報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「このホテルには、鬼が3人いる……!」

2022-01-11 21:14:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日20:30.天候:雪 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園1F大浴場(女湯)]

 女将の娘、上野凛と一緒に大浴場に入ったリサ。

 ロリ女児A:「わーい!」
 幼女先輩女児B:「お姉ちゃん、こっちだよー!!」
 母親:「こーら!走っちゃダメって言ったでしょ!」
 リサ:「随分、賑やかだな」
 凛:「今日は家族連れのお客さんも泊まってますからね」
 リサ:「ああ。そういえばさっき、夕食会場にいた……」
 凛:「天長会で行事が無い日は、一般のお客様も泊まれるので」
 リサ:「大石寺にもそういう施設があるといいのにねぇ」
 凛:「ん?何か言いました?」
 リサ:「いや、何でも無い」

 2人はそれぞれの高校、中学校のジャージを脱いだ。
 リサは普通に冬用の長袖ジャージの下は下着だったが、凛は違った。

 リサ:「それ、もしかして、陸上部のユニフォーム?」
 凛:「そうなんです。別に今、着る必要は無いんですけど、何だかジャージの下はこれを着てないと落ち着かなくって……」
 リサ:「もしかして夜、走ったりしてる?」
 凛:「あ、分かります?」
 リサ:「こんな雪の中?」
 凛:「ホテルの敷地からは出ませんよ。こう見えても結構広い敷地なので、わざわざ道路に出る必要無いですし、それに……」
 リサ:「?」
 凛:「実はこのホテル、屋上があるんです。普段は立入禁止なんですけど、私だけ特別に筋トレの為にそこに出てるんです」
 リサ:「それはいい!わたしも出たい!」
 凛:「……今夜は雪が強くなってきたので、やめた方がいいですよ」
 リサ:「え、そう?」

 凛はタンクトンプと短パンを脱いだ。
 今度こそ、その下は下着である。
 女子中学生らしく、ガーリーなデザインのブラショーツを着けていた。
 もっとも、リサの場合も似たようなものだが。
 2人の鬼娘(もちろん、今は人間の姿に化けている)は、一糸纏わぬ姿になると、脱衣場から大浴場に移動した。
 体を洗ってから、露天風呂に移動する。

 高橋:「あ、不肖の弟子、この高橋正義が!あ、愛原大先生のお背中を~!あ、御流し差し上げ奉り候~!!」
 愛原:「だから、いちいち演出すな!」
 リサ:「ん?何か、先生と兄ちゃんの声がする」
 凛:「た、確かにそこの壁の向こうは男湯の露天風呂ですけど、あまり声は聞こえないはずなんですけどね……」
 リサ:「それほどまでに、兄ちゃんの声がデカいってことか……」

 あと、例え人間の姿をしているにしても、やはりBOWの聴力は並の人間よりも優れているというのもある。

 凛:「確かに露天風呂にも洗い場はありますけど、この寒い時にそこで体を洗うのはちょっと……と思うんですけど……」
 リサ:「先生はともかく、兄ちゃんは裸の付き合いの時は一気に暑苦しくなるから、あまり気にならないのかもしれない」
 凛:「す、凄いですね」
 リサ:「霧生市のバイオハザードを潜り抜けただけのことはあるでしょ?」
 凛:「た、確かに……。鬼のようなリサ先輩が、頭を下げる愛原先生って……」
 リサ:「凄い人!私の旦那様!性奴隷になってもいい唯一の人!」
 凛:「え……?あ、あの、それより東京中央学園のことについて、教えてもらえませんか?」
 リサ:「いいよ。何から聞きたい?」
 凛:「えっとですね……。私、高校でも陸上やりたいんですよ。東京中央学園の女子陸上部って、どんな感じですか?」
 リサ:「たまにインターハイ出てる」
 凛:「ですよね!?部活の雰囲気とか、どんな感じですか?」
 リサ:「うーん……。少なくとも、怪談話にはあんまり出て来ない」
 凛:「え?」
 リサ:「男子野球部は軍隊っぽいけど、女子陸上部はそこまでではない。あと、合宿に新聞部が取材で来ることがある。それと、家政部が手伝いに来ることも……」

 帰宅部のリサに内部事情を聴く凛の方が間違っていた。

[同日21:30.天候:雪 同ホテル1F大浴場]

 リサ:「すっかり入り込んじゃった……。のぼせる直前……」
 凛:「す、すいませんでした!色々聞いちゃって……!」
 リサ:「いい。むしろ、あんまり参考になるようなこと言えなくてゴメン」
 凛:「とんでもないです。でも、東京中央学園って怖い話が多いんですね」
 リサ:「そう!私がいる間、絶賛更新中!」
 凛:「えっ、それって……」

 怖い話を増加させているのは、リサのせいでもあるということだ。
 今や、新しくできた東京中央学園の怖い話の主役はリサになりつつある。

 リサ:「それより、喉乾いた」
 凛:「あ、はい!飲み物買って来ます!」
 リサ:「スポドリで」
 凛:「スポドリですね!」

 すっかり先輩風を吹かせるリサ。
 凛は脱衣場内にある自販機で、ポカリスエットを買って来た。

 凛:「どうぞ!」
 リサ:「サンクス」

 リサ、ペットボトルの蓋を開けると、一気に半分ほど飲み干した。

 リサ:「暑い暑い」

 2人とも、Tシャツやタンクトップに短パンという姿だった。
 しかし、そのうち、脱衣場の外が騒がしくなった。

 リサ:「何だろう?」
 凛:「行ってみましょう」

 2人ともスポドリを飲み切ると、ジャージに着替えて脱衣場の外に出た。
 そこは男女兼用の湯上り処になっている。
 卓球台やマッサージチェアもここにある。

 男性宿泊客:「おい、兄ちゃん!大丈夫か!?しっかりしろ!」

 腰にタオルだけ巻いて、男湯から連れ出されたのは高橋だった。

 リサ:「兄ちゃん!?」
 男性宿泊客:「! お嬢ちゃん、この兄ちゃんの知り合いか?」
 リサ:「う、うん!わたしの連れ」
 凛:「このお客さん、のぼせられたんですか?」
 男性宿泊客:「どうやら、そうらしい。何とか介抱してやらんと……」
 凛:「すぐにスタッフを呼んできます!」

 凛はすぐに従業員用の内線電話に飛びついた。

 リサ:「! 先生?先生は!?」
 男性宿泊客:「先生?」
 リサ:「うん!この兄ちゃんと一緒に入っていた、40歳くらいの人!一緒にいませんでしたか!?」
 男性宿泊客:「いや、気が付いた時は、この兄ちゃん1人しかいなかったが……」
 凛:「今、フロントに連絡しました。これから、救護室に運びますから」
 リサ:「リン、先生がいないの!」
 凛:「えっ!?」
 リサ:「兄ちゃんが倒れた時、先生はいなかったんだって!」
 凛:「ええっ!?」

 そうこうしているうちに、男性スタッフを含めた数人のスタッフが駆け付けた。

 男性スタッフ:「そっち持って!」
 凛:「竹下さん!」
 男性スタッフ:「凛ちゃんもいたのか!どうした?」
 凛:「このお客様の御連れ様、愛原様と仰るんですけど、一緒にいらっしゃらないんですって!」
 竹下:「何だって!?」
 凛:「ちょっと男湯を見てきてもらえませんか!?」
 竹下:「分かった。キミ達はこちらのお客様を救護室に!」

