報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

新型コロナウィルスによる添書登山中止のお知らせ。

2020-08-28 23:27:58 | その他
 https://www.nichirenshoshu.or.jp/jpn/taisekiji.html#ht-announce

 取りあえず明日、高速バスと新幹線のキップの払い戻しに行ってきます。
 うちの愛原リサの抗体、何の役にも立ちませんでしたなぁ……。
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“私立探偵 愛原学” 「政府機関、動く」

2020-08-28 20:07:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月22日15:30.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 ホテル東横イン仙台駅西口中央]

 今日宿泊するホテルに到着した私達。

 高橋:「先生!『走る死亡フラグ』がフラグ折りました!」
 愛原:「良かったじゃないか」

 公一伯父さんは御年70代だ。
 高齢者マークのステッカーを貼り、白いプリウスを駆っている。
 高橋はそれを、『ブレーキとアクセル踏み間違えて突っ込むこと上等の死亡フラグ』だと言うんだな。
 ま、否定はすまい。
 そんな伯父さんの運転するプリウスで到着した私達の両親。

 愛原学:「いいかな?チェックインの手続きするよ?」
 愛原公一:「待てい」
 学:「なに?」
 公一:「お祖父ちゃんからのお小遣いぢゃw」
 リサ:「わぁい。ありがとうございます~」
 学:「『孫にお小遣いをあげるお祖父ちゃん』の役やりたかっただけでしょ!」
 公一:「肝心の甥っ子がいつまでも結婚しないので、痺れを切らしたのだ」
 学:「すいませんね!愛原家は私の代で強制終了ですよ!」
 リサ:「私で良かったら、法統相続協力する」
 公一:「うむ。実に頼もしい」
 学:「とにかく、フロントに行って来ますから」

 私はフロントに行った。

 学:「今日から一泊で予約している愛原です」
 フロント係:「はい、愛原様でございますね」

 私はツインの鍵2つとシングルの鍵を1つもらった。

 学:「それじゃ行きましょう。伯父さんもありがとうございました」
 公一:「うむ。いつでも遊びに来ていいぞ。小牛田の駅まで迎えに行ってやる」
 学:「そりゃどうも」

 エレベーターで客室フロアに向かう。

 学:「でも公一伯父さんと夕食だよね?」
 愛原薫:「この時間、大学の研究室に顔を出しに行くんだろう」
 愛原節子:「大学の人達と食事をするから、こっちはキャンセルして来たりしてね」
 薫:「十分あり得る。昔から兄さんは自由人だったからなぁ……」

 エレベーターを降りると、私達はそれぞれの部屋に入った。

 学:「夕食までゆっくりしてるか」
 高橋:「先生の伯父さん、太っ腹っスね。先生がフロントに行ってる間、俺にも小遣いくれたんスよ」
 学:「マジか。若いっていいなぁ!」

 ま、私も昔はよく伯父さんからお年玉だの、色々と買ってもらったりだのしたものだ。
 伯父さんこそ天涯孤独な人だからな。

 高橋:「リサも諭吉先生1人分もらってた感ありますよ?」
 学:「当人にとってはお年玉あげるような感覚だろう」
 高橋:「お正月に会ったら、ガチでお年玉くれそうですね」
 学:「かもしれないな」

 高橋は湯沸かしサーバーに水を入れて、それでお湯を沸かした。

 高橋:「今、お茶入れますんで」
 学:「ああ、悪いな。俺は自分の事務仕事でもしてるよ」

 私はそう言って荷物の中からノートPCを出し、それをライティングデスクの上に置いた。

 学:「おっ、窓の外は新幹線の線路かぁ」

 窓の下を見ると、新幹線が通過して行った。
 シンカリオン好きの子供なら、大喜びだろうな。

 学:「ん?メールが来てるな……」

 このホテルにはWi-Fiが飛んでいるので、それでインターネットは簡単に使える。
 それでメールチェックすると、善場主任からメールが来ていた。

 善場:『高野事務員から、愛原所長が仙台市内に向かったと伺いましたのでちょうど良かったです』

 とのこと。
 落ち着いたら電話が欲しいとのことだった。

 学:「何だろう?」

 私は自分のスマホを取り出し、それで善場主任に掛けてみた。

 善場:「愛原所長ですか?」
 学:「はい、愛原です。確かに私は今、仙台市内にいますが、ちょうど良かったというのは、どういうことですか?」
 善場:「仙台市若林区で起きた爆発事故については御存知ですね?」
 学:「知ってるも何も、実家が少し巻き込まれてしまって、それで両親の安否を確認しに向かったわけです」
 善場:「そうだったのですか。それで御両親は御無事だったのですか?」
 学:「おかげさまで。ただ、現場周辺はまだ停電中かつ立入規制中なので、家に入れないので、今日は市内のホテルに泊まります。実家の片付けとかを手伝わないといけないので……」
 善場:「そうですか。その爆発現場がどういった場所なのかは御存知ですか?」
 学:「さっき知りましたよ。旧アンブレラと因縁のある家系、トレヴァー家の屋敷があったらしいですね。もっとも、私が生まれる前に行方不明になったらしいですが」
 善場:「日本国内に旧アンブレラ本体の関係者が潜伏しているという情報は得ていました。ただ、行方が掴めなくなっていたので、死亡説も組織内にあったのは事実です」
 学:「その屋敷の地下室から人骨が見つかったらしいですよ。もしかしたら、そこに住んでたトレヴァーさんの人骨かもしれませんね」
 善場:「それをこれからうちの組織が調査します。月曜日にそちらに向かいますが、所長は立ち会えますか?」

 高野君、事務所はよろしく頼む!

