報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道士達の上京紀行 ~中央本線と埼京線~」

2022-01-03 21:54:37 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[12月31日16:30.天候:曇 長野県松本市 JR中央本線46M列車10号車内]

 稲生勇太達を乗せた特急列車は、後ろに3両増結すると、定刻通りに発車した。
 大糸線内では雪が降っていたが、中央本線に入ると、心なしか雪が止んだような気がする。

〔「お待たせ致しました。16時30分発、特急“あずさ”46号、新宿行きでございます。只今、後ろに3両、1号車から3号車を連結し、12両編成で新宿まで参ります。【中略】次は塩尻、塩尻です」〕

 勇太:「ここから車内販売があると思うんだけど……」

〔「皆様、本日もご利用くださいまして、ありがとうございます。……」〕

 車内放送が車掌の肉声から、女性の肉声へと変わった。

〔「これより、ワゴンによります車内販売を開始させて頂きます。……」〕

 勇太:「やっぱりだ」
 ミク人形:「シンカンセンスゴイカタイアイス」
 ハク人形:「シンカンセンスゴイカタイアイス」
 勇太:「いや、もう無いから」
 ミク人形:「ちっ」
 ハク人形:「ちっ」
 マリア:「しかし、本当に無いのか?」
 勇太:「無いよ」
 マリア:「他の列車でも?」
 勇太:「今では東武スペーシアや、小田急ロマンスカーで買えるかどうか……」
 マリア:「新幹線では売ってないのか……」
 勇太:「無い……みたいだね。まあ、他のを買うしかないよ」

 お菓子などは売っているので。

 車内販売員:「失礼致します。車内販売でございます」
 勇太:「ほら、来たよ」
 ミク人形:「チョコレート」
 ハク人形:「チョコレート」
 勇太:「すいまんせん。チョコレート系のお菓子を2つください」
 車内販売員:「は、はい」

 荷棚から曲芸のようにぶら下がる人形達に驚く顔になる車内販売員。

 勇太:「あと、僕はコーヒーください」
 車内販売員:「ボトル缶の物になりますが、よろしいでしょうか?」
 勇太:「はい。それの微糖タイプと……マリアはどうする?」
 マリア:「アップルジュース」
 勇太:「りんごジュースください」
 車内販売員:「かしこまりました」

 全部、勇太のSuicaで購入した。
 アイスには有りつけなかったが、代替品は購入できて、人形達も満足のようだ。

 勇太:(それにしても、品目が普通列車のグリーン車みたいになってきたなぁ……)

[同日19:06.天候:晴 東京都新宿区 JR中央本線46M列車9・10号車→JR新宿駅]

 列車が東へ向かえば向かうほど、雪が無くなっていった。
 今はもう、完全に雪の無い都内を走行している。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、新宿、新宿。お出口は、左側です。……〕

 勇太:「そろそろ、先生を起こしに行きますか」
 マリア:「そうだな」

 勇太とマリアは降りる準備をすると、隣のグリーン車へと向かった。
 グリーン車は普通車と比べて空いていた。
 イリーナの隣には誰も座っておらず、イリーナはローブのフードを被り、リクライニングを最大限に倒して寝ていた。

 マリア:「師匠、師匠。起きてください。もうすぐ着きますよ」
 イリーナ:「……家畜車の 牛に足裏 舐められて 笑って目覚める 旅の朝なり」
 マリア:「何の短歌ですか!早く起きてください!」

 ピーンと来た勇太。

 勇太:(もしかして、“魔女の宅急便”の一コマかな?主人公が貨物列車に便乗して旅をしていたら、家畜車の牛に舐められて起きるというシーンがあったような……)
 イリーナ:「いやあ……大昔は、貨物列車に便乗して旅をしていたものでねぇ……。その時の夢を見ちゃったんだよぉ……」
 マリア:「今は御立派に、ビジネスクラスで旅ができているじゃないですか」
 イリーナ:「ここんとこ最近、昔を思い出すことが多いんだよ。死期が近いのかねぇ……」
 マリア:「縁起でもないこと言わないでください」

