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日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

一弦琴「朝顔」の再再演

2009-01-14 14:18:52 | 一弦琴
正月のテレビで文楽の竹本住大夫さんが1時間半に及ぶインタビュー番組で一代記を語っていた。文楽は大夫、三味線、人形遣いがそれぞれインディペンデントに演じながらハーモニーを作っていくという話に思わず膝を打った。歌手と伴奏のピアニストとの関係も同じようなものであることを私なりにごく最近自得しばかりだったからである。その翌日街に出ると「竹本住大夫 文楽のこころを語る」という文庫本を見かけたのでさっそく買い求めた。2003年に単行本ででたものの文庫版である。



住大夫さんが演じた演目をそれぞれ詳しく解説しているが、そのなかに私がかって観た「生写朝顔話 宿屋の段」の話もあった。




下の写真の左側は盲目となった深雪が、何年か前に扇を自分だと思って忘れないで欲しいと渡してくれた思い人が聴いてくれるとは知らずに、その扇に書かれた歌を弾き語りする場面である。

  露の干ぬ間の 朝顔を 照らす日影の つれなきに
  あはれ ひと村雨の ぱらぱらと降れかし

これを一弦琴に取り入れたのが「朝顔」で、久しぶりに唄うことにした。新たに徳弘時聾(太)著『清虚洞一絃琴譜』をテキストにして、お師匠さんに教えて頂いたのとは違う弾き方にした。前奏部分の「チチ」と早引き部分が連なるところの演奏がもうひとつしっくり来ないので手直しをしていくつもりである。

住大夫さんによると文楽の文章は昔の大阪弁、だからぜったいに関東の言葉ではないとのことである。となると濁音は大手を振って濁音でいいのではと勝手に解釈して、濁音とか鼻濁音とかを意識せず自然に任せてに唄うことにした。実に気が楽である。それはそれでいいのだが、上の文庫本を読むとプロとしての精進の厳しさがひしひしと伝わってくるものだから、たとえ一弦琴といえども素人が気楽に弾けないように気分にさせられてしまう。それでは困るので素人の至芸を目標に精進を重ねていきたいと思う。