[5月3日07:00.天候:晴 北海道札幌市中央区 京王プラザホテル札幌]
シンディ:「社長、朝ですよ。起きてください」
起床時間になったら、しっかりマルチタイプが起こしてくれる。
敷島:「うう……ん……。あと、5分……」
シンディ:「七海は稼働テストの際、平賀博士にお醤油を飲ませるというサービスをしていたそうです」
シンディはバッと醤油の入っている小分けパックを取り出した。
シンディ:「ならば私は、お醤油目薬サービスをば……!」
シンディ、敷島の右目をこじ開ける。
敷島:「わーっ!バカ!やめろ!」
シンディのサディスティックな顔とギラリと光る目に、敷島はびっくりして飛び起きた。
敷島:「俺を失明させる気か!?」
シンディ:「もう、大げさですよ。安心してください。減塩醤油ですよ」
敷島:「何だ、それなら左目も頼む……って、コラ!」
朝からノリノリの敷島。
敷島:「七海と似たようなことしやがって!」
シンディ:「あの後、しばらくはメイドロイドの間で、『御主人様をお醤油で起こそうプログラム』が流行ったそうですね」
敷島:「おかげでメイドロイドの売れ行きが落ちたんだぞ。今はようやくまた伸びたけど」
シンディ:「それより早く、朝の身支度の方を。その後は、レストランで朝食です」
敷島:「おっ、そうか」
敷島はシンディからタオルなどを受け取ると、バスルームに入った。
その間、シンディは敷島が起きたベッドを直す。
シンディ:「ふふふふ……」
その間、シンディはまたサディスティックな笑みを浮かべた。
かつて前期型として稼働していた頃、ウィリアム・フォレスト博士(通称、ドクター・ウィリー)を追っていたFBIのエージェントを捕まえたことがある。
捜査情報を吐かす為、シンディはそのエージェントを拷問に掛けた。
その1つが、硫酸目薬。
名前の通り、情報を吐かないと硫酸入りの目薬で目を潰すというものである。
エージェントは結局吐かなかったので、両目を潰した上、七海の『お醤油プログラム』のことは知っていたので、硫酸を飲ませるという行為にも及んだ。
結局、そのエージェントは死亡したので、その惨殺死体を地元の警察当局に送りつけてやった。
シンディ:(誰も考え付かないだろうな。あんな……クソみたいな殺人兵器だった私が、こうして今は……おとなしく秘書兼メイド……たまにセクサロイドもやってるなんて……)
[同日07:30.天候:晴 同ホテル22F「個室和食みやま」]
敷島:「昨夜は大変、ご迷惑をお掛けしました」
平賀:「自分達、大変酩酊してまして、ついつい話に夢中になってしまって……」
井辺:「止めるべき自分が真っ先に酔い潰れてしまい、役立たずで申し訳ありませんでした」
敷島達は昨夜、酔っぱらってバカ騒ぎした和食レストランに陳謝しに行った。
別にバカ騒ぎしただけで、暴れたわけではない。
敷島:「朝食セット、3つください」
お詫びなのか、ここで朝食を取る敷島達だった。
平賀:「敷島さん、ここで飲酒はもうダメですよ」
敷島:「先生こそ」
井辺:「私も特に注意します」
敷島:「井辺君は真っ先に酔い潰れただけで、特に大声を出したわけでもないから、1番大丈夫なんじゃない?」
井辺:「いえ。同室させて頂いたのですから、やはり少しは責任を感じます」
平賀:「敷島さん、責任感のある人を部下にしましたね」
敷島:「ええ。さすがは、総合プロデューサーだ」
井辺:「いえ、私はただ……」
萌:「井辺さんと相思相愛のボクのおかげですかねー!」
萌、井辺のスーツのポケットの中から現れる。
敷島:「うわっ、いつの間に!?」
萌:「それは言えない妖精の秘密!」
井辺:「ていうか、何ですか?『相思相愛』って?あなたが私をとても気に入っていることは知っていますが、私は別に……」
萌:「『とても大好き』なんですね!えへへ……照れちゃいます(〃´∪`〃)ゞ」
井辺:「あの……」
敷島:「メイド!つまみ出せ!」
シンディ:「承知!」
シンディは萌の襟首を掴むと、店の外に連れ出した。
萌:「あ〜れ〜!」
シンディ:「ファンシーロイドが生々しいことすんなっ!」
エミリー:「瓶の中に入ってもらうぞ」
萌:「ひいっ!それだけはーっ!」
敷島:「『妖精を 運ぶ俺とお前と 大五郎』……なんちゃってw」
平賀:「ウマい!」
この2人、まだ酔っぱらっているのだろうか?
