報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「白井理事長と会えるか?」

2022-01-09 23:10:25 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日16:00.天候:曇 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園1Fロビー]

 女将:「白井理事長は……白井伝三郎さんではありません」
 愛原:「えっ!?」
 女将:「白井理事長の下の名前は、白井京香。白井伝三郎さんは、別の兄弟の娘さんです。私と大して歳は変わりませんね」
 愛原:「ということは、姪っ子か何かですか」
 女将:「そうですね」
 愛原:「その方と会って話をしたいんですが、何とかできませんでしょうか?」
 女将:「はあ……分かりました。一応、名刺をお預かりしてもよろしいでしょうか?」
 愛原:「いいですよ」

 愛原は自分の名刺を出した。

 女将:「伝えはしますが、気難しい方ですので、必ず……というわけではないことに留意をお願いします」
 愛原:「分かりました」

[同日17:00.天候:曇 同ホテル8F客室811号室]

 その後は部屋に戻って、夕食の時間までまったりとしていた。
 ただ、女将の代わりに凛が仲居の制服(つまり着物)を着て、接客に来たのたが。

 凛:「どうぞ。粗茶でございますが」
 愛原:「おっ、ありがたい」

 愛原は浴衣の懐から、ポチ袋を取り出した。

 愛原:「はい、これ。御祝儀兼お年玉」
 凛:「ええっ!?私に、ですか?」
 愛原:「もちろん。これで、何か美味い物食べて、合格まで頑張ってよ。リサも応援してるからさ」
 リサ:「BOWがわたし1人だけでは寂しい。本当はバイオハザードでも引き起こして仲間を作るところだけど、それはダメって皆から言われてるし……」
 凛:「まあ、アウトでしょうね。私も、母から絶対禁止って言われてます」
 愛原:「て、ことは、キミもバイオハザードを引き起こすことができるんだね?」
 凛:「母ほどではないですが……」
 愛原:「まあ、でも、リサもそう言ってることだし、受験頑張ってよ」
 凛:「ありがとうございます」
 リサ:「BOWの後輩ができるのは歓迎する。これで鬼斬り先輩に、一泡吹かせてやれそう」
 凛:「鬼斬り……?そんな人がいるんですか?」
 リサ:「いる。栗原蓮華って言って、今は2年生。だから、来年度は3年生になる」
 凛:「ということは、私達の先輩になるんですね」
 リサ:「その通り。私も何度か斬られかかったことがある」
 愛原:「人を食い殺していない間はやめてくれって、俺からも、NPO法人デイライトからも言っといたから、人を食べなければ大丈夫だよ」
 凛:「そうですか」

 警告として、善場が警察を引き連れて、蓮華を補導したことがある。
 いくら所持許可が出ているとはいえ、本物の日本刀を妄りに持ち歩いた廉で。

 凛:「私が東京中央学園を受験することになったのは、そのデイライトの人に言われたからなんです」
 愛原:「やっぱりそうか」
 凛:「従えば、学費の全面補助などが受けられるということで。もちろん、合格できればの話ですが」

 デイライトのバックには、日本政府がいる。
 非核三原則のせいで核武装できない日本が、確固たる抑止力を持つ為には、今いるBOWを囲い込む必要があると考えているのだろうか。

 愛原:「学費の免除ではなく、全面補助というのがニクいな」
 高橋:「そうなんですか?」
 愛原:「『学費の免除』というのは、授業料とか、要は学校から請求される費用全てのことをいう。しかし、『全面補助』というのは、それ以外にも学校生活で掛かった費用を補助してくれるという意味だ。要は、今のリサと同じことだな」

 細かく請求すれば、文房具代などの雑費も補助してくれるようだが、シャープペンくらいで請求するのもケチ臭いと思う愛原は、そこまで細かく請求はしていないようだ。
 しかし制服代などは、補助を受けている。
 そこまでして手厚くしてくれるのは、如何にBOWの存在を大きく見ているということだ。
 特に、暴走して人類に敵対することしか能の無いBOWばかりであった中、愛原を通すことが条件とはいえ、人喰いせず、ややもすれば、政府の為に働けるBOWの存在は大きいということだ。
 そして、今のリサだけではなく、第2弾として上野凛にも注目したというわけだ。
 リサと違って、半分は普通の人間の血が入った混血ではあるが、それでも人外的な身体能力を有していることは間違いないということで。

 高橋:「なるほど。こいつも、政府の犬になれってことですか」
 愛原:「犬をナメてはいかんぞ。特に今、ここには土佐犬が一匹いるから」
 リサ:「と、土佐犬!?わたしが!?」
 高橋:「先生、土佐犬は間違ってますよ」
 愛原:「そうか?」
 高橋:「案外、チワワも獰猛ですよ?」
 愛原:「そうか。超小型犬で騙されやすいが、あれも元は狩猟犬だったらしいな?」
 高橋:「そうです。おフランスのプードルちゃんもです」
 リサ:「わたし、チワワかぁ……わんわん!」
 愛原:「霧生市じゃ、ドーベルマンのゾンビしかいなかったが、あれは何でだ?」
 高橋:「たまたまそこにいたのが、ドーベルマンだったんじゃないスかね?」
 愛原:「そうか。……というわけだ。犬は言い過ぎだが、とにかくキミも、頑張れば大学まで国家が面倒見てくれるし、そこでも上手くやれば、国家公務員になれるぞ?」
 凛:「国家公務員ですか。私は走る方が好きなんですけどね」
 愛原:「仮に就職するにしても、善場主任と同じ仕事とは限らないしね。リサはどうも善場主任と同じ仕事になりそうだが、キミもそうだとは限らない。体力を使うことが好きだということで、それに合った仕事を紹介してくれるかもしれないよ」
 凛:「それはいいですね」
 リサ:「リン、これ。これが東京中央学園のジャージ」

 リサは浴衣からジャージに着替えていた。

 凛:「カッコいいですね!エメラルドグリーンな所がいいです!」
 愛原:「東京中央学園のシンボルカラーは緑だからね」

 リサは上着とズボンを脱いで、半袖の体操服とクォーターパンツの姿になった。
 夏はその恰好である。

 愛原:「今はブルマじゃないんだよな……」
 高橋:「ん?何か言いました、先生?」
 愛原:「……いや、何でもない」
 凛:「この辺りはオーソドックスですね。冬用のジャージの方がカッコいいと思います。さすが私立です」
 リサ:「じゃあ、次はスク水に着替える」
 愛原:「どんだけ学販衣料持って来たんだ、オマエ!?」
 凛:「私立のスク水も、オリジナルなんですか?」
 愛原:「凛さんの中学校のスク水は、多分紺色だろう?」
 凛:「はい、そうです」
 愛原:「それを緑色にしたものだと思えばいいよ」
 リサ:「これ」

 リサは自分の荷物の中から、スクール水着を取り出した。
 デザインは通常のワンピースタイプであるが、色はオーソドックスな紺色ではなく、緑色になっていた。
 この辺も、スクールカラーをイメージしているのだろう。

 凛:「分かりました。私も着られるよう、頑張ります」

 凛はニコッと笑って、ガッツポーズをした。
 と、そこへ……。

 女将:「失礼します」

 凛の母親で女将が入って来た。

 女将:「愛原様、白井理事長の件ですが……」
 愛原:「どうでした?」

 愛原達は白井京香に会えるだろうか?
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