「浜岡原発の即時停止」9- ドイツ市民の声(和訳)

2011年04月08日 | ドイツの暮らし

脱原発がドイツの基本政策となるには、過去30年に及ぶ歴史が
ありました。福島原発の大惨事を受けて、ドイツではこの潮流が
一気に加速しました。ドイツの国民は原発から再生可能エネルギー
への歴史的な転換を選択するところに来ていると思います。
この方向転換を生み出し、支えたのは政治・行政ではなく、
市民一人一人の意思が決定的な力となったのだと、僕は考えます。

「浜岡原発の即時停止」をテーマとして、ドイツ市民の方々からの、
沢山の声が寄せられました。今日はその中から一つのメッセージを
日本語に全訳して紹介したいと思います。





下記のメッセージを寄せてくださったのは、写真左の女性、
ペトラさんです。4人の子供の母親。ご主人と一緒に、大都市近郊型の
オーガニック農家と農場直営のBioスーパーを率いています。
僕達の友人の一人でもありますが、ペトラさんの書いた文章を
読んだのは、初めてのことでした。普段はむしろ口数の少ない
人です。下記にご紹介いたします。

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このような驚きとショックの中で、コメントをするのはたやすい
ことではありません。しかし、この請願は必要で、一人一人の参加が、
現在も将来もつねに大切さだということも気づかさせてくれます。

私は、浜岡原子炉の操業停止へと、世論を動かすよう切に望みます。
私たちの目の前に置かれた事実が、そうすべきだと告げているからです。
現在の悲劇から、何かを学ぶとすれば、「安全であるという可能性が
極めて高い」という決まり文句がいい加減なものであるということです。

今後、稼働中の原子炉がどこまで電気需要をカバー出来るかと
いうようなことを、考えの前提とすべきではないのです。
多少であれ危険性を秘めるようなエネルギーは選択しないという
考えから、出発すべきなのです。

日本のために黙とうをささげたり、義援金を出すのと同様に、電気で
困っている日本に、電気を送ることができたら、電気を送るのですが。
私は、ドイツであれ、日本であれ、原子炉を停止しようという
(もしくは、停止に反対、もしくは猶予期間を設けることに賛成する
人を含めて)この議論に加わる男性も女性も 自分の考えをしっかりと
持って、議論することがきわめて大切だと思います。

1989年と2005年に、ルワンダに滞在したことがありますが、
水、電気といった快適さがいかに有難いものであるかを毎日痛感させ
られました。この経験から、その有難さを意識して使うようになり
ました。以前と変わらず、愚かな使い方をしていますが。

今まさに、私たちすべてに、「生きる上で、どれだけの快適さ即ち
贅沢を期待しているか、そのためにどれだけの犠牲を払う心構えが
あるか?」という疑問が投げかけられています。現在のような快適な
暮らしは、ポンと与えられたものでなく、努力して捻出したもの
だからです。

そう考えれば、食料や居住(エネルギー、交通、ごみ)などの
あらゆることに、もっとお金を払わざるをえないことは明らかです。
こうしたものは基本的な欲求でもあるので、世界中の誰にもあて
はまることです。今度の悲劇はこのことを教えてくれます。
さらに、この悲劇は、私たちが互いに経済的に結ばれているだけで
なく、私たちの感情やとまどいもどれほど共にするかをみせました。

ヘルベルト・クレーネマイヤーの詩に、「人間は、…学ぶことで
人間であろうとしている」とあります。今まさにこの言葉が当て
はまります。この悲劇の日が、11日に起こったことも、世界の
人びとが同じ道を歩んでいることを物語っているようです。

心からお悔やみ申し上げるとともに、私達に出来ることがあれば
と思います。

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上記の翻訳協力者は、東京に住む田口信子さんです。
丁寧な分かり易い翻訳をどうも有難うございました。

ドイツ語の情報や文章を日本語にしてくださる協力者の方々を
求めています。互いに力を合わせて、このような翻訳作業を進めて
いきたいと思います。日独の脱原発を目指すフォーラムである、
Atomfree-eastwestのサイトやこのブログで、ドイツの脱原発を
支えている市民の方々の考え方や、日本に向けての意見を紹介して
いきたいと思います。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
在日ドイツ人からお伺い (ペーター)
2011-04-08 19:35:25
こんにちは。在日ドイツ人ホイサーマン ペーターです。昨日私はhttp://anti-atom-demo.de/start/kontakt/koordinationsbuero/にメールしました。反原発デモで日本語で書いてあるプラカードを提案しました。今日はユリアーネ・ディケル様から返事が届きました。在独日本人は反原発デモで日本語で挨拶できるかどうかと訊きました。反原発在独日本人の皆さん、できるだけKoordinationsbueroと連絡してください。
宜しくお願い致します。

(私が住んでいる川崎市には今75.3nGy/hです。ありがたいことに地震や津波の被害がありません。)
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同感と紐帯 (浅田益章)
2011-04-13 09:58:46
ドイツ市民の声を聞かせていただきありがとうございました。日本はこれからどういう国になるべきかを考えています。コンパクトで精神的、文化的に豊かな質素な国、個人を大切にする国になれと願う。普段は寡黙な市民。市民どおしの意見交流による理解と学びあいが今こそ大事。国と国のつよい紐帯で身動き取れない状態から脱したい。市民どおしの弱い力の紐帯が結局原発をなくす早道、力になると信じます。
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