今、ヴォイス・トレーニングでSchumanの「二人の擲弾兵」を練習している。歌詞はHeinrich Heineの詩である。
Die Grenadiere Heinrich Heine
Nach Frankreich zogen zwei Grenadier,
Die waren in Rußland gefangen,
Und als sie kamen ins deutsche Quartier,
Sie ließen die Köpfe hangen.
Da hörten sie beide die traurige Mär:
Daß Frankreich verloren gegangen,
Besiegt und zerschlagen das große Heer -
Und der Kaiser, der Kaiser gefangen.
Da weinten zusammen die Grenadier
Wohl ab der kläglichen Kunde.
Der eine sprach: Wie weh wird mir,
Wie brennt meine alte Wunde!
Der andre sprach: Das Lied ist aus,
Auch ich möcht mit dir sterben,
Doch hab ich Weib und Kind zu Haus,
Die ohne mich verderben.
Was schert mich Weib, was schert mich Kind,
Ich trage weit beßres Verlangen;
Laß sie betteln gehn, wenn sie hungrig sind -
Mein Kaiser, mein Kaiser gefangen!
Gewähr mir, Bruder, eine Bitt:
Wenn ich jetzt sterben werde,
So nimm meine Leiche nach Frankreich mit,
Begrab mich in Frankreichs Erde.
Das Ehrenkreuz am roten Band
Sollst du aufs Herz mir legen;
Die Flinte gib mir in die Hand,
Und gürt mir um den Degen.
So will ich liegen und horchen still,
Wie eine Schildwach im Grabe,
Bis einst ich höre Kanonengebrüll
Und wiehernder Rosse Getrabe.
Dann reitet mein Kaiser wohl über mein Grab,
Viel Schwerter klirren und blitzen;
Dann steig ich gewaffnet hervor aus dem Grab -
Den Kaiser, den Kaiser zu schützen.
ほぼ暗譜で歌えるようになったので、近々私の歌唱を公開するつもりである。実は昔、ほぼ歌詞を覚えていたのにいつの間にか忘れてしまった。割合と長い歌なので通して歌うチャンスのなかったことが原因だろうと思う。ドイツ語らしい響きが快い。パリのアンヴァリッド(廃兵院)にあるナポレオンのお墓では、ひとりでにメロディーを口ずさんでいた。
この「二人の擲弾兵」でふと昔のあることが甦ってきたのである。阪大でまだほやほやの助手の頃、研究室に新入生が入ってきて歓迎コンパの席上で、その一人が朗々とドイツ語の詩を暗唱した。確かにドイツ語のようであるがそれにしては実によく分かる。そして聞き終えてずっこけてしまった。なぜかはともかく、つくずく昔の大学生は学があったと思う。教養部健在なりし頃である。縁あって私がその彼の卒業研究を指導することになり、その後就職した大手化学薬品会社を停年退職した今でも季節の挨拶を交わしている。
その詩を書き付けて貰って覚えようかと思ったが、私は曲がりなりにも先生である。威厳を失墜させてはならじ、と我慢した。ところが私の真剣な思いが神に通じたのかその十数年後、なんと井上ひさし氏の著作の中でその詩の全文にお目にかかったのである。ハイネの詩だった。そしてさらに三十年近い星霜を重ね、どの小説だったかすっかり忘れてしまっていた。このたび「二人の擲弾兵」を歌う機会に気になっていたこのハイネの詩を探すことにして、先ほど遂に見つけ出したのである。もう忘れることがないようにここに書き付けておく。ドイツ語を囓った方はもちろん、ドイツ語を習ったことのない人でも声をちゃんと出して読み上げるとほぼ意味が通じるはずなので、どうぞお試しあれ。
ダス トモネ ハインリッヒ・ハイネ
イッヒ アッテ アイネ メッチェン アルヒハイデルベルヒ。
ウント ヒトメボレルン ダス メッチェン、
ヤーボール ツレコムシュタット ヤス ホテルン。
イッヒ オシタオシーテン ウーバー フートン シーテン、
ウント トリンケン パンティッヒ。
イッヒ フンバルト ディッヒ ノケゾルレン ウーバー マットレス、
ウント ゲザークト コンメコンメ イッヒ モルテ。
アイン ツバイ ドライ クリカエシテット ダス メッチェン ナキダシテン、
イッヒ ヤバイケン ニゲタッテン。
バッテン メッチェン=ムッター ソク コンメ、
ウント セマリケン ハイラーテン。・・・・・マイン カンプ エンデ。
ちなみにこの詩の出典は次の本。何ページにあるかは宝探しをお楽しみあれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/8f/8bcf53360f3636f6b3f7514ad3c4236e.jpg)
Die Grenadiere Heinrich Heine
Nach Frankreich zogen zwei Grenadier,
Die waren in Rußland gefangen,
Und als sie kamen ins deutsche Quartier,
Sie ließen die Köpfe hangen.
