木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

スポーツの教育効果

2009-10-30 17:48:41 | インポート
元ラグビー日本代表の平尾誠二氏の話を聞く機会があっ
た。平尾誠二氏は現在、神戸製鋼ラグビー部の総監督で
あり、またスポーツNPO法人をも手がけている。

スポーツと社会、スポーツの教育効果という視点を軸に
して話が進んだ。
日本のスポーツはまだまだ「やらされている」状態の事
例が多く、例えば監視の目がいなくなると途端に手を抜
いてしまう。自発的という姿からはまだ遠いとのことで
ある。
人間は内発的に行うことについては脳が活性化し、生き
生きしていくが外圧を受けて行うことは、例えばやらな
ければペナルティーがあるという状態ではまず続かない
し活性化もしないという事例が述べられた。
学生までのスポーツの世界では意外とこの外圧としての
環境が多い。私も少年の頃の記憶を思い出している。時
にそれは楽しさとは無縁の、少年にとっては時に重圧で
もあった。

平尾誠二氏は日本と世界の一線級との差は、この内発的
な選手や空気の差でもあると述べられた。内発とは強い
モチベーションに支えられた自発性とでも言えようか。
日本はまだまだスポーツは外圧的で、また外圧的な風土
の組織が多く、これでは世界の一線級には勝てないと指
摘された。

日本人にあまり備わっていない能力の一つとして平尾誠
二氏は「判断力」を挙げた。サッカーやラグビーに必要な
能力でもあるとのことだ。サッカーの中田選手はこの判
断力に優れ、選手と選手との隙間にまさにその時にパス
を出してボールをそこに出すことができるからこそ中田
選手は中田選手であり得たという話は印象的であった。
一瞬のうちに多量の情報を集めて、一瞬のうちに多大な
処理を行うこと、それが「判断力」であるとのことである。
この「判断力」はフィールドで実際に訓練しないと身につ
かない。
私は考えた。スポーツの教育効果とは何だろうと。例え
ば「判断力」のような、座学では決して身に付かない能力
が啓発されることもその一つだろう。
何よりも人材が生の感覚の中から育つことであり、また
種目を通じて世界を知り、また世界との距離を知ること
ではないか。その中から日本人の能力の長短や適性を肌
身で感得できることであろう。

まさにスポーツは教育である。平尾誠二氏の話を聞いて、
私は改めて思った。

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