 竹下と呼ばれた30代の男性スタッフ。
 黒スーツ姿なので、ナイトマネージャーか何かだろう。
 一緒にいた別のスタッフに指示すると、男湯に飛び込んだ。

 凛:「先輩、スマホで愛原先生に連絡してみては?」
 リサ:「おー!そうだ!」

 リサは自分のスマホを取り出すと、愛原を呼び出した。
 だが、呼び出し音は鳴っているものの、全く出る様子が無い。

 リサ:「ダメ!出ない!」

 高橋が担架に乗せられて、救護室へ運ばれて行く。
 そして、竹下が戻って来た。

 竹下:「中に入って呼び掛けてみたが、愛原様はいらっしゃらないみたいだ」
 凛:「ええっ!?」
 リサ:「……!」

 リサに焦りの色が出る。
 その時、リサの頭の中に、ある人物が浮かんだ。

 リサ:「! 女将さんは!?凛のお母さん!」
 凛:「女将は日勤だけの勤務だから、もう仕事が終わって、寮に戻ってるはずですよ」

 ホテルに併設された従業員寮がある。
 前に凛が初登場した時、従業員専用の出入口から現れたが、そこが寮の入口(正確に言えば、ホテルと寮を結ぶ渡り廊下)である。

 リサ:「一応、女将さんにも言っといた方がいいんじゃない?」
 凛:「そ、そうですね!」

 凛もまた自分のスマホを取り出した。

 凛:「え……?!」
 リサ:「どうした?」
 凛:「お母さんも出ない……!」
 リサ:「え!?」
 凛:「コールしてるんだけど、出ないです!」
 リサ:「ええーっ!?」

 これは一体、何を意味しているのか?
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“愛原リサの日常” 「ホテル天長園の夜」

2022-01-11 16:03:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日18:00.天候:雪 栃木県那須塩原市某所 ホテル天長園8F食堂]

 高橋:「先生、外は雪が降って来ましたよ?」
 愛原:「ん?ああ、山沿いだからな。そりゃ降るだろう」

 リサ達は、同じフロアにある食堂に向かった。
 こちらは1Fのレストランと違い、宿泊客専用の夕食・朝食会場である。
 窓からは那須連峰が見渡せることを売りにしている、展望レストランであった。
 しかし、日が暮れてからというもの、天候が悪化し、外は雪が降り出していた。
 その為、今は窓から那須連峰を見ることはできない。
 夕食会場では愛原達の他、数組の宿泊客が夕食を取ることになっている。
 もちろん、それぞれグループ毎にテーブルが分けられている。

 リサ:「おー!一人鍋!」
 高橋:「ベタな温泉旅館の夕食の法則、だな」
 上野凛:「火をお点けします」

 仲居のアルバイト中である凛が、チャッカマンを持って来て、一人鍋の固形燃料に火を点けた。
 尚、本来は中学生ができないアルバイトであるが、『家業の手伝い』というのを表向きにして働いている。
 母親の女将も、このホテルの経営陣の1人である為。

 リサ:「1人すき焼!」
 凛:「那須和牛のバラ肉ですよ」
 リサ:「おー!」
 女将:「お飲み物は何に致しましょう?」
 愛原:「私と彼にはビール。あと、リサにはオレンジジュースをお願いします」
 女将:「かしこまりました。……先ほどは御期待に沿えず、申し訳ございませんでした」
 愛原:「いえ、しょうがないです」

 白井京香理事長は、白井伝三郎の姪。
 しかし、このホテル……というか、施設内の宗教施設にいる所までは分かったが、愛原の面会は断られてしまった。
 あくまでも訴追されているのは、白井伝三郎本人。
 その血縁者までは対象ではないし、ましてや民間の探偵業者である愛原に、面会の強要はできない。
 ただ、黒に近いグレーな人物であることは間違い無いようだ。
 何故なら……。

 女将:「理事長も、日本アンブレラでの勤務歴があるのは事実です。教団内でのプロフィールでは、紹介されていませんけど……」

 とのことだ。
 しかし、一口に日本アンブレラといっても様々な職種がある。
 白井伝三郎みたいに、生物兵器開発部門にいたのなら真っ黒であるのだが、ただの総務部門とか営業部門にいたのなら、あまり関係無いかもしれない。
 女将も行き別れた姉(上野暢子。現在は愛原リサになっているとされる)を捜す為、日本アンブレラのことを突き止め、自らそこに飛び込んで人体改造を受けてBOWになったわけだが、白井伝三郎はそこに登場しても、白井京香は登場しなかった。
 女将もまた、生物兵器開発部門以外のことは知らない。

 高橋:「先生のことを警戒しているのかもしれませんね」
 愛原:「うーむ……」

 愛原は自分の身元を明かして警戒を解こうとしたが、却って警戒されてしまったようだ。
 名刺には、一切NPO法人デイライトやBSAAとの関わりを仄めかすことは書かれていなかったが、愛原のことそのものが知れ渡っていれば意味が無い。
 すると女将は、他の仲居と一緒に飲み物の他、サイコロステーキを持って来た。

