報道されてまだ一週間にもならないが、この14日の午前10時ごろ、ネットの画面に「チリ・落盤事故33人全員救出」のようなテロップが流れたので、テレビをつけてチャンネルを回すと、10チャンネルだけがその現場の様子を中継していた。最後に救出されたのはリーダー格のルイス・ウルスアさんで、救助活動に感謝すると同時に、出迎えたピニェラ大統領に「二度とこういうことのないようにしてほしい」と訴えたのはさすがだと思った。事故発生以来69日目、奇跡とも思える33人の作業員の救出劇に、私もその一人であるが、世界中の人が固唾を飲んだことだろうと思うが、考えてみれば落盤事故さえ起こらなければ、救出劇に釘付けになることもなかったのである。ということでなんだか割り切れない思いが残った。
落盤事故の背景を朝日新聞は「危険鉱山 もうごりごり」の見出しで次のように伝えた。
鉱山会社と監督機関が真剣に安全対策に取り組んでおれば、今回のような落盤事故は避けられたであろうし、「感動物語」も生まれなかったことだろう。「感動物語」に耳目を奪われることなく、安全対策の徹底に世間は厳しい目を注ぐべきで、ピニェラ・チリ大統領が「二度とこのような事故が起きないように、安全が確保されない限り、サンホセ鉱山を閉鎖する」と述べたのは至極当然のことである。
この「感動物語」で私が連想したのは、地球の反対側での出来事である郵便不正事件で、村木厚子さんが完全無罪になったことと、それに関連した前田恒彦元検事の「FD書き換え」事件の事の起こりについてである。村木厚子さんが問題となった裁判で完全無罪となったのはよかった。私もいつの間にかそれを確信していたのである。しかし、である。郵便不正事件の行方 村木厚子元雇用均等・児童家庭局長が無罪であれかしで謎として述べたことであるが、当時の村木課長が知らない間に、彼女の公印が捺された証明書が現に存在したのである。もし公印の管理が厳正に行われていたら、上村被告といえども偽の証明書を作成出来なかったはずである。自らの公印であるからもちろんその管理責任は村木さんにある。村木さんが公印の管理さえしっかりしておれば、偽証明書が作られようがなく、郵便不正事件そのものも発生しなかった筈である。
公印の管理は落盤事故防止に比べればはるかに容易であろう。それを怠ったばかりに、世間が大騒ぎする羽目になったのに、その反省と対策の話がほとんど聞こえてこないのはどういうことだろう。「完全無罪」の興奮から覚めた村木厚子さんに、国民に対する管理状況の説明と謝罪があってもいいように思う。部下に対する監督責任は当然追求されるべきであろう。それともすでに処分は下されたのだろうか。
そういうケジメの付け方は、チリの国民に見習った方が良さそうである。
落盤事故の背景を朝日新聞は「危険鉱山 もうごりごり」の見出しで次のように伝えた。
チリの鉱山は、世界一の銅の埋蔵量と生産量を誇る。南米の中では安全性が高い方だと言われているが、作業員300人規模のサンホセ鉱山のような中小規模の鉱山には問題も多い。サンホセ鉱山では2004年から06年にかけて死亡事故が頻発。通気口に付いているべき脱出用はしごも不備だった。04年から今年までに安全基準違反で42回も罰金を払った、と地元メディアは伝えている。
07年には操業停止を命じられたが、翌年、国の監督機関は再開を認めた。その妥当性が問われている。営業再開に必要な安全基準が守られているかどうか確認もせずに再開を認めたとんみられるためだ。作業員の家族らは、鉱山会社と監督機関を告訴している。
07年には操業停止を命じられたが、翌年、国の監督機関は再開を認めた。その妥当性が問われている。営業再開に必要な安全基準が守られているかどうか確認もせずに再開を認めたとんみられるためだ。作業員の家族らは、鉱山会社と監督機関を告訴している。
(朝日新聞朝刊 10月15日)
鉱山会社と監督機関が真剣に安全対策に取り組んでおれば、今回のような落盤事故は避けられたであろうし、「感動物語」も生まれなかったことだろう。「感動物語」に耳目を奪われることなく、安全対策の徹底に世間は厳しい目を注ぐべきで、ピニェラ・チリ大統領が「二度とこのような事故が起きないように、安全が確保されない限り、サンホセ鉱山を閉鎖する」と述べたのは至極当然のことである。
この「感動物語」で私が連想したのは、地球の反対側での出来事である郵便不正事件で、村木厚子さんが完全無罪になったことと、それに関連した前田恒彦元検事の「FD書き換え」事件の事の起こりについてである。村木厚子さんが問題となった裁判で完全無罪となったのはよかった。私もいつの間にかそれを確信していたのである。しかし、である。郵便不正事件の行方 村木厚子元雇用均等・児童家庭局長が無罪であれかしで謎として述べたことであるが、当時の村木課長が知らない間に、彼女の公印が捺された証明書が現に存在したのである。もし公印の管理が厳正に行われていたら、上村被告といえども偽の証明書を作成出来なかったはずである。自らの公印であるからもちろんその管理責任は村木さんにある。村木さんが公印の管理さえしっかりしておれば、偽証明書が作られようがなく、郵便不正事件そのものも発生しなかった筈である。
公印の管理は落盤事故防止に比べればはるかに容易であろう。それを怠ったばかりに、世間が大騒ぎする羽目になったのに、その反省と対策の話がほとんど聞こえてこないのはどういうことだろう。「完全無罪」の興奮から覚めた村木厚子さんに、国民に対する管理状況の説明と謝罪があってもいいように思う。部下に対する監督責任は当然追求されるべきであろう。それともすでに処分は下されたのだろうか。
そういうケジメの付け方は、チリの国民に見習った方が良さそうである。