報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「探偵の年末」

2022-01-03 11:28:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月30日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション501号室]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 しかし、今は年末だ。
 よほど緊急の依頼が無い限りは、私も年末年始は休ませてもらっている。
 とはいえ、今は自室で事務作業はしているけどなw
 PC使った事務作業くらい、事務所でなくてもできる。
 高橋とリサは、明後日のお節料理を作る為、台所にいる。
 最近はリサも、料理を覚えたがるようになった。

[同日13:00.天候:晴 同マンション同部屋]

 午後からは大掃除。
 事務所の方は昨日やったので、今日はマンションの方をやる。

 高橋:「事務所みたいにリサの仲間、バイトで連れて来るっていうのはどうっスか?」
 愛原:「自分ちの掃除くらい、自分達でやろうよ」

 昨年は斉藤さんが手伝いに来てくれたような気がしたが、今回は今頃北海道に家族共々身を隠しているはずなので、それ以外のコ達が来てくれた。
 もちろん、元旦のお年玉という形でバイト代は支給することになるが。
 だったら、高橋の仲間連れてくればいいんじゃね?と思うかもしれないが、半グレ紛いの連中に探偵事務所の掃除をさせるのはねぇ……。
 それに、JKよりもバイト代は高くつくだろうし。
 それよりも、JK達が体操着で掃除をしてくれる方が……ゲフンゲフン。

 リサ:「お兄ちゃんの彼女さんは?」
 愛原:「パールは今、マンションの留守番で、離れられないんだとよ」
 リサ:「引きこもり!?」
 高橋:「似たようなもんだ。もっとも、『俺達が訪問する分にはOK』だそうだぜ」
 愛原:「それ、しれっと俺達に大掃除手伝わせようとしてない?」

 ワンルームでも1人で大掃除しようとすれば大変であり、2LDKの部屋なんかもっとそうだろうが、しかしメイドさんはそれが仕事だからなぁ……。
 あ、因みに斉藤絵恋さんが住んでいるマンションは2LDKである。
 うちは3LDKだけど。

[同日18:30.天候:晴 同地区内 ジョナサン菊川店]

 店員:「お待たせしました。ビーフリブロースステーキとライスです」
 リサ:「おー!わたしわたし!」

 夕食は外食にした。
 大掃除の後で夕食を作るのは大変だと思ったからだ。
 私から2人への労いの意味もある。

 店員:「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか?」
 愛原:「ああ。あと、ビール追加で!」
 高橋:「俺もいいっスか?」
 愛原:「ああ」
 リサ:「じゃあ私も」
 高橋:「くぉらっ!」
 愛原:「あと4年待ちなさい」
 リサ:「えー!」
 愛原:「お酒とタバコは20歳から。なあ、高橋?」
 高橋:「は、はァ……。そ、そうっスね」

 高橋がはっきり答えなかった理由は、【お察しください】。

 リサ:「お肉美味しー!」
 愛原:「そりゃあ良かった」
 リサ:「でも、先生のお肉の方がもっと美味しs……」
 愛原:「高橋!餅つきは明日かな?」
 高橋:「は、はい!また例によって、近所から杵と臼を借りて来たんで、それでやろうかと」
 愛原:「よし、分かった!それで頼むぞ!」
 高橋:「分かりました!」
 愛原:「年越し蕎麦はどうする?」
 高橋:「既に生蕎麦は購入してるんで、食べる直前に茹でておきます」
 愛原:「本格的だな」

[12月31日11:00.天候:晴 同地区内 愛原のマンションRF]

 東京は基本的に晴の日が続く。
 だから毎年のように、空気が乾燥するわけだ。

 高橋:「でやぁーっ!」
 リサ:「ん!」
 高橋:「うらぁーっ!」
 リサ:「ん!」

 高橋が杵を突いて、リサがこねる。
 リサの方がBOWとして力がありそうな気がするのだが、力があり過ぎて、杵と臼、そして餅をオシャカにする恐れがあるので。

 愛原:「俺も手伝おうか?」
 高橋:「いえ、結構です!先生は見ていてください!」
 リサ:「『義兄(あに)が突き 御嫁がこねし 天下餅 座りしままに 食うは先生』」
 愛原:「間違っとる間違っとる」
 高橋:「てめ、勝手に『先生の嫁』僭称してんじゃねー!」