 女将:「このステーキは、私からのサービスです。あと、愛原様の御期待に沿えなかったお詫びの意味もございます」
 愛原:「えっ、そんな!いいのに!」
 リサ:「おー!さすが私の妹(かもしれない人物)!太っ腹~!」
 女将:「いえいえ、どうぞどうぞ」
 愛原:「ほれ、高橋」
 高橋:「先生、あざっす!」

 愛原は高橋のグラスにビールを注いでやった。

 高橋:「先生!俺のもどうぞ!」

 そして、高橋からもビールを注いでもらう。
 その後で乾杯し、夕食となった。

 愛原:「固形燃料か……」
 高橋:「何スか?」
 愛原:「いや、これに薬液を合わせて火炎放射器の燃料を造ったというイーサン・ウィンターズ氏は凄いなぁ……と」
 高橋:「アメリカのバイオハザードのことっスか」
 愛原:「そういえば女将さんも、人体改造を受ける時に、特異菌を植え付けられたんだよね?」
 女将:「はい。試作品とのことでしたが、私が飢え付けられたのはTウィルス改と特異菌です」

 それが娘である凛にも受け継がれたというわけだ。
 ウィルスと違い、カビの一種である特異菌は下の世代にも受け継がれるらしい。
 それは特異菌感染者であっても、生殖能力は失われないことを意味する。

 愛原:「リサと違い、Gウィルスは持っていないわけか……」

 ケガをしても驚異的な回復力を誇る素となっているのが、Gウィルス。
 しかしそれは、特異菌でも応用された。
 だが、特異菌では回復力に限界がある(何度も回復させると、そのうち菌の方が限界を迎えて石灰化する。イーサン・ウィンターズの死の間際)。
 しかし、Gウィルスではそういった現象は見られない(菌よりウィルスの方が増殖しやすい為か)。

 愛原:「あ、そうだ。娘さん、仕事は20時まででしたよね?」
 女将:「はい、そうです」
 愛原:「リサから色々話があるようなので、終わったら、私達の部屋まで来てもらうように伝えてもらっていいですか?」
 女将:「かしこまりました」
 愛原:「あまり遅くならないようにしますから」
 女将:「大事なお話ですから、どうぞお気になさらないでください」

[同日20:00.天候:雪 同ホテル8F客室]

 愛原:「ん?ジャージに着替えるのか?」
 リサ:「この方が動きやすい。それに、何だか合宿みたい」
 愛原:「合宿ねぇ……」

 リサは浴衣から、持って来た学校のジャージに着替えた。

 凛:「失礼します。……あ、リサ先輩、ジャージに着替えたんですか?」
 リサ:「そういうリンこそ、ジャージ」
 凛:「あ、はい。バイトが終わったので、(仲居の)制服から着替えたんです」

 凛もまた学校のジャージに着替えていた。

 凛:「いいですね。鮮やかな緑のジャージ。これで体育ができたら、やる気が出ますよ」
 リサ:「さすが陸上部。それじゃ、一緒に行こう」
 凛:「どこへですか?」
 リサ:「お風呂。わたし1人だけじゃ寂しい」
 愛原:「そういうことか!」
 凛:「女同士、裸の付き合いで将来のことを語り合うわけですね。分かりました」
 愛原:「ああ、なるほど。そりゃいい」
 高橋:「先生!俺達も男同士、裸の付き合いで将来のことを語り合いましょう!」
 愛原:「何でオマエが言うと、暑苦しいんだ?」
 リサ:「先生、良かったらわたしの寄生虫あげようか?」

 リサはペロッと舌を出した。
 その下の上には、小さな芋虫のようなものが1匹乗っかっていた。

 愛原:「うーん……。いや、今はいいや」
 高橋:「先生!?何で一瞬考えるんスか!?」
 凛:「さすが生粋のBOW。レベルが違いますね。私なんか、半分人間の血が入った半端者なので……」
 愛原:「まあ、うちのリサと同じようには考えない方がいいだろうね」

 リサ達は大浴場へと向かった。
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