井辺:「なるほど。考えましたね。ただ、妖精が入るにはまだ口が小さいような気がします。私がもっと適当な入れ物を探しておきますよ」
敷島:「さすがは井辺君、話が早いな」
平賀:「大五郎か。ここ最近、飲んでないなぁ……」
敷島:「札幌に来たんだから、サッポロビールなのは鉄板だとして、もっと他に名酒を飲んでみたいですね」
平賀:「もし無事に帰ることができたら、帰りに探しましょう」
[同日09:00.天候:晴 京王プラザホテル札幌1F→札幌ドーム]
ホテルのエントランスに行くと、タクシー会社からチャーターしたジャンボタクシーが2台待っていた。
運転手:「おはようございます。敷島エージェンシー様ですね?お待ちしておりました」
井辺:「はい。よろしくお願いします。それでは皆さん、乗ってください」
鏡音リン:「よろしくお願いしまーっす!」
ハイエースの方に売れっ子ボカロ達と敷島、平賀、エミリーが乗る。
アルファードの方にMEGAbyte、井辺、シンディが乗った。
どちらも、スライドドアから後ろはスモークが張られていて外から中が見えないようになっていた。
マルチタイプが分乗したのは、護衛の為。
実際、どちらも助手席に乗っている。
だからなのか、ドームの関係者出入口で入り待ちをしていたファン達からは、マルチタイプにも手を振る者がいた。
『美人過ぎる秘書』として、マルチタイプ姉妹もネットなどでは話題になっている。
当のマルチタイプ達は『用途外』ということで、テレビ出演などのメディア露出は基本全て断っているし、今回のように入り待ちのファン達から手を振られても、ほとんど無反応であった。
あくまで現在の立場は、シンディは秘書代行兼護衛、エミリーは秘書兼護衛なのである。
敷島:「リハーサルがあるから、それに出てもらう。お前達はもうプログラムはされているけど、それを支える人間のスタッフの皆さんもリハーサルをしないと行けないからな」
初音ミク:「わっかりましたー!」
鏡音リン:「リンにお任せ!」
鏡音レン:「頑張ります」
MEIKO:「毎度のことだしね」
巡音ルカ:「プログラムに従って動くまでです」
KAITO:「ロボットじゃないんだから、少しはボク達でアレンジしていいんだよ」
KAITOはルカの肩に手を置いたが、すぐに軽く振り払われた。
毎度のことである。
シンディ:「社長、朝ですよ。起きてください」
起床時間になったら、しっかりマルチタイプが起こしてくれる。
敷島:「うう……ん……。あと、5分……」
シンディ:「七海は稼働テストの際、平賀博士にお醤油を飲ませるというサービスをしていたそうです」
シンディはバッと醤油の入っている小分けパックを取り出した。
シンディ:「ならば私は、お醤油目薬サービスをば……!」
シンディ、敷島の右目をこじ開ける。
敷島:「わーっ!バカ!やめろ!」
シンディのサディスティックな顔とギラリと光る目に、敷島はびっくりして飛び起きた。
敷島:「俺を失明させる気か!?」
シンディ:「もう、大げさですよ。安心してください。減塩醤油ですよ」
敷島:「何だ、それなら左目も頼む……って、コラ!」
朝からノリノリの敷島。
敷島:「七海と似たようなことしやがって!」
シンディ:「あの後、しばらくはメイドロイドの間で、『御主人様をお醤油で起こそうプログラム』が流行ったそうですね」
敷島:「おかげでメイドロイドの売れ行きが落ちたんだぞ。今はようやくまた伸びたけど」
シンディ:「それより早く、朝の身支度の方を。その後は、レストランで朝食です」
敷島:「おっ、そうか」
敷島はシンディからタオルなどを受け取ると、バスルームに入った。
その間、シンディは敷島が起きたベッドを直す。
シンディ:「ふふふふ……」
その間、シンディはまたサディスティックな笑みを浮かべた。
かつて前期型として稼働していた頃、ウィリアム・フォレスト博士(通称、ドクター・ウィリー)を追っていたFBIのエージェントを捕まえたことがある。
捜査情報を吐かす為、シンディはそのエージェントを拷問に掛けた。
その1つが、硫酸目薬。
名前の通り、情報を吐かないと硫酸入りの目薬で目を潰すというものである。
エージェントは結局吐かなかったので、両目を潰した上、七海の『お醤油プログラム』のことは知っていたので、硫酸を飲ませるという行為にも及んだ。
結局、そのエージェントは死亡したので、その惨殺死体を地元の警察当局に送りつけてやった。
シンディ:(誰も考え付かないだろうな。あんな……クソみたいな殺人兵器だった私が、こうして今は……おとなしく秘書兼メイド……たまにセクサロイドもやってるなんて……)
[同日07:30.天候:晴 同ホテル22F「個室和食みやま」]
敷島:「昨夜は大変、ご迷惑をお掛けしました」
平賀:「自分達、大変酩酊してまして、ついつい話に夢中になってしまって……」
井辺:「止めるべき自分が真っ先に酔い潰れてしまい、役立たずで申し訳ありませんでした」
敷島達は昨夜、酔っぱらってバカ騒ぎした和食レストランに陳謝しに行った。
別にバカ騒ぎしただけで、暴れたわけではない。
敷島:「朝食セット、3つください」
お詫びなのか、ここで朝食を取る敷島達だった。
平賀:「敷島さん、ここで飲酒はもうダメですよ」
敷島:「先生こそ」
井辺:「私も特に注意します」
敷島:「井辺君は真っ先に酔い潰れただけで、特に大声を出したわけでもないから、1番大丈夫なんじゃない?」
井辺:「いえ。同室させて頂いたのですから、やはり少しは責任を感じます」
平賀:「敷島さん、責任感のある人を部下にしましたね」
敷島:「ええ。さすがは、総合プロデューサーだ」
井辺:「いえ、私はただ……」
萌:「井辺さんと相思相愛のボクのおかげですかねー!」
萌、井辺のスーツのポケットの中から現れる。
敷島:「うわっ、いつの間に!?」
萌:「それは言えない妖精の秘密!」
井辺:「ていうか、何ですか?『相思相愛』って?あなたが私をとても気に入っていることは知っていますが、私は別に……」
萌:「『とても大好き』なんですね!えへへ……照れちゃいます(〃´∪`〃)ゞ」
井辺:「あの……」
敷島:「メイド!つまみ出せ!」
シンディ:「承知!」
シンディは萌の襟首を掴むと、店の外に連れ出した。
萌:「あ〜れ〜!」
シンディ:「ファンシーロイドが生々しいことすんなっ!」
エミリー:「瓶の中に入ってもらうぞ」
萌:「ひいっ!それだけはーっ!」
敷島:「『妖精を 運ぶ俺とお前と 大五郎』……なんちゃってw」
平賀:「ウマい!」
この2人、まだ酔っぱらっているのだろうか?
井辺:「なるほど。考えましたね。ただ、妖精が入るにはまだ口が小さいような気がします。私がもっと適当な入れ物を探しておきますよ」
敷島:「さすがは井辺君、話が早いな」
平賀:「大五郎か。ここ最近、飲んでないなぁ……」
敷島:「札幌に来たんだから、サッポロビールなのは鉄板だとして、もっと他に名酒を飲んでみたいですね」
平賀:「もし無事に帰ることができたら、帰りに探しましょう」
[同日09:00.天候:晴 京王プラザホテル札幌1F→札幌ドーム]
ホテルのエントランスに行くと、タクシー会社からチャーターしたジャンボタクシーが2台待っていた。
運転手:「おはようございます。敷島エージェンシー様ですね?お待ちしておりました」
井辺:「はい。よろしくお願いします。それでは皆さん、乗ってください」
鏡音リン:「よろしくお願いしまーっす!」
ハイエースの方に売れっ子ボカロ達と敷島、平賀、エミリーが乗る。
アルファードの方にMEGAbyte、井辺、シンディが乗った。
どちらも、スライドドアから後ろはスモークが張られていて外から中が見えないようになっていた。
マルチタイプが分乗したのは、護衛の為。
実際、どちらも助手席に乗っている。
だからなのか、ドームの関係者出入口で入り待ちをしていたファン達からは、マルチタイプにも手を振る者がいた。
『美人過ぎる秘書』として、マルチタイプ姉妹もネットなどでは話題になっている。
当のマルチタイプ達は『用途外』ということで、テレビ出演などのメディア露出は基本全て断っているし、今回のように入り待ちのファン達から手を振られても、ほとんど無反応であった。
あくまで現在の立場は、シンディは秘書代行兼護衛、エミリーは秘書兼護衛なのである。
敷島:「リハーサルがあるから、それに出てもらう。お前達はもうプログラムはされているけど、それを支える人間のスタッフの皆さんもリハーサルをしないと行けないからな」
初音ミク:「わっかりましたー!」
鏡音リン:「リンにお任せ!」
鏡音レン:「頑張ります」
MEIKO:「毎度のことだしね」
巡音ルカ:「プログラムに従って動くまでです」
KAITO:「ロボットじゃないんだから、少しはボク達でアレンジしていいんだよ」
KAITOはルカの肩に手を置いたが、すぐに軽く振り払われた。
毎度のことである。