思いがけず「ボヘミアン」の次男と梅田のヨドバシで待ち合わせることになった。用事を済ませてから10日ほど前に訪れたばかりの伊達屋でタンシチュー定食をご馳走した。この息子は以前ハリー・ポッターで獲らぬ狸の皮算用で登場させたが不遇のゲイジツカなのである。身過ぎ世過ぎもままならない日々を、自ら湧き上がってくる衝動にかき立てられて創作に励むとは感心なことと思わぬではないが、日々の糧を切らしてはいないだろうかと気がかりなものである。親としては作品が第三者の共感を呼び、願わくは生計の途につながればと念じるのみなのである。その息子にちょっと嬉しい話があったことを今日聞かされた。
日本で資本金ベスト20にはいる大会社の会社案内冊子を息子のイラストが飾っているのである。50ページあまりの冊子を手に取ると、表紙裏表紙続きの一枚絵に加えて、イメージキャラクターがあちらこちらに顔を出してなかなか良い雰囲気を作り上げている。会社のイメージアップに寄与していることは疑いなかろう。こういう形で第三者に評価されたことが機縁になって、この不況にもかかわらず新しい仕事が持ち込まれるようになって欲しいものである。(親ばかの巻はおわり)
その足でジュンク堂の梅田ヒルトンプラザ店に向かう。昨年11月15日に5階6階を占めるようになってから初めてであるが、確かに品揃えもよくなっている。これならわざわざ堂島の大阪本店まで行かなくてもたいていの用は足せそうである。その洋書売り場で目に入る品物が皆半額になっている。そこでKen Follettの新作「World Without End」のハードカバーを見つけた。2000円ちょっとでペーパーバックの倍の値段になるが、ゆったりとした気分で読んでみようかとこれに手をだした。Ken Follettも私の好きな作家で、ほとんどペーパーバックで読んでいる。「大聖堂」だけは新潮文庫で読んだが、これが12世紀のイングランドを舞台に建築職人トムが大聖堂を復活させていく物語であったのに対して、「World Without End」はそれから2世紀後の同じ町が舞台になっての大歴史絵巻だとのこと。1000ページを超える大冊だが引きずり込まれそうな予感がする。何週間後になるか分からないけれど、読み終わったと大いばりで報告したいものである。