Kuni Takahashi Photo Blog

フォトグラファー高橋邦典
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エセルの言葉

2006-05-27 12:28:14 | リベリア
定刻より30分ほど遅れて、ムスと母親のファトゥを乗せた飛行機がシカゴに降り立った。

出迎えに来たのは僕とシカゴ在住のリベリア人女性4人。そのうちの一人、エセルの家に4週間ほど滞在しながら、ムスは義手の出来るのを待つということだ。エセルは50歳になるおばちゃんで、家族はみなシカゴ近郊に住んでいるが、年に1度はリベリアに戻る生活をしているという。

空港からエセルの家に集まり、夕食をご馳走になる。一年ぶりに、スパイスのきいたリベリア風チキンとライス。美味い!

彼女たちの話を聞いていて驚いたのは、みな大統領の子供たちや親族のことをよく知っているということだ。世代が同じということもあろうが、なかには大統領の息子とデートしていたという女性もいたりして、昔話をしながら随分と盛り上がっていた。初めちょっと緊張していたファトゥも同国人同士の雰囲気にすぐに打ち解け、持参してきたゴスペルのテープをかけながら踊り始めた。

はしゃいでいたムスが力尽きてベッドで眠りに落ちると、程よく酒のまわったエセルが、ジョンソン大統領のことを言及しながらしみじみと話始めた。

「ようやくリベリアに本当のリーダーが生まれたのよ。これからの5年間が私たちリベリア人にとってとても重要なの。。。内戦から逃げて、国外に散らばったリベリア人たちがいまこそ力をあわせなくてはならない時だと思う」

エセルは、アメリカに住むリベリア人が一人当たり5ドル寄付するとして、100万人それをおこなえば500万ドルになる、それだけでもリベリアの子供たちの教育を助けるのにどれだけ役立つことか、そんなことも力を込めて語った。

そして、僕に向かって、シカゴ・トリビューン紙でそういうことを伝えてもらいたい、とも。

しかし、次のリベリアの記事がいつになるかさえ決まっていない状態で、僕としてははっきりとした返事をすることもできない。そんな立場を歯がゆく、そして恥ずかしくさえ感じてしまう。

エセルは何度も何度も繰り返してこうつぶやいた。

「私たちはリベリアを愛しているのよ。。。」