我々にとって、今年の大型連休最後の日である。多くの人々は海外に出掛けたようだが、今年は、金のかからぬ近場(それも東京周辺)で楽しむことにした。最大の目的は、市川海老蔵主演歌舞伎十八番の内「勧進張」を見ることである。初日は鎌倉八幡宮の源頼朝、三日目は九郎判官義経と、何か因縁めいたものを感じる。
勧進帳のあらすじは、平家滅亡の最大の功労者である義経が、讒言により兄頼朝から嫌疑をかけられ、奥州平泉へ落ちのびて行く途中「安宅の関」での有名な一幕である。
山伏姿に身をやつした義経主従を待ち受けるのは、富樫左衛門である。ここを武蔵坊弁慶の機知と行動により、なんとか無事に通過する。しかし、一途に主を思う弁慶と、一行が義経主従と悟りながら(切腹を覚悟して)通す富樫が見せた「武士の情け」とが絡み合って一瞬、熱いものが込み上げてきた。昔も今も変わらぬ人情劇を堪能したことである。
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