報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の仕事再開」

2020-08-12 21:54:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月24日10:30.天候:晴 東京都八丈町 国民健康保険町立八丈病院→八丈島空港]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 昨晩は一晩、八丈島の病院に泊まることになった。
 バイオハザードの発生した島にいたということで、私が何かウィルスに感染していないかの検査をする為だった。
 結果は陰性。
 もちろんそれは昨今世界中を騒がせている新型コロナウィルスも含めてだ。

 善場:「……というわけで、今日から予定通りの行動をして頂いて大丈夫です。私も午後便の飛行機で帰りますので」
 愛原:「何だかお手数お掛けしましたね」
 善場:「いいえ。もっとも、確かにこの役は本来、高橋助手か霧崎さんの仕事だったと思いますが」
 愛原:「うちのバカ橋が本っ当すいません!」
 斉藤:「うちのメイドが本っ当すいません!」
 リサ:「でも先生が無事で良かった。それでね先生、先生は水着持ってる?」
 愛原:「水着?ああ、持って来てるよ」
 リサ:「本当!?」
 愛原:「何しろ今回の現場は離島だからな。もしかしたら水着で海を泳ぐ、くらいのことは想定していたよ」
 善場:「水着だけでは溺死しますよ。一応、私共の方でウェットスーツや酸素ボンベを用意していましたから」
 愛原:「スキューバダイビング!?」
 善場:「BSAA本部隊員は、地中海にも潜ったのですよ」
 愛原:「いや、俺達、BSAAじゃないし……」
 リサ:「それより早く行こう。サイトーが『水着着て入れる温泉』に行きたがってる」
 愛原:「何か面白いことでもあるの?」
 斉藤:「リサさんの水着姿が見れるなんて、もーサイコーじゃないですかぁ~!?
 愛原:「……あー、ハイハイ。だったらプールでもいいんじゃないの?」
 リサ:「プールは明日入る。今日は天気が不安定だけど、明日は完全に晴れるみたいだから」
 愛原:「なるほど。確かに今は晴れてるけど、さっきまで曇ってたもんな」
 善場:「どうします?私は一旦ホテルに戻りますけど?ホテルに行って、荷物を取って来ます」
 愛原:「あ、そうですね。私は……あ、そうだ。島内の移動はバスは本数が少ないし、タクシーだと金掛かるからレンタカーの方がいいだろう。レンタカー屋は……」
 善場:「まずは空港へ向かいましょう。私もチケットを購入しておきたいですし。空港なら案内所もありますから、そこでレンタカーのことを尋ねてみては?」
 愛原:「それもそうですね。まずはタクシーで空港へ向かいますか」

[同日10:45.天候:晴 同町内大賀郷 八丈島空港→レンタカーショップ]

 私達はタクシーで八丈島空港に到着した。

 愛原:「ていうか、アレだ。俺達も帰りの航空チケット買わないと」

 善場主任が自分の航空チケットを買いに行くのを見て、私もそれに気づいた。
 航空便は3便あるが、どの便で帰ろうかな?
 一応、どの便も空席はあるみたいだが。

 斉藤:「はいっ!最終便に一票です!」
 愛原:「最終便だと夕方か。まあ、いいか。斉藤さんが一緒ということは、プレミアムクラスでも予約すればいいのかな?」
 斉藤:「いえ、エコノミークラスでいいですよ」
 愛原:「そうかい?エコノミーは狭いよ?」
 斉藤:「いいんです!リサさんと密着できますからぁ……
 愛原:「お幸せに」

 あー、そうか。
 今日はツッコミ役の高橋がいないから、斉藤さんの百合っぷりを止める者はいないということだ。

 リサ:「ということは、私も先生と密着できる?」
 愛原:「そ、そだねー」

 エコノミークラスということは3人席か。
 確かにそうなるなぁ……。
 私はそれで帰りの飛行機を予約した。

 リサ:「羽田空港行き。羽田空港からは何で帰るの?」
 愛原:「まあ、京急と地下鉄じゃないか。菊川方面、リムジンバスなんて無いからな」

 錦糸町方面ならあるのだが、残念だ。

 愛原:「よし。帰りの足を確保したところで、次はレンタカーだな」

 空港内にある案内所で聞いた所、レンタカーショップはいくつかあるようだ。
 そこで私は空港から近いレンタカーショップに行くことにした。
 歩いても行けるようだが、電話したら迎えに来てくれるという。
 迎えに来たワンボックスに乗り、ものの数分でレンタカーショップに着いてしまった。
 離島のレンタカーということもあってか、軽自動車が多い。
 もちろん、普通車も中にはあるが。

 愛原:「狭い道とかもあるだろうから、小回りが利いて安い軽自動車の方がいいんだよなぁ……」

 私は斉藤さんをチラッと見た。

 リサ:「小さい車なら、サイトーと密着できる」
 斉藤:「さすがリサさん!」

 リサは私を見て頷いた。
 さ、さすがはリサ!
 私は『いいね!』のポーズをした。

 愛原:「では、軽自動車でお願いします」
 スタッフ:「はい、ありがとうございます。それでは免許証の方を……」
 愛原:「はい」

 私はスズキ・ワゴンRを借りることになった。
 無料オプションでカーナビも付けられるということで、それが付いている車にした。

 愛原:「よし。じゃあ、乗ってくれ」
 リサ:「はーい」
 斉藤:「はーい」

 車に乗ってエンジンを掛ける。
 リサと斉藤さんはリアシートに座った。

 斉藤:「早速、温泉に……」
 愛原:「いや、まずはホテルだ。だって、俺の水着とか、荷物の中だろ?」
 斉藤:「あ……」
 リサ:「あ……」
 愛原:「ホテルまでのナビを入力して……と」

〔「音声案内を開始します。実際の交通規則に従って運転してください」〕

 リサ:「先生、運転大丈夫なの?」
 愛原:「久しぶりだけど、何とかなるだろ。元々俺1人で仕事してた時なんて、車も俺が自分で運転してたわけだし」

 今は高橋や高野君に任せっきりにしてしまっているが……。
 でも、もしこの場に高橋がいたら、やっぱ彼に運転を任せていたのだろうな。
 私は取りあえず、ホテルの方にハンドルを切った。
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“愛原リサの日常” 「愛原の退院」

2020-08-12 10:00:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月24日07:00.天候:曇 東京都八丈町 八丈島三根リードパークリゾート八丈島2F客室 視点:斉藤絵恋]

 斉藤の枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。

 斉藤:「んん……」

 斉藤は手を伸ばしてアラームを止めた。
 その時、気づく。
 セミダブルベッドの中には、自分以外にもう1人いることを!
 それは……生物兵器BOW!……の、愛原リサことリサ・トレヴァーである。
 旧アンブレラが非合法な手段で日本人少女を拉致・監禁し、それを北朝鮮の工作員による拉致に仕立て上げ、実際は某県霧生市の秘密研究所でBOWに改造したものである。
 その技術にはアメリカのアンブレラ本体による非人道的な実験で生み出されたリサ・トレヴァーのそれが応用され、日本モデル改良版として一先ずの完成を見た。
 日本人の少女をベースにしているはずだが、顔立ちなどは日本人離れしている部分があり、斉藤を始めとする周囲の人間はハーフまたはクォーターではないかと見ている。

 斉藤:「り、リサさん!?」
 リサ:「ん……?もう朝……?」
 斉藤:(り、リサさんが自分から私のベッドに!?きゃーっ!これってもしかして、リサさんからのOKのサイン!?あらまぁ、どうしましょう!?これで『ぱんつはいてない』状態だったらもー大人の階段一気に駆け登って広宣流布・国立戒壇かしら!?カイダンなだけに!)
 リサ:「サイトー、何で朝から悶絶してる?」
 斉藤:「あっ、ご、ごめんなさい!まさかリサさんが私のベッドに入って来てたなんて……」
 リサ:「先生も兄ちゃんもメイドさんもいなくて寂しかったから。嫌だった?」
 斉藤:「と、と、とんでもない!大歓迎よ!」

 斉藤はリサを思いっ切りハグした。

 リサ:「サイトー、ありがとう。あとで『美味しく頂く』ね」
 斉藤:「(何それ!?『後でスタッフが美味しく頂きました』的パターン!?)待ってるからね!いつでもOKよ!」
 善場:(フム。人類に対する食欲があるところは、さすがBOWである)

 その2人の様子をスマホのメモ帳にしっかり記入する善場。
 善場はバスルームで朝シャンしていた。
 バスタオルを巻きながらでも、しっかりリサの観察に余念が無い日本政府直下特務機関の国家公務員(と書いて『エージェント』と読む)であった。

[同日08:00.天候:曇 同ホテル1Fレストラン 視点:愛原リサ]

 3人はレストランに移動した。
 昨夜、夕食を食べた場所である。

 善場:「食べ終わったら病院に行きます。そこで愛原所長の検査の結果を聞き、そこでOKでしたら、晴れて退院となります」
 リサ:「おー、退院」
 善場:「いい検査結果だといいですね。しかし、万が一ということもありますので、それに備えて……」
 リサ:「サイトー、このカレー美味しい!」
 斉藤:「このフレンチトーストもイケるわよ」
 善場:「……最悪のパターンを考え……って、全然聞いてない。まあ、いいか」
 斉藤:「あっ、ごめんなさい。それで、ホテルから車で行くんですか?」
 善場:「行きはタクシーですね。ホテルに頼んで、タクシーを手配してもらいます。帰りは分かりませんので」
 斉藤:「分かりました。ですって」
 リサ:「先生に喜んでもらえるプラン、温泉しか見つからなかった」
 善場:「それでいいじゃないですか。愛原所長は一般人の中ではバイオハザードに慣れた方とはいえ、しかしBSAAの隊員みたいに特殊な訓練を受けた人ではありません。きっとお疲れでしょうから、温泉に入ってもらって疲れを癒やして頂くのはいいアイディアだと思いますよ」
 斉藤:「ですって、リサさん。だ、だからね、昨日ボツになりかけた、あ、あの、水着で入る温泉に……」
 リサ:「サイトー、しつこい」
 善場:「あなた達はともかく、そもそも愛原所長は水着をお持ちなんですか?」
 斉藤:「リサさん?」
 リサ:「あ……」

 多分持って来ていないことを知ったリサは……。

 リサ:「ずーん……
 善場:「まあまあ。島内に水着くらい売ってるお店はあるでしょうから、そこで買えばいいじゃないですか」
 斉藤:「そ、そうよ、リサさん」

[同日10:00.天候:曇 同町内 町立八条病院]

 ホテルからタクシーで10分ほど走った所に病院はある。
 島の中心部に位置しており、八丈島空港からも程近い。
 しかし連休の為か正面入口は閉まっていて、外来診療も休みである。
 入院患者は愛原以外にもいるはずだが、コロナ禍で家族以外の見舞いは禁止されているという。
 しかし、愛原の場合は特別なもので……。

 善場:「【善場が所属している政府特務機関名】の善場優菜と申します。こちらに緊急入院している愛原学氏の容体の確認に伺いました」

 善場が通用口に行き、守衛に身分証を見せながら言った。

 守衛:「ははっ!では、こちらに……。あっ、ちょっと、そちらのお嬢さん方は?」
 善場:「愛原学氏の関係者です。血縁が特にあるわけではないのですが……」

 で、リサと斉藤の入館は断られた。
 しょうがないので、病院の外で待つ2人。

 リサ:「ぶー……」
 斉藤:「ダメだったね」
 リサ:「私ならこの病院、ウィルス塗れにできるのに……」
 斉藤:「う、うん。だったら、やっぱり外で待ってた方がいいね」
 リサ:「どのくらい掛かるんだろう?」
 斉藤:「もし退院できるとしても、色々と手続きがあるでしょうからね。少し掛かるんじゃない?それより、愛原先生が退院したら、最初にどこに行くか決めておかない?」
 リサ:「それもそうだね」

 斉藤はタブレットを取り出した。
 スマホ以外にタブレットも渡されているのだ。

 斉藤:「今いるのがここでしょ。で、水着着て入れる温泉が……」
 リサ:「サイトー。先生が水着持ってるかどうか確認するのが先」
 斉藤:「そ、それもそうね」

 油断も隙も無い少女なのであった。

 リサ:「もし先生が水着持っていなかった時に、買いに行く店を探しておいた方がいいんじゃない?」
 斉藤:「でもこの島、イオンもパルコも無いのよ?」
 リサ:「いや、無いと思う、こういう所は……。ちょっと私にも貸して」

 こうして時間を潰していると、先に善場が出て来た。
 善場はどうしてもポーカーフェイスなので、表情からは愛原の様子が分からない。
 果たして、愛原は退院できたのか?
コメント (1)
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