[1月2日10:02.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川停留所→都営バス東20系統車内]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は、栃木県のある場所へ向かう所だ。
別にプライベートの旅行なのに、リサは何故か学校の制服を着ていた。
彼女が言うには……。
リサ:「凛に学園の先輩として、何かアドバイスしに行くんでしょ?だったら、恰好から入ろうと思って」
愛原:「なるほど」
高橋:「先生、バス来ましたよ」
愛原:「おう」
1時間に1~2本しか無い路線バスがやってきた。
都営バスには、たまにそういうローカル線が存在する。
〔「東京駅丸の内北口行きです」〕
前扉からバスに乗り込む。
車内はやはり空いていたが、少し客層が違っていた。
富岡八幡宮や成田山に初詣に行くと思われる、着物の女性をチラホラ見かけた。
リサは慣れた様子で、手持ちのPasmoで運賃を払って乗り込んだ。
愛原:「オマエら、そっちな」
高橋:「ハイ」
空いている1人席に私が座り、2人席にリサと高橋が座った。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗降を終えると、ドアを閉めて発車した。
〔ピンポーン♪ この都営バスは門前仲町、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きです。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
リサ:「凛にこの制服見せて、頑張れーって応援する」
高橋:「先輩の余裕か」
愛原:「凛さん、スポーツが得意なら、それで合格できそうなものだけどね」
リサ:「一応、推薦入試狙ってるって言ってた」
高橋:「推薦入試ってな、頭が良くないとできないんだろ?」
リサ:「凛は成績いいって聞いたけど?」
愛原:「ま、その辺も色々聞いて、アドバイスしてやればいいさ」
[同日10:31.天候:晴 東京都千代田区丸の内 都営バス呉服橋停留所→JR東京駅]
〔ピンポーン♪ 次は呉服橋、呉服橋でございます。東京駅日本橋口、地下鉄大手町駅、丸の内中央ビル、サピアタワー、トラストタワーへはこちらが便利です。次は、呉服橋でございます〕
愛原:「ここで降りるか」
リサ:「はいよ」
リサは降車ボタンを押した。
〔ピンポーン♪ 次、止まります。バスが止まるまで、そのままお待ちください〕
高橋:「日本橋口から入るんスか?」
愛原:「すぐに新幹線に乗るわけじゃないからな。せっかくだから、上野さん達に土産の1つでも持って行ってやればいいじゃない」
リサ:「! それもそうだ。さすが先生」
高橋:「もっと褒め称えろ!」
愛原:「いや、いいよ」
〔「お待たせ致しました。呉服橋です」〕
バスは永代通り上にあるバス停に停車した。
駅前ロータリーは高速バス(主にJRバス)の降車場となっているが、永代通りのバス停は都営バス専用である。
そこで降りたのは、私達だけではなかった。
半分くらいの乗客が降りて行く。
私達と同じように、これから東京駅に行き、電車に乗るのが目的の人達が殆どだった。
愛原:「それじゃ、行こう」
高橋:「はい」
愛原:「リサも1人でバスに乗れるようになるといいんだがな……」
リサ:「わたし、もう大丈夫だよ」
愛原:「ヨーロッパのローズマリー・ウィンターズ氏は遠方監視が条件とはいえ、1人で路線バスに乗ることが許されている。だけど、リサはまだ許可されてないんだよなぁ……」
通学の時などのみ、監視レベルが一段階落とされて、『遠方監視』となっているが、それ以外に関しては、まだ『委託監視』となっている。
これは私達、民間の探偵業者などに委託して、直接監視させるというものだ。
更にレベルが上がると、もはや善場主任達による『直接監視』となる。
愛原:「キップは1人ずつ持とう」
リサ:「わたし、先生の隣~」
高橋:「コラ!」
愛原:「隣も何も、下りは自由席だよ。始発だし、“なすの”は空いてるから」
日本橋改札口だと直接ホームに行ってしまうので、八重洲北口へ向かう。
JR東海側にはなるが、途中でお土産を購入することができる。
リサ:「凛に、甘い物を買って行ってあげる」
愛原:「なるほど。甘い物は脳の活性化にいいって言うからな」
リサ:「うん。あと、わたしが食べたい」
高橋:「オマエ、お土産の意味分かってんのか?」
リサ:「ワカッテルヨ」
高橋:「何でそこだけカタコトなんだ?」
ごまたまごと東京ラスクのラスクを買った。
愛原:「これでいいだろう」
リサ:「『列車を待ちますか?』『はい』『いいえ』」
高橋:「FFⅦリメイクかよ」
愛原:「お土産も買ったことだし、早めにホームに行くか」
私は手持ちのキップを片手に、八重洲北口改札を通過した。
[同日11:05.天候:晴 JR東京駅・JR東日本新幹線ホーム→東北新幹線257B列車1号車内]
〔20番線に停車中の電車は、11時8分発、“なすの”257号、郡山行きです。この電車は……〕
BSAAとの取り決めにより、最後尾の1号車に並ぶ。
“やまびこ”や“つばさ”、“はやぶさ”と“こまち”は長蛇の列だったが、“なすの”は空いていた。
昨年はコロナ禍でどの列車も閑散としていたが、少しは持ち直したようだ。
コロナ禍というキングボンビーも、ようやく普通の貧乏神に戻ったか?