 義兄認定されたことには、ツッコまない高橋。

[同日15:00.天候:晴 愛原のマンション501号室]

 リビングのコタツに入って休憩する私達。

 愛原:「まさかリサが福引でコタツ当てるとはなぁ……」
 リサ:「1等賞の『松坂牛1キロ』か、特等の『沖縄2泊3日』が良かった」
 愛原:「まあまあ。こういうのもオツなもんだよ」
 リサ:「これじゃ、寝正月プランになっちゃう……」
 愛原:「なにコタツで寝る前提にしてんるんだよ……」
 高橋:「先生、お茶どうぞ」
 愛原:「ありがとう」
 高橋:「リサも……って」
 リサ:「
 愛原:「寝てる!?」

 鬼すらも 勝てぬコタツの 温かさ……ってか。
 しかも、本当に第1形態に戻っちゃって……。

 高橋:「おい、こんな所で寝るんじゃねぇ」
 愛原:「まあまあ。それより、リサが眠った今、2人でおやつ食うか?」
 高橋:「えっ?ありましたっけ、そんなの?」
 愛原:「リサには見つからんよう、冷蔵庫の奥にプリンを隠しておいた」
 高橋:「さすが先生です」

 しかし、リサの長くて尖った耳がピクッと動いた。

 リサ:「私も食べる!……あっ」
 愛原:「やっぱり寝たふりか……」
 高橋:「くぉらっ!」

 前にリビングで眠ってしまったリサを、私が部屋に運んで行ってあげたことがある。
 その時、お姫様抱っこされたことが嬉しかったらしい。
 あわよくば今回も……といったところだったようだ。

 高橋:「オマエはまた悪だくみしやがって!」

 高橋、リサに頭グリグリ攻撃。

 高橋:「鬼殺隊召喚すっか!あぁ!?」
 リサ:「痛い痛い」
 愛原:「こら、高橋、オマエも……」

[同日23:00.天候:晴 愛原のマンション]

 紅白を観ながら、ズズズと年越し蕎麦を啜る。
 今年はとろろが入った山かけ蕎麦だ。
 しかし、リサにあっては牛肉を入れた牛肉蕎麦になっている。
 牛丼に使うタイプの肉らしい。
 しかし私は、その場合、蕎麦よりもうどんで食べてみたいものだがな。

 愛原:「もうすぐ年が明けるな。初詣はどうする?」
 リサ:「天長園の神社だか教会」
 愛原:「あれは信者にならないと御利益無いんじゃないか?」

 ※信者であっても御利益はありません(by日蓮正宗&顕正会関係者)

 リサ:「『最も危険な12人の巫女』の1人だから大丈夫」
 高橋:「巫女というよりは鬼だけどな。……あ、先生、大丈夫っス。鬼より怖いメイドがここに来るんで」
 愛原:「呼んだのかよ」
 高橋:「リサに着物の着付けをしてくれますんで」
 愛原:「そうか。今年は御嬢様が北海道に高飛びしたからな」
 リサ:「LINEで『あけおめ』『ことよろ』を……」
 愛原:「送るのか?」
 リサ:「もう送った」
 愛原:「早っ!」

 そして、メイドのパールがやってくる。
 彼女は既に黒と白が基調のメイド服のような色合いの着物を着ていたが、ちゃんとリサ用の着物を持って来てくれた。
 何でも、絵恋さんのお下がりだとか。
 今や絵恋さんの方が体が大きくなってしまった為、そういうことになるのだろう。
 パールは慣れた手付きでリサの着物の着付けを行なった。

 愛原:「よし!これで、初詣に行けるな」
 高橋:「どこにします?」
 愛原:「近所の稲荷神社でいいだろう」

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