 そんなことを話しているうちに、列車の速度が落ちて行く。

 勇太:「もうそろそろ着きますよ」
 マリア:「そういうわけです。早く立ってください」
 イリーナ:「はいはい」

 列車は新宿駅構内の複雑なポイントを渡って、中央本線特急ホームへと入線した。

〔しんじゅく~、新宿~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 勇太達はホームに降りた。

 イリーナ:「それで、ここから乗り換えかい?」
 勇太:「そうです。1回だけですけど、埼京線で」
 イリーナ:「何だい?大宮にまたお家を建てられたの?」
 マリア:「師匠、今夜はホテルだって言ったじゃないですか」
 イリーナ:「冗談だよぉ……」

 勇太の先導で、大魔道師と下級魔道士はホームを移動する。
 移動した先は埼京線ホーム。
 湘南新宿ラインも止まるが、それには乗らず、当駅始発の電車を狙って乗った。
 これなら、確実に座れるからだ。

[同日19:17.天候:晴 JR新宿駅→埼京線1971K電車10号車内]

 モスグリーンの塗装が特徴の埼京線に乗り込んだ。

〔この電車は埼京線、各駅停車、大宮行きです〕
〔This is the Saikyo line train for Omiya.〕

 もう休日ダイヤで運転されるような時期ということもあり、また、乗った車両が最後尾ということもあって、車内は空いている。

〔「お待たせ致しました。19時17分発、埼京線の各駅停車、大宮行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから明るい曲調の発車メロディが流れて来る。

〔3番線の埼京線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 ここでもダイヤ通りに電車は発車した。
 勇太は手持ちのスマホで、両親にLINEを送る。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車、大宮行きです。次は、池袋です〕

 勇太:「返信がありました。ホテルで待っているそうです」
 イリーナ:「そうかい」
 勇太:「都外へは出ませんので、ただの通勤電車ですが、御辛抱ください」
 イリーナ:「いいんだよ。家畜車に比べればマシさね」

 イリーナは相変わらず目を細めている。
 だが、その目が少し開かれた。

 イリーナ:「とはいうものの、さすがにお腹は減ったね」
 勇太:「はい。駅に着いたら、もうすぐホテルなので、そちらで夕食を……と」
 イリーナ:「そうかい。それならいいけどね」

 あとはこの電車がダイヤ通りに着けるかどうかだが、イリーナがそれ以上何も言わないということは大丈夫なのだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「探偵の年末年始」

2022-01-03 13:50:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月31日23:50.天候:晴 東京都江東区某所 某稲荷神社]

 リサの着物は赤を基調としたものだった。
 それを着て、初詣に向かう。

 パール:「リサ様。御嬢様はお揃いのお守りを所望です」
 リサ:「そうなの。でも、縁結びは買わないよ。私が縁結びを買うのは、先生だけ」
 愛原:「その前にオマエは、人間に戻る努力をしないとな」
 リサ:「はーい」
 愛原:「というわけで、オマエには引き続き学業お守りだ」
 リサ:「これはサイトーとお揃いでもいい」
 愛原:「よし。じゃあ、好きなの買ってこい」

 私はリサは金を渡した。
 社務所に買いに行くリサ。
 人間に化けているものの、鬼の姿が正体の者が神社にお守り買いに行く姿はシュールである。

 愛原:「むむっ!?」

 私は社務所に奇跡を見た。

 リサ:「学業お守り2つください」
 巫女:「はい。お2つですね」

 ふむ。
 やはり、巫女さんはあの清楚さ加減が良いのだよ!

 愛原:「いでっ!」

 だがリサにバレたらしく、小石を蹴り飛ばしてきた。

 リサ:「先生。今度は巫女服、着てあげるねぇ……

 戻ってきたリサ、変化こそは抑えているものの、瞳の色は赤く変化し、両手の爪も長く鋭くなっている。

 愛原:「お、鬼が巫女装束着るんじゃありません……」

 私は鼻血を押さえながら言った。

 愛原:「つ、次はお参りだ」

 稲荷神社へのお供え物は、油揚げと昔から相場が決まっている。

 リサ:「どうして油揚げをお供えするの?」
 愛原:「稲荷大明神の御使いは狐。狐の好物といえば油揚げ。だからだよ」
 リサ:「……鬼を祀る神社だと、人肉がお供え物?」
 愛原:「ンなわけない!」

