家族揃っての好物、鰻ご飯の三題噺。
京都からドイツに戻る時に、錦の先輩、大國屋さんが十年来、
毎回必ずお土産に持たせてくれます。
浅草の下町で育った僕には、東京の蒸した鰻も懐かしいですが、
関西風に直に炭火でしっかり焼き上げた本物の鰻のしっかりした
味はまた格別です。
ドイツの自宅に持ち帰ってもその旨味を厚い身の中に秘めて、
冷蔵庫、冷凍庫で十分に日持ちします。
今回は一週間の間に三種のレシビで楽しみました。
初日はまず、鰻の小丼。貴重な蒲焼を一枚半奮発しました。
蒸し器で慎重に蒸し直して、やや甘めのタレを絡めて、飛騨高山の
山椒を振って、家族全員のご馳走です。ああ美味しかった!
翌日は鰻、牛蒡、舞茸、人参、実山椒の炊き込み御飯。
昆布出汁に白醤油と淡口で薄味に仕上げますが、鰻の旨味と香りが
五分搗きのご飯の一粒一粒に染み渡り、湯気とともに食卓に満ち渡り
ます。我ながら上品に仕上がりました。
さて、最後は残りの鰻の頭でなるべくしっかりした出汁を取り、
その中で笹掻き牛蒡を濃口と味醂でやや甘めに炊いて、お揚げさんと
分葱も入れて溶き卵で締めた柳川風。
今回は前日から浸け地に浸して、
軽い下味をつけたサヤエンドウもたっぶり効かし、黄色と緑の
柔らかいコントラストで春らしい装いとしました。
こうして一週間、自分の出来る限りのレシピで、貴重な鰻を料理しました。
家族全員とても喜んでいました。
山岡さん、よしのさん、本当にいつもどうも有難うございます。