 学:「前向きに善処します」
 善場:「よろしくお願いしますよ。できれば、そちらのリサ・トレヴァーにも来て頂きたいものですね」
 学:「えっ?」
 善場:「もしかしたら、『愛原リサ』として暮らしている、そちらの日本版リサ・トレヴァーは、本当にそこの家の子であった可能性がありますので」

 やっぱりか!

 学:「分かりました。ますます可及的速やかに事務所に連絡致します」
 善場:「よろしくお願いします」
 学:「……善場主任」
 善場:「何ですか?」
 学:「善場主任の所属する組織は、リサを将来の政府エージェントとして使いたいんですよね?」
 善場:「最初に御説明申し上げたと思いますが?」
 学:「BOWのままで本当に大丈夫なのでしょうか?」
 善場:「ああ、そういうことですか。……詳しい真意は時が来たらお話しさせて頂こうと思っていましたが、結論から先に申しますと、愛原リサはアメリカの政府エージェント、シェリー・バーキン氏のような者にするつもりです」
 学:「でも、シェリー氏は人間ですよ?まあ、幼少時に一時BOW化しかかったようですが……」
 善場:「はい。有名な話ですね。それですよ」
 学:「?」
 善場:「私達は愛原リサを人間に戻す方法を考えています」
 学:「な、何ですって!?」

 リサを人間に戻す!?
 そんなことができるのか!?

 善場:「あくまでも計画です。しかし、その計画は既に上からの承認を得ております。アメリカのシェリー・バーキン氏にできたのです。こちらのリサ・トレヴァーにできないことはないと考えております。ですので、愛原所長にはその計画の推進の為に、尚一層の御協力を頂きたいのです」

 私は開いた口が塞がらなかった。
 善場主任達、陰でそんな計画を立てていたとは……。

 善場:「確かに今のリサ・トレヴァーは危険です。いつ暴走するか分かりません。しかしバーキン氏のように超人的な能力は残しつつ、且つ人間の姿のまま絶対に変化することはないのであれば……とても安全だと思いませんか?バーキン氏は人間です。私達は愛原リサをそのような存在にし、それから私達の組織に迎え入れたいのです」
 学:「……その計画、成功できるアテはあるんですか?」
 善場:「これ以上は機密事項ですので、まだ申し上げられません。しかし、全くアテが無ければ、そもそも承認など得られませんよ」

 善場主任はそう言って電話を切った。

 高橋:「大丈夫ですか、先生?お茶です」
 学:「リサを人間に戻す……」
 高橋:「えっ?」
 学:「リサを人間に戻すという計画を、善場主任達は進めようとしているんだってさ」
 高橋:「ええっ、マジっすか!?パネェっすね、あの姉ちゃん達!?」

 高橋が驚くのも無理はない。
 だが、リサにはまだ内緒にしておいた方がいいだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「市街地へ向かう」

2020-08-28 15:45:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月22日15:06.天候:晴 宮城県仙台市若林区 仙台市営バス一本杉町停留所→仙台市営バスJ411系統車内]

 高橋:「先生、教授の車見ましたか?死亡フラグですよ、死亡フラグ」
 愛原:「元教授だよ。まあ、名誉教授としての籍はあるのかもしれないけど。まあ、死亡フラグというか何というか……」

 私達は先にホテルに行く為、小学校近くのバス停でバスを待っていた。
 交通規制そのものは大幅に解除されたことで、バス路線の通っている県道も車が通るようになった。

 愛原:「高齢者マークのプリウスか……。自分が死亡フラグじゃなく、他人が死亡フラグだ」
 高橋:「俺達も『サツの車』『ヤーさんの車』そして、『ジジィのプリウス』には要注意というステッカーを車に貼ってたものです」
 愛原:「どこで売ってるんだ、そういうの……」
 リサ:「バスが来たよ」

 両親達は正にその『走る死亡フラグ』に乗って、後でホテルまで来る。
 伯父さんはせっかくなので、大学に寄ってから帰るそうだ。
 いや、まあ、全ての高齢者プリウスが危険車両ではないということは分かってるんだけどねぇ……。

〔J411系統、若林区役所前、仙台駅前経由、交通局・東北大学病院前行きでございます〕

 リサ:「これ、前から乗るの?」
 愛原:「いや、中扉から乗って先にPasmoを当てるんだ」
 高橋:「でも先生、つい前から乗りたくなりますね」
 愛原:「まあ、気持ちは分かる」

 私達は中扉からバスに乗り、1番後ろの席に座った。
 都区内在住の私達がそう思ったのもそのはず。
 このバス、明らかに都営バスの中古車両だったからである。
 まさか仙台に来てまで、『みんくる』の絵が描かれたモケットの上に座るとは思わなかったよ。

〔発車します。ご注意ください〕

 バスが走り出す。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は若林区役所前、若林区役所前でございます。日蓮正宗佛眼寺へおいでの方は、荒町でお降りになられると便利です。次は、若林区役所前でございます〕

 愛原:「リサ、この辺りに見覚えは?」
 リサ:「分かんない。全然分かんない」

 進行方向左側の窓際に座るリサは、首を横に振った。

 愛原:「そうか……」

 この辺りはキリスト教会もある場所である。
 なので、修道服を着た修道女と乗り合わせることもある路線だ。
 魔女達にとっては危険地帯と言えよう。

 リサ:「何か、十字架を持った人達が家に来ていたような気がする……」

 リサはふとそんなことを言った。

 愛原:「思い出したのか!?」
 リサ:「よくは憶えてないけど……」

 アメリカ人なら、まあ宗教はキリスト教だろう。
 なので、何も珍しいことではない。
 伯父さんの話に出て来た『よちよち歩きの娘さん』がリサなんだとしたら、本名はアリサ(またはアリッサ)・洗礼名・トレヴァーということになる。
 そして母親は日本人だというから、正しくここにいるリサと条件は合うのだ。
 リサの顔立ちからして、日本人と欧米人とのハーフかクォーターだとは思っていた。

 愛原:「アメリカにいたトレヴァー家は旧アンブレラの犠牲になっている。しかし旧アンブレラと直接関わった一家は口封じの為にお家断絶させられたけど、その親族達にまでは魔の手は及んでいなかった。いや、魔の手からの追跡から上手く逃れたというべきか……」

 親族の一部はアメリカのルイジアナ州で建築設計事務所を経営していることが分かっている。
 元々トレヴァー家は建築士の家系だったらしい。
 そしてまた別の親族が日本に逃れて来たということか。

 高橋:「その口封じされた家族の中に、リサのオリジナル版がいたんですね?」
 愛原:「そういうことだ」

 当時14歳だったリサ・トレヴァーは旧アンブレラに捕まり、非人道的な実験を繰り返された挙句、不老不死の化け物と化している。
 旧アンブレラはそんなリサをゴミ同然に扱っていたが、日本法人がその研究を継承し、ついに日本モデル完全版として、ここにいるリサを造り上げた(アメリカ本体と違って生物兵器として悪用することよりも、むしろリサ・トレヴァーが手に入れた不老不死について研究したかったらしい)。
 もしリサがあのアメリカ人の家の子なのだとしたら、国籍はアメリカか?
 アメリカ人の子をどうこうするのであり、日本人の子をどうこうするわけではないからOKとでも思ったか、旧・日本アンブレラの連中?
 因みにここにいるリサは日本国籍である。

 高橋:「何かここに来て、急にリサの真相がやってきましたね?」
 愛原:「全くだ。どこに真相が転がってるのか、分かったもんじゃないよ」

 あとは更に立ち入り制限が解除されて、『お化け屋敷』を探索できればいいのだが、大爆発のせいで跡形も無くなったんだっけ。
 もう少し早く気づいてたらなぁ……。

 愛原:「ん!?」

 その時、私の脳裏に子供の頃の記憶が蘇った。
 それはまだ私が小学生だった頃、友達何人かと一緒に、あの『お化け屋敷』を探検した時の話だ。
 当時は規制も緩かったので、鍵なんか勝手に開けられたくらいだ。
 リビングみたいな所に暖炉があって、その上に『お化け屋敷』に住んでいたと思われる家族の集合写真があった。
 その中に、確かに『よちよち歩きの娘さん』が写っていたような気がする。
 だけど、それがここにいるリサなのかどうかは分からない。

 高橋:「先生、どうしました?」
 愛原:「いや……。リサも、もうすぐ15歳だ。その体の見た目の年齢はな。実際は俺より5歳くらいは年上なのか?そう思われる小さな女の子の写真を、あの『お化け屋敷』の中で見たような気がしてね」
 リサ:「私と似てた?」
 愛原:「いや、分からん。写真自体が古かったし」

 私が生まれる直前に行方不明になったということは、私が探検に入った時にはそれから10年くらい経ったということになる。
 元々古い屋敷だったので、尚更老朽化感が半端無かった。

 リサ:「私じゃないのかな。全然記憶が無い」
 愛原:「リサは人間時代の記憶が殆ど無くなっちゃってるからな。無理に思い出さなくていいからな」
 リサ:「うん」

 その時、私のスマホにメールが入った。
 それは伯父さんからだった。

 愛原公一:『学の両親が無事だった祝いに、夕食は美味い物でも食べよう。もちろん学の弟子と嫁も一緒で良い』

 『弟子』も『嫁』も、当人達の勝手な自称なのだが……。
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