報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「黒いロボット対応・対策会議」

2018-02-13 21:04:47 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月6日14:00.天候:雪 宮城県仙台市青葉区 東北工科大学]

 村上大二郎:「あー、コホン。今日は御多忙の中、このようにお集まり頂き、真に恐れ入ります。皆さんもニュース等で既知の通り、ここ最近黒いロボットが日本各地において局所的に現れ、その意味不明な行動に人々を混乱に陥れておる」

 日本アンドロイド学会の代表である村上が壇上に上がって、参加者達に向かって喋っている。

 村上:「『黒いロボット』と呼ぶ所以は、見た目の通りとしか言いようが無い。彼らは誰に開発され、誰に製造され、如何なる目的で稼働し、如何なる命令で行動し、誰の命令で、どのような指令系統で行動しているのかが全く不明であり、そもそも正式名称を知る由も無いからであります。これについては敷島エージェンシーの代表取締役社長、敷島孝夫氏が現時点において1番知っている者ということになりますので、敷島氏より説明を賜りたいと思います」
 敷島:「えっ、私ですか?」
 エミリー:「社長。私のメモリーに、件の黒いロボットとの戦いの映像が記録されていますので、それを公開させてください」
 敷島:「そ、そうか」

 敷島とエミリーも壇上に上がる。
 代わりに村上は壇の脇にある椅子に座った。
 因みに高齢の村上の介助は、執事ロイドのロイや助手の有泉が行っている。
 東京から来たのが一目惚れしたシンディではなく、姉のエミリーだったことで、少しロイはがっかりした感じだった。
 エミリーは微笑を浮かべて、シンディには口添えしておくと言った。

 敷島:「えー、皆さん、こんにちは。東京より参りました敷島エージェンシーの代表を務めさせて頂いております敷島と申します。都内でボーカロイド専門の芸能事務所を経営しております。さて、件の黒いロボットについてですが、北海道で似たような個体と戦闘を交えたことが過去にございましたので、御紹介させて頂きます。こちらにいるマルチタイプ1号機のエミリーが実際に奴らと戦闘を交えていますので、その際の映像記録を御覧に入れます」

 敷島はエミリーに合図した。
 エミリーは白いスクリーンの前に座ると、右目を光らせた。
 右目から放たれた光がスクリーンに映り、そこにはエミリーが北海道の廃船内で遭遇した黒いロボット達との戦闘シーンが映し出された。

 参加者A:「これは……!」
 参加者B:「正しくあの黒いロボット……!」
 参加者C:「やはり凶悪なロボットだったか……」

 ざわつく会議室内。

 敷島:「壮絶な戦いでした。よく生き残れたものです」
 平賀:「さすがは『不死身の敷島』です。だけど自分は、いま現れている機種とそいつらは別種であると考えています」

 平賀が手を挙げて発言した。

 村上:「平賀君。そう思う根拠は何かね?」
 平賀:「簡単です。北海道で敷島さん達を襲った黒いロボットは、残虐な殺人マシーンだったでしょう。ところが今回現れているロボット達は、不思議と死者を1人も出していないんです」
 村上:「単なる偶然ではないのかね?」
 平賀:「それと、今までの行動も不可解過ぎます。実は今日、黒いロボットが1機、敷島エージェンシーに侵入したそうです」
 村上:「何と!?」
 平賀:「留守番していたシンディに破壊されたそうですが……」
 ロイ:「何と頼もしい御方です」
 村上:「また破壊したのか。生け捕りにせいと学会から命令しておいたのに……何ともはや、あのあばずれガイノイドめ」
 敷島:「うちの第二秘書がどうもすいません」
 エミリー:「うちの愚妹が申し訳ありません」
 平賀:「その黒いロボットが敷島エージェンシーに忍び込んで何をしていたのかというと、ボーカロイドの下着を盗んで着用しようとしていたそうです」
 参加者D:「な、何だってー!?」
 参加者E:「何の意味が!?」
 敷島:「終いにはシンディの下着にも手を出したんで、ブチギレたシンディにバラバラに破壊されたそうですが」
 平賀:「東京・錦糸町に現れた群体は、セクサロイド専門の風俗店を襲撃し、中にいたセクサロイドを拉致したそうです。……何と言いますか、奴らの目的は何となく判明しつつあるのですが……これは言っていいものなのかどうか……」
 村上:「言ってみなさい」
 平賀:「奴らの目的はガイノイドに対する変態行為。窃視、盗撮、下着泥棒、強制わいせつ辺りではないかと……」
 村上:「何の目的でそんなことしとるんじゃい?人間じゃないんだぞ?」
 平賀:「それは自分にも分かりませんが、性犯罪目的で動いているとしか……」

 と、そこへ有泉がスマホを片手に発言した。

 有泉:「大変です!今、西日本大学工学部から電話がありまして、大阪で黒いロボットが3機ほど現れまして、メイドロイドを拉致したそうです!」
 村上:「それで?」
 有泉:「後でメイドロイドは解放されたそうですが、彼女曰く、『おっぱいをしこたま揉まれた』と……」
 村上:「じゃから、一体何が目的じゃい!?」
 敷島:「ロボットに目的を問うより、奴らを指揮している人間を取っ捕まえる方がいいですよ」
 平賀:「こりゃ確かに、生け捕りにして奴らのメモリーを解析した方が良さそうだ」
 村上:「じゃが、そんなことできる者がおるかね?」
 敷島:「ご安心ください。その為のエミリーです」

 エミリーはスクリーンから向き直ると右目を消灯した。

 エミリー:「私にお任せください。必ずや、ご期待に応えて御覧に入れます」
 敷島:「エミリーも美人ガイノイドです。もし黒いロボットがエロ目的で動いているのなら、絶対に狙ってくるはずです。そこを叩くわけです」
 平賀:「叩くのはいいですけど、壊しちゃダメですよ?」
 敷島:「……だ、そうだ。エミリー」
 エミリー:「はい、もちろんです」

 エミリーは大きく頷いた。
 尚、会議が終わった後で、ロイがシンディそのものには被害が無かったのかどうか敷島に聞いて来た。
 あくまで狙われたのが下着だけであると敷島が答えると、心底ホッとしたような感じだった。

 エミリー:「某バカ兄弟の弟の調査によると、シンディのヤツ、白いセクシー下着を隠し持っていたそうだ。一体、何に使うつもりだったのか、後で問い質しておいてやる」
 ロイ:「い、いえ、そこまでは……」
 敷島:(アリスが何か吹き込んだか……?)

 会議は無事終了した。
 しかし、確かに敷島の予想通り、エミリーにも魔の手は迫っていたのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする