[5月10日13:45.天候:雨 東京都大田区羽田空港・国際線ターミナル]
そぼ降る雨の中、稲生とマリアを乗せたエアポートリムジンバスは定刻通りに羽田空港に到着することができた。
稲生:「この時間帯なら、皆さんが到着する前に先にランチできますよ」
マリア:「そうか。さすがにお腹空いた」
稲生:「……ですね」
係員から預けた荷物を受け取るマリア。
稲生:「店なら色々ありますんで」
マリア:「ほんと」
ターミナルの中に入った。
稲生:「国内線ターミナルは近代的な空港をイメージした設計・内装ですが、国際線ターミナルは完全に日本を主張しています」
マリア:「イブキが歩くとイベントスタッフみたいに見えるヤツだな」
稲生:「ああ、そうか。最近、威吹に会ってないなぁ……」
マリア:「せっかく来たんだから、会いに行ったら?契約もまだなんでしょ?」
稲生:「だけど契約書を持って来てないんです」
マリア:「いいよ。後で師匠にFAXで送ってもらうから」
稲生:「何でそこだけ魔法っぽくないんですか」
取りあえず、ターミナル内の“江戸小路”に行ってみる。
マリア:「ランプがいっぱい」
稲生:「提灯です。提灯」
マリア:「これ、屋敷にも飾ってみたいな」
稲生:「ホラーチックな屋敷が、別の意味でホラーになると思いますので、お勧めできませんね」
マリア:「あれは?」
稲生:「櫓です」
マリア:「Yagura?」
稲生:「夏場の盆踊り会場に行けば、何するヤツなのか分かりますよ」
(旅立ちは 今も昔も 日本橋 首都高速の 下に埋もるも)
マリア:「あ、これは分かる」
稲生:「江戸時代の日本橋を再現したものですね。威吹も封印前はこの橋を渡ったのかなぁ……?」
マリア:「真ん中しか歩いちゃいけないんだろ?」
稲生:「は?」
マリア:「謎解きに優れたSangha(僧侶)が、そうやって渡ったという逸話が……」
稲生:「それ、“一休さん”です!しかも場所、日本橋じゃないし!」
※作者が上記の写真を撮った際、とある外国人が『Ikkyu-san』と言いながら、橋の真ん中を歩いているのをこの目で見ました。その時の写真を撮らせてもらおうかと思ったのですが、当の外国語が喋れない(英語ではなかった)ので断念しました。日本のアニメ、凄い!
稲生:「早いとこ食べましょうよ。時間無くなりますよ」
マリア:「おっ、そうだった」
[同日15:00.天候:雨 同場所・到着ロビー]
マリア:「うどんと天ぷら美味しかった。また食べたい」
稲生:「いいですよ。同じ系列の店が、確か……さいたま新都心にもあったと思うんで」
国際線の航空便なので、そんなに時間通りに到着するわけもなく、15分くらい待ってからその便のものと思われる旅客の姿が見え始めた。
稲生:「15分遅れなんだけど、『On Time』(定着)なんだ。僕的には『Delay』(遅着)なんだけど……」
マリア:「『Will be』(未着)よりはマシだよ」
稲生:「まあ、それは確かに……」
しばらくすると、明らかにローブを着ているので魔道師と思われる女性3人がやってきた。
全員、マリアより背が高い。
マリア:「Hey,Lucy!Zelda!Rosalie!」
体全体で表現するところは欧米人ならではか。
再会を喜び合う魔女4人は、普通の欧米人女性のように見えたが、稲生の姿を見ると一転して険しい表情に変わった。
マリア:「彼が稲生勇太。私の弟弟子」
稲生:「ど、どうも。イリーナ組でマリアさんの後輩の稲生勇太です」
一応、右手を差し出す稲生。
恐らくスルーされるかあからさまに拒否されるだろうと思ったが、そうしたのは2人。
もう1人は険しい表情ながらも、稲生と握手を交わした。
黒髪のロングが目立つが、アナスタシア組のアンナが所謂パッツン前髪なのに対し、こちらは真ん中分けである。
ルーシー:「ベイカー組のルーシー・ロックウェル。魔界に同じ名前の女王がいるけど、間違えないで」
稲生:「は、はい。よろしくお願いします」
マリア:「こっちの金髪セミロングがゼルダ・ハーパー、そっちの赤毛ボブがロザリー・ローレンス」
ルーシー:「せっかく日本に来てなんだけど、先にホテルに行って荷物を置いて来たい」
マリア:「了解。ポーリン組のヤツにホテルで働いてるのがいるから、そこなら安心でしょう」
ルーシー:「エレーナの所?相変わらず、ボッたくり商売してるんでしょ?」
マリア:「噂はイギリスまで届いてたか……」
稲生:「じゃあ、もう先に森下に行くということで」
マリア:「そういうこと。取りあえずここは日本だから、日本人の勇太がホテルまでは案内してくれる」
ルーシー:「納得はできないけど妥当だと思う。ま、そういうことだからホテルまでは我慢よ」
ゼルダ:「Ok...」
ロザリー:「…………」
稲生:「それじゃ、まずはモノレールで浜松町まで行き、そこから都営地下鉄大江戸線に乗り換えるというルートを使います」
マリア:「よろしく」
稲生が先頭を歩き、その後ろをマリア、そしてその後ろを来日したての魔女3人が歩くという構図になった。
ルーシー:(多分、日本人の中でもダサい部類の男なんだろうけど、そういうのが却って魔法使いには向いているって話、本当みたいね)
ゼルダ:(あのマリアンナを惚れさせた男……)
ロザリー:(雷おこし……ひよこ……ごまたまご……スカイツリー……)
この3人も一枚岩ではなく、色々な思惑を持って来日したようだ。
そぼ降る雨の中、稲生とマリアを乗せたエアポートリムジンバスは定刻通りに羽田空港に到着することができた。
稲生:「この時間帯なら、皆さんが到着する前に先にランチできますよ」
マリア:「そうか。さすがにお腹空いた」
稲生:「……ですね」
係員から預けた荷物を受け取るマリア。
稲生:「店なら色々ありますんで」
マリア:「ほんと」
ターミナルの中に入った。
稲生:「国内線ターミナルは近代的な空港をイメージした設計・内装ですが、国際線ターミナルは完全に日本を主張しています」
マリア:「イブキが歩くとイベントスタッフみたいに見えるヤツだな」
稲生:「ああ、そうか。最近、威吹に会ってないなぁ……」
マリア:「せっかく来たんだから、会いに行ったら?契約もまだなんでしょ?」
稲生:「だけど契約書を持って来てないんです」
マリア:「いいよ。後で師匠にFAXで送ってもらうから」
稲生:「何でそこだけ魔法っぽくないんですか」
取りあえず、ターミナル内の“江戸小路”に行ってみる。
マリア:「ランプがいっぱい」
稲生:「提灯です。提灯」
マリア:「これ、屋敷にも飾ってみたいな」
稲生:「ホラーチックな屋敷が、別の意味でホラーになると思いますので、お勧めできませんね」
マリア:「あれは?」
稲生:「櫓です」
マリア:「Yagura?」
稲生:「夏場の盆踊り会場に行けば、何するヤツなのか分かりますよ」
(旅立ちは 今も昔も 日本橋 首都高速の 下に埋もるも)
マリア:「あ、これは分かる」
稲生:「江戸時代の日本橋を再現したものですね。威吹も封印前はこの橋を渡ったのかなぁ……?」
マリア:「真ん中しか歩いちゃいけないんだろ?」
稲生:「は?」
マリア:「謎解きに優れたSangha(僧侶)が、そうやって渡ったという逸話が……」
稲生:「それ、“一休さん”です!しかも場所、日本橋じゃないし!」
※作者が上記の写真を撮った際、とある外国人が『Ikkyu-san』と言いながら、橋の真ん中を歩いているのをこの目で見ました。その時の写真を撮らせてもらおうかと思ったのですが、当の外国語が喋れない(英語ではなかった)ので断念しました。日本のアニメ、凄い!
稲生:「早いとこ食べましょうよ。時間無くなりますよ」
マリア:「おっ、そうだった」
[同日15:00.天候:雨 同場所・到着ロビー]
マリア:「うどんと天ぷら美味しかった。また食べたい」
稲生:「いいですよ。同じ系列の店が、確か……さいたま新都心にもあったと思うんで」
国際線の航空便なので、そんなに時間通りに到着するわけもなく、15分くらい待ってからその便のものと思われる旅客の姿が見え始めた。
稲生:「15分遅れなんだけど、『On Time』(定着)なんだ。僕的には『Delay』(遅着)なんだけど……」
マリア:「『Will be』(未着)よりはマシだよ」
稲生:「まあ、それは確かに……」
しばらくすると、明らかにローブを着ているので魔道師と思われる女性3人がやってきた。
全員、マリアより背が高い。
マリア:「Hey,Lucy!Zelda!Rosalie!」
体全体で表現するところは欧米人ならではか。
再会を喜び合う魔女4人は、普通の欧米人女性のように見えたが、稲生の姿を見ると一転して険しい表情に変わった。
マリア:「彼が稲生勇太。私の弟弟子」
稲生:「ど、どうも。イリーナ組でマリアさんの後輩の稲生勇太です」
一応、右手を差し出す稲生。
恐らくスルーされるかあからさまに拒否されるだろうと思ったが、そうしたのは2人。
もう1人は険しい表情ながらも、稲生と握手を交わした。
黒髪のロングが目立つが、アナスタシア組のアンナが所謂パッツン前髪なのに対し、こちらは真ん中分けである。
ルーシー:「ベイカー組のルーシー・ロックウェル。魔界に同じ名前の女王がいるけど、間違えないで」
稲生:「は、はい。よろしくお願いします」
マリア:「こっちの金髪セミロングがゼルダ・ハーパー、そっちの赤毛ボブがロザリー・ローレンス」
ルーシー:「せっかく日本に来てなんだけど、先にホテルに行って荷物を置いて来たい」
マリア:「了解。ポーリン組のヤツにホテルで働いてるのがいるから、そこなら安心でしょう」
ルーシー:「エレーナの所?相変わらず、ボッたくり商売してるんでしょ?」
マリア:「噂はイギリスまで届いてたか……」
稲生:「じゃあ、もう先に森下に行くということで」
マリア:「そういうこと。取りあえずここは日本だから、日本人の勇太がホテルまでは案内してくれる」
ルーシー:「納得はできないけど妥当だと思う。ま、そういうことだからホテルまでは我慢よ」
ゼルダ:「Ok...」
ロザリー:「…………」
稲生:「それじゃ、まずはモノレールで浜松町まで行き、そこから都営地下鉄大江戸線に乗り換えるというルートを使います」
マリア:「よろしく」
稲生が先頭を歩き、その後ろをマリア、そしてその後ろを来日したての魔女3人が歩くという構図になった。
ルーシー:(多分、日本人の中でもダサい部類の男なんだろうけど、そういうのが却って魔法使いには向いているって話、本当みたいね)
ゼルダ:(あのマリアンナを惚れさせた男……)
ロザリー:(雷おこし……ひよこ……ごまたまご……スカイツリー……)
この3人も一枚岩ではなく、色々な思惑を持って来日したようだ。