〔「お待たせ致しました。20番線、まもなくドアが開きます。乗車口まで、お進みください」〕
私達が乗る“なすの”は“はやぶさ”の折り返しということもあり、到着しても車内清掃の為に、すぐには乗ることができなかった。
それが終わり、ようやく乗車が開始される。
中間車と比べると、明らかに乗車定員の少ない1号車であるが、私達は3人席に座ることができた。
〔「ご案内致します。この電車は11時8分発、東北新幹線“なすの”257号、郡山行きです。……」〕
荷棚の上に荷物を置き、リサが窓側に座り、私が真ん中、通路側が高橋というのは、もはや鉄板の席順である。
リサ:「駅弁食べたかったー」
愛原:「ホテルに着いたら、そこで昼食取るからさ」
私はリサを宥めすかした。
代わりにリサは、テーブルの上にジュースとポッキーを置いている。
高橋:「駅からはバスですか?前回みたいに」
愛原:「いや、今度はホテルから迎えが来てくれるってさ」
高橋:「それはいいですね」
愛原:「ただ、チェックインの時間にはまだ早いから、着いたらホテルのレストランで昼食でも取って、時間を潰そうかと考えているんだ」
高橋:「先生の顔で、早めにチェックインさせてもらえませんかね?」
愛原:「俺の顔を使っても、昼食後になりそうだな。だが、腹を空かせたリサを満足させてからの方がいいだろう」
リサ:「食べてからの方がいい」
リサはポッキーを齧りながら、大きく頷いた。
愛原:「そういうことだ」
高橋:「分かりました。先生の御意向なら……」
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は、栃木県のある場所へ向かう所だ。
別にプライベートの旅行なのに、リサは何故か学校の制服を着ていた。
彼女が言うには……。
リサ:「凛に学園の先輩として、何かアドバイスしに行くんでしょ?だったら、恰好から入ろうと思って」
愛原:「なるほど」
高橋:「先生、バス来ましたよ」
愛原:「おう」
1時間に1~2本しか無い路線バスがやってきた。
都営バスには、たまにそういうローカル線が存在する。
〔「東京駅丸の内北口行きです」〕
前扉からバスに乗り込む。
車内はやはり空いていたが、少し客層が違っていた。
富岡八幡宮や成田山に初詣に行くと思われる、着物の女性をチラホラ見かけた。
リサは慣れた様子で、手持ちのPasmoで運賃を払って乗り込んだ。
愛原:「オマエら、そっちな」
高橋:「ハイ」
空いている1人席に私が座り、2人席にリサと高橋が座った。
〔発車致します。お掴まりください〕
バスは乗降を終えると、ドアを閉めて発車した。
〔ピンポーン♪ この都営バスは門前仲町、日本橋経由、東京駅丸の内北口行きです。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕
リサ:「凛にこの制服見せて、頑張れーって応援する」
高橋:「先輩の余裕か」
愛原:「凛さん、スポーツが得意なら、それで合格できそうなものだけどね」
リサ:「一応、推薦入試狙ってるって言ってた」
高橋:「推薦入試ってな、頭が良くないとできないんだろ?」
リサ:「凛は成績いいって聞いたけど?」
愛原:「ま、その辺も色々聞いて、アドバイスしてやればいいさ」
[同日10:31.天候:晴 東京都千代田区丸の内 都営バス呉服橋停留所→JR東京駅]
〔ピンポーン♪ 次は呉服橋、呉服橋でございます。東京駅日本橋口、地下鉄大手町駅、丸の内中央ビル、サピアタワー、トラストタワーへはこちらが便利です。次は、呉服橋でございます〕
愛原:「ここで降りるか」
リサ:「はいよ」
リサは降車ボタンを押した。
〔ピンポーン♪ 次、止まります。バスが止まるまで、そのままお待ちください〕
高橋:「日本橋口から入るんスか?」
愛原:「すぐに新幹線に乗るわけじゃないからな。せっかくだから、上野さん達に土産の1つでも持って行ってやればいいじゃない」
リサ:「! それもそうだ。さすが先生」
高橋:「もっと褒め称えろ!」
愛原:「いや、いいよ」
〔「お待たせ致しました。呉服橋です」〕
バスは永代通り上にあるバス停に停車した。
駅前ロータリーは高速バス(主にJRバス)の降車場となっているが、永代通りのバス停は都営バス専用である。
そこで降りたのは、私達だけではなかった。
半分くらいの乗客が降りて行く。
私達と同じように、これから東京駅に行き、電車に乗るのが目的の人達が殆どだった。
愛原:「それじゃ、行こう」
高橋:「はい」
愛原:「リサも1人でバスに乗れるようになるといいんだがな……」
リサ:「わたし、もう大丈夫だよ」
愛原:「ヨーロッパのローズマリー・ウィンターズ氏は遠方監視が条件とはいえ、1人で路線バスに乗ることが許されている。だけど、リサはまだ許可されてないんだよなぁ……」
通学の時などのみ、監視レベルが一段階落とされて、『遠方監視』となっているが、それ以外に関しては、まだ『委託監視』となっている。
これは私達、民間の探偵業者などに委託して、直接監視させるというものだ。
更にレベルが上がると、もはや善場主任達による『直接監視』となる。
愛原:「キップは1人ずつ持とう」
リサ:「わたし、先生の隣~」
高橋:「コラ!」
愛原:「隣も何も、下りは自由席だよ。始発だし、“なすの”は空いてるから」
日本橋改札口だと直接ホームに行ってしまうので、八重洲北口へ向かう。
JR東海側にはなるが、途中でお土産を購入することができる。
リサ:「凛に、甘い物を買って行ってあげる」
愛原:「なるほど。甘い物は脳の活性化にいいって言うからな」
リサ:「うん。あと、わたしが食べたい」
高橋:「オマエ、お土産の意味分かってんのか?」
リサ:「ワカッテルヨ」
高橋:「何でそこだけカタコトなんだ?」
ごまたまごと東京ラスクのラスクを買った。
愛原:「これでいいだろう」
リサ:「『列車を待ちますか?』『はい』『いいえ』」
高橋:「FFⅦリメイクかよ」
愛原:「お土産も買ったことだし、早めにホームに行くか」
私は手持ちのキップを片手に、八重洲北口改札を通過した。
[同日11:05.天候:晴 JR東京駅・JR東日本新幹線ホーム→東北新幹線257B列車1号車内]
〔20番線に停車中の電車は、11時8分発、“なすの”257号、郡山行きです。この電車は……〕
BSAAとの取り決めにより、最後尾の1号車に並ぶ。
“やまびこ”や“つばさ”、“はやぶさ”と“こまち”は長蛇の列だったが、“なすの”は空いていた。
昨年はコロナ禍でどの列車も閑散としていたが、少しは持ち直したようだ。
コロナ禍というキングボンビーも、ようやく普通の貧乏神に戻ったか?
〔「お待たせ致しました。20番線、まもなくドアが開きます。乗車口まで、お進みください」〕
私達が乗る“なすの”は“はやぶさ”の折り返しということもあり、到着しても車内清掃の為に、すぐには乗ることができなかった。
それが終わり、ようやく乗車が開始される。
中間車と比べると、明らかに乗車定員の少ない1号車であるが、私達は3人席に座ることができた。
〔「ご案内致します。この電車は11時8分発、東北新幹線“なすの”257号、郡山行きです。……」〕
荷棚の上に荷物を置き、リサが窓側に座り、私が真ん中、通路側が高橋というのは、もはや鉄板の席順である。
リサ:「駅弁食べたかったー」
愛原:「ホテルに着いたら、そこで昼食取るからさ」
私はリサを宥めすかした。
代わりにリサは、テーブルの上にジュースとポッキーを置いている。
高橋:「駅からはバスですか?前回みたいに」
愛原:「いや、今度はホテルから迎えが来てくれるってさ」
高橋:「それはいいですね」
愛原:「ただ、チェックインの時間にはまだ早いから、着いたらホテルのレストランで昼食でも取って、時間を潰そうかと考えているんだ」
高橋:「先生の顔で、早めにチェックインさせてもらえませんかね?」
愛原:「俺の顔を使っても、昼食後になりそうだな。だが、腹を空かせたリサを満足させてからの方がいいだろう」
リサ:「食べてからの方がいい」
リサはポッキーを齧りながら、大きく頷いた。
愛原:「そういうことだ」
高橋:「分かりました。先生の御意向なら……」