報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「Girls talk」

2020-06-16 20:18:40 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月10日15:00.岩手県盛岡市 ドーミーイン盛岡 稲生の部屋 視点:稲生勇太]

 稲生とマリアは、稲生の部屋で映画を観ていた。

〔「い、いいのか……!?ここで私を見捨てれば、真相は闇の中なのだぞ?」「けっ、『オマエ達は知り過ぎた。だから死ね』とか言ってた癖に、今更何言ってやがんだ、コラぁっ!」「まあまあ、高橋君。……博士、彼の言う通りだ。俺は探偵。アンタと不利な取引をしてまで、アンタから真相を聞き出すつもりはない。それくらい、俺達で突き止めるさ」「愛原先生、代わりのヘリの離陸準備ができました。早くヘリへ」「ここはまもなく爆発する。博士、アンタは地獄でこれまで死なせてきた『実験体』達に詫びるんだな」〕

 どうやら、ホラーアクションを観ているようである。

〔「いいんですか、先生?俺に言ってくれりゃあ、あんなクソジジィ、一発であの世に送ってやりますよ!」「いや、いいんだ。あんなクソジジィの為に、キミが手を汚す必要はない。あのケガじゃ、研究所の自爆装置が作動するまで脱出は不可能だろう。大好きな実験体達に囲まれて死ぬのが、あの博士にとって最大の幸せだ」〕

 稲生:「こんな感じに終わるのか……。日本のホラー映画とは、だいぶ違うなぁ……」
 マリア:「それはそうだね。あ、でもここ最近、日本のホラーも観てないや」
 稲生:「マリア、『日本のホラー映画はジメジメし過ぎて嫌い』とか言ってなかった?」
 マリア:「たまに観る分にはいいかもね」
 稲生:「分かった。ネットでいい映画が無いか探しておくよ」
 マリア:「お願い。……そろそろ、上の温泉入れる?」
 稲生:「もう15時か。大丈夫。もう入れる時間だ」
 マリア:「じゃあ、行こうかな」
 稲生:「行こう行こう」

 その時、部屋の内線電話が鳴った。

 稲生:「おっと?」

 稲生は受話器を取った。

 稲生:「はい、もしもし?」
 イリーナ:「ああ、アタシアタシ」
 稲生:「先生、何の御用でしょうか?」
 イリーナ:「そこにマリアいるでしょ?ナスっちの言う通り、着替えの服取り寄せておいたから取りに来てって伝えといて」
 稲生:「分かりました」
 イリーナ:「それと、夕食会場を押さえといてくれる?ナスっちとアンナを入れて5人ね」
 稲生:「5人?運転役の人はどうするんです?」
 イリーナ:「彼はナスっちのSPを務めるのが仕事だから、直接参加はしないわよ」
 稲生:「そうなんですか。分かりました」

 稲生は電話を切った。
 そして、電話の内容を伝えた。

 マリア:「分かった。ちょっと確認して来るから、勇太はレストラン探してて」
 稲生:「分かった」

 マリアは稲生の部屋を出て行った。

[同日15:30.同市内 同ホテル10F大浴場 視点:マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット]

 イリーナと一緒に泊まっている部屋で自分の服を確認した。
 ブラウスは長袖のままであったが、上にブレザーは着ないことをイリーナは知っているのか、プリーツスカートが緑色になっているものが用意されていた。
 これなら契約悪魔ベルフェゴールも納得するだろう。
 引き続き館内着のまま大浴場に向かったが、アンナと一緒であった。

 マリア:「いいの?アナスタシア先生をほったからしにして」
 アンナ:「うちの先生はイリーナ先生と大事な話があるので、むしろ私に『ゆっくり入っといで』って言ってくれたの」
 マリア:「あ、そう……」

 マリアは溜め息をついた。

 アンナ:「おっ、体重計がある」
 マリア:「測ってみたら?」
 アンナ:「どれどれ……」

 アンナも体重計に乗ってみる。
 重さは……。

 アンナ:「数字を明かしたら、『過度なダイエットに失敗して死んだ女子高生の話』をしてあげる」

 す、すいません……。
 しかし、マリアよりは重い数字が出たとだけ言っておく。

 アンナ:「でも、私の方が背が高いし、バストだって私の方が大きいし、その分でしょ?」
 マリア:「そういう問題かぁ?」

 で、一糸纏わぬ姿になった2人の白人は大浴場に出た。

 マリア:「外にも風呂がある。で、そこにも壺風呂っていう1人用の丸いバスタブがあって、そこからマルファ先生が出て来たんだ」
 アンナ:「多分、ここに最初に入っていたんでしょうね」

 アンナ、内湯にある壺風呂を指さす。

 アンナ:「で、向こう側のバスタブにテレポートされたか」
 マリア:「ほんと、変わった先生だよねぇ」
 アンナ:「1期生の中で比較的常識人なの、うちの先生くらいだわ」
 マリア:「そうかなぁ……?」

 常識人のフリをして、結構な食わせ者だという噂がある。
 実際、表向きの顔でさえ、ロシアンマフィアなのだから。
 ロシアのパスポートで入国しているはずだが、ロシアンマフィアがどうやって入国しているのかは【お察しください】。
 それだけに、武器は魔法よりも銃を使う。
 銃自体は普通だが、使用している銃弾が魔法石を加工したものである。
 かと思えば、普通の銃弾を使うこともあるみたいだが。

 アンナ:「さっきまで勇太と何をしてたの?」
 マリア:「別に、変なことじゃないよ。一緒にランチ食べて、一緒に映画観てた。このホテル、部屋のテレビで映画観れるから」
 アンナ:「ま、多分そうだとは思ったけど」
 マリア:「『セックスしてた』とか言わないんだ?」
 アンナ:「2人とも『臭わ』ないし。魔道士は鼻が利くかせらね、こういうのはすぐに嗅ぎ取れるから」
 マリア:「だいたい知ってる。エレーナのヤツもそこら辺、すっごく鼻が利くんだ」
 アンナ:「あいつはカネ以外、鼻は利かないでしょ?」
 マリア:「いや、『直接カネ』の匂いだけじゃなく、『後でカネになるネタ話』も結構利く」
 アンナ:「それじゃルーシーは?」
 マリア:「ルーシーは……」

 大浴場内におけるガールズトークは意外と盛り上がったという。
 因みに、他の組の魔女の噂ばっかりだった。
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“大魔道師の弟子” 「アナスタシア組と再会」

2020-06-16 15:45:14 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月10日11:30.岩手県盛岡市 JR盛岡駅 視点:稲生勇太]

 稲生:「これでいいかな……」

 駅構内の指定席券売機で、帰りの新幹線のキップを購入した稲生。

 稲生:(何とか買えた。比較的遅い新幹線にしたからかな……)

 そう思って引き返そうとすると……。

 ???:「これは列車に飛び込んで心中したカップルのお話です……」

 突然耳元に聞いたことのある声が響いた。

 稲生:「わっ!?」

 急いで振り向くと、そこにはニヤついた顔のアンナがいた。
 アナスタシア組の1人である。
 『呪いの怪談』を聞かせることにより、相手を怪談話の主人公と同様の死に様を見せる呪術を得意とする。

 アンナ:「ごきげんよう」

 しかし稲生のことは気に入っているので、彼の前ではニコニコしている。

 稲生:「アンナ!?どうしてここに?」
 アナスタシア:「魔界からの列車が事故に遭ったって聞いて調査に来たんだけど、どうやら先を越されたみたいね」

 そこへアナスタシアも現れた。
 しかし、アンナ以外の弟子は見受けられない。

 稲生:「アナスタシア先生」
 アナスタシア:「ん、1人?イリーナはいないの?」
 稲生:「実は……」

 稲生は魔界からここに至るまでの話を説明した。

 アナスタシア:「先を越されたどころか、むしろ当事者だったか。イリーナと話がしたいんだけど、どこにいるの?」
 稲生:「宿泊先のホテルです。マリアも一緒です」
 アナスタシア:「ふーん……。おおかた、帰りの列車のチケットを用意させていたというわけか」
 稲生:「そうなんです」
 アナスタシア:「悪いけど、ホテルまで案内してくれる?この近くなの?」
 稲生:「タクシーで5~6分くらいです」
 アナスタシア:「乗せてあげるから、一緒に行ってくれる?」
 稲生:「あ、はい」

 稲生が不思議そうな顔をしていると、アンナが耳打ちをした。

 アンナ:「私達、車でここまで来たの」
 稲生:「あ、そういうことか。分かりました。ご案内します」
 アナスタシア:「お願いね」
 稲生:「ただ、その前に……」
 アナスタシア:「?」

[同日12:00.同市内 ホテルドーミーイン盛岡 視点:稲生勇太]

 雨の中を走る1台の黒塗りゼロクラウン。
 そのリアシートにアナスタシアと稲生が座っている。
 運転しているのはアナスタシア組の弟子の1人で、稲生と同様、ダンテ一門では珍しい男性魔道士である。
 但し、日本人ではない。
 日本では国際免許で運転しているようだ。

 アナスタシア:「まさか、ランチまで頼まれていたとはね」
 稲生:「マリアさんも先生も服をクリーニングに出しているので、外に出られないんです」
 アナスタシア:「着替えくらい魔法で取り寄せればいいのに、イリーナも不精ねぇ……」

 アナスタシアは嫌味とも嘲笑ともただの微笑とも、何とでも取れる笑みを浮かべた。
 そして、ホテルの前に着く。

 アンナ:「先生、ついでに私達も一泊しちゃいましょうか?」
 アナスタシア:「さて、どうしましょうねぇ……。部屋が空いてたらにしましょうか。あなたはここで待っててくれる?」
 男性弟子:「Yes,sir!」

 運転手役の男性魔道士を除き、稲生達は車を降りた。
 ホテルの中に入ると、ロビーにイリーナとマリアがいた。
 マリアは険しい顔で、イリーナは目を細めた微笑でいる所が印象的である。

 イリーナ:「やあやあ、よく来てくれたねぇ」
 アナスタシア:「魔界は大変なことになってるってのに、随分と寛いでるじゃない」

 アナスタシアは同じ1期生の恰好を値踏みするように見ながら言った。
 イリーナはホテルの館内着を着ていた。
 Lサイズだが、高身長のイリーナには多少丈に余裕が無い。
 上着が正にそうで、ほとんどヘソ出し状態である。
 ヘソフェチには、さぞたまらん光景であることだろう。

 イリーナ:「アタシ達ゃ、人間界が拠点だからね。ここが平和なら、それでいいんだよ」
 アナスタシア:「その割にはコロナウィルスの蔓延を食い止められなかったじゃない。東アジア魔道団に、してやられた?」
 イリーナ:「そんなことないよ」

 アナスタシアもアンナも、黒いマスクを着用している。
 服装自体が黒系なだけに、余計マッチしている。
 アナスタシア組の服装は、黒系で統一されているのだ。
 アンナの服も黒いプリーツスカートに、白いブラウス、そして黒いネクタイに黒いローファーを履いている。
 その上から黒いローブを羽織っていた。
 黒い髪は腰まであるロングだったが、今はマリアよりも更に短く切っていた。
 いわゆる、ベリーショートである。

 マリア:「髪、切ったの?」
 アンナ:「うん、切った。ルーシーとキャラ被りしそうだったからね」
 マリア:「あー……」

 ルーシーといっても魔界王国アルカディアの女王のことではなく、ダンテ一門のベイカー組に所属するルーシーのことである。
 彼女もまた黒髪ロングであった。

 稲生:「あの、昼食買って来ましたけど?どうします?」
 イリーナ:「おー、そうだったね。私達は先にランチにさせてもらうわよ」
 アナスタシア:「アンタもマルファに負けず劣らずの自由人ね。しょうがない」

 アナスタシアはフロントに向かった。

 アナスタシア:「急に申し訳ないんだけど、今日から1泊でツイン1部屋とシングル1部屋空いてないかしら?」
 フロントマン:「ありがとうございます。ですが、当ホテルにはシングルルームはございません」
 アナスタシア:「と言うと?」
 フロントマン:「お1人様用のお部屋ですと、ダブルルームからとなります」
 アナスタシア:「そうなの。それじゃダブル1部屋にして」
 フロントマン:「かしこまりました」
 アナスタシア:「で、車が1台なんだけど、駐車場はある?」
 フロントマン:「はい。駐車場は……」

 そのやり取りを見ていた稲生達。

 イリーナ:「こりゃ今夜は楽しい『お泊り会』になりそうねぇ。ウフフフフ」

 イリーナは本当に楽しそうに笑ったが、マリアは不機嫌そうだ。

 マリア:(せっかく勇太とゆっくり過ごそうと思ってたのに……)
 アンナ:「勇太もダブルルームに泊まってるの?」
 稲生:「まあね」
 アンナ:「やった!私、遊びに行くね!」
 マリア:「私も行くから!」

 マリアが慌てて割って入る。
 で、アナスタシアが戻って来る。

 アナスタシア:「コロナ禍でホテルは困ってるのね。でも、おかげで簡単に部屋が取れたわ。でも、チェックインは15時からだから、それまでどこかで時間を潰す必要があるわね」
 稲生:「ここは市街地ですから、色々と時間が潰せそうですけど……」
 イリーナ:「その方がいいわね。話はそれからでOK?」
 アナスタシア:「このロビーで話す分には、チェックインしなくてもいいはずだけど?」
 イリーナ:「私ゃお腹空いたよ。ランチくらい、ゆっくり取らせてくれんかね?」
 アナスタシア:「この自由人!魔界であったこと、その分じっくり聞かせてもらうからね」
 イリーナ:「りょーかい。じゃ、ディナーは一緒で」
 アナスタシア:「その前に、服くらい何とかしなさい。いくら戦いで服汚しちゃって今はクリーニング中とはいえ、着替えくらい魔法で取り出せるでしょう?」
 イリーナ:「いや、ははは……。MPの節約だよぉ……」
 アナスタシア:「『MPやアイテムを大量に余らせてクエスト(課題)をクリアした者も減点とする』って、ダンテ先生が仰ってなかったっけ?」
 イリーナ:「あ、あら、そうだったかしら?」
 マリア:「師匠!」
 稲生:(あれ?それってもしかして、僕達のこと?)

 マリアはともかく、稲生はアイテムやMPを温存し過ぎてしまった感があった。
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