日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

一人で歌うDong-shim-cho (同心草)とその由来

2009-04-03 18:28:47 | My Song
私の大好きな朝鮮の歌、동심초の元はなんと唐の芸妓、薛涛が作った詩であった。

中央日報に次のような記事がある。

《名前そのものは聞き慣れないが、私たちに親しまれている歌謡「同心草」の原作詞者だ。「花びらは止めどなく風に散り、会う日はかなた約束もなく…」という内容は40代以上の人なら一時静かに吟じたことがある大衆歌謡だ。

薛涛が書いた「春望詞」という詩を金素月(キム・ソウォル)の師である詩人、金億(キム・オク)が飜案して付けた。全体の詩の内容をそのまま生かすことはできなかったが、一段落を移して書いた歌詞は哀切な曲調とともに解放直後、慌しかった人々の心に大きく響いた。

歌に出る「心を心を結ぶことができず、むなしくも草の葉ばかり結ぼうとするのか」という内容は薛涛の詩「心をひとつにしようとする人とは結ばれず、ただ同心草のみを編む(不結同心人、空結同心草)」という有名な句節を意訳したのだ。》

また「杉篁庵日乗」さんの「薛濤の春望詞」にはこの詩の詳しい解説がある。

《今日は薛濤(せつとう)の「春望詞」です。
「漢詩百人一首」や「漢詩百選・人生の哀歓」は「春望詞」の「其三」を載せています。しかし、四首まとめて読みたい詩です。》

とあって、「其三」とは次の詩である。

風花日將老 佳期猶渺渺
不結同心人 空結同心草

これを読み下せば

風花 日に将に老いんとするに、
佳期 猶ほ渺渺(べうべう)たり。
同心の人を結ばずして、
空しく同心の草を結ぶ。

薛濤は次のように紹介されている。

《薛濤(字・洪度、768年-831年)は中唐の伎女・詩人。魚玄機とならび詩妓の双璧と称されます。韓愈や白居易と同年輩です。もと長安の良家の娘でしたが、父について蜀(四川省)へ行き、のち妓女となりました。彼女が作った深紅の小彩がついた詩箋(原稿用紙・色紙のようなもの)は、当時「薛濤箋」として持てはやされました。また、王羲之の書法を学んだ書家としても認められ、その一片は宋の宮廷に秘蔵されていたといいます。》

いやはや、なんとも凄い女性である。

この詩の朝鮮語訳が次の通りである。

風花日將老 (풍화일장노) 꽃잎은 하염없이 바람에 지고
佳期猶渺渺 (가기유묘묘) 만날 날은 아득타 기약이 없네
不結同心人 (불결동심인) 무어라 맘과 맘은 맺지 못하고
空結同心草 (공결동심초) 한갓되이 풀잎만 맺으랴는고 (문제의 구절)

漢詩の後の括弧の中は漢字の朝鮮語読みで、それに続くのが翻訳であろう。翻訳者がもしかすると複数いるのではなかろうか。歌の二番の出所が今のところ不明である。

一方、作曲者は1910年生まれ(奇しくも亡母と同年の生まれ)金聖泰(김성태)さんで、間違いなく朝鮮の方であろう。まだ原譜にはお目にかかっていないが、その画像をたまたま手にしたので スコアメーカーで復元してみた。Sumi Joさんはもちろん原調で歌っているが、私は短二度下げて歌うことにした。まずは一人でお稽古始めである。