[7月23日14:00.天候:曇 伊豆諸島某離島 村立病院]
隊員A:「こっちです」
私とリサはBSAA隊員の先導で村立病院の敷地に入った。
人口200人弱の離島にしては、随分と立派な病院が建っている。
医療行政の脆弱な地域に、『最先端の医療施設を無償(また格安)で提供する』慈善事業を隠れ蓑に、実際は地域住民を実験体として巻き込んだ旧アンブレラの汚いやり方だ。
この離島もその被害を受けてしまったのである。
旧アンブレラは、アメリカの本体が潰れたことで世界各地の現地法人も次々と共倒れしていったが、その負の遺産は今もなお牙を剥いているのである。
院内は停電しており、あちこちに死体が転がっていた。
それは医療施設の職員だったり、患者だったりだ。
ゾンビ化した者に食い殺された者、ゾンビ化して徘徊していた所をBSAA隊員に射殺された者だろう。
愛原:「今は安全なんですね?」
隊員A:「この辺りはクリアしています」
隊員はエレベーターのボタンを押した。
エレベーターがスーッと下りてくる。
院内は停電しているが、非常灯は点いており、予備電源で稼働できるものは稼働しているらしい。
エレベーターも予備電源で稼働できる物の1つなのだろう。
ドアが開くと、武装した他のBSAA隊員が降りて来た。
隊員B:「屋上はクリアだ」
隊員C:「その人達は?」
隊員A:「HQから無線があっただろ?リサ・トレヴァーとその制御者の愛原さんだ」
隊員B:「こいつが……」
隊員C:「あのリサ・トレヴァー」
制御者って、私は機械関係の管理者かい。
愛原:「リサは私の命令があれば、何でも聞きます。ですので、警戒は不要ですよ」
隊員B:「油断は禁物ですよ。あのタイラントだって、命令を遂行後はよく暴走したことで有名です」
リサ:「それはタイラント君を褒めてあげないからだよ」
リサは不機嫌そうな顔で反論した。
愛原:「とにかく、リサはネメシスを制御することは可能と言っています。最後の目撃場所を教えてくれませんか?」
隊員A:「そうですね。まずは屋上へ向かいましょう」
隊員B:「俺も行こう」
隊員C:「俺は地下へ向かう。先にエレベーターで向かってくれ」
私達はエレベーターに乗り込んだ。
隊員AがRのボタンを押す。
愛原:「この病院の屋上で目撃された後、目撃されていないんですか?」
隊員A:「そうなんです。どこかに隠れているのかもしれません。どうか、気をつけて」
愛原:「分かりました」
そして、エレベーターが屋上に着いた。
そこにも惨劇があったようだ。
屋上で徘徊していたゾンビが、射殺体とは違う形の死体で見つかった。
首と胴体を引きちぎられていたり、明らかに強い力で殴り殺したりとかだ。
そんなことをするのはBOWに他ならない。
爬虫類や両生類から作ったハンターシリーズもそのようなことをするが、ここではまだ目撃されていないという。
ということは、このゾンビ達を殺ったのは……ネメシスか。
上級BOWはターゲット追跡中に邪魔なゾンビがいると、平気で突き飛ばしたり、殴り飛ばしたりする。
愛原:「なるほど。ここからヘリをロケランで撃ったわけですね」
隊員A:「そのようです」
愛原:「リサ、何か分かるか?」
リサ:「うーん……分かんない」
ただ、どうやらロケランをその辺に放り投げていないことから、それは今も持ったままらしい。
屋上をよく見渡すと、一部の柵が曲がっているのが分かった。
愛原:「あれは?」
その柵に近づいた。
愛原:「ネメシスのヤツ、ここから飛び下りたんじゃないですか?」
リサ:「ん……!」
リサが少し力を解放し、第0形態から第1形態へと変化する。
前者が『人間』なら後者は『鬼娘』だ。
額の上に一本角が生え、耳も長く尖り、口には牙が生え、瞳の色は金色になる。
手の爪も鋭く尖る。
そうなったリサが歪んだ柵の手すり辺りの臭いを嗅いだ。
リサ:「うん。確かにBOWの臭いがする。ここから飛び越えて、下に下りたんだと思う」
隊員A:「そんなことまで分かるのか」
リサ:「この姿なら……」
第2形態まで言葉も喋れるが、第3形態から先は言葉もたどたどしくなる。
もっとも、そこまで変化が求められることはない。
柵の下を覗き込むと、病院の裏庭だった。
隊員A:「こちらコードネーム“レッド1”。リサ・トレヴァーの見解によると、ネメシスは病院屋上から飛び降り、裏庭へ逃走したもよう。繰り返す……」
だが、そこへ緊急無線が入った。
隊員C:「こちら“レッド3”!緊急連絡!病院地下の研究室にて、タイラントを発見!自動再稼働したもよう!現在、院内を……わぁぁぁぁぁぁっ!!」
隊員A:「“レッド3”!“レッド3”!どうした!?」
愛原:「一体何が!?」
隊員A:「……地下にはタイラントも眠っていたようですが、それが起きてしまい、地下に向かった隊員が殺られたようです」
愛原:「ええっ!?」
リサ:「タイラント君が!?」
隊員A:「恐らく何の制御も受けていないでしょうから、明らかな暴走状態でしょう」
愛原:「わ、分かりました。リサ、出番だぞ!」
リサ:「分かった!」
だが、事態はまだ深刻な方向へと向かう。
愛原:「! 今、何か爆発音が……!?」
そして、ある場所から煙が上がった。
隊員A:「あれはHQのある方向だ!」
愛原:「ええっ!?」
隊員A:「αチーム“レッド1”からHQ!αチーム“レッド1”からHQ!応答願う!応答願う!HQ!HQ!応答を!」
だが、HQからの応答は無かった。
リサ:「もしかして、ネメシスが?」
愛原:「くそっ!思った通りだ!」
ロケラン抱えてどこへ行ったのかと思っていたが、恐らくヤツの目標は上陸したBSAAの殲滅にあるだろうから、HQが狙われるだろうとは思っていたが……。
愛原:「ロケランの弾、あと何発持っていやがるんだ、あいつ!?」
隊員A:「これで打ち止めだといいんですが……」
愛原:「どうします?一度、HQに戻りますか?」
隊員A:「いや、まずはタイラントを何とかしましょう。本当にリサ・トレヴァーなら大丈夫なんですね?」
愛原:「大丈夫ですよ」
それは霧生市で私が直接見た。
あの時はリサ、セーラー服を着て白い仮面を着けてたな。
愛原:「タイラントとネメシス、どっちが強いんだろう?」
リサ:「力業なら互角。だけど、ロケラン持たせるとネメシスの方が有利かも……」
ロケラン、弾切れだといいな。
隊員A:「こっちです」
私とリサはBSAA隊員の先導で村立病院の敷地に入った。
人口200人弱の離島にしては、随分と立派な病院が建っている。
医療行政の脆弱な地域に、『最先端の医療施設を無償(また格安)で提供する』慈善事業を隠れ蓑に、実際は地域住民を実験体として巻き込んだ旧アンブレラの汚いやり方だ。
この離島もその被害を受けてしまったのである。
旧アンブレラは、アメリカの本体が潰れたことで世界各地の現地法人も次々と共倒れしていったが、その負の遺産は今もなお牙を剥いているのである。
院内は停電しており、あちこちに死体が転がっていた。
それは医療施設の職員だったり、患者だったりだ。
ゾンビ化した者に食い殺された者、ゾンビ化して徘徊していた所をBSAA隊員に射殺された者だろう。
愛原:「今は安全なんですね?」
隊員A:「この辺りはクリアしています」
隊員はエレベーターのボタンを押した。
エレベーターがスーッと下りてくる。
院内は停電しているが、非常灯は点いており、予備電源で稼働できるものは稼働しているらしい。
エレベーターも予備電源で稼働できる物の1つなのだろう。
ドアが開くと、武装した他のBSAA隊員が降りて来た。
隊員B:「屋上はクリアだ」
隊員C:「その人達は?」
隊員A:「HQから無線があっただろ?リサ・トレヴァーとその制御者の愛原さんだ」
隊員B:「こいつが……」
隊員C:「あのリサ・トレヴァー」
制御者って、私は機械関係の管理者かい。
愛原:「リサは私の命令があれば、何でも聞きます。ですので、警戒は不要ですよ」
隊員B:「油断は禁物ですよ。あのタイラントだって、命令を遂行後はよく暴走したことで有名です」
リサ:「それはタイラント君を褒めてあげないからだよ」
リサは不機嫌そうな顔で反論した。
愛原:「とにかく、リサはネメシスを制御することは可能と言っています。最後の目撃場所を教えてくれませんか?」
隊員A:「そうですね。まずは屋上へ向かいましょう」
隊員B:「俺も行こう」
隊員C:「俺は地下へ向かう。先にエレベーターで向かってくれ」
私達はエレベーターに乗り込んだ。
隊員AがRのボタンを押す。
愛原:「この病院の屋上で目撃された後、目撃されていないんですか?」
隊員A:「そうなんです。どこかに隠れているのかもしれません。どうか、気をつけて」
愛原:「分かりました」
そして、エレベーターが屋上に着いた。
そこにも惨劇があったようだ。
屋上で徘徊していたゾンビが、射殺体とは違う形の死体で見つかった。
首と胴体を引きちぎられていたり、明らかに強い力で殴り殺したりとかだ。
そんなことをするのはBOWに他ならない。
爬虫類や両生類から作ったハンターシリーズもそのようなことをするが、ここではまだ目撃されていないという。
ということは、このゾンビ達を殺ったのは……ネメシスか。
上級BOWはターゲット追跡中に邪魔なゾンビがいると、平気で突き飛ばしたり、殴り飛ばしたりする。
愛原:「なるほど。ここからヘリをロケランで撃ったわけですね」
隊員A:「そのようです」
愛原:「リサ、何か分かるか?」
リサ:「うーん……分かんない」
ただ、どうやらロケランをその辺に放り投げていないことから、それは今も持ったままらしい。
屋上をよく見渡すと、一部の柵が曲がっているのが分かった。
愛原:「あれは?」
その柵に近づいた。
愛原:「ネメシスのヤツ、ここから飛び下りたんじゃないですか?」
リサ:「ん……!」
リサが少し力を解放し、第0形態から第1形態へと変化する。
前者が『人間』なら後者は『鬼娘』だ。
額の上に一本角が生え、耳も長く尖り、口には牙が生え、瞳の色は金色になる。
手の爪も鋭く尖る。
そうなったリサが歪んだ柵の手すり辺りの臭いを嗅いだ。
リサ:「うん。確かにBOWの臭いがする。ここから飛び越えて、下に下りたんだと思う」
隊員A:「そんなことまで分かるのか」
リサ:「この姿なら……」
第2形態まで言葉も喋れるが、第3形態から先は言葉もたどたどしくなる。
もっとも、そこまで変化が求められることはない。
柵の下を覗き込むと、病院の裏庭だった。
隊員A:「こちらコードネーム“レッド1”。リサ・トレヴァーの見解によると、ネメシスは病院屋上から飛び降り、裏庭へ逃走したもよう。繰り返す……」
だが、そこへ緊急無線が入った。
隊員C:「こちら“レッド3”!緊急連絡!病院地下の研究室にて、タイラントを発見!自動再稼働したもよう!現在、院内を……わぁぁぁぁぁぁっ!!」
隊員A:「“レッド3”!“レッド3”!どうした!?」
愛原:「一体何が!?」
隊員A:「……地下にはタイラントも眠っていたようですが、それが起きてしまい、地下に向かった隊員が殺られたようです」
愛原:「ええっ!?」
リサ:「タイラント君が!?」
隊員A:「恐らく何の制御も受けていないでしょうから、明らかな暴走状態でしょう」
愛原:「わ、分かりました。リサ、出番だぞ!」
リサ:「分かった!」
だが、事態はまだ深刻な方向へと向かう。
愛原:「! 今、何か爆発音が……!?」
そして、ある場所から煙が上がった。
隊員A:「あれはHQのある方向だ!」
愛原:「ええっ!?」
隊員A:「αチーム“レッド1”からHQ!αチーム“レッド1”からHQ!応答願う!応答願う!HQ!HQ!応答を!」
だが、HQからの応答は無かった。
リサ:「もしかして、ネメシスが?」
愛原:「くそっ!思った通りだ!」
ロケラン抱えてどこへ行ったのかと思っていたが、恐らくヤツの目標は上陸したBSAAの殲滅にあるだろうから、HQが狙われるだろうとは思っていたが……。
愛原:「ロケランの弾、あと何発持っていやがるんだ、あいつ!?」
隊員A:「これで打ち止めだといいんですが……」
愛原:「どうします?一度、HQに戻りますか?」
隊員A:「いや、まずはタイラントを何とかしましょう。本当にリサ・トレヴァーなら大丈夫なんですね?」
愛原:「大丈夫ですよ」
それは霧生市で私が直接見た。
あの時はリサ、セーラー服を着て白い仮面を着けてたな。
愛原:「タイラントとネメシス、どっちが強いんだろう?」
リサ:「力業なら互角。だけど、ロケラン持たせるとネメシスの方が有利かも……」
ロケラン、弾切れだといいな。