猿沢の池を背に石段を上ると、そのまま天空に通じてい
るような境内になる。
日常の雑踏と喧騒から少し離れて夜の興福寺を訪れた。
広い夜空に北斗七星が北東に高く煌めいている。振り返
ると南西にオリオン座が古代以来の輝きを地上に注いで
いる。
古都の夜はいい。
しんしんと静まり寒気で身が締まる中に朧気に浮き上が
る五重塔と長堂は美しい。時空を超えた美しさは力強さ
でもある。礎石の上に立って眺めていると蹄の音が礎石
を鳴らして響いてくる。鹿が私を遠巻きに、これ以上は
近付いてこない距離を保って私の微妙な距離に近寄って
くる。
古都の空は広い。
時折、参拝者がつく鐘の音が静寂の古都に静かな音響を
添える。
時に求める非日常のしばしの時間。一日の終わりにこの
ような静けさがあってもいい。
学生時代なら、このまま礎石に寝転んで、いつまでも北
斗七星を眺めているだろう。
古都の夜は音楽的な響きがする。
るような境内になる。
日常の雑踏と喧騒から少し離れて夜の興福寺を訪れた。
広い夜空に北斗七星が北東に高く煌めいている。振り返
ると南西にオリオン座が古代以来の輝きを地上に注いで
いる。
古都の夜はいい。
しんしんと静まり寒気で身が締まる中に朧気に浮き上が
る五重塔と長堂は美しい。時空を超えた美しさは力強さ
でもある。礎石の上に立って眺めていると蹄の音が礎石
を鳴らして響いてくる。鹿が私を遠巻きに、これ以上は
近付いてこない距離を保って私の微妙な距離に近寄って
くる。
古都の空は広い。
時折、参拝者がつく鐘の音が静寂の古都に静かな音響を
添える。
時に求める非日常のしばしの時間。一日の終わりにこの
ような静けさがあってもいい。
学生時代なら、このまま礎石に寝転んで、いつまでも北
斗七星を眺めているだろう。
古都の夜は音楽的な響きがする。