 鬼子母神のことを言ってるのだろうか?
 確かあれ、釈尊に調伏されたことがきっかけで、今では人食いをやめているはずだが?
 それどころか、日蓮正宗の御本尊ではそこに名前が記されているくらい。

 愛原:「事務所の売り上げがアップしますように」
 高橋:「一流の名探偵に、俺はなる!」
 リサ:「早く人間に戻って、先生と結婚したいです」
 パール:「有馬記念ありがとうございました。今度は中山金杯と京都金杯、当たりますように」

 悲喜こもごもである。

 高橋:「オマエ、有馬記念当たったのか!」
 パール:「単勝1.1倍で、1000円しか儲からなかった」
 高橋:「単勝1万円買いしたのかよ!」

 ウマ娘ではなく、本当の競馬である。

 愛原:「ギャンブルメイドさんか……。オルフェーブルがいた頃は、ポテンヒットさんが『オルフェの単勝に3万じゃ~っ!』と言って盛り上がってたのにねぇ……」
 高橋:「何の話っスかw」
 愛原:「いやいや。とにかく、帰ろうか。お節料理もあるから、パールも一緒に食べたら?」
 パール:「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」

 因みにこの時、既に日付が変わって年が明けていたのだが、すっかり忘れてしまった。

[同日00:30.天候:晴 墨田区菊川 愛原のマンション501号室]

 マンションに帰ってプチ新年会。
 お節料理の他、お雑煮もある。
 お雑煮はリサが作ったらしいが……。

 リサ:「先生のだけ特別!」

 因みにこの時、リサは着物から私服に着替えている。
 絵恋さんはLINEで、『洗わないで体臭嗅がせて!』と、気持ち悪いことを言っていたらしい。

 パール:「美味しいけど、味薄なところはムショ仕様ね」
 高橋:「うるせっ!」
 愛原:「……なあ、リサ」
 リサ:「な、なーに、先生?」
 愛原:「これ、何の具?」

 私の御椀にだけ、グレーの芋虫のようなものが入っていた。
 恐らくリサの寄生虫が大きくなったものだろう。

 リサ:「私が人間に戻るより、先生がBOWになった方が早いんじゃないかとォ……」
 愛原:「アホかーい!」

 善場主任ブチギレ案件になるので却下。
 お節料理を食べた後は、皆でゲーム。

『ワハハハハハハ!キ~~~~~~ング、ボンビ~~~~~~~!!』

 リサ:「あ、デーモン閣下だ」
 愛原:「違う違う」

[1月1日06:21.天候:晴 愛原のマンション501号室→RF→501号室]

 うーん……。どうやら、いつの間にか眠ってしまったようだ。
 カーテンの隙間から漏れ入る光が顔に当たり、それで目が覚めた。
 高橋はコタツに入ったまま仰向けで寝ており、リサはコタツに入ったままうつ伏せで寝ている。
 しかし、パールだけはヘッドホンを着けて、音が漏れないよう、“バイオハザード・ヴィレッジ”に勤しんでいた。

 愛原:「おい、皆起きろ!」

 私はすぐに高橋とリサを起こした。

 愛原:「屋上に行くぞ!」

 屋上に上がる。
 目的は初日の出だ。

 リサ:「ただの朝日じゃない?」
 愛原:「初日の出はおめでたいんだよ。鬼の姿をしながら、それが拝めるリサは幸せ者だ」
 リサ:「なるほど」

 しかし、高橋とパールは揃って欠伸。

 愛原:「昇ったなぁ……」
 リサ:「昇ったね」
 愛原:「それじゃ、戻るか」
 リサ:「うん」

 部屋に戻ってから後片付けを行う。
 それはパールも手伝ってくれた。

 パール:「それでは、本日はありがとうございました」
 愛原:「ああ。それじゃ」

 それからパールは帰る。

 愛原:「眠いから、もう一眠りするか?」
 リサ:「結局、寝正月だね」
 愛原:「たまにはいいだろ。たまには」
 高橋:「寝すぎて、夜寝れなくなるなんてことは……」
 愛原:「まあ、昼過ぎに起きれば大丈夫さ」
 リサ:「私も一眠りする~」

