報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「天国と地獄」

2018-02-12 21:05:05 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月6日12:30.天候:曇 宮城県仙台市青葉区]

 仙台市内を走る1台のプリウス。
 運転しているのは平賀で、助手席に敷島が乗り、その後ろにエミリーが乗っている。
 これはビジネスマナーとしては正解。
 オーナードライバーが上席者の場合、次の上座は助手席になるのだ。

 敷島:「お子さん達、大きくなりましたね」
 平賀:「もう既に、上は小学校ですからねぇ……。ていうか敷島さん、お年玉ありがとうございました」
 敷島:「何の何の。私も初めてあげましたから」
 平賀:「敷島さんの所はどうなんですか?」
 敷島:「幸いうちは、二海やシンディのおかげで保育所には入らずに済みましたし、あとは幼稚園ですかね」
 平賀:「そうですか。自分で良かったら、相談に乗りますよ」
 敷島:「それは頼もしい。正に、先輩ですな」
 平賀:「いやいやいや」

 年齢的にも平賀の方が数歳ほど上。

 平賀:「この辺りでいいか」

 街中に出た敷島達。
 タワー式の立体駐車場に車を止める。

 平賀:「向こうに美味いラーメン屋があるんですよ」
 敷島:「それは楽しみですね」
 平賀:「今日は特に寒いですから、温かいものでも食べたいですからね」
 敷島:「いや、全く」
 エミリー:「夕方から雪が降るようです。お気をつけください」
 敷島:「分かったよ」
 平賀:「エミリーは店の外で待っててくれ」
 エミリー:「かしこまりました」

 個人商店の店だが、街中にある為に駐車場は無い。
 そこで付近の有料駐車場を利用することになる。

 平賀達がラーメンを食べている間、エミリーは外で待ち惚け。
 寒風が吹くものの、ロイドには気にならない。

 エミリー:(……シンディはまたやっているのか……)

 東京ではまた何かあった様子。
 ちょっとそちらを中継してみよう。

[同日同時刻 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]

 MEIKO:「無い……」
 巡音ルカ:「無い……」
 Lily:「無い!」
 未夢:「無いわ」
 シンディ:「なに、どうしたの、皆?」
 井辺:「どうかしましたか?」
 初音ミク:「プロデューサーさん、シンディさん、大変です〜!」
 シンディ:「だから、何があったの?」

 何があったかというと……。

 井辺:「下着ドロ……ですか?しかも、ボーカロイドの女性皆さんが被害に?」
 ミク:「そうなんです!わたしのお気に入りの縞パンが全部無くなってるんですぅ〜!」
 MEIKO:「これは大事件ね」
 ルカ:「怖いですね」

 そこへMEGAbyteのセンターを務める結月ゆかりがやってきた。

 井辺:「結月さんも被害に遭われたんですね?今日は大変な日になりそうで……」
 結月ゆかり:「私のだけ盗まれてないんだけど……?」

 逆に不機嫌な顔をするゆかりだった。
 シーンと静まり返る事務所内。

 井辺:「は、はあ……そうですか……」
 ミク:「ひどいです!泥棒のくせに胸の差別なんて!」
 ゆかり:「ね!?そうですよね!?ミク先輩!」
 ミク:「絶対に犯人を捕まえます!ですよね、シンディさん!?」
 シンディ:「まあまあ、落ち着け、ミク。泥棒がどういう基準でパクッたのかは知らんが、少なくともリンも盗まれてない」
 ゆかり:「ってことは、やっぱり胸の大きさで差別したんじゃないですか!ひどい!」
 シンディ:「いいから落ちつけって。因みに私も着替え用の服と下着をここに置いているが、私のも盗まれてない」
 井辺:「良かったじゃないですか、結月さん。シンディさんはGカップです。それが盗まれていないということは、けして胸の大きさで差別したわけじゃないという……」
 MEIKO:「おい、プロデューサー。そういうこと真顔で言わない」
 井辺:「は、はあ……」
 シンディ:「あ、いや、胸部パーツ交換やったもんで今はHカップになったけど?」
 結月:「
 MEIKO:「シンディも余計なこと言わない方がいいよ」
 シンディ:「まあ、それよりもだ……」

 シンディが睨みつけたのは……。

 KAITO:「な、何でボク達が……」
 マリオ:「当然ノヨウニ……」
 ルイージ:「疑ワレルンデスカ!?」
 シンディ:「だってお前ら、四捨五入したら問答無用で下着泥棒側だろうが」
 KAITO:「ヒドい言われよう!」
 鏡音レン:「大変です!事務所内を裸足で歩き回った跡が!」
 井辺:「裸足!?」

