日々是好日

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沖縄科技大、初代学長にスタンフォード大教授とは

2010-07-09 00:05:27 | 学問・教育・研究
今日の日本経済新聞電子版の記事である(とお断りしたから無断複製・転載でないと信じる)。

沖縄科技大、初代学長にスタンフォード大教授

 2012年度開校予定の沖縄科学技術大学院大学(沖縄県恩納村)の初代学長に、米スタンフォード大学のジョナサン・ドーファン教授が就任することが8日明らかになった。同氏は素粒子物理学で成果を上げるとともに、スタンフォード線形加速器センターの所長を務めるなど管理業務の経験も評価された。
(2010/7/8 13:40 日本経済新聞 電子版)

この大学院大学学長に内定していた方は確かノーベル賞学者で、事業仕分けの時だったか、世界一周航空チケットの使い方でイチャモンをつけられた方だと思っていたが、私の思い違いか。それともイチャモンに嫌気がさして逃げられたから、その後任に来られるということなのだろうか。

その事業仕分けの時に、沖縄科学技術大学院大学なんて耳にしたことがなかったので少し調べたところ、世界最高水準の科学技術に関する研究及び教育を実施する大学院大学を沖縄に作る計画が進んでいて、それが沖縄科学技術大学院大学であると知った。私が疑ってかかることにしている「世界最高水準」なる文言が出てきたので、またあれかと思ったことを思い出す。なぜ私が「世界最高水準」に懐疑的なのかは、世界水準の研究教育拠点そして経費関係調書非公表の怪などにその理由を述べている。

もう10年越しの計画のようだから、これまでいろいろと努力を傾けてこられた方々には申し訳ないが、私は無駄なことをしているように見える。沖縄で世界最高水準の戦闘機とか爆撃機を維持するというのならすでにそれなりの実績があるので納得もできるが、本土遙か離れたあの島国に『世界最高水準の科学技術に関する研究及び教育を実施する大学院大学』なんて、本土にもないような『象牙の塔』が出来るはずがないと私は思っているからだ。井上章一さんではないが、「ラブホ」でも一軒がポツリと立っているところでは流行らないそうで、何軒も寄り合って密集するところで栄えるそうである。大学もまたしかり、日本の旧六帝大の所在地周辺を見渡してご覧じろ、である。沖縄科技大の設立にこれまで携わってきた人の中に、本土にもないような世界最高水準の最高学府が、沖縄のリゾート地にポツリと屹立するようになるとでも本気で思っている人が一人でもいるのだろうか。お目にかかりたいものである。

私の大胆な予想を申し上げれば、気がつけば沖縄科技大の大学院生はほとんど外国人になっていることだろう。理由は簡単。なんせここでの公用語は英語なんだから(と私は理解したので)、入学試験からしてすべて英語で行われることだろう。そうするとどういうことが起こるか、最近話題になった看護師国家試験を受験した来日インドネシア人、フィリピン人の挙げた成果を思い出せばよい。受験者254人で合格者はたった3名、試験が日本語で課せられたからである。沖縄科技大は世界に開かれた大学だから当然受験生の国籍を問題にしない。そして試験は英語で課せられる。公正な試験を行えばどういう結果になるのか、目に見えているではないか。学長をはじめとして、日本人がほとんど見えてこないこのプロジェクトに、ただでさえ乏しい国民の税金を注ぎ込む大義名分がどこにあるというのだろう。事業仕分けで本来取り上げるべきは世界一周航空券などではなくて、沖縄科技大計画の廃止であったと私は思う。今からでも遅くはない。昨日か一昨日か、文科省に国立大学法人運営費交付金の削減が求められているとのニュースが流れた。試算によるとその削減で私の出身校である大阪大学と九州大学の2大学を消滅させるぐらいの規模であるとか。その一方で、外国人のための沖縄科技大をこれから新に作ると?

この計画は自民党政権時代に始まったこと。げすの勘ぐりを進めると、沖縄に米軍基地を維持せんとする前政権の強い意志と連動した計画であること間違いなしである。政治に利用された現代の「バベルの塔」造りに担ぎ出された人たちこそあわれである。昨日の筑波大学「長論文」から逃げ出した共著者に問われる研究者倫理の場合とは逆になるが、早々と逃亡をお勧めする次第である。