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月3日01時00時 天候:曇 栃木県日光市某所(奥日光界隈) 栗原家関連施設]

 私と高橋は無事、リサと合流することができた。
 リサの話では首を刎ねられたものの、噴き出した血が繋がっていた為、一命を取り留めたという。
 もしかしたら、酒呑童子もそうだったのかもしれない。
 ただ、彼(彼女?)は首を繋げる前にトドメを刺されてしまったようである。

 愛原「何だって!?リサの血が蓮華の中に!?」
 高橋「プライドもヘッタクレも無いっスね!」
 リサ「秘密の薬と混ぜていたけど、嫌な予感しかしない」
 愛原「だろうな!」

 と、この離れでも火災報知器からベルが鳴った。
 どうやら全館避難、この場合は全敷地内避難といったところか。
 その命令が防災センターから出たということだ。
 ベルが鳴り響くだけで、特に放送とかは無いが。

 愛原「しょうがない。ちょっとだけ様子を見に行ってやろう!」
 高橋「マジっスか!?さっさと逃げた方がいいんじゃないスか!?」
 愛原「いや、だって……」

 外から聞こえて来るヘリコプターの音。
 そして、時折聞こえて来る機銃掃射の音。
 これは外に出たらマズいということだ。

 愛原「他の出口から避難した方がいいだろう。リサ、知ってるか?」
 リサ「うん。地下1階か2階から出られるかもしれない」
 愛原「そりゃ良かった!案内してくれ!」
 リサ「うん!」

 リサは走り出したが、何故かよろけてしまう。

 愛原「どうした!?」
 リサ「血を流し過ぎたせいか、少し体の具合が……」
 愛原「なにぃっ!?」
 高橋「気絶すんなよ!運ぶの大変だから!」
 愛原「高橋」
 リサ「う、うん。頑張るね。こっち!こっちにエレベーターがある!」

 まだこの離れにまで火災の影響は無いようだが、あまりエレベーターは使いたくないなぁ……。
 しかし、他のルートをリサは知らないようだ。

 高橋「うわっ!すっげーレトロなエレベーター!」
 愛原「まるで日本橋高島屋のエレベーターだな」

 それでも確か高島屋のエレベーターは、扉の開閉とかは自動だったはずである。
 しかし、こちらは全てが手動。

 リサ「このレバーを操作するんだよ」
 愛原「どこまでレトロなんだ、ここは……」

 私は呆れた。

 高橋「扉閉めました。何階へ行きますか?」
 愛原「地下階しか行かないのか?」
 リサ「わたしが連れて行かれたのは地下3階だよ。でも、そこは大広間しか無かったね。センパイ達も、地下2階か1階かに行ったみたい」
 愛原「よし。それなら、まずは地下2階に行ってみよう」

 私はレバーを操作した。
 これってもしかして、ピッタリに位置を合わせないと扉が開かないというオチだろうか……。
 エレベーターが地下1階を通過し、地下2階に到達しようとした時だった。

 愛原「うわっ!」

 ドォーンとエレベーターに衝撃が走り、大きく揺れた。

 リサ「きゃっ!」
 愛原「な、何事だ!?」
 高橋「どうやらまたどっか爆発したみたいっスね!」

 幸い停電はしなかったが、それでもショックでエレベーターが止まってしまった。
 レバーを押しても引いても、うんともすんとも言わない。
 エレベーターに閉じ込められてしまった!?

 高橋「先生!ここ!このドア、少し隙間が開いてますよ!」
 愛原「何とかこじ開けられないか!?」
 高橋「やってみます!」

 高橋は持っていたバール(のようなもの)をドアの隙間に差し込んだ。
 更に大きな隙間ができた所に、リサが鬼形態に変化して、鬼の力で更にこじ開ける。
 内側の蛇腹鉄格子扉は開けることができたが、問題は外側の鉄扉。
 これがエレベーターが着床しないとロックが掛かる仕組みになっているようだ。
 これをこじ開けようというわけである。

 高橋「リサ、蹴破るぞ!」
 リサ「うん!」
 高橋「先生は離れててください」
 愛原「あ、ああ!分かった!」
 高橋「うらぁーっ!」
 リサ「うらーっ!」

 元不良の高橋と鬼娘リサの脚力により、エレベーターの鉄扉が向こう側へと落ちた。

 高橋「今です!」
 愛原「ありがとう!」

 地下2階もまた共用スペースになっているようだった。
 つまり、大広間が並んでいるように見える。

 高橋「先生、何かジャズっぽいのが聞こえてきますよ」
 愛原「本当だ。バーか何かあるのかな?」
 高橋「こんな和室テイストの雰囲気の中っスか?」
 愛原「ま、まあそうだな。ていうか、靴のまま上がってきて良かったのかな?」
 高橋「何を今さら……」
 愛原「ハハ、それもそうだな」

 引き戸式の木戸には、鍵が掛かっているが、これも高橋がバール(のようなもの)でこじ開けた。
 中に入ると……。

 愛原「何だ、ここは?」

 何と、中はカジノになっていた。
 しかし、避難した後なのか、中には誰もいない。

 愛原「ここは……違うか?」
 高橋「つーか、何でこんな所にカジノなんか?」
 愛原「地下にあるくらいだから、違法カジノだったりしてな。栗原家の闇を見つけたかもしれん」

 私は手持ちのデジカメを取り出すと、それで写真を撮った。
 後でどこかにリークしたなら、報奨金くらい貰えるかもしれない。

 愛原「とはいうものの、ここでは無いようだな」
 高橋「先生、あれを見てください」

 高橋が指さした所には、非常口誘導灯があった。

 高橋「あそこからでも、外に出られるんじゃないスかね?」
 愛原「ふーむ……。非常口誘導灯が付いているくらいだからな」

 私達はそこに駆け寄った。
 普段は施錠されているようである。

 愛原「てか、鍵が掛かってる!」
 高橋「これでこじ開けますか?」
 愛原「大丈夫か?今度は頑丈な鉄扉だぞ?」

 非常口のドアに使うくらいだから、炎が迫って来ても、密閉性・遮煙性・遮炎性が無ければならない。
 つまり、木製のドアではダメだということだ。

 リサ「これは?」

 非常口のドアの横には、バニーガールのマネキンが置かれている。
 そのマネキンはにこやかな顔で、両手にボードを持っていた。

 愛原「『↑VIPルーム↑ 入室ご希望の方は、メダル100枚をカジノガールに入れてください』だって!?」
 高橋「しゃあねぇ。ちょっくら稼いで来ますわ」
 愛原「お、おい!そんなことしてる場合じゃ……」
 高橋「リサ!落ちてるメダル、何枚か拾え!」
 リサ「わかった!」

 リサはメダルを5~6枚ほど拾い集めて来た。

 愛原「どうやって、メダルを増やすんだよ!?」

 カジノ内には誰もいない。
 無人でできるものと言ったら……。

 高橋「これっス!」
 愛原「スロットか!」

 幸いまだ停電はしていないので、スロットマシーンは稼働している。

 愛原「そう上手く行くのか?」
 高橋「古い機械っスからね。『目押し』ができればオッケーっス」
 愛原「簡単に言うなぁ……」

 高橋はメダルを入れてスロットを回した。
 すると、高橋はいとも簡単に絵柄を揃えてしまった。
 ジャラジャラとメダルが出て来る。
 そういうのがあるので、最近のパチンコ屋のスロットは、目押しが効かないようになっているわけである。

 高橋「超余裕っス!」
 愛原「さすがだな……」
 リサ「お兄ちゃん、このゴールドコインは何だろう?」

 高橋が稼いだメダルは最低条件の100枚を超えている。
 その中に、金ピカのメダルが何枚か入っていた。

 高橋「バカラ賭博用のメダルだったりしてな?」
 愛原「そうなのかぁ?」

 カジノの中でも最も多くの掛け金が飛び交うのが、バカラである。
 その為、カジノでバカラをしたければ、VIPルームに行けというのが相場である。
 とはいうものの、私はこのゴールドコインがそれ用だとは思わなかった。
 どこか、別の所で使うコインなのではないかと思った。
 それはどこだと思う?

 ➀やっぱりVIPルーム
 ②ブラックジャック
 ➂ポーカー
 ④トイレ
 ⑤バー

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