報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスターⅡ” 「初日の夕食会」

2019-05-08 19:16:52 | アンドロイドマスターシリーズ
[4月27日18:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 市街地の飲食店]

 アリス:「日本の牛肉は脂身が多過ぎるわね」
 村上:「日本人はサシの入りで価値を決めるからのぅ……」
 敷島:「すいません、ビールもう一杯!」
 アリス:「飲み過ぎよ!」
 敷島:「飲み放題にしてるんだからいいだろうが」
 ロイ:「博士、お肉の方、もう少し小さくお切りになりませんと、喉に詰まってしまいます」
 村上:「ぬ?では、あとどのくらい切れば良いのだ?」
 ロイ:「0.01ミリは……」
 村上:「人間にとってその誤差は些事!のう?敷島社長よ」
 敷島:「そうですね!(嫌味か!このクソジジィ!)」

 ※敷島とアリスの結婚の経緯については設定が錯綜してしまっている。ネタによっては、デキ婚というのがある。敷島があまりにも薄いコンドームを使用してしまった為に破れてしまい、アリスを妊娠させることとなる。村上はこのことを言っている。アリスは敷島に責任を取らせる為に、シンディを使って追い回したとか。

 村上:「いいからオマエはオマエで楽しんで来い」
 ロイ:「シンディさんから『半径50メートル以内に近づくと狙撃する』と警告されまして……」
 エミリー:「シンディ、照れ屋さん」
 シンディ:「うるっさいわね!」
 村上:「アリスや。この2人の関係、良い研究対象になるとは思わんかね?」
 アリス:「接待はエミリーに任せて、シンディとロイは外に出てなさい!」
 シンディ:「ええっ、そんなぁ!」
 ロイ:「アリス博士!ありがとうございます!」
 敷島:「シンディ。人間の言葉に、『因果応報』という四字熟語がある。お前がキールのことでエミリーをイジッた罰が出たってことだよ」
 シンディ:「……分かりました」
 ロイ:「それでは改めまして、花束の方を……」
 シンディ:「いらねーよ!」

 執事ロイドとマルチタイプが店外に出る。

 村上:「ほれほれ、トニーや。今回はお爺ちゃんの奢りじゃ。どんどん食べて大きくなるのじゃぞ?」
 トニー:「んー!これはいけるぅ!」
 アリス:「野菜も食べなきゃダメよ」
 敷島:「なにさり気なく祖父役やってんスか。いくら天涯孤独とはいえ……」
 アリス:「いいじゃない。たまには孤独な爺さんを食事に呼ぶくらい」
 敷島:「その孤独な老人に飯代出させて何言ってんだよ」
 アリス:「うちのじー様も孤独だったんだからね」
 敷島:「ウィリーの場合は自業自得だろうが」
 村上:「ワシは若い頃から仲間に囲まれて楽しくやれていたからいいようなものの、ウィリーと組みたがる者はいなかったと聞く。その孤独さが彼を狂わせる遠因にもなったのじゃろう」

 と、そこへ敷島のスマホが鳴る。

 敷島:「おっと。ちょっと失礼。井辺君からだ」

 敷島は電話に出た。

 敷島:「はい、もしもし?」
 井辺:「社長、お疲れ様です」
 敷島:「おー、井辺君。お疲れさん」
 井辺:「先ほどメールを送らせて頂いたのですが……」
 敷島:「メール?あ、パソコン、ホテルに置きっ放しだ。後で見るよ。今、飯食ってる最中だし……」
 井辺:「お食事中、失礼しました」
 敷島:「いや、いいんだよ」
 井辺:「実は社長にご報告があるのですが、仙台でのイベントの中にボーカロイド達の演劇がありましたよね?」
 敷島:「ああ。“初音ミクのシンデレラ”が思いのほか評判だったんで、第2段をやろうって話だろ?でも結局、本社から承認下りなかったじゃないか。せっかく会場は借りられたのに残念……」
 井辺:「それが、会長が多大な関心を御寄せになられたようで、会長権限で承認されました」
 敷島:「マジ!?だってあれ、『ネタがフザけ過ぎてるからダメ』って伯父さんから却下されたヤツだぞ?」
 井辺:「それが、会長は『何でもやってみるのが敷島家の家訓』とか仰いまして……」
 敷島:「その家訓のせいでバブル崩壊後、四季グループの経営が一時傾いたとか聞いてるんだがなぁ?景気を持ち直したらまたこれだよ。ネタはどうすんの?」
 井辺:「ボーカロイド達が決めた、アレでやるしかないですよ」
 敷島:「えー?あれやんの?」
 井辺:「もう時間がありませんから。脚本から衣装から作り直すことは難しいです」
 敷島:「“初音ミクのシンデレラ”は下準備ができていたから、まあ何とか上手く行ったようなものだ」

 ボーカロイドだけでなく、マルチタイプ達も参加したのが評判だったようだ。
 『美しすぎるガイノイド』と評判のマルチタイプ達にも、仕事のオファーが来るほど。

 敷島:「あれねぇ……」
 井辺:「どうします?社長の権限で却下しますか?」
 敷島:「……いや、分かったよ。会長がやれって言うんならやるよ。本当はトークショーとかミニライブとかで繋ごうと思ったんだがなぁ……」
 井辺:「それでは演劇をやるという方向でこちらでも話を進めます」
 敷島:「うん、よろしく。仙台の方は俺に任せてくれ。井辺君は東京の方を頼む」
 井辺:「分かりました」
 敷島:「静岡の方でキナ臭い事件があったからな、油断はするなよ?」
 井辺:「社長ご自身も、仙台駅で狙われたそうじゃありませんか。社長こそお気をつけください」
 敷島:「分かってるよ。こっちには人型兵器が2機も配備されてるからな。いざとなったら、爆装させて出撃させるさ」
 井辺:「頼もしいお言葉です」
 敷島:「井辺君だってKR団に狙われたんだからな。井辺君にも護衛を付けないとダメだろう」
 井辺:「あ、それなら今……」
 敷島:「ん?」
 萌:「しゃちょーさーん!井辺さんはボクが護りますから安心してくださーい!」
 敷島:「萌か!科学館の仕事はどうしたぁ!?……って、科学館はもう閉館時間か」
 井辺:「西山館長が『閉館時間の間だけならいい』ということにしてくれまして……」

 恐らく今、妖精型ロイドの萌は井辺の肩に乗っていることだろう。
 妖精を肩に乗せて歩くボーカロイド専門芸能プロデューサーの姿を想像して、敷島は笑いがこぼれてしまった。

 敷島:「体の小さい萌がどのくらい役に立つのかは知らんが、一応、防犯にはなるだろう。何かあったらすぐ連絡してくれよ。……それじゃあ」

 敷島は電話を切った。

 トニー:「パパー?」
 村上:「フォフォ。パパは仕事が忙しいのじゃよ。お小遣いあげようの」
 トニー:「わぁい♪」

 血の繋がった祖父のいないトニー(敷島峰雄会長などの大叔父はいる)。
 血の繋がった孫のいない村上(兄弟の子供はいるらしい)。
 双方、利害が一致した瞬間であった。
コメント
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