Da hörten sie beide die traurige Mär:
Daß Frankreich verloren gegangen,
Besiegt und zerschlagen das große Heer -
Und der Kaiser, der Kaiser gefangen.
Da weinten zusammen die Grenadier
Wohl ab der kläglichen Kunde.
Der eine sprach: Wie weh wird mir,
Wie brennt meine alte Wunde!
Der andre sprach: Das Lied ist aus,
Auch ich möcht mit dir sterben,
Doch hab ich Weib und Kind zu Haus,
Die ohne mich verderben.
Was schert mich Weib, was schert mich Kind,
Ich trage weit beßres Verlangen;
Laß sie betteln gehn, wenn sie hungrig sind -
Mein Kaiser, mein Kaiser gefangen!
Gewähr mir, Bruder, eine Bitt:
Wenn ich jetzt sterben werde,
So nimm meine Leiche nach Frankreich mit,
Begrab mich in Frankreichs Erde.
Das Ehrenkreuz am roten Band
Sollst du aufs Herz mir legen;
Die Flinte gib mir in die Hand,
Und gürt mir um den Degen.
So will ich liegen und horchen still,
Wie eine Schildwach im Grabe,
Bis einst ich höre Kanonengebrüll
Und wiehernder Rosse Getrabe.
Dann reitet mein Kaiser wohl über mein Grab,
Viel Schwerter klirren und blitzen;
Dann steig ich gewaffnet hervor aus dem Grab -
Den Kaiser, den Kaiser zu schützen.
ほぼ暗譜で歌えるようになったので、近々私の歌唱を公開するつもりである。実は昔、ほぼ歌詞を覚えていたのにいつの間にか忘れてしまった。割合と長い歌なので通して歌うチャンスのなかったことが原因だろうと思う。ドイツ語らしい響きが快い。パリのアンヴァリッド(廃兵院)にあるナポレオンのお墓では、ひとりでにメロディーを口ずさんでいた。
この「二人の擲弾兵」でふと昔のあることが甦ってきたのである。阪大でまだほやほやの助手の頃、研究室に新入生が入ってきて歓迎コンパの席上で、その一人が朗々とドイツ語の詩を暗唱した。確かにドイツ語のようであるがそれにしては実によく分かる。そして聞き終えてずっこけてしまった。なぜかはともかく、つくずく昔の大学生は学があったと思う。教養部健在なりし頃である。縁あって私がその彼の卒業研究を指導することになり、その後就職した大手化学薬品会社を停年退職した今でも季節の挨拶を交わしている。
その詩を書き付けて貰って覚えようかと思ったが、私は曲がりなりにも先生である。威厳を失墜させてはならじ、と我慢した。ところが私の真剣な思いが神に通じたのかその十数年後、なんと井上ひさし氏の著作の中でその詩の全文にお目にかかったのである。ハイネの詩だった。そしてさらに三十年近い星霜を重ね、どの小説だったかすっかり忘れてしまっていた。このたび「二人の擲弾兵」を歌う機会に気になっていたこのハイネの詩を探すことにして、先ほど遂に見つけ出したのである。もう忘れることがないようにここに書き付けておく。ドイツ語を囓った方はもちろん、ドイツ語を習ったことのない人でも声をちゃんと出して読み上げるとほぼ意味が通じるはずなので、どうぞお試しあれ。
ダス トモネ ハインリッヒ・ハイネ
イッヒ アッテ アイネ メッチェン アルヒハイデルベルヒ。
ウント ヒトメボレルン ダス メッチェン、
ヤーボール ツレコムシュタット ヤス ホテルン。
イッヒ オシタオシーテン ウーバー フートン シーテン、
ウント トリンケン パンティッヒ。
イッヒ フンバルト ディッヒ ノケゾルレン ウーバー マットレス、
ウント ゲザークト コンメコンメ イッヒ モルテ。
アイン ツバイ ドライ クリカエシテット ダス メッチェン ナキダシテン、
イッヒ ヤバイケン ニゲタッテン。
バッテン メッチェン=ムッター ソク コンメ、
ウント セマリケン ハイラーテン。・・・・・マイン カンプ エンデ。
ちなみにこの詩の出典は次の本。何ページにあるかは宝探しをお楽しみあれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/8f/8bcf53360f3636f6b3f7514ad3c4236e.jpg)