 事務室の外に出る。
 人間の足跡ではない、黒い足跡があった。

 シンディ:「スキャンしてみるわ!……これ、確かに人間の足跡ではないわ。……金属反応が僅か。あと、機械油の反応ね」
 KAITO:「ということは、ボクは潔白だね。ボクはこうして靴履いてるし、油漏れなんかさせてない」
 マリオ:「俺ラモ……」
 ルイージ:「油漏レナンテサセテナイデス!」
 シンディ:「まだ分からんぞ。ボーカロイドのKAITOはともかく、お前らロボットはいつどこで油漏れさせるか分からんからな」
 マリオ:「エエッ!?」
 ルイージ:「全然信用サレテナイ……」
 レン:「足跡は一組だけ。もし何かロボットが侵入したんだとしたら、1機だけってことになるね」
 井辺:「強いロイドを避けて泥棒を……。凄いスペックを搭載したロボットですね」
 マリオ:「確カニ痴漢モ実際ハ派手ナ女ヨリ、地味デ大人シソウナ女ヲ狙ウと言ウシナ」
 ルイージ:「ソウダソウダ」
 シンディ:「マジでお前ら氏ね!」
 井辺:「しかし、ロボットがボカロの皆さんの下着を盗んでどうしようというのでしょうか?」
 KAITO:「転売……ですかね?」
 シンディ:「よし、白状したな。ちょっとこっちに来い。姉さんに代わってお仕置きしてやる」
 KAITO:「いや、ちょっと予想しただけですよ!?」
 レン:「大変です!例の足跡が……秘書室に!」

 秘書室というからには、エミリーやシンディが控え室として使用している部屋だ。
 社長室と事務室の間に位置している。

 シンディ:「! この野郎!!」

 シンディは秘書室のドアをバァンと開けた。

 黒いロボット:「

 黒いロボットはシンディのロッカーを開け、中にあった黒いビキニブラジャーを装着していた。

 シンディ:「……おい!」
 黒いロボット:Σ(゚Д゚)

 次の瞬間、黒いロボットがシンディにバラバラになるほどボコボコにされたのは言うまでもない。

 マリオ:「マサカ、着ル目的ダッタトハ……!」
 KAITO:「ロボットのくせに、随分と生々しいことを……!」
 ルイージ:「ダガソレヨリ意外ナノハ……」

 ルイージは床に散乱した下着の1つをスキャンした。

 ルイージ:「シンディ様モ、白い下着ヲオ持チダッタトハ……。黒カ紺オンリーダト思ッテイタ」
 シンディ:「

 ついでにルイージもボコられたという。

[同日13:15.天候:小雪 宮城県仙台市青葉区]

 敷島:「ふぅーっ、食った食った。ごちそーさんでした」
 平賀:「どうです?美味いラーメン屋だったでしょ?」
 敷島:「ええ。麺にコシがあって、スープの味も抜群でしたね。……お待たせ、エミリー」
 エミリー:「お帰りなさいませ」
 敷島:「何か面白いことでもあった?」
 エミリー:「事務所で事件があったようです。シンディからの通信です」
 敷島:「事務所で!?何があった!?」

 最初は深刻な顔をしていた敷島だったが、上記の出来事を聞いて笑いを堪えることができなかったそうだ。
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“戦う社長の物語” 「平賀家の間取りの設定を考えていなかった件について」

2018-02-12 10:18:43 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月6日11:19.天候:曇 “はやぶさ”69号9号車内→JR仙台駅]

 列車が最初の停車駅、仙台に差し掛かる。
 市内に入ると線形が悪くなる為に、速度を在来線電車並みの速度に落として走行する。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線と仙台空港アクセス線はお乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。仙台の次は、古川に止まります〕

 敷島:「こっちは曇ってるなぁ……」

 町に日差しが差し込んでいない。
 空はどんよりとした雲が空一面を覆っている。

 エミリー:「今日の仙台市の予報は曇のち雪です」
 敷島:「こっちも雪は少ない方なんだが……。まあ、南里研究所のあった泉区はそうでもなかったか。何か、毎年雪かきをやっていた記憶がある」

 ほとんどは力自慢のエミリーがやってのけていたが。

〔「まもなく、仙台です。12番線到着、お出口は左側です。……」〕

 敷島:「何だか外は寒そうだ」

 敷島は荷棚に置いておいたコートを羽織った。
 機械の体であるエミリーは薄着でも良いのだが、それだと周囲の目から見ても不自然なので、一応ワインレッドのコートを羽織る。

 エミリー:「気温は低い方が活動しやすいです」
 敷島:「お前達はな」

 列車がホームに入線する。
 終点は新青森ながら、この駅でも下車する客は多く……。

 敷島:「やっぱり寒い……」

 吐く息が白かった。

 エミリー:「私の廃熱で温めましょうか?」
 敷島:「えっ?いや、いいよ!それより、早く平賀先生の家に行こう」

 2人は足早に改札口を出ると、タクシー乗り場に歩いて行き、そこからタクシーで平賀の家に向かった。

[同日11:50.天候:晴 宮城県仙台市太白区 平賀家]

