報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「寂しい旅行」

2020-08-11 21:42:13 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日21:00.天候:雨 東京都八丈町 八丈島三根 リードパークリゾート八丈島2F客室内 視点:善場優菜(としば・ゆうな)]

 大浴場から客室に戻って来た善場、リサ、斉藤。

 斉藤:「曇り空なんてサイテーだわ。せっかくリサさんときれいな星空見たかったのに」
 リサ:「うん、うん」

 リサは風呂上がりに売店で購入したアイスクリームを頬張りながら頷いた。

 善場:「明日は晴れるみたいなので、それに期待しましょう。それに、何も異常が無ければ愛原所長が退院します」
 リサ:「先生、大丈夫!?退院、できる!?」
 善場:「それは明日になってみないと分かりません」
 斉藤:「今も検査しているの?」
 善場:「下手したら新型コロナウィルスより怖いウィルスに、愛原所長は感染しているのかもしれないのです。検査にはBSAAの医官も加わって行われます」
 リサ:「私があの島に渡った時、そんな感じはしなかったけど……」
 善場:「未知のBOWやクリーチャーがいた場合、その確率はグッと高くなります。ですが、そうではないので、愛原所長が退院できる確率は高いと思いますけどね」
 リサ:「あの島、タイラント君やネメシスしかいなかった。あとはリッカーとか」
 善場:「はい。なので多分、大丈夫だとは思います。全てTウィルスに関わる種類ばかりですし、愛原所長は元からTウィルスに対して完全な抗体を持っていることが証明されています。これはBSAAの古参幹部やテラセイブの一部関係者などと同じです」
 リサ:「じゃあ、もう退院していいんじゃない?」
 善場:「愛原所長が一切安全であることが科学的に証明されないことにはダメです」

 そこは国家公務員。
 善場はお役所的な回答をした。

 斉藤:「あら?また雨が降って来たわ」
 善場:「夏の伊豆諸島は雨が多いので、しょうがないですね。本当は台風が来てもいいくらいなんですが、今年はまだ来てませんね」
 リサ:「台風が来た方が良かった?」
 善場:「来ない方がいいでしょう。あの暴風雨のせいで、あの島を汚染したTウィルスが海に流出してしまう恐れがあります」
 斉藤:「海に流出したらマズいの?」
 善場:「まだ科学的な根拠はありませんが、変異性の強いウィルスですので、もし海洋に耐性のある未知のタイプに変異されたりしたら大変なので」

 それを人工的に造り出したのが“T-アビス”というウィルスである。

 リサ:「いずれにせよ、今夜は星を見るのは無理」
 善場:「そういうことななりますね」
 斉藤:「ちぇっ。せっかくリサさんと2人きりになれたと思ったのにぃ……!」

 善場のことは完全スルーか。

 リサ:「善場さんはいつ寝る?」
 善場:「私はちょっと事務仕事があります」

 善場はバッグの中からノートPCを取り出した。

 善場:「それが終わり次第、寝ようと思います。明日の飛行機で、私は羽田に行きますので。ああ、もちろん、退院の手続きやら何やらが終わってからなので、2番目の飛行機に乗ると思いますが」
 リサ:「ふーん……」

 初便だと朝早い為、2便目の午後便になるようである。
 因みに最終便は夕方に出る。

 斉藤:「リサさん。漫画でも読んでましょう。ロビーにあったよね?」
 リサ:「確かあった」
 善場:「どうぞ、行ってらっしゃい」

 リサと斉藤が出て行くと、善場は手持ちのPCを起動させた。

 善場:「『リサ・トレヴァーの動向は順調。今のところ、愛原学氏を主人と認め、思慕している。この主従関係が損なわれない限り、リサ・トレヴァーの暴走は無いものと思われるが、引き続き観察は必要である。……』」

[同日21:30.天候:雨 同ホテル1Fロビー 視点:愛原リサ]

 斉藤:「何か、子供向けの漫画ばっかりね」
 リサ:「ガイドブックがある。これで明日、どこへ行くか決めよう」
 斉藤:「明日?まだ、愛原先生が退院できるかどうか分かんないじゃない?」
 リサ:「大丈夫。きっと先生は退院できる」
 斉藤:「そっか。そうだよね。……でもさ、もしも万が一、先生に変なウィルスが見つかって、それで退院できなかったら?」
 リサ:「善場さん、残ってくれるよね?」
 斉藤:「でも明日帰るって言ってたよ?」
 リサ:「私達はどうすれば?」
 斉藤:「ちょっと聞いてみようか……」

 斉藤は近くにあった内線電話を取った。
 それで部屋に掛ける。

 善場:「はい、もしもし?」
 斉藤:「あ、あの、斉藤ですけど……」
 善場:「斉藤さん?何かありましたか?」
 斉藤:「あ、あの、1つ質問なんですけど……もしも明日、愛原先生が退院できなかったら、私達はどうすれば……?」
 善場:「ああ、そうか。万が一の話をしてませんでしたね。愛原所長の状況によって、選択肢は2つあります。もしも愛原所長の入院が長引きそうなのであれば、あなた達は明日、私と一緒に帰ることになります。申し訳ないですが、旅行は明日で中止ということですね。もう1つが、愛原所長の退院時期が数日後……つまり、この連休内であるというのなら、予定通りで構いません。私も明日帰るのを中止して、あなた達の保護者代行を務めましょう」
 斉藤:「そうですか……」
 善場:「ま、愛原所長が異常無く退院できるのがベストですよね」
 斉藤:「はい」

 斉藤が電話を切ると、リサに今の話を話した。

 リサ:「うん、分かった。それじゃ……」

 リサはライブラリにある島内観光のガイドブックを取り出した。

 斉藤:「どうするの?」
 リサ:「先生の為にいい観光プラン考えておく」
 斉藤:「それはいいわね!」
 リサ:「先生は温泉が好きだから、温泉巡りなんかいいかも……」
 斉藤:「温泉……?そうか。このホテルの大浴場、温泉じゃないって書いてあったね」

 このホテルの案内によると、そもそも島内には温泉ホテルや旅館は無いという。
 公営の日帰り温泉施設なら7ヶ所あるとのこと。

 リサ:「ん!……見て!水着で入れる温泉とかあるみたい!」
 斉藤:「リサさんと水着で温泉……どうしましょう
 リサ:「どうするも何も、水着着て入ればいい。サイトー、水着持って来たでしょ?」
 斉藤:「もちろんよ!リサさんの為に、マイクロ紐ビキニを持って来たのよ!」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 リサ:「……補導されるといけないから、やっぱやめよう」
 斉藤:「ウソよ、ウソ!ちゃんと普通のビキニだから!そういうリサさんはどんな水着持って来たの?」
 リサ:「どんなって、フツーに学校のを持って来た」
 斉藤:「えー、せっかくだから新しい水着買ってもらえば良かったのにぃ~」
 リサ:「なんかね、この前、先生のパソコンこっそり見たら、学校の水着を来た女の子達が【あれやこれ】している動画が出て来たから、先生きっとああいう水着が好きなんだって思って」
 斉藤:「そ、それって……!?」
 リサ:「日頃お世話になっている愛原先生に喜んでもらいたい。学校の水着着て見せるだけでそれが叶うなら安いと思う」(´ー`*)ウンウン
 斉藤:「か、体の安売りはダメよ、リサさん……」(゚Д゚;)

 尚、斉藤はこんなこともあろうかと、スク水もしっかり持って来ているそうである。
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“私立探偵 愛原学“ 「八丈島に戻る」

2020-08-11 14:08:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日17:00.天候:雨 伊豆諸島某離島→八丈島]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 いや、今回はホントとんでもない目に遭った。
 最後の最後に、まさかタイラントに助けられてしまうなんて。

 善場:「まさかタイラントが愛原所長を抱えて来た時には、既に所長は死亡し、リサ・トレヴァーも暴走したのかと思いましたよ」
 愛原:「構図だけ見ればそうかもしれないな」

 尚、タイラントは檻に入れられ、BSAAの輸送ヘリコプターによって、どこかへと運ばれて行った。
 私達が降り立ったヘリポート兼BSAAの臨時本部があったHQは予想通り全滅、私達が来た時には既にBSAAの増援が到着した後だった。

 善場:「愛原所長は感染していないかどうか確認しますので、救助ヘリに乗って下さい」
 愛原:「Tウィルス以外にも何か別のウィルスが蔓延していたのか?コロナウィルスは何を今さらといった感じだと思うが……」
 善場:「そのような報告は上がっておりませんが、万が一の為です」
 愛原:「それもそうか」

 私は白い塗装が特徴の救助ヘリに乗り込んだ。
 リサも乗り込もうとしたが、善場主任に止められた。

 善場:「リサ・トレヴァーはあちらのヘリへ」
 リサ:「私は検査しなくていい?」
 善場:「するまでもありません」

 リサ自身がTウィルスを、任意で感染させる側なので。

 リサ:「愛原先生と一緒にいたい」
 善場:「愛原所長に何も異常無ければ、明日会えますよ。むしろ、お友達と再会して安心させてあげるといいですよ」
 リサ:「お友達……」
 善場:「そうです」
 リサ:「分かった」

 リサがヘリに乗り込もうとした時だった。

 善場:「ちょっと待った。何か、忘れていませんか?」
 リサ:「ん?」

 善場がリサの角をツンツンと突いた。
 リサは“鬼娘”たる第1形態の姿をしていた。

 リサ:「おー……」

 リサ、大きく息を吸い込み、ゆっくりと息を吐く。
 すると、見る見るうちにリサの姿は人間そのものへと変わった。
 これが第0形態である。
 姿形は人間そのものであっても、身体能力は高く、油断しているとすぐにBOWの片鱗が出てしまう。
 また、思考そのものが変わるわけではないので、思考内容が普通の人間とズレることが多々ある。

 善場:「それじゃ、早く乗りましょう。期待していますよ。未来の『シェリー・バーキン』さん」
 リサ:「シェリー・バーキン?」

 ちょっと善場主任、リサとシェリー氏を比べるのはどうかと思うぞ。
 リサは本当にBOW、シェリー氏はあくまで元感染者に過ぎないのだから。
 人外的な身体能力だって、Gウィルス感染後の後遺症のようなものだ。
 2機のヘリコプターはヘリポート跡を離陸した。
 2機とも八丈島空港に向かうのは確実だが、私はそこから町立病院へ。
 リサ達は斉藤さん達と合流して、取りあえずは島内のホテルに宿泊するはずだ。

[同日19:00.天候:曇 東京都八丈町 国民健康保険町立八丈病院]

 島内で唯一感染症指定医療機関になっている病院に入る。
 私はTウィルス以外の検査を受ける為に、今日一日入院することになった。
 あの離島にばら撒かれたのは初期のTウィルスだったらしいが、それ以外のウィルスも蔓延していないという保証は無いので。
 で、ここで思わぬ事態が発生した。
 いや、別に私が未知のウィルスだとか、新型コロナウィルスに感染していたとか、そういう話ではない。

 善場:「愛原所長、お疲れ様です」
 愛原:「ああ、善場さん。どうも」

 検査の合間に善場主任がやってきた。
 まだ検査結果が出ていないので、本来は面会禁止のはずだ。
 しかしそこは、国家公務員の権限でも使って来たか。
 ん?ということは、それだけの事態が発生としたということか?
 実際、善場主任の顔は深刻そうである。
 面会と言ってもガラス越し、内線電話で会話することになる。

 愛原:「何かあったんですか?リサが寂しがってるかもしれませんが、何とか今日一日はガマンしてもらって……」
 善場:「いえ、リサ・トレヴァーのことはではありません。むしろ、リサはいいコです」
 愛原:「ん?……あ、高橋か!高橋が寂しがってるのか!?」
 善場:「高橋助手のことですが、そうではありません」
 愛原:「ん?何だ?まさかあいつ、感染して……」
 善場:「違います。八丈島から逃亡しました」
 愛原:「は?何で?どうやって?」
 善場:「ついでに申し上げますと、霧崎真珠さんも、その高橋助手を追って八丈島から出ました」
 愛原:「はあ!?」
 善場:「えーと、斉藤絵恋さんから聞いたところ、高橋助手と霧崎さんが再会したところ、霧崎さんが婚姻届を出して来たと。それのサインを迫られたので、急いで逃亡したらしいですね」
 愛原:「逃亡したって、島からどうやって出たの?」
 善場:「港から出港しようとした漁船に飛び乗ったそうです。どうせ東京……ま、ここも東京都ですけど、本土の東京に戻るだろうからと、霧崎さんは羽田行きの最終便に乗りました」

 私は開いた口が塞がらなかった。

 愛原:「ホテルはどうするんだ!?」
 善場:「既にチェックインはされております。ただ、ホテル側からは『保護者がいないと困る』とのことで、取りあえず私が代行しております」
 愛原:「善場さん、後で費用は斉藤社長に……」
 善場:「ま、それについては後ほど考えさせて頂きます。取りあえず今日のところは私がリサ・トレヴァーと斉藤絵恋さんの保護者を代行しますので、愛原所長は検査に専念してください」
 愛原:「うちのバカ橋が本当すいません!」

 何やってんだ、あのバカ!
 霧崎さんに結婚迫られてるって聞いたけど、どうせあれだろ?
 避妊しないでヤったもんだから、それが原因だろ。

 善場:「それと、これは余談なのですが……」
 愛原:「何ですか?」
 善場:「例の島に医療施設がありましたよね?地下は旧アンブレラの秘密研究所だった場所」
 愛原:「それがどうかしましたか?」
 善場:「あの後、BSAAが検索しましたところ、倉庫に高橋助手を模した人形が椅子に座り、後ろ手に縛られた状態で見つかったそうです」
 愛原:「ん?」
 善場:「その人形を持ち上げると、ネメシスやタイラントが冷凍保存されていたゲージが開く仕組みになっていたそうで、恐らくこれが愛原所長に対する罠だと思います」
 愛原:「あっ、それだ。結局俺達が到着する前に、そのゲージが開いちゃったって話か。で、結局その……俺達を罠に掛けようとした奴らってのは誰だったんだ?」
 善場:「それについては調査中です。例の木村容疑者は、逮捕のきっかけとなった暴行・恐喝事件については素直に話しているものの、愛原所長の事に関しては完全に黙秘しております」

 高橋が知っているはずなんだが、逃げやがったからなぁ……。
 後で説教だ!
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