Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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情と理屈

2006-05-29 07:30:41 | 報道写真考・たわ言
「人の心は情によって動くようにできている。。。」

読んでいた雑誌のコラムのなかのこんな言葉が目に入った。

理屈ではなく、情で納得してこそ人は行動するものだ、ということらしい。

なるほどなあ、と思った。

僕はかなり理屈っぽいほうなので、人と話をしていても、相手を納得させるために理図目になることがよくある。文章を書いていても理屈がきちんとしていないと、どうも居心地が悪い。

しかしその反面、自分で言うのもなんだけれど、かなり情にもろいほうだとも思う。だから、それを押し殺しながら、相手と話をしなくてはならないような状態は一番つらい。

アメリカで生活をするようになったのも、自分が理屈っぽくなった理由のひとつかもしれない。

こちらでは日本と違って、物事に白黒をはっきりつけたがるし、ディベート(議論)にしても、きちんとした論理でもって相手を説き伏せることが「有能」とされるので、そこに「感情」のはいる隙はあまりない。ビジネスでは特にそれは顕著だろう。

それでも、理屈を曲げても、「情熱」とか「同情」といったものに人間が動かされることも少なくないはずだ。それがすなわち情なのだ。

リベリアの子供たちに対する募金が集まっていることも、それは写真が直接人々の情に訴えたからだろう。僕が文章でくどくどとこの国の現状を説明していたとしたら、人々は頭では理解したとしても、お金をだす程までに子供たちに思いを寄せてくれただろうか?

理屈だけでもとりあえずビジネスは成り立つかもしれない、しかし、それが人間関係である以上、情の存在は無視できないし、情がからむことによって、その結びつきは遥かに強くなるはずだ。

こんなことを書きながら、結局なんだかまた書いてることが理屈っぽくなってるなあ、とふと気づいた。