 仙台市西部の高台の住宅街に、平賀の家はある。

 敷島:「昔とちっとも変わらんなぁ……」

 この高台の住宅街。
 高級住宅街の1つとされているが、大雪の際は【お察しください】。
 料金の支払いをしていたエミリーが降りて来る。

 エミリー:「一応、領収証はもらっておきました。経費で落としますか?」
 敷島:「それは、これからの会議の内容次第だよ」
 エミリー:「かしこまりました」

 エミリーが先に入る。
 敷島がインターホンを押した。

 敷島:「ちわーっ!三河屋でーす!……なんちゃってw」
 エミリー:「社長……」

 エミリーは呆れながら玄関のドアを開けた。

 エミリー:「失礼しま……」
 猛犬:「ワンワンワンワンワン!!」
 エミリー:「!!!」

 すると、獰猛な白いシェパードがエミリーに飛び掛かって来た。
 エミリーの左手に噛み付く。

 敷島:「エミリー!」

 バチッ!(エミリー、左手から放電する)

 猛犬:「キャゥン!キャン!キャン!」

 猛犬は慌てて逃げ出した。

 敷島:「! 思い出した!確か平賀先生って……!」
 七海:「お待たせしました!申し訳ございません!」

 奥からメイドロイドの七海が慌てて走って来た。
 昔の七海なら、ここでスッ転ぶドジっ子メイドをやらかして萌えポイントを稼ぐところだが、今はそんなことも無くなっている。

 エミリー:「平賀博士は、また獰猛なロボット犬を造られたのか?」
 七海:「そうなんです。ここ最近は、ロイドよりも動物犬を造られることが多くて……」
 敷島:「誰得だ、それ?」
 七海:「どうぞ、お上がりください。太一様がお待ちです」
 敷島:「まあ、ここで会議をするわけじゃないんだけどな」
 七海:「分かっております。事前の打ち合わせですね」
 敷島:「会議の為の会議。四季グループでも横行してるけど、日本の悪い癖だ。そういう無駄業務が企業のブラック化を招くんだよ」

 敷島は頭をかいた。

 ロボット犬:「ウウウ……!」

 先ほどのロボット犬は今は鎖に繋がれている。
 エミリーを見て唸り声を上げたが……。

 エミリー:「!」

 キッとロボット犬を睨みつけるエミリー。
 更に左手を出して、パチッと火花を散らす。

 ロボット犬:「クゥーン……」

 先ほどの高圧電流攻撃が効いたか、ロボット犬はすごすごとゲージに引き下がった。
 右手は銃火器(光線銃)、左手は有線ロケットパンチや高圧電流攻撃が標準のマルチタイプ。

 平賀:「やあ、どうも敷島さん。遠いところをわざわざ……」
 敷島:「明けまして、おめでとうございます」
 平賀:「こちらこそ。今年もよろしくお願いします」
 敷島:「早速、新たなロボット開発ですか。凄いですね」
 平賀:「幸いにしてメイドは量産体制に入れたので、今度は別の路線を模索しているところです」
 エミリー:「失礼ですが、犬に関してはもう少し躾を厳しくした方がよろしいかと思います」
 平賀:「あ、ああ、あれか。すまない。プロトタイプでね、見た目をホワイトシェパードにしてみたら、中身まで獰猛になってしまった。もちろん、不審者以外にはおとなしいヤツだよ」
 敷島:(エミリーは不審者扱いされたか……)

 平賀の研究室にはクラシックが流れている。
 今はパッヘルベルの“カノン ニ長調”だ。
 PCから流しているらしく、平賀はそれを止めた。

 平賀:「じゃあ、どうぞ。部屋を移動しましょう」
 敷島:「はい」

 応接間に移動する。

 七海:「コーヒーと紅茶、紅ヒーのどれになさいますか?」
 敷島:「まだ紅ヒー出しとるんかい。いや、コーヒーで」
 七海:「メイド長は何になさいますか?」
 エミリー:「その呼称はやめろ。というか、今じゃお前がハウスキーパー(メイド長)だろ」
 七海:「そうでした。すぐにお持ち致します」

 七海は敷島と平賀にコーヒー、エミリーにはE缶を持って来た。
 E缶とは、まあ、とあるロボットアクションゲームに登場する回復アイテムのことである。
 DCJではしっかり本当に回復薬として作ってしまった。
 エンジンオイルなどをベースにして作ったようだが、もちろんその経緯や製法については企業秘密とのこと。

 平賀:「ていうかもうお昼ですね。ナツ達が帰って来たら、どこか食べに行きましょう」
 敷島:「そういえば奈津子先生とかいませんね。どうしたんですか?」
 平賀:「買い物に行ってるんですよ。あと、子供達がお年玉もらったんで、それで色々買いに行ったりとか」
 敷島:「おおっ、そうでしたね」

 敷島はポンと手を叩いた。
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