 そう言ったのだが……。

 愛原:「こらこら!そこは俺の部屋!」
 リサ:「先生と一緒に寝る~」
 愛原:「じゃあ、俺はリサの部屋で寝よう」
 リサ:「おー!じゃあ、わたしの部屋で一緒に寝よ!」
 愛原:「……やっぱり自分の部屋で寝よう」
 高橋:「俺は逆に目ェ覚めたんで、起きてますんで」
 愛原:「ああ、了解」
 高橋:「リサは自分の部屋で寝やがれ!」
 リサ:「ぶー……」

 元旦は寝正月な探偵であった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「探偵の年末」

2022-01-03 11:28:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月30日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション501号室]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 しかし、今は年末だ。
 よほど緊急の依頼が無い限りは、私も年末年始は休ませてもらっている。
 とはいえ、今は自室で事務作業はしているけどなw
 PC使った事務作業くらい、事務所でなくてもできる。
 高橋とリサは、明後日のお節料理を作る為、台所にいる。
 最近はリサも、料理を覚えたがるようになった。

[同日13:00.天候:晴 同マンション同部屋]

 午後からは大掃除。
 事務所の方は昨日やったので、今日はマンションの方をやる。

 高橋:「事務所みたいにリサの仲間、バイトで連れて来るっていうのはどうっスか?」
 愛原:「自分ちの掃除くらい、自分達でやろうよ」

 昨年は斉藤さんが手伝いに来てくれたような気がしたが、今回は今頃北海道に家族共々身を隠しているはずなので、それ以外のコ達が来てくれた。
 もちろん、元旦のお年玉という形でバイト代は支給することになるが。
 だったら、高橋の仲間連れてくればいいんじゃね?と思うかもしれないが、半グレ紛いの連中に探偵事務所の掃除をさせるのはねぇ……。
 それに、JKよりもバイト代は高くつくだろうし。
 それよりも、JK達が体操着で掃除をしてくれる方が……ゲフンゲフン。

 リサ:「お兄ちゃんの彼女さんは?」
 愛原:「パールは今、マンションの留守番で、離れられないんだとよ」
 リサ:「引きこもり!?」
 高橋:「似たようなもんだ。もっとも、『俺達が訪問する分にはOK』だそうだぜ」
 愛原:「それ、しれっと俺達に大掃除手伝わせようとしてない?」

 ワンルームでも1人で大掃除しようとすれば大変であり、2LDKの部屋なんかもっとそうだろうが、しかしメイドさんはそれが仕事だからなぁ……。
 あ、因みに斉藤絵恋さんが住んでいるマンションは2LDKである。
 うちは3LDKだけど。

[同日18:30.天候:晴 同地区内 ジョナサン菊川店]

 店員:「お待たせしました。ビーフリブロースステーキとライスです」
 リサ:「おー!わたしわたし!」

 夕食は外食にした。
 大掃除の後で夕食を作るのは大変だと思ったからだ。
 私から2人への労いの意味もある。

 店員:「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか?」
 愛原:「ああ。あと、ビール追加で!」
 高橋:「俺もいいっスか?」
 愛原:「ああ」
 リサ:「じゃあ私も」
 高橋:「くぉらっ!」
 愛原:「あと4年待ちなさい」
 リサ:「えー!」
 愛原:「お酒とタバコは20歳から。なあ、高橋?」
 高橋:「は、はァ……。そ、そうっスね」

 高橋がはっきり答えなかった理由は、【お察しください】。

 リサ:「お肉美味しー!」
 愛原:「そりゃあ良かった」
 リサ:「でも、先生のお肉の方がもっと美味しs……」
 愛原:「高橋!餅つきは明日かな?」
 高橋:「は、はい!また例によって、近所から杵と臼を借りて来たんで、それでやろうかと」
 愛原:「よし、分かった!それで頼むぞ!」
 高橋:「分かりました!」
 愛原:「年越し蕎麦はどうする?」
 高橋:「既に生蕎麦は購入してるんで、食べる直前に茹でておきます」
 愛原:「本格的だな」

[12月31日11:00.天候:晴 同地区内 愛原のマンションRF]

 東京は基本的に晴の日が続く。
 だから毎年のように、空気が乾燥するわけだ。

 高橋:「でやぁーっ!」
 リサ:「ん!」
 高橋:「うらぁーっ!」
 リサ:「ん!」

 高橋が杵を突いて、リサがこねる。
 リサの方がBOWとして力がありそうな気がするのだが、力があり過ぎて、杵と臼、そして餅をオシャカにする恐れがあるので。

 愛原:「俺も手伝おうか?」
 高橋:「いえ、結構です!先生は見ていてください!」
 リサ:「『義兄(あに)が突き 御嫁がこねし 天下餅 座りしままに 食うは先生』」
 愛原:「間違っとる間違っとる」
 高橋:「てめ、勝手に『先生の嫁』僭称してんじゃねー!」

 義兄認定されたことには、ツッコまない高橋。

[同日15:00.天候:晴 愛原のマンション501号室]

 リビングのコタツに入って休憩する私達。

 愛原:「まさかリサが福引でコタツ当てるとはなぁ……」
 リサ:「1等賞の『松坂牛1キロ』か、特等の『沖縄2泊3日』が良かった」
 愛原:「まあまあ。こういうのもオツなもんだよ」
 リサ:「これじゃ、寝正月プランになっちゃう……」
 愛原:「なにコタツで寝る前提にしてんるんだよ……」
 高橋:「先生、お茶どうぞ」
 愛原:「ありがとう」
 高橋:「リサも……って」
 リサ:「
 愛原:「寝てる!?」

 鬼すらも 勝てぬコタツの 温かさ……ってか。
 しかも、本当に第1形態に戻っちゃって……。

 高橋:「おい、こんな所で寝るんじゃねぇ」
 愛原:「まあまあ。それより、リサが眠った今、2人でおやつ食うか?」
 高橋:「えっ?ありましたっけ、そんなの?」
 愛原:「リサには見つからんよう、冷蔵庫の奥にプリンを隠しておいた」
 高橋:「さすが先生です」

 しかし、リサの長くて尖った耳がピクッと動いた。

 リサ:「私も食べる!……あっ」
 愛原:「やっぱり寝たふりか……」
 高橋:「くぉらっ!」

 前にリビングで眠ってしまったリサを、私が部屋に運んで行ってあげたことがある。
 その時、お姫様抱っこされたことが嬉しかったらしい。
 あわよくば今回も……といったところだったようだ。

 高橋:「オマエはまた悪だくみしやがって!」

 高橋、リサに頭グリグリ攻撃。

 高橋:「鬼殺隊召喚すっか!あぁ!?」
 リサ:「痛い痛い」
 愛原:「こら、高橋、オマエも……」

[同日23:00.天候:晴 愛原のマンション]

 紅白を観ながら、ズズズと年越し蕎麦を啜る。
 今年はとろろが入った山かけ蕎麦だ。
 しかし、リサにあっては牛肉を入れた牛肉蕎麦になっている。
 牛丼に使うタイプの肉らしい。
 しかし私は、その場合、蕎麦よりもうどんで食べてみたいものだがな。

 愛原:「もうすぐ年が明けるな。初詣はどうする?」
 リサ:「天長園の神社だか教会」
 愛原:「あれは信者にならないと御利益無いんじゃないか?」

 ※信者であっても御利益はありません(by日蓮正宗&顕正会関係者)

 リサ:「『最も危険な12人の巫女』の1人だから大丈夫」
 高橋:「巫女というよりは鬼だけどな。……あ、先生、大丈夫っス。鬼より怖いメイドがここに来るんで」
 愛原:「呼んだのかよ」
 高橋:「リサに着物の着付けをしてくれますんで」
 愛原:「そうか。今年は御嬢様が北海道に高飛びしたからな」
 リサ:「LINEで『あけおめ』『ことよろ』を……」
 愛原:「送るのか?」
 リサ:「もう送った」
 愛原:「早っ!」

 そして、メイドのパールがやってくる。
 彼女は既に黒と白が基調のメイド服のような色合いの着物を着ていたが、ちゃんとリサ用の着物を持って来てくれた。
 何でも、絵恋さんのお下がりだとか。
 今や絵恋さんの方が体が大きくなってしまった為、そういうことになるのだろう。
 パールは慣れた手付きでリサの着物の着付けを行なった。

 愛原:「よし!これで、初詣に行けるな」
 高橋:「どこにします?」
 愛原:「近所の稲荷神社でいいだろう」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする