※本日、「魔道士」と「魔道師」の違いについて指摘をされました。後者は師匠クラスに使う表現であり、見習や弟子持ちでない者にあっては前者ではないかという御指摘です。これは御尤もであると判断し、今後はそのように表現致します。弊社T班長、直接の御指摘ありがとうございました。
[5月12日07:40.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 上落合公園前バス停→けんちゃんバス車内]
実家で朝食を取った稲生は、マリアを連れて、まずは近所のバス停に向かった。
稲生:「昨夜はだいぶ遅くに帰って来たみたいですけど、大丈夫でしたか?」
マリア:「うん。意外と遊び回るのが好きなコ達だった……」
稲生:「? 水上バスとスカイツリーと東京タワーしか行ってないんですよね?」
マリア:「あの……スカイツリーの下にショッピングモールがあるでしょ?」
稲生:「ああ、ソラマチですか」
マリア:「あれに皆、踊らされちゃってね……」
稲生:「そうでしたか」
そんなことを話しているうちにバスがやってくる。
日野自動車製のポンチョという小型バスで、コミュニティバスとしてよく運用されている車種だ。
ノンステップバスで、車椅子の乗降にも対応している。
後ろのスライドドアから乗り込んだ。
先客はおらず、2人の貸切状態だ。
1番後ろの席に座った。
〔「発車します。ご注意ください」〕
バスが走り出した。
〔ピンポーン♪ 次は児童センター入口、児童センター入口でございます。天理教本駿河台分教会へおいでの方は、三橋3丁目でお降りください〕
マリア:「教会……!?」
教会という言葉に反応する魔女。
稲生:「ああ、天理教だから魔道士には興味が無いでしょう」
マリア:「キリストではない?」
稲生:「全然違います。僕達の宗派でも、ガチ勢は折伏に行くような所ですよ。一応、日本の宗教なので、西洋の魔女とかには興味が無いはずです」
マリア:「そう。それならいい」
稲生:「今日はマリアさん達、どこへ行くんですか?」
マリア:「サンシャイン60と秋葉原に行きたいらしい」
稲生:「サンシャイン60は高い所ですもんね。本当に高い所に行きたいんですね」
マリア:「エレーナのアホは掟破りしてるけど、本来、ホウキ乗りでさえ高層建築物に近づいてはいけないんだ」
高層建築物の近くは乱気流(ビル風)が発生しやすく、失速する恐れがあることと、衝突の恐れがある。
マリア:「しょうがないから中から行こうって話。昔は難しかったけど、今なら観光客のフリして入れる」
稲生:「確かに……。秋葉原は……」
マリア:「日本製品を買い込んでおきたいらしい」
稲生:「そんなに?」
マリア:「日本製の頑丈さと、あと日本の方が物価が安い」
稲生:「えっ!?」
マリア:「うん。イギリスの方が物価高い。日本より」
稲生:「そうなんですか!日本が世界一高いと思ってた!」
事実らしいです。
マリア:「都庁にも行きたかったらしいけど、何か今はダメらしい」
都庁舎展望室は今月より来冬まで、改修工事の為に立入禁止とのこと。
稲生:「だったら周辺の超高層ビルとかで代替できそうな気がするけど、ちょっと分かりませんねぇ……」
マリア:「いいよいいよ。どうせこの2つで1日が終わる」
稲生:「ハハハ……」
[同日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅西口バス停→JR埼京線ホーム]
稲生:「大人2人です」
運転手:「ありがとうございました」
バスが終点の大宮駅西口に着き、外開きスライドドア式の前扉が開いた。
けんちゃんバスはICカードには対応しておらず、現金か回数券が基本となる。
稲生は回数券を2枚千切って(って、何で持ってるんだ?)、運賃箱に入れた。
稲生:「あとは埼京線ですね」
ロータリーの外周部に行って、西口のエスカレーターを上がる。
その際、稲生はしっかりマリアの手を握っている。
最初は嫌がり、その後は手袋越しなら良くなり、そして今では素手で手を握っても良くなっている。
この変化に対し、同門の魔女達が驚いているわけだ。
例外として男性嫌悪症でも恐怖症でもなく、普通に接することのできる者もいる(エレーナやナディアなど)が、それはあくまで例外。
稲生:「池袋駅で待ち合わせしてるの?」
マリア:「いや、東池袋駅」
稲生:「あー……なるほど」
マリア:「分かる?」
稲生:「全然分かります。ていうか、よくそこまで調べましたね。下調べが上手くないと、普通に池袋駅から行こうとして迷うのがオチなんですよ。サンシャインシティの最寄り駅は、確かに東池袋です」
都電荒川線の東池袋四丁目電停でもOKである。
2人は改札口を通って、埼京線ホームに下りた。
埼京線ホームは地下にある。
〔おはようございます。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の20番線の電車は、8時13分発、りんかい線直通、快速、新木場行きです。次は、与野本町に止まります〕
稲生:「快速か。ちょうどいい。これに乗ろう」
〔まもなく20番線に、りんかい線直通、快速、新木場行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。次は、与野本町に止まります〕
稲生:「東池袋駅まで送りますよ」
マリア:「別にいいよ」
稲生:「どうせ時間から、一緒に行かせてよ」
電車が地下トンネル内を轟音を立てて接近してくる。
〔おおみや、大宮。ご乗車、ありがとうございます。次は、与野本町に止まります〕
赤字に白抜きで『快速』『Rapid』と書かれた電車がやってきた。
この駅での下車客は結構多い。
先頭車に乗り込むと、マリアの着ているモスグリーンのブレザーと同じ色の座席に座った。
そろそろブレザーも脱ぎたくなる暑い日が間近に迫っている。
稲生:「ルーシーさん達は無事に来れますかね?」
マリア:「行き方はエレーナに聞いたみたいだから大丈夫」
稲生:「ええ?何か、高い情報料取りそう」
マリア:「ルーシーが上手くブロックするだろうから心配無いと思う」
稲生:「そういうものですか」
森下駅からなら都営新宿線に乗って市ヶ谷駅で降り、そこで東京メトロ有楽町線に乗り換えると良い。
しばらくすると発車の時間がやってきて、ホームに発車メロディが鳴り響いた。
〔20番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
電車は再開閉することなく1回でドアを閉め、そのまま発車した。
上り本線ホームに止まっていた為、ポイントを渡ることはない。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、りんかい線直通、快速、新木場行きです。停車駅は与野本町、武蔵浦和、戸田公園、赤羽、赤羽からの各駅です。次は、与野本町です。……〕
電車は地下ホームを発車すると、一気に坂を駆け登った。
地上に出ると、更にそのまま高架線へと上がって行く。
車内に晩春の日差しが差し込んた。
マリア:「今日は勇太、寺でミサ……じゃなかった。えーと……」
稲生:「御講です。御講」
マリア:「ああ、それだけど、明日もどこか行くんだって?」
稲生:「鈴木君に添書登山に誘われましてね。確かにここ最近、大石寺には行ってないので、まあせっかくだから行こうって感じで……」
マリア:「それは富士山の麓にあるヤツか?」
稲生:「そうです。マリアさん達も来たことありますよね?」
マリア:「ある。そうか……」
マリアは何か思案している様子だった。
もしかして、稲生達と一緒に来るつもりだろうか?
[5月12日07:40.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 上落合公園前バス停→けんちゃんバス車内]
実家で朝食を取った稲生は、マリアを連れて、まずは近所のバス停に向かった。
稲生:「昨夜はだいぶ遅くに帰って来たみたいですけど、大丈夫でしたか?」
マリア:「うん。意外と遊び回るのが好きなコ達だった……」
稲生:「? 水上バスとスカイツリーと東京タワーしか行ってないんですよね?」
マリア:「あの……スカイツリーの下にショッピングモールがあるでしょ?」
稲生:「ああ、ソラマチですか」
マリア:「あれに皆、踊らされちゃってね……」
稲生:「そうでしたか」
そんなことを話しているうちにバスがやってくる。
日野自動車製のポンチョという小型バスで、コミュニティバスとしてよく運用されている車種だ。
ノンステップバスで、車椅子の乗降にも対応している。
後ろのスライドドアから乗り込んだ。
先客はおらず、2人の貸切状態だ。
1番後ろの席に座った。
〔「発車します。ご注意ください」〕
バスが走り出した。
〔ピンポーン♪ 次は児童センター入口、児童センター入口でございます。天理教本駿河台分教会へおいでの方は、三橋3丁目でお降りください〕
マリア:「教会……!?」
教会という言葉に反応する魔女。
稲生:「ああ、天理教だから魔道士には興味が無いでしょう」
マリア:「キリストではない?」
稲生:「全然違います。僕達の宗派でも、ガチ勢は折伏に行くような所ですよ。一応、日本の宗教なので、西洋の魔女とかには興味が無いはずです」
マリア:「そう。それならいい」
稲生:「今日はマリアさん達、どこへ行くんですか?」
マリア:「サンシャイン60と秋葉原に行きたいらしい」
稲生:「サンシャイン60は高い所ですもんね。本当に高い所に行きたいんですね」
マリア:「エレーナのアホは掟破りしてるけど、本来、ホウキ乗りでさえ高層建築物に近づいてはいけないんだ」
高層建築物の近くは乱気流(ビル風)が発生しやすく、失速する恐れがあることと、衝突の恐れがある。
マリア:「しょうがないから中から行こうって話。昔は難しかったけど、今なら観光客のフリして入れる」
稲生:「確かに……。秋葉原は……」
マリア:「日本製品を買い込んでおきたいらしい」
稲生:「そんなに?」
マリア:「日本製の頑丈さと、あと日本の方が物価が安い」
稲生:「えっ!?」
マリア:「うん。イギリスの方が物価高い。日本より」
稲生:「そうなんですか!日本が世界一高いと思ってた!」
事実らしいです。
マリア:「都庁にも行きたかったらしいけど、何か今はダメらしい」
都庁舎展望室は今月より来冬まで、改修工事の為に立入禁止とのこと。
稲生:「だったら周辺の超高層ビルとかで代替できそうな気がするけど、ちょっと分かりませんねぇ……」
マリア:「いいよいいよ。どうせこの2つで1日が終わる」
稲生:「ハハハ……」
[同日08:00.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅西口バス停→JR埼京線ホーム]
稲生:「大人2人です」
運転手:「ありがとうございました」
バスが終点の大宮駅西口に着き、外開きスライドドア式の前扉が開いた。
けんちゃんバスはICカードには対応しておらず、現金か回数券が基本となる。
稲生は回数券を2枚千切って(って、何で持ってるんだ?)、運賃箱に入れた。
稲生:「あとは埼京線ですね」
ロータリーの外周部に行って、西口のエスカレーターを上がる。
その際、稲生はしっかりマリアの手を握っている。
最初は嫌がり、その後は手袋越しなら良くなり、そして今では素手で手を握っても良くなっている。
この変化に対し、同門の魔女達が驚いているわけだ。
例外として男性嫌悪症でも恐怖症でもなく、普通に接することのできる者もいる(エレーナやナディアなど)が、それはあくまで例外。
稲生:「池袋駅で待ち合わせしてるの?」
マリア:「いや、東池袋駅」
稲生:「あー……なるほど」
マリア:「分かる?」
稲生:「全然分かります。ていうか、よくそこまで調べましたね。下調べが上手くないと、普通に池袋駅から行こうとして迷うのがオチなんですよ。サンシャインシティの最寄り駅は、確かに東池袋です」
都電荒川線の東池袋四丁目電停でもOKである。
2人は改札口を通って、埼京線ホームに下りた。
埼京線ホームは地下にある。
〔おはようございます。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の20番線の電車は、8時13分発、りんかい線直通、快速、新木場行きです。次は、与野本町に止まります〕
稲生:「快速か。ちょうどいい。これに乗ろう」
〔まもなく20番線に、りんかい線直通、快速、新木場行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。次は、与野本町に止まります〕
稲生:「東池袋駅まで送りますよ」
マリア:「別にいいよ」
稲生:「どうせ時間から、一緒に行かせてよ」
電車が地下トンネル内を轟音を立てて接近してくる。
〔おおみや、大宮。ご乗車、ありがとうございます。次は、与野本町に止まります〕
赤字に白抜きで『快速』『Rapid』と書かれた電車がやってきた。
この駅での下車客は結構多い。
先頭車に乗り込むと、マリアの着ているモスグリーンのブレザーと同じ色の座席に座った。
そろそろブレザーも脱ぎたくなる暑い日が間近に迫っている。
稲生:「ルーシーさん達は無事に来れますかね?」
マリア:「行き方はエレーナに聞いたみたいだから大丈夫」
稲生:「ええ?何か、高い情報料取りそう」
マリア:「ルーシーが上手くブロックするだろうから心配無いと思う」
稲生:「そういうものですか」
森下駅からなら都営新宿線に乗って市ヶ谷駅で降り、そこで東京メトロ有楽町線に乗り換えると良い。
しばらくすると発車の時間がやってきて、ホームに発車メロディが鳴り響いた。
〔20番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
電車は再開閉することなく1回でドアを閉め、そのまま発車した。
上り本線ホームに止まっていた為、ポイントを渡ることはない。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は埼京線、りんかい線直通、快速、新木場行きです。停車駅は与野本町、武蔵浦和、戸田公園、赤羽、赤羽からの各駅です。次は、与野本町です。……〕
電車は地下ホームを発車すると、一気に坂を駆け登った。
地上に出ると、更にそのまま高架線へと上がって行く。
車内に晩春の日差しが差し込んた。
マリア:「今日は勇太、寺でミサ……じゃなかった。えーと……」
稲生:「御講です。御講」
マリア:「ああ、それだけど、明日もどこか行くんだって?」
稲生:「鈴木君に添書登山に誘われましてね。確かにここ最近、大石寺には行ってないので、まあせっかくだから行こうって感じで……」
マリア:「それは富士山の麓にあるヤツか?」
稲生:「そうです。マリアさん達も来たことありますよね?」
マリア:「ある。そうか……」
マリアは何か思案している様子だった。
もしかして、稲生達と一緒に来るつもりだろうか?