[5月8日19:00.アルカディアシティ南端村 サウスエンド駅前商店街 プレイヤーキャラ視点:稲生勇太]
先ほどの雨は夕立あるいはゲリラ豪雨だったのだろうか。
今は雨は止んでいる。
風は多少強く、魔道士達のローブの裾がゆらゆら揺れている。
威吹:「今日は本当にありがとう。そして、申し訳ない。監獄で手に入れたお宝も想定以上の額だったし、今夜は御礼とお詫びも兼ねて奢らせてくれ」
辻馬車を商店街の入口で降りた。
威吹:「といっても、焼き鳥で申し訳無いけどね」
商店街の中にある焼き鳥屋。
佇まいは日本のそれと変わらない。
赤提灯がとても目に付いた。
尚、別の店の赤提灯はそれの妖怪がバイトしているらしく、時々こちらを向いては単眼を細めて長い舌をペロッと出していた。
提灯の妖怪は日本ならではで、如何にここが日本人街であるかが分かるというもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/75/4d28b9b31086cde71e1c7d10543442e7.jpg)
店長:「らっしゃい!」
威吹:「4名で予約していた威吹邪甲だ」
店長:「お待ちしておりましたァ!こちらへどうぞ!」
4人用のテーブル席に座る。
威吹:「遠慮しないで好きな物頼んでくれ。ユタ達のおかげで、当面の生活費の苦労を脱することができた。感謝する」
稲生:「ありがとう。人間界に戻ったら、お中元送るからね」
威吹:「気は使わないでくれよ。何でも、悪辣魔女の攻撃のせいで、ユタの家が……僕達の思い出の家が壊されたというじゃないか。再建費用、大変なんだろ?」
稲生:「再建はするけど、住所は変わるよ。もうあそこには住めないから」
威吹:「えっ、そうなの!?」
稲生:「その話はまた今度にして、取りあえず注文させてもらおうかな」
焼き鳥屋なだけに、ドリンクメニューも日本酒や焼酎が多い。
マリアの苦手な酒ばかりかと思われたが……。
マリア:「ワインとウィスキーもあるのか。良かった」
稲生:「良かったですねぇ……」
威吹:「オレは清酒で」
イリーナ:「私もSAKE!」
稲生:「僕はビールで」
マリア:「ハイボール」
まずは一献といったところ。
日本の習慣で、自動的にお通しが出てくる。
小鉢に入った冷奴が出て来た。
で、稲生がマリアにこの日本の習慣をどう説明したかというと……。
稲生:「テーブルチャージ(席料)として、ランダムに安いメニューを一品出すのが日本の居酒屋です」
マリア:「なるほど、テーブルチャージかぁ」
それは正しい情報なのかは【お察しください】。
因みに鈴木弘明はエレーナに、お通しをどう説明したかというと、『フードロス対策にご協力を!』だそうである。
いや、そりゃ、店の中には売れ残りの材料で作ったお通しもあるのだが。
外国人に適当な説明をする日本人が2人。
稲生:「盛り合わせ頼んでみましょう」
焼き鳥屋とはいえ、本当に焼き鳥だけを出すわけではない。
ちゃんと他に一品料理も出てくるのである。
イリーナ:「野菜も食べなきゃダメよー」
威吹:「じゃ、ネギマ頼んでおこう」
イリーナ:「いや、そういうことじゃないって」
で、酒が進んで来ると……。
イリーナ:「そっかぁ……。弟子を多く抱えてると大変なのねぇ……」
威吹:「今や、20人以上の大所帯だ。さすがに多く弟子入りさせ過ぎかな……」
イリーナ:「あたしンとこは2人だけだからね。これでも結構大変なのよ」
ジャンルは全く違えど、同じ弟子持ちの師匠同士の愚痴の語り合いが始まったのである。
イリーナ:「あたしンとこはちょうど男女ペアだからまだいいようなものの、女の子しかいない組はもっと大変だって。女の子同士でケンカされたら、止める方もたまったものじゃないって」
威吹:「逆にオレんとこは男所帯だからな。軍隊みたいな生活になっちまって、こんなので良いのかと悩むところだ……」
稲生:「た、大変なん……だね。威吹も」
イリーナ:「おっちゃん!バーボンハイボールもう一杯!」
威吹:「オレは焼酎だ!」
店長:「はいよ!」
マリア:「師匠、飲み過ぎですよ!」
イリーナ:「ええーい!私も少し出すわ!これで文句ないでしょ!」
マリア:「いや、そういう問題じゃありません!」
稲生:(威吹、しばらく飲めてなかったんだな……)
威吹:「ユタは?もう一杯頼まないの!?」
稲生:「いや、僕はもういいよ。ウーロン茶で」
マリア:「ああ、私もウーロン・ティーで」
稲生:「あとは締めでお茶漬け」
マリア:「そんなのあるの?」
稲生:「ありますよ。御飯にお茶を掛けて食べるんですよ」
稲生はウーロン茶と茶漬けを2つ頼んだ。
焼き鳥屋で出す茶漬けなだけに、お茶を掛けるのではなく、鳥スープを掛けたものが出て来た。
稲生:「これが最後の締め」
威吹:「ユタはいつもこういう店に行くと、締めに茶漬けを頼むなぁ」
威吹は笑みを浮かべながら言った。
稲生:「そういうものだよ」
威吹:「いつまで魔界にいるんだい?」
イリーナ:「明日になったら帰るわよ。確か明日、冥界鉄道公社の列車が出るはずだから、それで帰るわ」
マリア:「魔法陣使わないんですか?」
イリーナ:「魔法の乱用はダメよ」
マリア:「冥鉄に乗るってことは、ワンスターホテルには到着しないってことですね」
イリーナ:「そうね。上手く行けば、屋敷の近くで降りられるかもよ」
稲生:「といっても白馬駅辺りだと、結局は車で迎えに来てもらわないとって感じですが」
イリーナ:「それはいつものことじゃない」
稲生:「それもそうですね。あ、すいません」
店員:「はい、お伺いします!」
稲生:「持ち帰りで、焼き鳥盛り合わせを2つ。これだけ会計別にしてください」
店員:「はい、ありがとうございまーす!」
威吹:「ユタ?」
稲生:「僕達だけ飲み食いするのもアレだからね。さくらさん達にも御裾分けのお土産」
威吹:「どうもありがとう。そんな、気を使わなくていいのに……」
稲生:「いや、いいんだよ。僕からの気持ちだから」
こうして夜の宴会は無事に終わった。
先ほどの雨は夕立あるいはゲリラ豪雨だったのだろうか。
今は雨は止んでいる。
風は多少強く、魔道士達のローブの裾がゆらゆら揺れている。
威吹:「今日は本当にありがとう。そして、申し訳ない。監獄で手に入れたお宝も想定以上の額だったし、今夜は御礼とお詫びも兼ねて奢らせてくれ」
辻馬車を商店街の入口で降りた。
威吹:「といっても、焼き鳥で申し訳無いけどね」
商店街の中にある焼き鳥屋。
佇まいは日本のそれと変わらない。
赤提灯がとても目に付いた。
尚、別の店の赤提灯はそれの妖怪がバイトしているらしく、時々こちらを向いては単眼を細めて長い舌をペロッと出していた。
提灯の妖怪は日本ならではで、如何にここが日本人街であるかが分かるというもの。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/75/4d28b9b31086cde71e1c7d10543442e7.jpg)
店長:「らっしゃい!」
威吹:「4名で予約していた威吹邪甲だ」
店長:「お待ちしておりましたァ!こちらへどうぞ!」
4人用のテーブル席に座る。
威吹:「遠慮しないで好きな物頼んでくれ。ユタ達のおかげで、当面の生活費の苦労を脱することができた。感謝する」
稲生:「ありがとう。人間界に戻ったら、お中元送るからね」
威吹:「気は使わないでくれよ。何でも、悪辣魔女の攻撃のせいで、ユタの家が……僕達の思い出の家が壊されたというじゃないか。再建費用、大変なんだろ?」
稲生:「再建はするけど、住所は変わるよ。もうあそこには住めないから」
威吹:「えっ、そうなの!?」
稲生:「その話はまた今度にして、取りあえず注文させてもらおうかな」
焼き鳥屋なだけに、ドリンクメニューも日本酒や焼酎が多い。
マリアの苦手な酒ばかりかと思われたが……。
マリア:「ワインとウィスキーもあるのか。良かった」
稲生:「良かったですねぇ……」
威吹:「オレは清酒で」
イリーナ:「私もSAKE!」
稲生:「僕はビールで」
マリア:「ハイボール」
まずは一献といったところ。
日本の習慣で、自動的にお通しが出てくる。
小鉢に入った冷奴が出て来た。
で、稲生がマリアにこの日本の習慣をどう説明したかというと……。
稲生:「テーブルチャージ(席料)として、ランダムに安いメニューを一品出すのが日本の居酒屋です」
マリア:「なるほど、テーブルチャージかぁ」
それは正しい情報なのかは【お察しください】。
因みに鈴木弘明はエレーナに、お通しをどう説明したかというと、『フードロス対策にご協力を!』だそうである。
いや、そりゃ、店の中には売れ残りの材料で作ったお通しもあるのだが。
外国人に適当な説明をする日本人が2人。
稲生:「盛り合わせ頼んでみましょう」
焼き鳥屋とはいえ、本当に焼き鳥だけを出すわけではない。
ちゃんと他に一品料理も出てくるのである。
イリーナ:「野菜も食べなきゃダメよー」
威吹:「じゃ、ネギマ頼んでおこう」
イリーナ:「いや、そういうことじゃないって」
で、酒が進んで来ると……。
イリーナ:「そっかぁ……。弟子を多く抱えてると大変なのねぇ……」
威吹:「今や、20人以上の大所帯だ。さすがに多く弟子入りさせ過ぎかな……」
イリーナ:「あたしンとこは2人だけだからね。これでも結構大変なのよ」
ジャンルは全く違えど、同じ弟子持ちの師匠同士の愚痴の語り合いが始まったのである。
イリーナ:「あたしンとこはちょうど男女ペアだからまだいいようなものの、女の子しかいない組はもっと大変だって。女の子同士でケンカされたら、止める方もたまったものじゃないって」
威吹:「逆にオレんとこは男所帯だからな。軍隊みたいな生活になっちまって、こんなので良いのかと悩むところだ……」
稲生:「た、大変なん……だね。威吹も」
イリーナ:「おっちゃん!バーボンハイボールもう一杯!」
威吹:「オレは焼酎だ!」
店長:「はいよ!」
マリア:「師匠、飲み過ぎですよ!」
イリーナ:「ええーい!私も少し出すわ!これで文句ないでしょ!」
マリア:「いや、そういう問題じゃありません!」
稲生:(威吹、しばらく飲めてなかったんだな……)
威吹:「ユタは?もう一杯頼まないの!?」
稲生:「いや、僕はもういいよ。ウーロン茶で」
マリア:「ああ、私もウーロン・ティーで」
稲生:「あとは締めでお茶漬け」
マリア:「そんなのあるの?」
稲生:「ありますよ。御飯にお茶を掛けて食べるんですよ」
稲生はウーロン茶と茶漬けを2つ頼んだ。
焼き鳥屋で出す茶漬けなだけに、お茶を掛けるのではなく、鳥スープを掛けたものが出て来た。
稲生:「これが最後の締め」
威吹:「ユタはいつもこういう店に行くと、締めに茶漬けを頼むなぁ」
威吹は笑みを浮かべながら言った。
稲生:「そういうものだよ」
威吹:「いつまで魔界にいるんだい?」
イリーナ:「明日になったら帰るわよ。確か明日、冥界鉄道公社の列車が出るはずだから、それで帰るわ」
マリア:「魔法陣使わないんですか?」
イリーナ:「魔法の乱用はダメよ」
マリア:「冥鉄に乗るってことは、ワンスターホテルには到着しないってことですね」
イリーナ:「そうね。上手く行けば、屋敷の近くで降りられるかもよ」
稲生:「といっても白馬駅辺りだと、結局は車で迎えに来てもらわないとって感じですが」
イリーナ:「それはいつものことじゃない」
稲生:「それもそうですね。あ、すいません」
店員:「はい、お伺いします!」
稲生:「持ち帰りで、焼き鳥盛り合わせを2つ。これだけ会計別にしてください」
店員:「はい、ありがとうございまーす!」
威吹:「ユタ?」
稲生:「僕達だけ飲み食いするのもアレだからね。さくらさん達にも御裾分けのお土産」
威吹:「どうもありがとう。そんな、気を使わなくていいのに……」
稲生:「いや、いいんだよ。僕からの気持ちだから」
こうして夜の宴会は無事に終わった。